[外見至上主義と美容資本と男性学とポストフェミ論] 外見ファシズムが産み出す従属的周縁的男性に対するヘゲモニック男女の重層的な結託構造。 The new Miss Universe Netherlands made history as she became the first-ever transgender woman to win the national title. pageantcircle.com/2023/07/final-…
2023-07-12 17:47:45オランダで8日に開かれた「ミス・オランダ2023」で、トランスジェンダーの女性が大会史上初めて優勝した。女性は優勝を機に「社会に変化をもたらしたい」と話している。 youtu.be/PCn6BOFM_UI
2023-07-12 17:47:45次はエルサルバドルで開かれるミス・ユニバース世界大会に出場する。世界大会にトランスジェンダーの女性が出場するのは18年のミス・スペインに次いで2人目。 主催者側はコレさんについて「ショーで輝きを放った」「明確な使命のある強いストーリーを持っていた」と述べた。twitter.com/EndWokeness/st…
2023-07-12 17:47:46Miss Netherlands 2023 Winner (male) vs the runner-up (female): pic.twitter.com/HMkg40j890
2023-07-09 22:04:42コレさんも声明を出し「ミス・オランダとして、全ての女性やクィア(自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人)の代弁者であり、模範でありたい」「今日、私は以前よりも強くなりました」などと語った。(岩田恵実)〈了〉🧵asahi.com/articles/ASR7C…
2023-07-12 17:47:47(ルッキズム補考) 『現代思想』2021.vol. 49-13 ①「女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス」高橋幸, pp.178-89 経済文化社会資本を持たない女性ほど、外見的魅力という性的資本を用いた階級上昇を試みる。 ➁「男性身体とルッキズム」北村匡平, pp.117-26 twitter.com/chokusenhikaem…
2023-07-12 17:47:47【定期】⤴️📖 『フェミニズムの政治学~ケアの倫理をグローバル社会へ』岡野八代著, みすず書房, 2012.1.16 『現代思想 ( 特集・ルッキズムを考える ) 』青土社, 2021年11月号, vol.49-13 『現代思想 ( フェミニズムの現在 ) 』青土社, 2020年3月号, vol.48-4 pic.twitter.com/LL1Ja9xPmx
2023-04-13 16:57:25①「女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス」高橋幸, pp.178-89 20世紀後半のフェミニズムがミス・コンテストに異議申し立てをしたのは、女性が外見的魅力によって評価されることの不当性についてであった。 90年代のアメリカでは、女性自身がいかに深刻に美の基準に取り憑かれて
2023-07-12 18:14:12いるかが論点になった。 ナオミ・ウォルフは「女は家庭にいるものというフェミニン・ミスティーク(女らしさの神話)から女性が自分を解放するにつれ、それに代わって美のイデオロギーが失地回復を図ってきた」 外見に対する評価的コミュニケーションこそが権力の介入ポイントになっており、
2023-07-12 18:19:56女性の外見への言及による制裁やおとしめ、女性の分断こそが女性抑圧をもたらしていると、ウォルフは指摘した(第3波フェミニズム)。 2010年代中盤からの第4波フェミニズムでは、女性の外見に対してどのような解釈が与えられるのかをめぐるポリティクス(文化政治)をめぐるムーブメントがある。
2023-07-12 18:27:05代表例は、セルフィ文化の中に起こった「ボディ・ポジティブ」ムーブメントである。 ボディ・シェイミング(shaming)を止め、社会のステレオタイプを覆していくことが目指されている。 ボディ・ポジティブは、第一義には女性自身が囚われていた画一的な美の規範からの解放を目指す。
2023-07-12 18:32:54それを通して、メイル・ゲイズをはじめとする他人からの女性身体への意味づけ〈とくに女性本人が望まないような解釈〉に抵抗するムーブメントと言える。 しかしながら、セルフィに見られるような「自己監視」は、ネオリベラリズム権力の1装置であるとするポストフェミニズム論も盛り上がっている。
