277機関とは「どの自創作作品」や「どの時代」にも属さず、罪を犯した者に罰や猶予を与えたりする存在【機関者】と呼ばれている者達が所属している場所である。その機関者でもある灰田は、ある日を境に「チームを結成する」と上司たちに宣言し、一人で行動し始め、様々な部署から機関者に声をかけて行動に入り始めた。 ――呪文を発するとそれ相応の力を発揮する杖を使って標的を罰する機関者・河田モコが灰田チームに入るまでのお話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
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伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「抵抗をしなければ、そのまま返してもいいんですがね。しかし、アナタ方は機関者だ。遅かれ早かれ、私はまた捕まる…。ならば、結論は簡単。アナタ方をこの方と同じようになれば、事は穏やかに済む。そう、思いませんか?」

2019-12-15 20:55:33
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――なにが、穏やかに済む、ですって?そんな事、例え他の者たちが許しても、私は…いいや、機関者は許す訳がない…! モコはその手に持っている杖を強く握りながら天に掲げ「ポース・シャドー!!」と唱えると、杖から強い光が放たれてゆく。

2019-12-15 21:01:17
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ネズミや主、そして墨田達たちでさえも眼を伏せたくなる程だったが、その隙を見て、モコは墨田達が居る檻の方へ行き「今、助けるから…!」と言って、檻に向かって呪文を唱えようとするものの、中々にこじ開けられない。 「僕らに構わず、河田さんは他の機関者を呼んできてください!」

2019-12-15 21:04:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「でも…皆の事、ほっとけないよ」 「大丈夫です、僕達は隙を見てココを出て見せますから」 「でも……」 光と同時に現れた影は、隣に吊るされている蘭鋳の人形の紐をほどき、モコの方へと人形を差し出したのを横目に、墨田は「早く!」と大きな声をかける。

2019-12-15 21:08:36
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その声を聞き、モコは目から流れ落ちるモノを上着で拭き、蘭鋳の人形を強く握りしめ、新たに呪文を唱えると、音速の勢いで屋敷を抜け出したのであった。

2019-12-15 21:10:50
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

277機関の正面扉が勢いよく開かれたのと同時に、モコもその勢いから出てきたものだから、辺りに居た他の機関者達も思わず驚いてその方を見てしまうものの、直ぐに自分の持ち場があると思い出し、視線を逸らす。#Rhapsody277

2019-12-16 19:12:11
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「待ってよ!ねぇ、待って!!」 モコは近くに居た機関者へ駆け寄り、目に涙を浮かばせながらに訴える。 「堅物……墨田君やみんなが捕えられて、らんちゅーさんもぬいぐるみにされちゃったの…!!」 「それで、助けが欲しい…という訳ですか?」

2019-12-16 19:16:02
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

うん、と頭を頷かせて言うものの、その機関者の目は冷ややかなものでモコを見ながらに返答する。 「アナタも機関者ならばご存知でしょう、私達が感情を持たぬ者であると」 「それは、わかってるけど…」

2019-12-16 19:19:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「誤解しないで頂きたい、感情が理解出来ない訳ではない。しかし、それがないからこそ、私達は存在し標的と対峙出来る、違いますか?」 相手の言う事は勿論解ってる、私だって、そうだった…。 かつては、ムのように標的を仕留めてきた。 けど、今は違う。

2019-12-16 19:23:18
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「もう、いいよ!」 そう言い捨て、モコは無我夢中で機関内を走るものの、途中で脚がもつれてしまい、その場で転んでしまって泣きそうになるものの、手から離れた人形と化した蘭鋳を見て、なんとか拾おうと思い立ち上がろうとした時だった。

2019-12-16 19:25:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

目の前に人影が現れたのが見え、モコは頭を上げると、そこに居たのは茶と金のツートンヘアーの機関者でもある灰田がしゃがみながら「大丈夫か、モコ?」と言いながらその手を差し出していたのである。

2019-12-16 19:28:44
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

俺がモコと会った時、モコは今にも泣きだしそうな顔をしており、ぐずりだすところを後からやって来た追野が「大丈夫ですか、河田さん」と言いながら宥める頃には、わぁんわぁんとその場で泣き出してしまったのだ。#Rhapsody277

2019-12-17 20:16:38
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その後、俺達は自分の部署へなんとか戻り、中央にあるイスにモコを座らせ、買い置きしておいたティッシュボックスをひと箱渡すと、勢いよくティッシュは引き抜かれいく光景を見ながらに、落ち着いた頃を見計らって俺は改めて聞いた。 「モコ、一体何があったんだ?それに、そのぬいぐるみは…?」

