今まで勤めていた会社を突然クビにされてしまった朝松紗南だったが、ひょんなことから自分よりも一回り年上で身長も小さく、前髪で目元が見えない上に街では数少ない【多彩能力者】の秋山愁治が経営する『秋山事務所』の事務員兼雑用係として再就職が決まるのであった。自称ミュージシャンなおじさんの依頼から、自分の所で雇っている者を捜してほしい少女、何者かによって目玉を奪われてしまった男性、愁治の妹でもあるマイコが通う大学教授が作った発明品盗難——四つの依頼話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
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伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「成程ぉ…」 ゴホン、とわざとらしい咳をした愁治の声を聞き、二人は改めてそちらを見る。 「与太話が過ぎるぞ、お前」 「ゴメンってば~」 紗南は愁治に改めて確認の意味を込めて聞いた。 「所長、コレのチラシを配ったり貼ったりするって事で大丈夫ですかね?」 「そういう事だな」

2018-11-19 19:34:33
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

秋山所長が書いたチラシを配ったり、許可を得て壁に貼ったりしてなんとか消化をしたものの、全てが無くなるに半日程かかったのは言うまでもない。 依頼人でもある渡也弦惨は事務所に依頼をしに来て以降、一度としてここを来ていない事に疑問が残る中、ついにライブは当日を迎える訳だ。#事務所物語

2018-11-20 18:40:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その日は事務所へ向かったものの、既に愁治の姿は無く、その代わりテーブルの上に置手紙があり、それによれば「俺は後で行く、長身は先に会場へ行っていろ」と書かれていた。 朝松紗南はすぐに事務所を出て、渡也が居る会場もとい、この街にある空地へ向かって行く。

2018-11-20 18:45:12
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

会場に着くや、渡也は「おぉ!この間のお嬢さんじゃないか!!」と手を振って呼ぶ。 「渡也さん!」 その男は初めて出会った時と変わらずの赤の皮ジャンに、一本のギターを肩に背負っている。 「一応、会場らしい感じで用意してんだがな、人が来るかどうかは解らんもんな」

2018-11-20 18:49:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「呼び込みはしたんですけども…」 会場自体が街の外れにある空地のせいか、渡也の歌声を聞く者はおろか、通りに人らしい人も歩いていないのが現在の状況だ。 「いや、いいんだよ。お嬢さんや、あの所長さんは俺の我儘みたいな依頼を引き受けてくれた、普通だったら引き受けてくれねぇからよ」

2018-11-20 18:55:22
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

それに、と渡也は続けて話そうとした時であった、一台の車が会場の前に止まったかと思えば、そこから秋山事務所の所長でもある愁治が降りてきたのだ。 「しょ、所長?!!」 「そんなに驚くなよ、長身」 と、ツッコミを入れながらも「遅れて申し訳ありません、渡也さん」と頭を下げる。

2018-11-20 18:58:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「いや、それは別にいいんだが…」 渡也は愁治が乗って来た車を見て驚きを隠せない表情になりながら見ているが、愁治は言った。 「渡也さんの依頼はこうだった「ライブをやりたい」と、それは沢山の人に自分の歌を聞いてほしいという風には言っていなかったですよね?」

2018-11-20 19:02:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そう、だったかな?」 とぼけた声で言い返す渡也だが、愁治は話を続ける。 「貴方が渡したソノシートのレコードには歌う直前にある人へのメッセージが添えられていました。それを聞いた時、俺は貴方の想いが聞こえました――」 バタンと車の戸が開き、座席から降りゆく者一人。

2018-11-20 19:06:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「こんな遠回りに事をするなんて、如何にもアンタらしいわね」 「ツネヨ…」 渡也は気まずい表情を浮かべるも、麻下ツネヨは強気な表情でそちらを見る。

2018-11-20 19:12:36
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「今朝、この事務所長さんが私の所へ来たと思えば、アンタの歌を聞いてくれと来たもんだ。何度も断ったが、事務所長さんも頑固で、こっちが負けたから、ココに居る訳だ」 紗南が愁治を小声で呼び「どういう事なんですか、これは?」と聞けば、愁治も同じく小声で答えた。

2018-11-20 19:14:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ジイさんに言ったとおりだ、もっと言えば、依頼してきた時からジイさんの声は丸聞こえだったぜ。「ツネヨに俺の想いを聞かせたい」ってな」 成程…、と声に出さず納得する紗南だった。 向こうの二人はしばらく黙っていたようだが、渡也が少々恥ずかしそうに言った。

