占領神話の崩壊 西鋭夫

遠田大亮 @DaisukeEnta

近年、占領時代に活躍した日本人たちは「国を守った」として「神話」が創作されているが、 スタンフォード大学フーヴァー研究所には占領前後に関する第一次史料がうず高く積まれてい る。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/P7gXDKW1YC

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フーヴァー研究所が秘蔵する数十万枚以上からなる膨大な文書は、「フーヴァー・トレジ ャーズ」 (Hoover Treasures) と呼ばれる。いわくつきの史料だ。 占領神話の崩壊西鋭夫

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占領下日本、フーヴァー研究所は灰燼くすぶる日本に「東京オフィス」を設立し、貴重な文献 や史料を蒐集した。 占領神話の崩壊西鋭夫

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東京都千代田区神田駿河台一丁目(現在の「日本雑誌会館」)に事務所を構えた東京オフィスは、敗戦国の日本人が喉から手が出るほど欲しい食糧や酒やタバコ、世界一強いドルの札束と引き換えに「日本の宝」を掻き集めた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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目先の利いた東京オフィスが蒐集した一級品の史料は、横浜からスタンフォードへと輸送された。 占領神話の崩壊西鋭夫

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東京オフィスが集めた史料は、日本近代史の宝の山だ。 「GHQ直筆・日本国憲法の原文」「東京裁判の宣誓供述書」「関東軍特務機関の阿片政策」「共産党員の獄中手記」「特高警察の極秘史料」が手つかずのまま山積みにされていた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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この宝の山は、半世紀を超えて生き残り、 フ ーヴァー研究所アーカイブズで厳重に保管されてきた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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西鋭夫がこの埋もれた歴史を掘り起こすも、史料が膨大にあったことから岡崎匡史をフーヴァー研究所に招聘。紙が劣化して薄茶色になり、判読することすら難しくなっている史料の解読が日夜進められた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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「占領神話の崩壊』は、フーヴァートレジャーズに残されている極秘史料を紐解き、日本近代史の争点である「日本国憲法」「東京裁判」「共産党と特高警察」の表と裏を徹底的に掘り下げ、目を覆いたくなるような真実を追求し、歴史の改竄を炙り出す。 占領神話の崩壊西鋭夫

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昭和二〇年の敗戦から日本が弱くなったと言われてきたが、敗戦で日本国民が弱くなったのではなく、原因は米占領中に「日本」を米国へ売った輩が政府内に、官僚村に大勢おり、米国追随の、無防備の生き様を「平和主義」と教育したからだ。 占領神話の崩壊西鋭夫

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東京裁判中、日本がアヘン・モルヒネ・ヘロイン・コカインの製造量で世界一番で、ナチス・ドイツまでもが潜水艦で麻薬を買いに来ていた事実が暴露された。 占領神話の崩壊西鋭夫

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麻薬製造に我先に手を出したのは、日本の製薬会社。 中国大陸でアヘン販売権をめぐって大喧嘩をしていたのは、三菱商事と三井物産。 外務省が仲裁役を買って出る。 占領神話の崩壊西鋭夫

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日本国民が大切にしなければならないのは「神話」 ではなく、「真実」だ。 国の歩みは、美しいことばかりではなく恥ずかしく後悔する路も通ったが、歴史の真実が国民の誇りの芯となり遺伝子となる。 占領神話の崩壊西鋭夫

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「史実」が我らの鎧であり、日本を護る楯だ。 歴史は国の大黒柱なので、歴史を粗雑に扱うと、国が倒れる。 占領神話の崩壊西鋭夫

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ⅠGHQ直筆憲法 1 マッカーサー三原則 七〇分間で戦後日本の運命が決まった。 一九四六 (昭和二十一年二月十三日 (水曜日) 午前10時から十一時一〇分。 外務大臣吉田茂 (一八七八〜一九六七年)が忘れようとしても忘れられないあの朝。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/pIUd76eZtn

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米空軍の無差別焼夷弾が東京を黒い廃墟にしていた時、焼失をまぬがれた 六本木の「原田積善会」の建物を外務大臣官邸兼自宅にしていた吉田茂は、マッカーサー元帥の右腕コートニホイットニー准将 (Courtney Whitney 一八九七〜一九六九年)を出迎えた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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原田積善会は一九二〇 (大正九)年に実業家の原田二郎(一八四九〜一九三〇年)が社会福祉 のために私財で設立。 現在も慈善活動を続けている。旧地に「日本国憲法草案審議の地」と小さな記念碑が建っている。 占領神話の崩壊西鋭夫

