今まで勤めていた会社を突然クビにされてしまった朝松紗南だったが、ひょんなことから自分よりも一回り年上で身長も小さく、前髪で目元が見えない上に街では数少ない【多彩能力者】の秋山愁治が経営する『秋山事務所』の事務員兼雑用係として再就職が決まるのであった。自称ミュージシャンなおじさんの依頼から、自分の所で雇っている者を捜してほしい少女、何者かによって目玉を奪われてしまった男性、愁治の妹でもあるマイコが通う大学教授が作った発明品盗難——四つの依頼話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
0
前へ 1 ・・ 6 7
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

能力によっては尊敬の眼で見られる時もあれば、疎まれる眼で見られる時もある。とは、誰しも習い、覚える事柄の一つでもある。 紗南はそんなことを思い出しつつも、愁治は「そう言えば、長身には能力があるかどうかを聞いてなかったな?どうなんだ、そこらへん?」と聞いてくる。

2018-12-20 18:50:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そ、それは……」 今まで聞かれてもなかったことを急に聞かれ、どういう風に答えたらいいか分からず言葉を詰まらせていた時、キールが「はい、ブラックコーヒーとココアね」と言い、二人の前に淹れたてを差し出し、紗南はコップへ手を伸ばしすぐに飲むも口の中で軽く火傷をしてしまった。

2018-12-20 18:52:26
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールもキールで自ら淹れたお茶を飲みつつも、二人に「それじゃあ……改めて聞くけど、誰を捜してほしいのさ?」と聞くが、愁治は「なんでそれが解った?」と言った。 質問を質問で返すという構図だが、キールは「サノの反応からすぐにわかるもんさ」と返したのだ。#事務所物語

2018-12-20 19:48:19
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「まぁ、遅かれ早かれ秋山所長にはキールの事を教えようとは思ってたけど…」 「いいじゃないか、その手間が省けたんだから。それで、改めて聞こうじゃないか。誰を捜してほしい?」 愁治は先ほど煉瓦教授から預かった写真を取り出し。キールに見せる。

2018-12-20 19:50:48
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「コイツを盗んだ野郎だ」 キールは、写真に写されている例の懐中時計をじっくりと見る。 「あぁ、こりゃそれなりのモノなんだろうねぇ~」 「俺もさっきやってみたが、どうもハッキリとは解らなかった」 「目隠れ所長さんも私と同じ能力持ちかい?」

2018-12-20 19:54:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「メインは【人の心を読む】だが、【多彩能力者】だ。最も、お前みたいな力も使えるが、所詮は仮初の力。本物には敵わんって話だ」 「成程ぉ…」 キールは更にじっくりと写真を見て、一つの決断を言い渡す。 「……この時計、厄介な輩に盗まれたねぇ」

2018-12-20 19:56:48
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「厄介な輩?」 「そう【時を行き来、出来る者】に盗まれたね、これは」 それを聞き、紗南は一体誰だろう?という風に疑問符が浮かんでいる中で、、愁治は直ぐに何者かに気づき、キールに聞いた。 「まさか、タイムトラベル能力者、なんて言わないだろうな?」

2018-12-20 20:00:03
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

キールが愁治に向かって「その通り」と言った直後に呼び鈴が鳴り、キールは相も変わらずの気で玄関へ向かい、戸を開けた時であった。 「兄は、居ますか?!」 「兄?」 薄紫色の髪を二つに結う女の子が目の前にいた、最も、その子は息切れしている。 「はい、秋山愁治っていう…」

2018-12-20 20:08:22
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「居るよ、目隠れ所長さんだろう?」 「はい」 それを聞き、キールは大きな声で「目隠れ所長さん!お客さんだよ!!」と叫ぶ。 その声を聞きつけ、愁治は玄関へ向かい実妹でもあるマイコの変わった姿を見て「大丈夫か?!」と駆けつける。