2018-11-20 19:18:39
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「この曲はツネヨだけに贈りたいんだ、聞いてくれるか?」 ツネヨは一度溜息つくが、その表情は少し赤くなりながらも「勝手にしな」と返す。 「俺の❝ギターブルース❞…」

2018-11-20 19:21:07
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

渡也がギターを弾き語り始めた頃、愁治は言った。 「この場所は、ジイさんとバアさんが初めて出会った場所でもあり、告った場所だとも聞こえてたがな」 「素敵です、思い出のある場所で、こうやってまたするって…」 それを聞いた時、愁治は紗南の顔を見ず「あぁ、そうだな」と返したのであった。

2018-11-20 19:24:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#事務所物語【次回予告的コーナー】 愁治「という訳で、今回から始まった本作「事務所物語」だが…、元々はかなり前に書いたお話が元になっているそうだな」 紗南「そうなですか?」 愁治「そうらしい」 紗南(なんで秋山所長がそういう事知ってるんだろう…?) 愁治「細かい事は気にするな、長身」

2018-11-20 20:29:50
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

紗南「また聞きましたね?!」 愁治「てか、ココに居るのは俺と長身しか居ないんだから、聞こえない方がおかしいってもんだぜ」 紗南「……」 愁治「まぁ、細かい事はいいとして、次は――」 ?「多分、私が登場するかもよ?」 紗南「キール!」

2018-11-20 20:33:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

愁治「なんだ、コイツ?」 キール「それはまた、次のお話でって事だよ、メカクレ所長さん」 紗南「キールって、何時もあんな感じなんですよ…」 愁治「フーン…」(お話は、つづく)

2018-11-20 20:35:00
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――この前は事務所に就いてから日も浅かったから、つい小声で入っちゃったけど。今日は元気よく行くわよ私…! そう意気込む朝松紗南は、秋山事務所の扉を開け、事務室に入るや「おはようございます!!」と大声であいさつをする。 「そんなに大きな声を出さなくてもいいぞ、長身」#事務所物語

2018-11-21 18:26:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

秋山愁治は新聞を読む顔を少し上げて言うが、再び新聞の方へ目線を下げた。 紗南は荷物を置きながら「秋山所長、何読んでいるんですか?」と聞いた、こういう事務所に務めているのだから、一面や地方欄等の記事を読んでいるのだろうと思ったが、本人の口から出たのは素っ気ない返事だった。

2018-11-21 18:30:58
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「テレビ欄」 えぇ?!、と思わず驚くような声を出してしまうのをなんとか抑えた紗南は「そ、そうなんですか…」と返す。 「驚くのもアレ以前の問題だが、ココにはテレビがないも同然だからな。コレ見て内容を想像するってのもオツなもんだぜ?」

2018-11-21 18:33:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そう言われてみれば、事務所のどこを見渡してもテレビがないなと、今改めて気づかされる紗南であるが「単に事務室だから」という理由なのかとも思ったが、事務所長本人が言うには「俺は使えるモノは最後まで使う人間だ、そこにあるラジオだって長いが、叩けばまだ聞けるからな」とのことだ。

2018-11-21 18:36:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――そんな、ひと昔前のテレビじゃあるまいし…。 と思った時である、事務所の呼び鈴が鳴り響く。 「こんな朝からとは珍しいな、長身、お前が出ろ」 「は、はい」

2018-11-21 18:38:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

朝松紗南が玄関の扉を開けてすぐに入ってきたのは小学生位の女の子で「捜してほしいんです!」と言い叫ぶものだから、紗南は思わず後退りしてしまう。 「なっ、何をですか?!」 その女の子もハッと我に返り、直ぐに頭を下げて言った。 「すみません!私ったら、ついつい…」#事務所物語

2018-11-22 18:42:40
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その声を聞いたからなのか、秋山愁治が玄関へやってきて「騒がしいにも程があるぞ、長身…。って、そこにいるガキはなんだ?」と聞く。 「ガキって、秋山所長…」 「ガキはガキだろう、俺から見ればな」 「もうちょっと言い方があるでしょうに…」

2018-11-22 18:46:44
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

女の子は二人に向って改めて言う。 「あの、私。ココへ依頼しにやって来たんです!」 「成程、依頼人か…」

2018-11-22 18:47:50
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#事務所物語【依頼人メモ】 名前:宮川サクラ 性別:女 年齢:11 職業:小学生

