「シチリアスさん!」 三田村が呼んだ時、本人はヘタな笑みをこぼしながら返事をする。 「……ありがとう、三田村くん。前沢くんにも伝えておいて、あの日々はとても楽しかったって、そして、ごめんねって…」 その歩みは後方、自らとシトラギスを連れ窓から飛び降りようとした時である。
2018-02-27 20:49:06「待てよ!!」 その声に反応したのはシチリアス達だけじゃない、その場所に居る者達全員だ。 ちひろはようやく立ち上がり、シチリアスの居る場所へ行く。 「アンタがそこから落ちた後、心配する人が居るんだよ!?そういう事を考えてないの?!」
2018-02-27 20:55:23その威勢に押し黙ってしまうシチリアスだ、「でも…」と返そうとした時、ちひろは「コイツと、アンタは共に罪を償うんでしょ?だったら、そんな事しない方がいいと思うけどな?」という。 その手が緩んだ隙を見逃さないシトラギスは、シチリアスの元から離れ、今度は自らの意思で窓の前に立つ。
2018-02-27 20:59:45「イヤだね、コイツと一緒に罪を償うなら、僕は落ちるだけだよ…」 そのまま落ちていこう、そして、生き延びてやろう――と思い、シトラギスは歩みを止めなかった。 周りの声に聞く気は持たない、そんなの聞いていたらキリがないから。
2018-02-27 21:04:48そして遂に、落ちるなと思った時、瞼を閉ざす。 いくら待っても落ちないな?と思い、瞼を上げると、誰かがボクの手首を握っていた。 この手、誰かの手に似てるかも?――そう思いながら、顔を上げたシトラギスだ。 「なんで?なんで助けるのさ??キミは…」
2018-02-27 21:07:21「なんでだろうなぁ…、私にもわからないけど、アンタはなんか、放っておいたらら凄い面倒臭い事になるな~って思っただけだよ」 ちひろはそう言った、その後に他の者もシトラギスを救い出すために手を伸ばした。
2018-02-27 21:10:55あの少年を助けてしばらくしないうちに、他の大人たちがやって来た。 その殆どが心配する声をかけて来る、私は「大丈夫」だと返すけど、父さんや街長も同じ感じで返すけど、どう見ても二人共大丈夫な訳が無い。 #一人の少女と二つの世界
2018-02-28 19:54:58セルクや三田村さんが「早く病院に」と言い、二人ともようやく運ばれて行く。 あの少年は偉い大人達が何処かへ連れて行かれた、きっと、本人の口から言っていた、機関とやらの所に連れていかれたのだろうか…? 私達も一応、体が大丈夫かどうか診てもらうとの事で、室内を出た直後だった。
2018-02-28 20:00:16「その顔は、全部済んだようね」 セルクの姉さんが明るい声で言う、その隣に居る女性を見た時、私はすぐにかけ寄った。 「かあ、さん?」 「ちひ、ろ…?」 二人とも最初は問いに似た声で互いの姿を見てた、なんせ、私達が会うのは約5年振りだったからさ。
2018-02-28 20:02:06そして、少し時間が経って、二人はようやく互いの姿を見て、こう言った。 「母さん!」 「ちひろ!!」 久し振りだ、こんな感覚。 「ごめんなさい、ちひろ。ずーっと家に帰ってこれなくて…」 私よりも母さんの方が泣いてたかな、私の服は涙で濡れてたけどね。
2018-02-28 20:05:19それに、母さんの抱きしめる力がちょっと強かったのも覚えてるけど、その時は「ん~~~、ちょっと、苦しいかな…」と言ったのを少し反省をしたりしてる。 「あら、ごめんなさい。でも、ちひろに会えた事が、とても嬉しいの。だから…」 「まぁ、そういうのはさ、ちょっと休んでからでいいかな?」
2018-02-28 20:08:55「今さっきまで、なんか、凄い疲れた事した感じで…」 全身の力がフッと抜けるよう感じがした時、誰かが私の事を受け止めた。 「ココで倒れるなよ、ちひろ」 「るっさいわね、短気のセルク!」 「だから、短気は余計だ!」 「なんだ二人共、元気じゃないの」 「若気があって良いと思いますよ」