2019-12-17 20:20:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

河田モコからの話を灰田なりに、壱ノ笠のとある屋敷に居る標的へ向かい、仕留めようとしたところ、モコ以外の機関者は全員捕まった挙句、サポート役の蘭鋳はオトリとして墨田達らを庇って標的の罠にかかってしまい、人形の姿に変わってしまった――。#Rhapsody277

2019-12-18 20:12:11
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ということらしい。 「モコ、お前の能力はその杖に言葉をかけると魔法みたいな力を発揮できるんだろ?それで蘭鋳さんを戻す事は出来ないのか?」 泣くのも大分落ち着いてきたモコは、灰田の問いに対し「ダメだった、私がいくら言葉を発してもね、全然、戻らないの…」と返答する。

2019-12-18 20:14:32
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「それに、堅物君たちの檻も壊そうとしたんだけど、それもダメで…」 またぐずりそうになるモコを、隣で座っていた追野が「大丈夫ですよ、河田さん」と言いながら背中をさすっている。 うーん、という低い唸り声を出しながら考える灰田を横目に、渋い橙色のボサ髪機関者こと追跡者がポツリと呟く。

2019-12-18 20:18:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ようは、ソイツをぶっ飛ばせばいい話だろ。それに、ネズミなんだから、大方は穴抜けチーズを与えてやれば、どうにかなるんじゃあねぇのかね?」 その呟き提案に対し、追野は思わずビビるように「ぶっ、ぶっ飛ばすって…」と声に出してしまうものの、灰田は「それも考えられるな」と返す。

2019-12-18 20:21:45
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「でもよ、その屋敷の主人ってのは確か、俺達つか、他の機関者に捕まった事があるんだから、その機関者に弱点等を聞いて攻略法を聞けば早いとは思うけどなァ…」 「なんだよ、そうならそうと早く言えよ灰田ァ?」 モコを横目に、灰田は次の仕事の予定表を改めて確認し、追野に頼みを入れる。

2019-12-18 20:25:49
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「追野、頼みたい事があるんだ」 「は、はぃ!」 「さっきもチラっと話は聞こえてたと思うが…」 「河田さん達が向かった屋敷に居る主についてと、最初に捕まえた機関者について、ですね」 「わりぃな、頼めるか?」 「はい、大丈夫です」

2019-12-18 20:27:37
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追野はすぐさま、部署内の書棚に仕舞われている分厚いファイルを何冊も取り出し、自身の机の上に置いたかと思えば、目ぼしいページを開き「あーでもない、こーでもない」という独り言を呟きつつ、必要な情報を探し始めていた。#Rhapsody277

2019-12-19 18:49:38
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その一方、モコは今一度、蘭鋳の人形をテーブルに置き、手に持っている杖を向けながら言葉を唱えて元に戻る方法を試みるも、全くもって効果は効かず仕舞い。 ――らんちゅーさん……。 また泣きそうになる気持ちを抑え、もう一度言葉を唱えようとした時であった。

2019-12-19 18:54:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ありました!」 大きな声で言う追野は直ぐ様にモコの方へ行き「この方です!ナツカさんという方が、河田さん達の標的をかつて捕えた機関者、だそうです」」と、自身が見つけたページをモコに見せる。 その機関者はまるで、異国の兵士を思わせるような格好をしていたのである。

2019-12-19 19:02:11
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ナツカさん、か…」 追野が調べた結果を報告を聞いていた灰田ではあるが、その名を聞いて頭を掻きながらに呟く。 「会った事、あるんですか?」 「あるにはあるが…、まるで、胡桃バリに堅いんだよなぁ」 「胡桃って、あの胡桃ですか?」 「あくまで俺のイメージだけどな」#Rhapsody277

2019-12-20 15:46:46
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

でも…、と言いつつ灰田は追野がまとめ上げたコピー用紙を眺めながらに言った。 「これで、蘭鋳さんや墨田達を助けられる一歩に近づけたんだから、早速行ってみるかね。ナツカさんの所にさ」 モコは小さな声で「ごめん、なさい…私のせいで、灰田さん達に迷惑かけちゃって…」と頭を下げながらに謝る。