2018-12-20 20:11:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その後にやって来た紗南が「マイコちゃん、一体何があったの?」と聞けば「実は、ある人に追われているんです。今はなんとか巻きましたが、遅かれ早かれ気づかれると思います…」と返す。 「兎も角、傷の手当だな」 「あぁ、救急箱持ってくるよ」

2018-12-20 20:14:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その直後であった、今度も今度で見覚えのある人が目の前にやって来た。 「前沢さん?!」 慎呉も慎呉で、所々に傷が出来ている。 「どうも、お嬢さんにマイコさん。それに、愁治」 「どうした、お前まで。ってか、なんでここに居るんだ?」

2018-12-20 20:16:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「なぁに、あの後マイコちゃんから個人的にある情報を掴んでほしいと頼まれたから色々と仕入れてた矢先にちとヤバいヤツに出会っちゃった、って話だよ」 「それってもしや、マイコの所に居る教授先生の盗まれ物の件か?」

2018-12-20 20:20:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

慎呉は黙ってうなずき「そうそう、それが何気にやばい件だったて訳でさ――」続けて話そうとした時である、突然と何者かの手が慎呉の頭を掴み外へ放り投げたのである。 「いやはや、ムカシの人間がこんなにモロいとはおもわなかったわ」

2018-12-20 20:27:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

紗南よりもさらに身長が高い上に、目は青く、若草色の髪に藤色のマフラーを巻き、深緑の服を着て、ジーンズを履く者が現れ、愁治が「お前は、誰だ?」と聞く。 「アタシはタイムトラベラーって言っても、ただのタイムトラベラーじゃない。法を犯したタイムトラベラーって呼ばれてるけどね」

2018-12-20 20:31:07
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「なんだと?」 地面でくたばりかけている慎呉を指さしながら「コイツが煩いから、ちょっと黙れという意味でちょっかい出しただらコレだもの、本当、モロいったらありゃしない」と言った。 「それで、お前は何が目的だ?」

2018-12-20 20:34:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「なぁーに、ムカシへ来てコレを盗んだって話さ」 その手に握られていたのは、本件における最重要アイテムでもある懐中時計であった。 「それが何か解ってるのか」 「勿論、ただの時計じゃないのは既に調査済みだからこそ、興味本位で時代を少々変えようかなと思ってる訳さ」

2018-12-20 20:37:00
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

違法タイムトラベラーは慎呉に一発蹴りをお見舞いし「それじゃあ、アンタらはこの時代で時が変わるのを黙って見てるんだな!」と言い飛ばし、瞬間的に消えようとした時、愁治はマイコの元を離れ、タイムトラベラーの足首を掴み、時空空間の中へ行った。

2018-12-20 20:39:54
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

時空空間、空気はあるが無に近い場所。 その中に居るのはたったの二人のみ、本物でもあり違法なるタイムトラベラー、多彩能力者という名の仮初タイムトラベル能力を持つ男である。 「あらあら、こんな所まで来るなんて男としてどうなんだよ?」 「黙れ!今すぐそれを返せってんだ!!」

2018-12-20 20:42:22
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「黙れよ!!この野郎!!!」 違法タイムトラベラーは愁治の手をなんとか解き、改めて言った。 「この場所はな、無に近い。予めに行く場所を定めないと、何処へ辿り着くのか解らない場所なんだぜ?」 「そんなの、知ってるぜ。阿呆野郎」

2018-12-20 20:45:23
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ほぅ、ならば、コイツを使ったアタシ興味本位という名の実験は、ムカシから遡ってお前のいる時代にまで影響を受けさせてやろうじゃないか!!」 そういうと、違法タイムトラベラーは愁治の前から瞬時にして、姿を消してしまったのである。

2018-12-20 20:47:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#事務所物語【次回予告的コーナー】 時が変わるが、世界は変わらず。 街は何かを得た、その何かとは『生きる伝説』として残り、人々に伝えられる。 次から話される出来事は、【記憶の死に神】が存在する時代の話である――。

2018-12-20 20:55:28
前へ 1 ・・ 6 7
0
まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。