今まで勤めていた会社を突然クビにされてしまった朝松紗南だったが、ひょんなことから自分よりも一回り年上で身長も小さく、前髪で目元が見えない上に街では数少ない【多彩能力者】の秋山愁治が経営する『秋山事務所』の事務員兼雑用係として再就職が決まるのであった。自称ミュージシャンなおじさんの依頼から、自分の所で雇っている者を捜してほしい少女、何者かによって目玉を奪われてしまった男性、愁治の妹でもあるマイコが通う大学教授が作った発明品盗難——四つの依頼話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
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伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「タチが、悪い…?」 「そう、アタシの力を阻むわる~いヤツ」 「え、そうだったの?!」 「おやおや、サノの反応を見る限り、その存在には気づいてたみたいだね?」 思わずドキリとしたような感覚を味わい、紗南の気は焦り始める。

2018-11-27 19:56:33
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「いや、サクラちゃんの背後にいる存在が悪そうなのは解ってたの。それは本当、でも、それがキールの力を無効にするってのは今初めて知ったから…」 まぁ、とキールが一息ついたように一言置き続ける。 「まぁ、コイツをどうにかしたらアタシの力は使える筈だから、どうにかしないとねぇ」

2018-11-27 20:00:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「どうにか、なるんですか…?」 「そうだねぇ…」キールはいかにも、考えていますよ、とでも言わんばかりな態勢で部屋をぐるぐると周り歩き始め、紗南はサクラに謝った。 「ごめんなさい、さっきのこと…」 「いいんです、でもまさか、そういう風になってたなんて私も思わなかったですから」

2018-11-27 20:02:40
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「さっき、秋山所長がサクラちゃんに怒鳴ったのは、サクラちゃんじゃなくて、その背後にいる存在に言ってたの」 あぁ…、とサクラは納得したような声を出したのと同時にキールは「そうだ、アイツを呼ぼう!」と、閃いたように言い、ポケットから携帯電話を取り出し、ある者へかけたのであった。

2018-11-27 20:05:02
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

電話の通話が終わったキールは二人に「10分くらいで来るそうだから、アイツを待ってる間にお菓子食べるかい?」と聞く。 「いいんですか?」 「いいよ、一杯あるからね」 紗南とサクラはソファに座り、キールは台所でお茶と菓子を用意し、二人の元へ来る。#事務所物語

2018-11-28 19:46:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そういえば、サクラちゃんの執事さんって、何時からいなくなったの?」 「三日前からです、家に来れない時は連絡が入るんですけど、それがないものだから、お父さんもお母さんも心配しちゃって…」 「そう、なんだ…」 「まぁ、アイツが来たらその執事さんも見つかるだろうからね、大丈夫だよ」

2018-11-28 19:49:55
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールの言う「アイツ」とは、一体何者なんだろうか? 紗南はそう思いつつも、出されたお茶とお菓子をつまみ始めた一方、秋山事務所の所長でもある愁治は、路地裏に入り、野良猫や鴉を見ては「元気がよろしい」と思いながらのんびりと歩いていた時であった。

2018-11-28 19:52:38
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

背後に何者かの気配を感じとり、愁治は即座に後ろを向いたが、そこには黒い野良猫が居て「脅かすなよ…」と小声でつぶやいた時、野良猫はニャァ~オと鳴き、その場を去り、愁治は再び前を向いた時であった。

2018-11-28 19:56:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

何時からその者が居たのかは知らないが、愁治の前に男がいた、という事が確かなのは間違いない。 「久し振りだな」 濃い灰色と薄い灰色のツートンに片目が隠れている髪型、身なりとしては髪色と同じようなスーツを着ている男にそう言われても、愁治はその男の事は一切として覚えているわけがない。

2018-11-28 20:00:41
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「俺は、お前を知らないぜ?」 「無理もない」 どういう事だそれは、と聞こうとしたが、男は「簡単な質問をする奴だな、その記憶が正しければ……お前はそんなに気性が荒い男では無い筈だったが?」と返すのである。 「ハァ?!何を言ってるんだこの野郎!」

2018-11-28 20:02:55
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

喧嘩腰な秋山愁治に対し、特に気を止めることもなく男は静かに物申す。 「まぁいい、今回は逃がしてやろう」 「お前な、さっきから妙に偉そうに言いやがって!先に名前を名乗れってんだよ!」