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ホイットニーは「元帥は松本憲法草案を嫌悪しておられるので、今日、我らGHQが作成し模範的な憲法草案を持って来ました。 このGHQ草案に基づいて、即急に日本版を作成して下さい。もし、あなたたちが改正案を速やかに提出しなければ、元帥は天皇を守りきれなくなります」と脅す。 占領神話の崩壊西鋭夫

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マッカーサー 元帥(一八八〇〜一九六四年)は、厚木に上陸早々、総理大臣の幣原喜重郎(一八七二〜一九五一年)に「新憲法草案を提出せよ」と命令。 占領神話の崩壊西鋭夫

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幣原は、商法学が専門の国務 大臣・松本烝治博士(一八七七~一九五四年)に草案の作成を 依頼する。 松本委員会は必死に草案を書く。 占領神話の崩壊西鋭夫

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「松本草案」は、マッカーサー元帥に提出されるほぼ前日の一九四六年二月一日 (金曜日)に「毎日新聞」にスクープされた。 GHQで「松本草案」は瞬時に英訳され、元帥に手渡される。 元帥、激怒。何がマッカーサーをかくも怒らせたのか。 占領神話の崩壊西鋭夫

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松本草案:「天皇至尊ニシテ侵スへカラス」 明治憲法「天皇ハ神聖ニシテ侵スへカラス」 この言葉の曲芸がマッカーサーの逆鱗に触れた。 マッカーサーの失望の言葉を引用すれば「松本草案」の息の根を即座に止めた理由が分かる。 占領神話の崩壊西鋭夫

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「天皇大権には手を触れていない」 「陸海軍が「軍隊」という単語に変わっただけだ」 「松本草案は国民の少ない権利をさらに減らし、義務を増やしただけである。 絶対保障は全くない･･････憲法をこの国の最高法とする規定がない。この欠陥は致命的である」 占領神話の崩壊西鋭夫

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「建物の内部構造を変えないで、玄関だけを新築する彼らの技術は見事である」 占領神話の崩壊西鋭夫

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「辛抱強く指導してやったのに、このザマか」と失望したのか、それとも不透明な日本のやり方で裏切られたと思ったのか、日本側に自分が気にいる憲法が書けないと確信したマッカーサ は、第一子分の民政局長ホイットニー准将に自分の直筆のノートを手渡し、速やかに憲法草案を書けと命じた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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I 「天皇は国家の元首の地位にある」 「皇位の継承は世襲による」 II 「天皇の義務と権能は、憲法に従って行使され、憲法に示された国民の意思に応じたものでなければならない」 占領神話の崩壊西鋭夫

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II 「天皇の義務と権能は、憲法に従って行使され、憲法に示された国民の意思に応じたものでなければならない」 占領神話の崩壊西鋭夫

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「国家の権利としての戦争行為は放棄する。日本は、(国際)紛争解決、および自衛のためでさえも、その手段としての戦争を放棄する。国の安全保障のためには現在世界に生まれつつある高い理念、理想に頼る」 占領神話の崩壊西鋭夫

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「陸、海、空軍は決して認められない。またいかなる交戦権も与えられない」 占領神話の崩壊西鋭夫

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Ⅲ 「日本の封建制は廃止される」 「皇族以外の爵位は現存のものに限る」 「今日以後、貴族特権は政府もしくは民間機関においてなんらの権力も持たない」 占領神話の崩壊西鋭夫

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「国家予算はイギリスの制度を見習う」 (西現夫「破れてマッカーサー」 中央公論社、一九九八年) 占領神話の崩壊西鋭夫

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民政局は、「マッカーサー・ノート」を忠実に反映させた憲法草案をほぼ一週間で書き上げ、一九四六(昭和二十二)年二月十日、マッカーサーに提出。マッカーサーの修正と承認を得て、二月十三日、ホイットニーは「GHQ草案」を吉田茂と松本と白洲次郎に手渡す。 占領神話の崩壊西鋭夫

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2 ラウエル文書解禁 「マッカーサー・ノート」を土台にして書かれたGHQ原本オリジナルは、五通だけしか作成 されていない。 五通が手渡された人名を列挙する。 一通目と二通目 マッカーサー(元帥) 三通目ホイットニー (准将) 四通目日本政府 五通目ラウエル(陸軍中将) 占領神話の崩壊西鋭夫

