占領神話の崩壊 西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

吉田外相がこの案件を極秘にしておいてもらいたいと願い出た。ホイットニー准将は、吉田外相、これまでも秘密が守られてきたように、これからも守られるでしょう。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

内密にしておくことは、元帥のためではなく、あなた方にとって好都合であり、あなた方を守るためでもあるのです。では、みなさん、さようなら。あなた方と会合することができて感謝いたします。お返事をお待ちしております、と述べた。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

ホイットニー准将は、立ち上がり帰る際に、白洲氏に帽子と手袋を取ってきてもらいたいと言った。 占領神話の崩壊西鋭夫

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白洲氏は、いつも非常に落ち着いて礼儀正しい人物だが、今回は慌てて玄関の近くにある控室に向かい走り出した。 占領神話の崩壊西鋭夫

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しかし、彼は私たちが会合していた部屋の隣にあ る書斎に帽子と手袋を置いたことをど忘れしており、急いで戻ってきてその書斎へ行き、 帽子と手袋をとって、極度に動転した面持ちでホイットニー准将に手渡した。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

十一時一〇分、ホイットニー准将と共に随行したケーディス、ラウエル、ハッシーは外務大臣官邸を後にした。 チャールズ・L・ケーディス 陸軍大佐 マイロ・E・ラウエル 陸軍中佐 アルフレッド・R・ハッシー 海軍中佐 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

("Record of events on 13 February 1946 when proposed new Constitution for Japan was submitted to the Foreign Minister, Mr. Yoshida, in behalf of the Supreme Commander," Rowell Papers, Box 1-5. ·著者訳) 占領神話の崩壊西鋭夫

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ケーディスとラウエルとハッシーの三名が外務大臣官邸を後にした直後に、この生々しい会談実録を書き残した。勝者と敗者の会談は、勝者の四〇分のひなたぼっこを挟んで、七〇分間で閉会。 占領神話の崩壊西鋭夫

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日本の無条件降伏という惨状と反論も許してもらえない屈辱に満ちた日本国の無残な姿が目の前に蘇ってくる。 占領神話の崩壊西鋭夫

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4 戦争放棄は「第八条」 一九四六(昭和二十一)年二月十三日(水曜日)に、ホイットニー准将から吉田茂外相に手渡されたGHQ憲法草案で注目すべきは「戦争放棄」の条文だ。 GHQ草案では、「戦争放棄」をいかに規定したのか。英文と和文(著者訳)を見てみる。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/yBPOEy1vfG

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フーヴァー・トレジャーズ 【文書三】 第二章 戦争放棄 War as a sovereign right of the nation is abolished. The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation. No army, navy, air force, or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the State. ("Constitution of Japan," Rowell Papers, Box 1-6.) 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

「国家の 主権による戦争は廃止する。他国との紛争解決の手段として、武力による威嚇な いし行使は永久に放棄する。」 「陸海空軍ないしその他の潜在的な戦力の保持を未来永劫に認めない。交戦権が国家に与えられることもない。」 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

GHQ憲法草案の第九条をみても、戦争放棄はない。一九四六年二月十三日のGHQ草案で 「戦争放棄」を高らかに謳ったのは、第八条だった。第八条が「平和憲法」では第九条となる。 占領神話の崩壊西鋭夫

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それでも、マッカーサーは「憲法九条」の発案者は自分でないと、二度釈明している。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/GdPRXm2RRz

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第一回目。 朝鮮戦争の戦略をめぐり、マッカーサーがトルーマン大統領に解任された三週間後、一九五一(昭和二十六)年五月五日、ワシントンの米国議会の外交・軍事公聴会で、第九条は「幣原首相が新憲法の中に書き入れた」と断言した。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

第二回目は、彼の『回顧録』の 中で込み入った釈明を書く。 (幣原首相は)一九四六年一月二十四日正午、私の司令部に来て、ペニシリンについて礼を言った。私は彼がどこか当惑げで、躊躇しているのに気付いたので、言いたいことがあるなら率直に話すように勧めた。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

