277機関とは「どの自創作作品」や「どの時代」にも属さず、罪を犯した者に罰や猶予を与えたりする存在【機関者】と呼ばれている者達が所属している場所である。その機関者でもある灰田は、ある日を境に「チームを結成する」と上司たちに宣言し、一人で行動し始め、様々な部署から機関者に声をかけて行動に入り始めた。 ――呪文を発するとそれ相応の力を発揮する杖を使って標的を罰する機関者・河田モコが灰田チームに入るまでのお話を収録。 (※連載当時のまま掲載しているので、誤字脱字があります)
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伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「どうやら、私達は小さき者に囲まれたようだ」 「だとすれば、あの標的はやってくるよ」 自分らが入った時の灯りは、中央広間にある窓から見える月明かりのみだった。 今は、部屋の壁にある蝋燭には火が灯り、徐々に自分達の足元には既にネズミの大群に囲まれている。

2019-12-25 21:00:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追野は既に遠くなりそうな気の持ちようだが、何とか自身の足で踏ん張りつつにじり寄るネズミを追い払い。灰田たちもネズミを追い払ってはいるが、数が圧倒的に多く、自分のスペースを保つのがやっとの始末。

2019-12-25 21:03:30
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「いやはやいやはや、一度はこの屋敷を出たかと思えば、今度はお仲間を連れて来たんですね、モコちゃん」 聞き覚えのある声が広間に響き渡ると、天井にあるシャンデリアの蝋燭の火が灯り出し、部屋が明るなると、階段の踊り場に居たのは屋敷の主、その者である。

2019-12-25 21:07:05
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「久方振りだな、ネズミ頭の主殿」 ナツカの手には既に鞘から抜かれた剣を手に持ち、階段の踊り場に居る館の主に話かける。 「おやおや、私の事を覚えていて下さったのですね。胡桃割の機関者殿、そして、その他諸々の機関者殿まで……随分と賑やかなものだ」#Rhapsody277

2019-12-26 18:45:57
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

目の前に居るのは標的だと分かった途端、右目の星型絆創膏は朽ちて剥がれ落ちてゆき、その手にある鎌も鋭利の刃と変わり、次々とネズミはやられてゆく。 ナツカはその方を見つつも、階段の方をチラリと見た後、追野の方を向き、彼女にだけ聞こえる程の小さな声で伝える。

2019-12-26 19:04:48
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「あの者は私が相手する、皆は河田殿らと墨田殿達を救いに行かれよ」と。 追野その声に反応し、灰田に相槌を打ったころには、自分らの足元に居るネズミは殆ど居なくなり、3人は墨田を探しに行く様子をあえて黙って見ていた主は、一息ついた後に一言申す。

2019-12-26 19:10:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「随分とヒドい事してくれたじゃないか、機関者には心というのはないのかね?」 「生憎だが、私達は感情というものは無いも同然だ」 「おやおや、それは初耳だ」 「だが、理解できない訳ではない。でなければ、こうして私が再びこの地に足を踏み入れなかった事もなかっただろう」

2019-12-26 19:12:08
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

河田モコと灰田たちは墨田達が捕えられている場所を探しに屋敷中を駆け巡るが、その度にネズミが襲うものの、灰田の鎌やモコの魔法でしのぎつつ、進むという過程の中に居る。 「灰田さん、大丈夫?!」 「あぁ、問題ねぇ。…追野、墨田達の声、聞こえるか?」#Rhapsody277

2019-12-27 16:28:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追野は耳を研ぎ澄ませながら、辺りの音を吸収するように音を聞いている。 ――ナツカさんが剣を抜いて戦っている音、ネズミ達の鳴き声、風の音、何かが狂い始めそうな……音?? 様々な音が聞こえる中で、追野の耳から新たな声が入る。

2019-12-27 16:32:55
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

――聞こえる、小さく泣いている声が…。 「灰田さん、この廊下の奥にある扉の向こうに墨田さん達がいます!」 その声を聞いた灰田は、また襲い掛かろうとしたネズミを鎌で振り払いながら「よくやった、追野!」と言ったのである。