2019-12-20 15:50:35
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田はモコの頭を撫でながらに言った。 「いいんだよ、こういう時は助け合ってこそなんだかさ」 「灰田さん、うん、ありがとう」 「じゃあ、改めまして、ナツカさんの所に行こうか」 「うん!」

2019-12-20 15:52:22
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田・追野・河田モコの三人は、ナツカという機関者が居ると言う部署の扉前に辿り着いていた。 「なんだ、この扉…」 一般的な部署の扉は素っ気ないものに対し、目の前にある扉には装飾が施されており、全体的にも洋風な雰囲気を醸し出している。 #Rhapsody277

2019-12-20 21:39:52
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「派手、ですね」 ――アポは取ってんだから、大丈夫だよな…。 そう思いつつ、灰田がドアベルを鳴らすと、向こうから扉が開かれる。 「灰田殿、久しぶりだな」 写真通りの服装と生真面目さを備えている機関者が現れたのである。

2019-12-20 21:45:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「あぁ、どうも。お疲れ様です、ナツカさん」 「噂話は常々聞いている、なんでも、上の方にとんでもない事を言ったそうだな」 「ご存知でしたか」 「数が多い割には、狭い所だからな。そんな話はあっという間に知れ渡るものだ」 「ですよねぇ~」

2019-12-20 21:48:15
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

互いの挨拶という名の会話を済ませると、ナツカの方から「今日は、私に用があってココに来たのだろう?」と聞かれ「そうなんです、実は前にアナタが捕えた標的についてお聞きしたい事がありまして」と灰田は答える。 「成程、して…どの標的か?」

2019-12-20 21:50:40
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ネズミ頭の標的、か…」 灰田たち三人はナツカの部署へ入り、窓際に置かれているソファへ座るやいなや、灰田は例の件について一通りの話し、その証拠にと追野は調査をまとめた書類を渡すと、ナツカは一通り目を通し顔を上げて言った。 「確かに、その標的は以前、私が捕えた者だ」#Rhapsody277

2019-12-21 18:36:30
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ですが、その標的は墨田達を庇う代わりに、蘭鋳さんこのような姿にしてしまったんです」 人形と化した蘭鋳を両手で大事に抱えるモコを見つつ、ナツカは考え込むような声を出して会話を続ける。 「だが、妙だな…」 「妙、ですか?」

2019-12-21 18:43:45
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「以前、私があの者と相まみえた時には、そういう術を使って対抗をしなかったのだ」 その話に、誰よりも反応を示したのは魔法にもよく似た術を使う機関者、河田モコその者だ。 「それ、本当ですか?」

2019-12-21 18:47:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「最も、あの者と対峙したのはかなり前の事になる故、その後の事は私の知る所ではないが……。少なくとも、そのような術を使っていた覚えがないのは確かなことだ」 「と言う事は、その標的の力ってのは自然派ではなく、突発か人工的かのどちらかになる……と言う可能性も考えられますね」

2019-12-21 18:52:40
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追野の話を耳に入れてから灰田は返事をし、改まった顔をしつつナツカに頼みを申して頭を下げると、追野やモコも続けて頭を下げる姿を見たナツカは「分かった、今回の件、私も同行しよう」と言うと、灰田や追野よりも先にモコが頭を上げて「ありがとうございます!」と大きな声で礼を言ったのである。

2019-12-21 18:57:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「墨田にいちゃん、怖いよぉ…」 「いま、あそこにいたネズミにらんだ!」 「にらみかえしちゃえ!」 「返されちゃうから、やめようってぇ」 「むにゃむにゃはぁ~、チーズ美味しいなぁ~」 「うぇー、よだれたらして寝てるゥ!」 「僕達、どうなっちゃうんだろう…」#Rhapsody277

2019-12-22 19:06:13
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

地上には降りたものの、墨田達は未だ檻の中に捕らわれたままな上に、看守として自分らと大きさがよく似た小生意気なネズミが見張っている始末。 隙を見ては墨田自身の能力を使って檻から脱出しようと試みるも、檻が頑丈な故、脱出はままならないのが現状であった。

2019-12-22 19:09:46
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

『睨んでもムダだぞ、屋敷の主様の術は協力だからな!』 『それに、頭を垂れて「出してください」もムダだぜ。なんせ、俺達はお前らをずーーーっと見張ってんだからな!』 ギャハハ、という笑い声をあげると、二匹のネズミは再び見張りを続けているのであった。