2018-11-23 18:35:18
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

紗南は台所で持参してきたココアを淹れ、応接室のソファに座っているサクラに出した。 「ありがとうございます!」 サクラは礼を言いつつ、出されたココアを飲む。

2018-11-23 18:40:53
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その姿を見れば桜を模ったヘアゴムを二つ使ってツインテールとして結び、身につけているアクセサリーや着ている服も桜を連想させるような色合いだ。 愁治は無言の手招きで紗南を呼び、サクラには聞こえぬように話す。 「お前、あの子の背後に何か居るのが見えるか?」

2018-11-23 18:42:31
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

紗南は今一度、サクラの方をじっと見た。 確かに、宮川サクラの背後に黒いモヤみたいなモノがうごめいている。 「あれ、なんでしょうか…?」 「本人は気づいてないみたいだが、少なくともあまりよろしくない存在な気がするなぁ…」 「サクラちゃんには言った方がいいんじゃないですかね?」

2018-11-23 18:45:26
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「いいや、ここはもう少し様子見だ。向こうが何者かが解らん限り、俺達には手が出せないからな」 「成程…」 サクラはココアを一通り飲み終え「あの~」と二人に声をかけた時、愁治は「スマンな、二人で勝手に話してて」といった。

2018-11-23 18:47:54
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「大丈夫です!」 「それで、君の依頼はどういう用件なんだ?」 「私の執事を探してほしいんです!!」 シ、シツジ?!! ヒツジじゃなくて、シツジ?! 紗南が驚いている表情を浮かべそうになっているのを横目に「執事って、君はどこぞのお嬢様なのか?」と、何時ものように聞く。

2018-11-23 18:51:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「違います、私はフツーの家に暮らしてます」 「でも、なんで、執事がいるの?」 「そういえば」と、いかにも思い出したかのような声を出しつつ「数日前に載ってた新聞記事に『素人でも執事になれる仕事場が出来た』なんてのを読んだ覚えがあるような…」と愁治が話す。

2018-11-23 18:56:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そうです!私のいる執事ってそこから来てるんですよ!!」と、勢いよくサクラは返す。 「だがな君、人探しってのは俺の所じゃなくても、もっと他にあるだろう。例えば、探偵とか…」 「他の所にも話しましたけど、何処に行っても断られてばかりでした…」

2018-11-23 19:00:20
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

まぁ、子供のいう事を真に受けて依頼を受ける所も数少ないというよりも、取り合ってくれないのがほとんどだろう…。 ――秋山愁治もまた、そのうちの一人なのだろうか? と思いながら、紗南は二人の様子を見ていた。

2018-11-23 19:04:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

朝松紗南が二人の方を見ていた時であった、スッと静かに宮川サクラ立ち上がったかと思えば、秋山愁治を指さして真っ直ぐと見て聞いた。 「そう言えば、おじさんって【人の心を読める能力者】だって聞きましたけど、それ、本当ですか?」 「あぁ、そうだが…」#事務所物語

2018-11-24 19:58:28
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

愁治の声は先ほどよりも低く、何処かトゲが刺さるような言い方だなと思って聞いて居た紗南が再びサクラの方を見た時、背後に居た黒いモヤモヤがサクラの口を勝手に動かしながらに話を続ける。 「ならば……私の心情を読むことも可能って事ですよね、おじさん?」

2018-11-24 20:00:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

言い終えたのと同時にハッとした表情になったサクラであったが、それは既に時は遅かった。 「俺の事、挑発した上におじさんって言ったなお嬢さん?」 「しょ、所長。今のはサクラちゃんが言ったわけでは――」 「長身は黙ってろ!!」 バンと机を叩き、愁治はあくまで冷静を装って話を続ける。

2018-11-24 20:03:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「人探しならば、俺じゃなくて他の所を当たれってんだ!そもそも、俺は探偵じゃねぇんだから!!」 これじゃあ、所長が子供なのか依頼人であるサクラちゃんがなのか、どちらなのかが解らないが、少なからず、今の状況では間違いなく秋山所長の方が子供だ。 それも、かなり、態度が悪い方向で…。

2018-11-24 20:08:02
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

愁治は椅子から立ち上がり、応接室を出る、紗南はサクラに「ちょっと待っててね」と小声で言い、その後を追う。 「所長、本当に断るんですか??」 「……俺がそんな事するかよ」 「でも、あんな態度とられたら誰だって断られたと思いますよ」 「あれは後ろに居るヤツに言ったんだ」