2019-12-27 16:34:54
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

遂に、墨田達が捕えられている部屋までたどり着き、扉を開けると人間大のネズミ達が立ちはだかって言ったのだ。 『ココは通さねぇぜ!』 灰田は鎌を構えて向かおうとした所、モコが前へ向かって歩きだすのを見て、追野が言いとめようとしたが、灰田は「待て」とでも言うように手を出した。#Rhapsody277

2019-12-27 20:22:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

モコは杖を差し出して歩く姿を見たネズミ達は『それで俺らに挑むってかぁ?』『ばっかでぇやんのぉ!』とおちょくりながらに言うが、モコは小さな声で杖に向かって言葉を発した途端、杖の先から野菜やら肉やらの食べ物が次々とその場に現れたのだ。

2019-12-27 20:26:14
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

すると、ネズミ達はそれに釣られたのと同時にバクバクと食べ始めた途端『うっ!』と短い声が響くと、ネズミ達はあっという間にその場に倒れてしまったのである。 「ネズミはね、チーズ以外にも好物があるんだよ。知ってた?」 灰田は低い声で「成程ナァ、今度、チェイスにも教えておくわ」と返した。

2019-12-27 20:31:29
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そして、モコは墨田達が捕えられている檻に杖を向けながら「堅物君たち、離れてね」と言うと、墨田達は少し距離を取ったのを目視したのち「フラゴル!」と唱えると、正面の鉄柱数本だけが小さく爆発し、丁度抜けれる程の隙間が出来上がると、小さな機関者達が先に抜け出し、モコの方へ駆け寄ってゆく。

2019-12-27 20:38:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

全員「モコねぇちゃん、すごーい!」といった途端、直ぐに泣き出してしまったが、モコは「みんな、よく頑張ったね」と頭を撫でる。 後から出た墨田は、特に何も言わずにいるものの、信じていましたよ、とでも言いたそうな表情で見ていると、その視線に気づいたモコは改めて言った。

2019-12-27 20:42:00
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「待たせてごめんね」 「待ちくたびれましたよ」 「あとは、らんちゅーさんを元に戻す」 「勿論です、その為にもあの主を捕えるのが、僕達277機関の責務ですから」

2019-12-27 20:43:49
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

鋭い音が広間に二つ響いていた、ネズミ頭の主と機関者のナツカによる剣と剣との闘い。そして、ナツカが引き連れた機関者達も屋敷中に居るネズミ達と対峙しているものの、向こうの方が数が多いのが現状だ。 「以前と対峙よりも、剣の扱いが大人しくなったようですな。胡桃割殿?」 #Rhapsody277

2019-12-28 20:51:00
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そちらこそ、以前よりも異なる気を感じ取れるようだが?」 互いに言い合い終え、一歩二歩と距離を取る。 ――さて、あの者をどう仕留めるか…。何せ、蘭鋳殿をあのような姿にさせたんだ。油断は禁物だな…。

2019-12-28 20:54:16
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

モコや墨田達、そして灰田と追野は捉えられていた部屋を出て行き、ナツカ達が居る中央の広間で向かおうとした時、追野の走る足が止まり、辺りを見渡し始める。 「追野、どうした?」 「子供の声が聞こえます、それも、たくさん…」#Rhapsody277

2019-12-28 22:16:05
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「一体どこから…?」 「私達が居る場所よりも下…、おそらく何処かに地下へ続く道があるハズです」 「探し出せるか、追野」 「善処します」 追野は人間はもとより、他の機関者よりも遥かに聴力が良く、余程の雑音が耳に入らない限り、どんな音でも聞き入れる事が出来るのだ。

2019-12-28 22:23:35
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

床から僅かに聞こえる風の音が耳に入り、追野はその床を指差したのを見た灰田は、僅かな隙間を見つけ、手に持っている鎌で破壊すると、そこに現れたのは地下へと続く階段だったのである。 「この先です、子供の声が聞こえてきます」

2019-12-28 22:29:25
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その時だった、今度はネズミ達の足音が耳に入った頃には、既に自分らの周りに沢山のネズミに包囲されている事に気づかされる。 「おいおい、どぉーするよ?」 「どうするも何も、相手するにもこの数では…。無理がありますよ、灰田さぁん…」