2018-02-28 20:12:05三田村さんの言葉を聞いた時、私の中でクスっと来て、久々に声を出して笑い始める。 「僕、何か言いましたか?!」 「三田村さんは何も言ってないですよ」 「そうですよ、ちひろが勝手に笑ってるだけですから」 「ごめん、ごめん、なんか、私のツボが変なだけだから。気にし…クスッ」
2018-02-28 20:15:48------------------------ 数秒 数分 数時間 数日 数週間 数か月 数年…… そんなことを数えても仕方がないと思ってた、なんせ、私が一人で過ごしてた時は計っちゃいないんだから。 きっと、後者の方の数が多いんだろうな。一応、私自身にも変化があったから。
2018-02-28 20:21:09でも、今は前者の日々が始まるんだと考えてしまう私が居る。 根拠と聞かれても解らないけど、私としてはそうでありたいなと思ってしまう。
2018-02-28 20:23:19この世界、いいや、この街はなんだか不思議な事が、私には全然分らない事が一杯あるみたいだ。 壱ノ笠【イチノカサ】――私が住む方と風景が似た、もう一つの街。 壱ノ笠【いちのかさ】――私が生まれ、今もなお住み慣れた街。
2018-02-28 20:27:00なんだって、そんな風に分かれてしまったんだろう? そういう事はこれから私は知って行く、いいや、むしろ私の方から知って行きたいなと、思ってしまったのだった。
2018-02-28 20:28:15覚えのある中で私は目を覚ます、眼に入るのは朝日。 ――この部屋、私の部屋…。 そう思った時、部屋の外からいい匂いが漂ってくる。懐かしい感じがする、そう思って私は部屋を出る。 匂いの元からたどり着いた所に母さんが居る、朝食を作ってるんだ。 #一人の少女と二つの世界
2018-02-28 20:28:32「おはよう、ちひろ」 「おはよう、母さん。父さんは?」 「きっとトイレに居るはずよ、多分、新聞でも読んでいるんじゃないかしら」 「それって長居してるってコトじゃない?」 「でも、きっと出て来るわよ」 「どうして?」 「朝食が出来上がるからよ」
2018-02-28 20:30:29あの時と同じ、母さんの予感は的中し、ガサゴソと物音を立てトイレから出てきた父さんである。 「ホントだ…」 「どうした、ちひろ?泣きそうな顔して…?」 そう言われた時、私は涙を拭きつつ「な、なんでもないよ!私入るから!!」と言い返す。
2018-02-28 20:34:59「そ、そうか…」 そのやり取りを見た母さんがクスッと笑う、父さんは「どうかしたか?」と聞く。 「なんでもないですよ、ただ、あの子は私達が居ない間でも、ちゃんと成長したんだって思ったんですよ」 「まぁ…、確かにな」 「でも、私達はもう、離れませんよね」
2018-02-28 20:39:02「勿論、この場所に居る事にしたんだから、それは俺が保証するさ。それに、君の力はもう必要ないからね」 「でも、もし、またあの時のような事が起きたら…?」 「その時が来たら、今度は全力で君も、ちひろも守る」 「ありがとうございます」
2018-02-28 20:41:41本当は、トイレに用はなかったんだけどね。――と思いつつ、父さんと母さんの話を聞いていた私。 きっと、私が居ない時とかの会話だったんだろうなと思う所あっても言わないでおこうかな、二人とも恥ずかしがりそうだから。
2018-02-28 20:44:01ある日の明け方、ヒスイは何時ものように早朝散歩に出る為に外へ出る。 「やれやれ、この季節は寒くてイカンな…」 そんな独り言を呟きながら店の裏口を出た時、足元に何かが落ちていたのを見つけ、拾い上げた。 手紙か…、差出人は書かれてないようだな…。#一人の少女と二つの世界
2018-02-28 21:33:40しかし、何故、ココに置いたんだ? 手紙ならば、郵便ポストに居れればいいものを…。 などと思いつつも、ヒスイは手紙の封を切り、書かれている文章を黙読する。
2018-02-28 21:35:40僕はあの機関を逃げ出した、つまり、自由ってことになる。 アイツらが先に捕まえるか、それとも、僕が何時までも逃げきり抜けるか? そんなの、最初から決まってるよ……は逃げきり抜けるんだもんね!! それじゃあ、街の皆、また会えるといいね!!