すると、彼は新憲法が最終決定する時には、いわゆる戦争放棄条項を含めるよう要求した。同時に彼はいかなる軍事機構も禁止するよう提案した」(西『國破れてマッカーサー』) 占領神話の崩壊西鋭夫

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この一月二十四日に行われたマッカーサーと幣原との会見から八日後の二月一日、「松本草案」が「毎日新聞」にスクープされて、すぐさま英訳され、マッカーサーに提出された。 占領神話の崩壊西鋭夫

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幣原が「新憲法」として心に抱いたのは「松本草案」である。松本草案の他には政府案はない。幣原は松本草案に賛同していた。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

幣原が「新憲法が最終決定する時には」と言ったと、マッカーサーがわざわざ「回顧録』の中で特記したことで、自分が隠そうとしていた真実を無意識にさらけ出してしまっている。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

幣原やマッカーサーがこの遅い段階まで(松本草案が出てくる八日前まで)、最も重大かつ理想的な条項(戦争放棄)を書き加えることを保留する理由もない。 占領神話の崩壊西鋭夫

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さらに探求してみると、次のことがわかる。 (1) マッカーサーは、松本委員会の進行について何も知らなかった、と主張しているが、彼はジェームズ・F・バーンズ国務長官に〜 占領神話の崩壊西鋭夫

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〜 一九四五年十月から一九四六年三月にかけ、極秘電報で「私は大臣たちに民主主義の原則について教育するため、彼らと幾度も個人的に会った」と述べている。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

(二)東京のGHQに配属されていた国務省高官のアチソン顧問は、既に一九四六年一月七日 (「毎日新聞」にスクープされる二十四日前)、マッカーサーに日本政府の松本草案が天皇大権を帝国憲法に規定されたままにしておくつもりですと警告している。 占領神話の崩壊西鋭夫

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マッカーサーにとって、"この項目だけでも松本草案を拒絶する十分な理由だった(註・日本人スパイがアチソンに報告したのだ)。 占領神話の崩壊西鋭夫

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(三)幣原が戦争放棄を自発的に提案したとすれば、「松本草案」のことしか頭にない。検討されていたのは同草案だけであり、幣原は自分が指名した松本博士と緊密な協議を続けていたからだ。 占領神話の崩壊西鋭夫

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5 マッカーサーの独壇場 二月一日に提出された「松本草案」は、「陸海軍」の代わりに「軍隊」という言葉を含んで いた。さらに、天皇は宣戦と条約締結権を持っており、緊急事態以外は国会の同意を必要とすることになっていた。どの国でも、「緊急事態」の下で戦争を行うものだ。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/VbitE4TUMY

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この草案を一目見たマッカーサーは憤怒し、ホイットニーに日本が憲法上、戦争できぬだけでなく自衛さえもできぬようにせよ、と命じた。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

マッカーサーがホイットニーに書かせた草案では、「国権の発動たる戦争は放棄する」となった。二月三日のマッカーサー直筆のノートにもそう書いてある。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

一九四六年三月七日(日本政府内で極秘にされていた「マッカーサー草案」と酷似した「内閣案」が公表された日)、幣原首相は、AP記者に「GHQと内閣との審議中、日本側は戦争放棄条項に何の反対も表明しなかった」と語る。日本側が提案したのなら、「GHQ側は反対しなかった。」と言う。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

吉田茂は、「それを提案したのはマッカーサー元帥であり･･････それに対し幣原男爵は熱意をもってそれに応じたという印象をもっている」と自分の回顧録に書いた。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

吉田は、五通作成された「GHQ草案」の一通を手渡され、その中の「第八条」に戦争放棄の記述を読んでいたのに、後年、すでに亡くなっていた幣原首相に責任を擦り付ける。GHQ草案の「第八条・戦争 放棄」を日本人で初めて目にしたのは、吉田茂。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