2018-11-28 20:06:46
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

溜息が一つ漏れ、男は愁治に向って「我の名は、――の―――だ」と言ったが、一番重要な部分が聞き取れなかった、というよりも、意図的にノイズが入り、遮られたような感覚に近かったともいうべきで、愁治が瞬きした時には既に男の姿は消えていたのである。

2018-11-28 20:09:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キール、紗南、サクラの三人がお茶と菓子を食べている時であった、まるで小動物が何かを察知したかのようにスッと立ち上がり言った。 「おっ、この音は来たね」 「おと?」 「あぁ、バイクのエンジン音だよ。サノとお嬢さんは聞こえなかったのかい?」#事務所物語

2018-11-29 18:38:30
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

サクラも紗南も頭を横に振り「いいえ」と返したのを見て、キールはひとつ溜息をついた時、呼び鈴の音が響き渡る。 「はいのはいのはぁーあーーいーーー、ちょっと待ってな」 キールが玄関の扉を勢いよく開け、目の前に立っていたのはヘルメットを被る者であった。

2018-11-29 18:42:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ウォル、早かったねぇ?」 ヘルメットをとれば、金の中に薄い桃色で染まっている長髪を三つ編み一つで結っている男で、やや不機嫌そうな表情でキールを見て話す。 「お前な、俺が寝ている時に電話するヤツが何処に居るんだ」

2018-11-29 18:46:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そんなヤツがアタシ、というか、そんなことアタシの知ったこっちゃないねぇ」 キールの言い分に対し、駄目だこりゃという意味合いが籠った溜息をついたウォルは改めて聞く。 「それで、俺は何をすりゃあいいんだ?」

2018-11-29 18:49:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

サクラの元へ行ったキールは「この子の背後にいる存在を退治してくれないかなぁ?」と言った。 ウォルはサクラの元へ行き、観察し始めたのを横目に、紗南はキールの所へ行き「あの人、何者なの?」と小声で聞く。

2018-11-29 18:52:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「さっきも言っただろう、あの子の背後に居る存在を退治するウォル・レイサーっていう男だよ」 「よく知ってたわね、…っていうか、あまりにも都合よすぎない?」 「まぁ、いいじゃないか。ウォルが来たら解決するし、アタシが力を使えば更に解決するんだから」

2018-11-29 18:54:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ウォル・レイサーは自身で持ってきた道具をキールの部屋に持ち運んではセッティングしている、その姿を見て紗南は「よかったら、手伝いましょうか?」と声をかけるも「大丈夫だ、今はその心意気は頂くとする」と返し、黙々と作業を続けている。#事務所物語

2018-11-30 18:42:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

作業をしているウォルをサクラは何かを疑うように見ていたが「ちがう、よね…」と、独り言を呟いたのが聞こえた紗南は「どうかしたの?」と問う。 「う、ううん。なんでも、ないです」 「出来たぞ」 床には、サクラは勿論のこと紗南やキールが立っても余裕がある円陣が描かれた羊皮紙が敷かれていた。

2018-11-30 18:47:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「これで、本当に大丈夫なんですか?」 思わず不安な声で問う紗南を横目に、ウォルは「任しとけ、先祖から今に引き継がれてる由緒正しい能力だ」と言い、サクラに円陣へ来るよう手招きする。 「良い子だ、お嬢さん。何があっても、この中で動かないでくれよ」 「は、はい…」

2018-11-30 18:52:07
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ウォルは瞼を閉ざし、早口で呪文を唱え始めた時、サクラの背後に居る存在が苦しみ始め、なんとしてでも離れようとしないが、ウォルは遠慮なくその手で力強く掴みながら言った。 「抗っても無駄だ、俺の力を……なめんなよ!」

2018-11-30 18:58:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そしてついにサクラと離れ、外へ逃げようとするが「逃げても無駄だ、この円陣からは一歩も出れないからな」と言い捨て、再びその存在を捕まえ、素早くポケットから紙を取り出せば、更に呪文を早口で唱え、そのモノを滅したのであった。