2018-02-28 21:38:41黙読終わり、ヒスイは「逃げおったか……」と一人呟きつつ、明け方の空を見る。 空はそんな事も日常だと言うように、朝日を東の空へ出してゆく。 そんな様子を見たヒスイも立つ気を抑え、自分の日課でもある早朝散歩へ行くのだった。
2018-02-28 21:45:02【カゲを信仰する者】 カゲを信仰する者達は「幻影教」という宗教に入っており、文字通り「カゲを神のように崇める」のである。過去の時代に設立されてなお、信仰者は増えている様子で、セルクの両親もまた「幻影教の信者」であることが判明する。 #一人の少女と二つの世界
2018-01-26 20:22:04【カゲを信仰する者】 カゲを信仰する者達は「幻影教」という宗教に入っており、文字通り「カゲを神のように崇める」のである。過去の時代に設立されてなお、信仰者は増えている様子で、セルクの両親もまた「幻影教の信者」であることが判明する。 #一人の少女と二つの世界
2018-01-26 20:22:04#一人の少女と二つの世界 (もとい自創作全体)の舞台は「壱ノ笠(イチノカサ)」と言って、とても大きな街です。 (手記という形で街を説明しています↓↓) 壱ノ笠という街 privatter.net/p/403575 壱ノ地下通路について⇒ privatter.net/p/1023509 壱ノ笠に住む者達⇒ privatter.net/p/2238099
2018-01-06 21:57:11本日のお絵かき: #一人の少女と二つの世界 より、ちひろ pic.twitter.com/M0PwqyndZk
2017-12-03 19:18:17本日のお絵かき: #一人の少女と二つの世界 より、セルクの「先生」改めフローリー pic.twitter.com/Oq9sSDWPMv
2017-12-18 18:27:03本日のお絵かき:#一人の少女と二つの世界 より、セルク pic.twitter.com/Fs6TtrjhF4
2017-12-07 19:18:58本日のお絵かき:静寂暴走 #一人の少女と二つの世界 pic.twitter.com/dA1CxC3nLn
2018-01-29 19:27:44本日のお絵かき:#一人の少女と二つの世界 より、三田村さん…こと、三田村正統さんです pic.twitter.com/GW7G9cGOsn
2018-01-18 19:12:13本日のお絵かき:#一人の少女と二つの世界 より、前沢さん…改め、前沢慎太。 pic.twitter.com/uLnkdnukmz
2018-02-06 20:12:04本日のラクガキ:#一人の少女と二つの世界 より、自ら囚われの身となった者、その名はフランジア。 pic.twitter.com/s0yLuwNfUz
2018-02-03 20:31:29本日のお絵かき:#一人の少女と二つの世界 より、腐り果てた存在 pic.twitter.com/ic9K5snhH7
2018-02-15 21:17:16一人の少女と二つの世界…このお話を考えたのは10年も前の話でした、最初は「自分が気になった本はどんな内容なんだろう…?」という所から始まりました、気なった本は考え始めた当時に購入出来、いざ読んだら想像してた内容よりもはるかに上回る面白さで、今でもその本は私の虜な存在です(続く)
2018-02-28 21:53:03続き:読む前に一度は完結した今作でしたが、読んだ後に改めて原稿用紙に書いた時の事を今でも覚えてたりしてます。しかし、その原稿では完結せず、更に時が経ちました。 ちひろ達のお話は「確かにあるけれど、何時かは完結させないと…」という気持ちが、頭の隅でつかす離れず状態でした(続く)
2018-02-28 21:57:07続き:前回、合作作品を書いてる時に「今の調子で書けたらどうだろうか?」という風に思い立ち、合作作品でもある「カゲの欠片」を書き終えた翌日でもある2017年12月01日から、自分が書いた原稿(第二稿版)を参考にしつつ「今の自創作の設定とかを生かしつつ書こう…!」と思い書き始めました(続く)
2018-02-28 22:02:03続き:当初は「前回よりは早く終わると思うな!」と考えてたのですが、気が付けばすっかり年が明けて2018年02月28日…いやはや状態です(汗) 私自身どんな結末を迎えるか、正直言いますと、直前まで殆ど解りませんでしたが、無事、完結出来ました。(続く)
2018-02-28 22:06:19続き:しかし、今回書き終えたからと言って、ちひろ達のお話は終わった訳ではありません。ただ、以前と違うのは「物事が進んだうえで、ちひろ達のお話という名の日々が続いて行く」という風に思うからです。 この事は、他の自創作ッ子達の作品にも言えることだったりします。(続く)
2018-02-28 22:09:00続き:後日改めて今まで書いてきたお話はモーメントでまとめて公開しようと思います。そして、何時になるかは解りませんが、お話そのものを一つにまとめて、書き足りなかった事等を加筆したり、ある程度の修正を施しつつも、何処かで公開したいなとは思っております。(続く)
2018-02-28 22:14:59続き:最後に…。 雪が本格的に積もり始めた2017年12月01日から、年が明けて日が昇る時間も少し多くなってもなお、積雪がある2018年02月28日の約3ヶ月間…ありがとうございました。Snow Production 2018.02.28 5jyouTsukito
2018-02-28 22:20:04