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繰り返すが、オリジナルは五通しか作成されていない。世界に五通しかない。問題は、四通目の「日本政府」。誰の手に渡ったのか。 ラウェルは説明書きを残している。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/5I2cJ4c64q

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一九四六年二月十三日早朝、外務大臣官邸に向かう前、 ホイットニー准将はラウエルを執務室に呼び寄せた。五部作成されたGHQ草案の一部をラウ エルに手渡しながら、一通目と二通目はマッカーサー元帥、三通目がホイットニー、四通目が 吉田茂外相、五通目がラウエルのものだと、説明をうけた 。 占領神話の崩壊西鋭夫

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("Memo by Milo E. Rowell," June 16, 1975, Milo E. Rowell Papers, Box 1-6, Hoover Institution Archives, Stanford University・フーヴァー・トレジャーズ 【文書一】) 占領神話の崩壊西鋭夫

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ラウエルによる五名の走り書きは、松本烝治、吉田茂、白洲次郎らとの会議の後に書かれたものではない。会議がはじまる前、ホイットニーの執務室で書かれた可能性が強い。 占領神話の崩壊西鋭夫

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つまり、 四通日の「日本政府」とは「吉田茂」であり、二月十二日に完成した「GHQ草案」は、吉田茂に渡されていたと見るべきだ。 占領神話の崩壊西鋭夫

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吉田茂は、GHQから超特別扱いにされていた。この占領期の早い段階から、GHQは吉田を将来の総理大臣として育て、 米国の傀儡政権を創立する計画を立てていたのだろう。 占領神話の崩壊西鋭夫

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前日の十二日、GHQ(ホイットニー准将)からオリジナルの一通を秘密裏に手渡されていた吉田茂は、一九四六年二月十三日に松本烝治や白洲次郎と共にGHQ草案を貰う。 占領神話の崩壊西鋭夫

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その時に吉田は複写(六通目)を受け取る。吉田は二通を受け取ることになる。吉田茂は、松本烝治にも白洲次郎にも幣原喜重郎にも、GHQ草案のオリジナルを持っていることを言わない。 占領神話の崩壊西鋭夫

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一生、 極秘にしたままだ。そのGHQ草案オリジナルはフーヴァー研究所で極秘扱いにされ、二〇一一(平成二十三)年二月八日に極秘解除となり、公開された。 占領神話の崩壊西鋭夫

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3 GHQ憲法が手渡された瞬間 一九四六年二月十三日(水曜日)午前一〇時、六本木の原田積善会で敗戦日本の運命を決めた瞬間の実録を、我々は丁寧に読む。 占領神話の崩壊西鋭夫 pic.twitter.com/JBedGomUaf

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マッカーサーの第一子分ホイットニーが吉田茂と松本烝治へ、天皇の命を奪う戦犯裁判の可能性をチラつかせながら、GHQ草案を受け入れるように迫った。左記は、その会議実録。ホイットニー准将の部下三名が記録した。 フーヴァー・トレジャーズ【文書二】 占領神話の崩壊西鋭夫

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実録 ホイットニー准将が最高司令官の名代として吉田茂外相にマッカーサー草案を手交 一九四六年二月十三日 ホイットニー准将は、午前一〇時に外務大臣官邸に到着した。准将に随伴したのは部下三名・チャールズ・L・ケーディス、マイロ・E・ラウエル、アルフレッド・R・ハッシー。 占領神話の崩壊西鋭夫

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吉田茂外務大臣の側近をしていた白洲次郎が私たちを邸内に招き入れ、ガラス張りの明るい快適な部屋に案内した。そこには、吉田茂外務大臣、国務大臣で憲法問題調査委員会 委員長の松本烝治、外務省から通訳の長谷川元吉がいた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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彼らは立ち上がり私たちを迎え入れた。屋内のテーブルには、すでにホイットニー准将に提出された「松本草案」と思われる紙やノートが散らかっていた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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ホイットニー准将は、朝陽を背にして坐った。日本側は我々に対面するように着席したので、彼らの顔は陽光に照らされ、表情がよく読めた。ケーディス、ラウエル、ハッシー の三名もホイットニー准将の隣に座り、日本側と向きあった。 占領神話の崩壊西鋭夫

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席につくとすぐ、ホイット ニー准将は「松本草案」について一語一語念を押すようにゆっくりと「松本草案」の死刑宣告を述べ始めた。 占領神話の崩壊西鋭夫

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先日、あなた方が提出した憲法案(注・松本案)は、自由と民主主義の文書として最高司令官が受け入れることは絶対にできません。 占領神話の崩壊西鋭夫