2018-11-30 18:59:54
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「もう、円の外から出ても大丈夫だ。お嬢さん」 「う、うん…」 少々息が荒くなりつつも、ウォルはキールを見て「後はお前の仕事だぞ、レイビオス」と言えば「ご苦労様、ウォル」と言い、こちらも自身の能力である【人を探し出す】力を発揮し、サクラの方を見た。

2018-11-30 19:04:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

が、キールは「お嬢さんの捜している人は、この中に居るみたいだねぇ。それも、かなり近い」と言ったのだ。 近くと言っても、サクラ以外の人物は紗南とキール、そしてウォルの3人しかいない。

2018-11-30 19:10:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

取捨選択しても考えられる人物は一人しかいないが、紗南がここへ来る前に写真で見せてもらった人物は、この場所に居ない為、キールが言い間違ったと思うのが一般的かもしれないが、キールがそんな風に言い間違える訳がないとは、この中では紗南が知っている事だ。

2018-11-30 19:13:12
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールが言い放った後、一人の人間が姿を変え言った。 「やはり、人探しの能力を持つ人間には、姿を変えても無駄だったという事だな…」 ウォル・レイサーの髪色は瞬く間に金へと変わり、紗南は「あなたは!」と思わず叫んでしまった。

2018-11-30 19:17:58
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「すまんな、お嬢さん。この事はなるべく、他人には話すなと言われているからな」とウォル・レイサー改め、桐野マコトはサクラに向って謝るが、顔つきや喋り方はウォルの時とあまり変わらないのだなと、紗南は見てて思った。

2018-11-30 19:20:26
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

だが、それがサクラにとっての桐野マコトなのだから、そこへ駆け寄り「マコトのバカァ…!」と言った後に泣き始める姿を見て、マコトはサクラの頭をやさしくなでながらに言った。 「すまなかった、後でお前にはちゃんと話す。だから、今は泣くな」

2018-11-30 19:22:58
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

二人の帰る姿は【執事】と【お嬢さん】ではなく【年の離れた兄妹】に見えた。 見送った後、キールは腕を伸ばしながら「さぁ~て、私の出番は終わったねぇ」と言ったが、紗南はキールに疑問を提示する。 「まさか、キール……最初から正体を知ってたうえで事を進めてたんじゃないんでしょうね?」

2018-11-30 19:25:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「いんやぁ、私は話そうとしたけどさ。さっき、アイツも言ってたけど『他言無用』だからってね。喋らなかったわけだけども………でも、ウォルがそういう事をしてたなんてことはホントに知らなかったよ」 「そ、そう…」

2018-11-30 19:27:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

なんか、上手くまとめられたような気がしてならない紗南だが「今日はありがとうね、キール」と礼を言う。 「なに、能力者とは自身の為でもありながら、他人にも良い方向で使う。それが何よりだって話さ」 「キール…」

2018-11-30 19:29:28
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

すると、キールは待ったとでも言うように紗南が喋る口を止めて言った。 「そろそろ、サノも帰った方が良いんじゃないのかい。捜してる人が居るみたいだよ?」 私を…?、と返そうとしたが、キールは「サノより小さな人が、捜してるってか、帰りを待ってるよ」と言い終え、紗南を見送った。

2018-11-30 19:33:41
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――私よりも小さいひと…。 今、真っ先に思い浮かんだのはあの事務所長を思い浮かんだが、まさか、と思って事務所への帰路を歩いていた時であった。目の前にその人が居て、紗南を見つけこちらに駆け寄って言った。 「その顔は、依頼完了って感じだな」 「はい」 「……やれば出来るじゃねーか」

2018-11-30 19:36:48
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

前髪のせいで表情は解らないが、口ぶり的には照れ臭そうに言うものだから、紗南は思わず笑ってしまい、愁治は「なっ、何がおかしいんだよ!?」とツッコミを入れる。 「すいません、秋山所長って人を褒めそうなイメージなくて…」 再び笑い出す紗南を見て、愁治も釣られていたのは言うまでもない。

2018-11-30 19:39:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#事務所物語【次回予告的コーナー】 愁治「今回、俺の出番が少なかったような気がするのだが…」 紗南「秋山所長が私にあぁ言うからですよ」 愁治「備えあれば患いなし、良い言葉じゃねぇか」 紗南「それは、そうですけども…」