2019-12-22 19:13:37
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

277機関の正面玄関前、灰田たち三人はナツカが来るのを今か今かと待っていた。 「遅い、ですね…」 「準備があるとか言ってたけど、一体どんな準備をして――」 追野と灰田の会話をしている所でナツカが数十人の機関者を引き連れて来た姿を見て、二人は思わず驚いた声を上げてしまう。#Rhapsody277

2019-12-23 20:06:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「待たせてすまない」 モコもその人数に驚きを隠せないような表情を浮かべてしまうものの、灰田はブンブンと頭を振り、改めてナツカに聞いた。 「ナツカさん、その方々は?」 「勿論、援軍だ。ただし、最初からこの数で行ったら怪しまれる可能性がある。故に、この者達は我々の近くで待機させるんだ」

2019-12-23 20:12:05
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「なる、ほど……その方が良いかもしれませんね」 「そうとなれば、話は早い!モコ、墨田達が居る場所まで案内頼むぜ」 「うん、わかった!」

2019-12-23 20:17:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

『にしてもよ~、あの人間はなんで俺らの頭みてぇなのにしちまったんだろうな?』 『なんか、前に誰かの聞いた話だと「元々は人間だったけど、あるモノを飲み始めたら、徐々に姿が変わった」んだとよ』 『あるモノってなんだよ?』 『さぁー、そこまでは知らんなぁ』 『んだよ、なさけね』#Rhapsody277

2019-12-24 20:30:52
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――あるモノを飲んでから? 看守ネズミの何気ない会話を耳に入り、墨田は考えを巡らせた。 ――まさか、例のアレじゃないよな……? 思い当たる所は一つある、けれど、自分達が居る時代はムカシなのだから、出来ている訳がない。

2019-12-24 20:37:10
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

と、機関者の誰もが考える事だろう。だが、同時に例のアレがどの時代から存在しているかは確認も出来ていないのもまた事実。 その事に関しても気になる所だが、今は兎も角、この檻から早く出て標的を捕えなくてはと、7人の小さな機関者の寝る姿を見て、墨田は決意し思う所であった。

2019-12-24 20:39:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

アレの効果が徐々に切れ始めている、その証拠に、私の中にはなかった力の効力が薄まった影響か、一部のネズミ達が逃げだしたとの報告も受けている。 ――だが、それ位で私は怯えたりはしない。#Rhapsody277

2019-12-25 00:03:45
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そう思いつつ、ネズミ頭の主は手にある小さな粒を二つ飲み込むと、低い唸り声をあげてその場に突っ伏して直ぐに荒い呼吸をするものの、次第に落ち着きを取り戻し、改めてその場を立ち上がった頃である。 部屋の棚に置かれている古ぼけたテレビから、外の様子が映し出されのを見て、主はニヤリと笑う。

2019-12-25 00:06:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

先日来た河田モコをはじめとする、黒い集団。その中に見覚えのある者の姿もあり、独り言のように呟いて部屋を出る準備を始めた。 「来たか、胡桃の機関者……。いいだろう、私も本気を出す時が来たようだ」

2019-12-25 00:10:51
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田、追野、河田モコ、そしてナツカが引き連れた複数の機関者達は屋敷の中に入るものの、屋敷の中はあまりにも静か過ぎて、かえって怪しさを募らせてしまう。 モコは背中に背負っている蘭鋳の様子を伺いつつ、前を見て進んでいる。 #Rhapsody277

2019-12-25 20:42:23
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ナツカは何時でも剣を抜けるよう、柄に手を添えながら歩き。灰田も上着に入れているスポンジ製の鎌を取り出せるよう、右手はポケットをなるべく近くにして添えている。 一方の追野は他の者達よりも怯えてしまってはいるが、自分の聴力を何時も以上に発揮しようとしている。

2019-12-25 20:48:38
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

しかし、そんな思いとは裏腹に難なく中央の広間に辿り着いてしまった。 「おいおい、こんなに単純で大丈夫かよ…?」 「油断大敵だぞ、灰田殿。あの者の事だ、その隙をついて我々に攻撃を仕掛ける可能性もありえるのだからな」

2019-12-25 20:51:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その時だ、追野は「西の方角、何かが来ます!」と声を上げた途端、カサカサカカサッという小さな音をたてて見えない何かが通り過ぎて行く。 「い、今のって…」 皆が身構えていると、今度は灰田たちにも聞こえる程の物音がコチラにやって来たのだ。

2019-12-25 20:56:03
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まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。