現代の私たちは、「第九条」の平和幻想に囚われ、イデオロギー論争をしている。私たちは九条の艦から抜け出すことができない。日本国民にプライドの鼓動が脈打っているのならば、 GHQ史料に基づいた正確な考察をするときである。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

3 松本烝治の挫折 原子爆弾二発で勝ったと驕る者から惨敗した賊軍への命令には、容赦も情けも美学もない。白州次郎は、ホイットニー准将からの手紙で打ちのめされた。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/agJCuNmUxU

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それから六日後、再び、両者が 顔を合わせる。このときの主役は、白洲ではない。白洲に出番なぞない。日本側の主役は、松本烝治。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

一九四六年二月二十二日(金曜日)、松本烝治・吉田茂・白洲次郎は、ホイットニー准将らと会談。アメリカ側の出席者は、ケーディス、ハッシー、ラウエル、エラマン嬢である。この 詳細な記録も「ラウエル文書」に残されている。 フーヴァー・トレジャーズ 【文書十】 占領神話の崩壊西鋭夫

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会談記録 会談日時:一九四六年二月二十二日(金曜日) 米国側出席者: ホイットニー准将 ケーディス陸軍大佐 ハッシー海軍中佐 ラウエル陸軍中佐 エラマン嬢(秘書・書記) 日本側出席者:松本烝治 吉田茂 白洲次郎 占領神話の崩壊西鋭夫

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憲法承認の手続き 松本博士: 私たちは「GHQ草案」の基本理念は受け入れておりますが、運用可能な草案なのかと、疑問を持っております。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

ホイットニー准将:運用可能なものにするために、私たちは協力を惜しみません。私たちは、新憲法で基本原則と手続きを一体化して運用するつもりです。法的手続きに関して、GHQは日本政府と検討したいと思っております。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

あなた方が持っている実践的な知恵に敬意を抱いておりますし、私たちよりも日本の実情にあった文書を起草できると信じています。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

昨日、マッカーサー元帥が幣原首相に説明されたように、憲法の基本原則と形の変更は絶対に譲れないのです。松本博士にお伺いしたいのは、憲法を実際に運用するために いかに取り組むおつもりかです。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

松本博士:初めに申し上げたいことがあります。私たちは「GHQ草案」の基本原則に反対ではありません。しかし、少し質問させてください。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

「大日本帝国憲法」(註・明治憲法)を存続させつつ、GHQ案の基本原則を明治憲法の 中に書き込んで憲法改正をするのか。それとも、ゼロから新しい憲法案を起草するのかです。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

ホイットニー准将:私たちは、その問題を熟慮しました。明治憲法を下敷きにして修正を試みましたが、不可能だったのです。新憲法は、間もなく世界にお披露目され、大きな関心を惹くべき文書だということを肝に銘じておいてください。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

真新しい憲法を作ることで、これからの日本の姿をはっきり示すことができるのです。新憲法に込められた精神に反する現存の法律や官庁からの命令は、全て無効になります。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

松本博士: 明治憲法には承認規定があります。(松本博士は、承認の意味を憲法改正手続きか、 あるいは批准を指しているのか、明確に発言しなかった。) 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

ハッシー海軍中佐:松本博士は、「GHQ草案」の承認手続きについて取り上げているのですか。明治憲法の改正手続きですか。それとも、新憲法を作るという意味ですか。天皇が新憲法(註・GHQ草案)を国会に提示し、国会が可決すれば、容易いことです。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

ケーディス陸軍大佐: 明治憲法の改正手続きという観点から見て、新憲法を受け入れる際 にどこに問題があるのですか。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

松本博士:明治憲法では、天皇の勅令により議案を帝国議会に付します。GHQ案には、天皇の発議権がないので、改正草案の提出は不可能なのです。 占領神話の崩壊西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

新憲法案は「われわれ日本国民は」という文言から始まっておりますので、ここで天皇主権と矛盾が生じます。 さらに、新憲法案は国会の出席議員の三分の二の賛成で承認されると定めております。 占領神話の崩壊西鋭