2019-12-28 22:31:30
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

若干泣きそうな声で言う追野だったが、小さな機関者の一人が「よぉーーし、僕達大活躍の巻、だね!」と言い出したのだ。 「おいおい、大丈夫なのか?」と灰田が聞こうとしたが「任せて下さい、この子達の面倒や、ネズミ達の相手は僕が見ますので」と墨田は言い返しつつ自身の持つ羽ペンを持っていた。

2019-12-28 22:34:18
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「そして、子供たちも助け出します。それも、僕達の責務ですから」 小さいとはいえ機関者、河田モコは勿論の事、墨田や小さな機関者達だって各々の力や得意な事があるのだから。 「だったら私も――」 「河田さんは灰田さんと一緒に行ってください」 「でも…」 「ココは、僕らで対処しますから」

2019-12-28 22:38:46
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

ネズミ頭の主はナツカを壁まで追い詰めていた、無論、ナツカ自身も攻撃はしていたものの、彼が思う以上に主の動きは早い上に狙いの正確さも相まっていたのである。 「おやおや、どうしました?機関者であろうお方が、以前よりも弱弱しく 見えるように思えるが?」#Rhapsody277

2019-12-29 20:27:36
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「ナツカさん!」 聞き覚えのある女の子の声が広間から響くと、主は一瞬だけそちらの方へ視線を外した隙を見て、ナツカは自身の持つ剣を主に向けたものの、主はその刃を空いている片手で掴みながら、その方を向いて言ったのだ。 「これ以上は近づかないで頂きたいですな、もし、近づくのであれば…」

2019-12-29 20:32:24
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「胡桃割殿も、モコちゃんの背中に背負われている機関者と同じ道を辿る事になるか、もし、モコちゃんが私の言う事を聞いてくれるのであれば、話は別になりますがね」 罠だ、灰田も追野もそう言おうとしたが、モコは何か決心をしたような表情で聞いたのだ。 「どんな事を私にきかせるつもりなの?」

2019-12-29 20:36:35
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

--流石はモコちゃんだ、私の期待を裏切らない機関者だ。 何処か余裕めいた気があった、けれど、それは同時に相手に隙を見られている事に本人は気づいているだろうか? いいや、そんな事は本人が自覚しない限りは気づかない場合の方が多いのかもしれない。 #Rhapsody277

2019-12-30 19:21:59
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その隙を見抜いた河田モコとナツカはアイコンタクトで互いにネズミの主に逃げる隙を与えぬ剣と魔法の杖を向けていた上に、モコは既に杖に向かって言葉を早口で言い伝えると、既に魔法の発動は合図を告げると、その場は一気に河田モコが作り上げた世界へと早変わり。

2019-12-30 19:31:02
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

そこいるには主のみ、けれど、自分のいる屋敷と景色は変わらないものの、自分以外誰もないこの場所でどうしろと思った矢先だ。 「私達が遊んであげるよ」 聞き覚えのある女の子の声、だが、姿は見えない。 ぞろろぞろ、なんと耳障りな音が聞こえたのと同時に辺りは一瞬だけ暗くなった。

2019-12-30 19:37:28
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

すぐにパッと明かりがついたかと思えば、自分の周りにはネズミ頭を被った子供達がいる中で、モコは微笑みながらも言ったのだ。 「私や、ここにいる皆がアナタの罪を罰してあげるね」

2019-12-30 19:41:19
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

機関者、河田モコらの活躍自体は機関内で一時期話題をかっさらって行ったものの、モコらが捕らえた標的は未だに口を割らず仕舞いで、人形の姿になった蘭鋳は元に戻らずにいるのが現状だ。 #Rhapsody277

2019-12-31 16:37:39
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

頭を悩ませる機関者はほんの一部にしか過ぎず、大半の機関者は何時もと変わらぬように各々の勤めを果たしている。

2019-12-31 16:41:56
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

最も蘭鋳の事を心配している河田モコも墨田達らと仕事をこなし、いつもの様に部署の部屋へ扉を開けた時、見覚えのある大きな背中に橙色の肩につく程の長い髪を結っている者の姿を目にし、モコはその者に聞いた。 「らんちゅう、さん?」