2018-11-30 22:24:43
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

愁治「それにしたって、あの、キールっていう女。俺と似たような事してんだな」 紗南「えぇ、それを生業にしているみたいです」 愁治「…ってとこはライバル関係ってことになるな?」 キール「まぁ、目隠れ所長さんの邪魔はしないから大丈夫だよ!」 紗南「キール!」 愁治「バサバサうるさいな」

2018-11-30 22:27:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キール「それよりも、次のお話はどんなヤツなんだい?」 紗南「えーと、確か…。なんか、怖い感じになってますけど…大丈夫ですかね??」 愁治「そうなのか?」 キール「そりゃ楽しみだ!」(お話は、つづく)

2018-11-30 22:29:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

空は曇り、今にも雨が降りそうだと誰かが言った途端、雨粒がポツポツと空から落ちてゆき、やがて雨足も段々と強くなり、外にいた大半の者達が建物の中や軒下で雨宿りをする中、傘を差さぬ男がひとり、その道を黙って歩いている。 #事務所物語

2018-12-01 18:26:20
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そして、男はある建物までたどり着き「ここが、事務所か…」と呟き、呼び鈴を押した。

2018-12-01 18:28:19
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

いくら離れ小島な事務所とは言えど、今日の天気では依頼人も来ないだろう。 朝松紗南はそんな事を思いながら、所長でもある秋山愁治にコーヒーを淹れ、机に置いた時、愁治は紗南の方を見て言った。 「こればっかりは解らんぞ、長身」

2018-12-01 18:31:33
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――また、読まれてしまった…。 紗南はそう思いながらも、一応自身の口で愁治に返す。 「でも秋山所長、このような天気に依頼人が来るとは考え難いような気がしますけど…」 「それこそ、人それぞれだぜ。例え火や水の中、ましてや雨や槍が降ろうが来る人は来るもんだぜ」

2018-12-01 18:34:34
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「流石に槍が降ってる時に来たらマズいんじゃないですかね…」 「あくまで、物のたとえだぞ。たとえ」 「で、ですよねぇ」ハハハ…、と愛想笑いした直後であった、ピンポーンと呼び鈴が鳴り、まさか本当に人が来るなんて、と紗南は思う。

2018-12-01 18:37:28
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「言っただろう、天気に関係なく来る人は来る、ってな」 「みたい、ですね…」

2018-12-01 18:38:03
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ここは、秋山事務所…、ですか?」 雨の中、傘も差さずにやって来た男はスローな喋り方で目の前にいる紗南に問いかける。 「はい、そうですけども」 「じつは、お願いしたいことが、ありまして…」#事務所物語

2018-12-02 19:40:50
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

男は遠慮気味に依頼をしようとするが、紗南は「は、入って下さい!」と言いながら、その男を事務所の中へ通す。 服に滲みこんだ雨水がポタポタと玄関の通路を濡らしているのを見て、後で床拭かなくちゃ、と思いつつ、愁治が居る応接室まで案内した。

2018-12-02 19:44:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#事務所物語【依頼人メモ】 名前:野沢那 重道(ノザワナ シゲミチ) 性別:男 年齢:39 職業:とある会社の警備員

2018-12-03 20:15:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

野沢那は応接室に入ってもサングラスをかけたまま、中央に置いてあるソファに座り、紗南が淹れたコーヒーを手に取り、一口飲んだ。 「やはり、このような日は、暖かい飲み物が一番ですねぇ」 確かに、野沢那の言う通りだ。

2018-12-03 20:19:17
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

今日はプラスとは言え、気温も低い上に雨も降っているのだから、無理もない。 愁治も同じく、紗南が淹れたコーヒーを一口飲み終えてから聞いた。 「野沢那さん、今回の依頼はどう言った用件なのでしょうか?」 「あるものを、探してほしいんです」 「ある、もの…ですか?」

2018-12-03 20:22:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

コクリと頭を頷かせ「目玉です」と聞いた愁治は「それは、どういうモノの目玉、なのでしょうか?」と、改まった声で聞いた時、野沢那はサングラスを外しながら、その証拠を見せた。 そこには本来あるはずのモノがなく、ただ、黒い空洞が二つ存在しているのみである。

2018-12-03 20:26:48
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まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。