2018-11-24 20:10:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ってことは、サクラちゃんの背後に居る存在ですか?」 「俺が強く言った際、アイツは怯んだからな。となれば、俺でもヤツをどうにか出来るかもしれんが、完全には消しきれない訳だ」 「じゃあ、どうするんですか?」 そうだな…、と愁治は考えるも「あの子には会わす顔がないからな」とも呟く。

2018-11-24 20:13:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

パチンと指を鳴らせば、愁治は提案する。 「長身、お前がこの件を一人でやってみるってのはどうだ?」 「私一人で、ですか!?」 「俺が居ない時に依頼人が来た時用の対応もする可能性があるだろ?その為にも、今からやっとけば対応充分だぞ」 「でも、まだ入って日が浅いですし…」

2018-11-24 20:16:53
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

モゾモゾと紗南を横目に愁治は外へ出る格好をし、玄関で外靴を履いており、出る直前にこう言った。 「備えあれば患いなし、だぜ、長身」

2018-11-24 20:18:55
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

紗南が応接室に戻った時、そこに居たのは先ほど愁治に大きな声で怒鳴られ、シュンとしながらソファにすわっているサクラがいた。 「ごめんなさい、秋山所長がいきなりあんなに大きな声で…」 「あんな風に言われるのって、私はやっぱり子供だから、ですよね」 #事務所物語

2018-11-25 19:50:05
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

本当は、サクラちゃんの背後にいる黒くてモヤモヤとして存在に怒鳴ってた…、なんて言っても――と考えてしまうが、例え本人にその事を言っても果たして信じてくれるだろうか? などと考えていた時、サクラは静かに立ち上がり「わたし、やっぱり帰ります」と言ったのだ。

2018-11-25 19:53:09
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「でも、サクラちゃん…」 「話を聞いてくれただけでも、私、嬉しかったですから…」 寂しそうな声と背後を見て、紗南は益々ほっとける訳が無いと思うのと同時に、どうやって解決させるか…?という問いもやってくる。 一体どうしたらいいんでしょう?!

2018-11-25 19:55:46
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

マンガで言えば、ピッカーンという擬音文字と電球に電気がついた図が頭上に現れるような感じで、あることを思い出し「まって!サクラちゃん!!」と、引き留める。 「はい?」 「あのね、私の知り合いっていうか、中学時代から【人を探すのが得意な能力を持つ】友人が居るの!」

2018-11-25 19:58:21
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

事務所を出た朝松紗南と宮川サクラは、【人を探すのが得意な能力を持つ】友人が住んでいる地区へ向かい、路面電車の停留所へ降り立つ。 その間、二人は特に話すこともなく黙ってその方を歩いていた。 #事務所物語

2018-11-26 19:53:20
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

目的地にたどり着けば、外観はお化け屋敷みたいにおどろおどろしく、呼び鈴を押すにも、家へ入ろうとはとても思えないもので、辺りの家が余程普通に見える程に異質な存在だった。 「ここに、いるんですか?」 サクラは怯えた声色で聞くものだから、紗南もつられて返事をしつつ、呼び鈴を押した。

2018-11-26 19:56:50
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キィィと音を鳴らして玄関の扉が開けば、その友人は二人を迎い入れる。 「おや、サノだったかい。アタシを探してたのは?」 「キール、実はちょっと頼みたい事があるの」 「ほう、それはオフィシャルな用件って感じかい」 「まぁ、そんな感じね」 「成程ねぇ、お二人さん入りなよ」

2018-11-26 20:01:30
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールの自宅の外観こそはお化け屋敷に見間違えられても無理はないが、いざ中にはいってみれば、内装自体はごく一般的なものだから、初めて見る人にとっては拍子抜けすること請け合いである。 なぜそのような事にしたのかと聞けば「人は見かけによらず」というのが本人の弁である。 #事務所物語

2018-11-27 19:48:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールがサクラの方へ近づき、ジロジロ見たり何かブツブツと呟いているかと思えば「こりゃ、納得だわ」と、自己解決した声を出すものだから紗南は聞く。 「何が納得なのよ」 「いやぁね、そこのお嬢さんには悪い存在がいるんだよ、それもタチが悪すぎる存在がね」

2018-11-27 19:52:35
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まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。