2019-12-31 16:48:49
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

その呼び声に反応して振り向いた顔は、何処か穏やかで何時もと変わらぬ視線。 「よう、久々だな......っていう言い方もヘン、だよな」 頭を搔くうえに照れくさそうに言ってしまう蘭鋳をよそに、モコはすぐに彼の元へ駆け寄ってゆく。

2019-12-31 17:00:07
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「おいおい、モコどうした。そんな顔して」 「だって、だって....。らんちゅーさん、もう元に戻らないんじゃないかってぇ...」 頭を優しく撫でていると、その後に墨田が「河田さんの言う通りですよ。何せ、例の標的が中々に術の解き方を言わないものだから、もう、行き詰まったも同然で」と話す。

2019-12-31 17:09:04
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

「あぁ、その事か。それだったら、アイツらの協力あってこそなんだ」 蘭鋳の後ろでナツカと灰田が立っており、灰田の方は片手を上げて愛想笑いを浮かべている。 「アイツの口を割るのは大変だったけどナツカさんの協力あってこその成果ですぜ」

2019-12-31 17:13:41
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

何を言いいますか、とで言いたそうな顔を浮かべつつもナツカはモコの背に合わせてしゃがみこんで言った。 「たとえ私の力があったとしても、河田殿諦めぬ想いがなければ、蘭鋳殿は元に戻らなかった。......改めて、礼を言わせて頂きたい」

2019-12-31 17:18:27
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

それまでモコの中にあった糸がプツリと切れた途端、わぁんわぁんと泣き出してしまったものの、小さな機関者達が「モコねぇーちゃん泣いてるー」と言われる中で「でもさー、嬉しそうだよね!」「うん、そうだね!」と言い出していた。【Rhapsody277 河田モコ編 完】

2019-12-31 17:54:17
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

#Rhapsody277 次回予告的コーナー 灰田「いやぁー一時はどうなるかと思ったが、なんやかんやって感じだったな?!」 追野「でも、蘭鋳さんも無事で安心しました」 灰田「そういや、今回のゴタゴタでモコに声をかけ忘れてたな...」 追跡者「ククククク......そこは安心しとけよ、灰田ァ」

2019-12-31 17:36:03
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

灰田「さっすがチェイスだぜ!!」 追跡者「あ、でも、あの紙っぽくないような気がしたが...」 追野「あの紙は確か色は黄色でしたけど...」 追跡者「黄色だったのは覚えちゃいるが、あの紙は文字一杯あった気もするなぁ...」 追野「それ、ひょっとするとスーパーのチラシ可能性もある気もしますね...」

2019-12-31 17:44:00
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

追跡者「そういや、やたらめったに数字が一杯書かれてたもしたな...」 灰田「そりゃどう考えてもスーパーのチラシだぞ、チェイス!!」 追跡者「あーりゃりゃ、やっちまったなァ」 灰田「兎も角、今すぐにモコの所に行くぞ!」

2019-12-31 17:46:42
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

..... モコ「ねー、らんちゅーさん。次回はどうなるの?」 蘭鋳「んー、流石の俺でもわからんな」 モコ「だよねぇ」 蘭鋳「まぁ、なるようになるんじゃねぇーのかな」 モコ「そだねー」To be continued…

2019-12-31 17:51:01
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

本日のお絵かき:見た目に気をつけろ、やる時はやる子である。 pic.twitter.com/W45v3IxfbB

2018-10-03 19:48:39
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まとめたひと
伍条 月斗(創作アカ) @5jyouTsukito

基本は自分が考えた創作ッ子達の事を呟いたり、絵を上げたり、お話も書いたりします。偶に違う話等もしておりますが……ようは気まぐれだが基本は創作用アカウントです。(※食べても美味しくない鶏野郎で無言フォローをしたり、時として話すとアツくもなりますがそれでもよろしければです)御用の方はDMまで。