2023-07-12 18:38:58セルフィが持つ問題とは何か。女性が自分の身体や顔を積極的に見せていくことの何が問題とされているのか。 2010年代、『セックス・ロールズ』誌上で論争が起こった。少女が自らを性的存在として捉えそのようにふるまう「少女のセルフ・セクシュアリゼーション」は少女のエンパワーメントなのか、
2023-07-12 18:43:54それとも新しい形態の女性抑圧なのか? これまで「少女のセクシュアリゼーション」と言えば、少女を被害者・弱者とみなす議論が多かった。 『APAタスクフォース』に対する性的エンパワーメント陣営の批判に対し、シャロン・ラムが反論した。
2023-07-12 18:50:59「エンパワーメントは選択という概念との結合からなっているが、選択は、選択できているという感覚を少女たちに持たせることから成り立っており、実際には少女たちはまったく選択できていない。少女向けに高度に市場化されたセクシュアリティを真似することは、少女たちが自分たちでそう論じているほど
2023-07-12 18:56:02主体的だとは言えない」 ラムの主張の背景には、過度に女性の性的魅力や性的主体性を強調する「文化のポルノ化」で表象されるセクシュアリティは「男性」(標準化されたヘテロセクシズムの男性)に都合の良いものであり、少女たちがそれを真似ることは男性支配的な社会を再生産することにつながる
2023-07-12 19:01:10という考え方がある。ラムは、アリエル・レヴィの低俗文化論や、ロザリンド・ギルの広告における女性表象分析を引用する。女性の性的主体性を強調する文化状況が新たな女性抑圧をもたらしているという議論はポストフェミニズム論の定番でもある。(参照 : マクロビー『新たな性契約』、
2023-07-12 19:09:52ウォルター『ハイパー・セクシャライズド・カルチャー』) ギルらは、「セルフィ修正アプリは、ネオリベラルなポストフェミニズムの規律訓育的自己投企を含むもの」で、特定の「美」へ近づける「文化的なフィルター」をかけるものだというが、それを成り立たせている社会的関係構造を明らかにすべきだ
2023-07-12 19:15:54外見的・性的魅力を「見せる」セルフィ文化が抱え持つ問題とは。 少女たちのセクシーな自己呈示を抑制したり、少女ピア集団内での相互規制をもたらしているのは中流階級アイデンティティである。(Naezer, 2018) 彼女たちが、「よく考えている/考えていない」「賢い/愚か」という言葉を使いながら
2023-07-12 19:22:27なされる「私たち/彼女たち」のアイデンティティの線引きは階級の線と重なっている。 経済的資本・文化的資本・社会的資本を持たない低い階級の女性ほど、外見的魅力というエロティック・キャピタル(性的資本)を用いた階級上昇を試みる傾向がある。
2023-07-12 19:26:51性的魅力を誇示するといったセクシーな自己提示をするのは「低い階級」のハビトゥスであるという了解に基づいて、中流階級アイデンティティを持つ少女たちはセクシーな自己提示を避ける傾向があるというメカニズムがある。
2023-07-12 19:30:19中流階級の中にも見られるセクシーな自己提示の行動について、ネイザーは、その頻度の違いをもたらす要因として、ピア集団における「人気(popularity)」の度合いの違いを挙げる。 ピア集団内における人気の序列の高低によって、セクシーな自己提示がどの程度ピア集団に受け入れられるのかは異なる。
2023-07-12 19:35:50ある少女ピア集団内で、人気があまり高くない少女がとても短いスカートを履いて授業にやってくると、制裁的な行動が他のメンバーに起こった。一方、人気のある別の少女がさらに短いスカートを履いてきても、他の少女たちから否定的なコメントは見られなかった。
2023-07-12 19:44:23人気の高い少女はよりセクシーにふるまうスペースを得ている。(Naeser, 2018) 人気という社会的地位は、日々の行動を通して循環的に強化され、それによる地位の固定化が起こる。 人気の高い少女がセクシーに振る舞うのは、彼女の主体的な自己表現として好意的に受け止められtwitter.com/taeri_ka/statu…
2023-07-12 19:50:25さらに人気が高まる。 逆に、もともと人気の高くない少女が、セクシーな自己提示という「目立つ」ふるまいをすることは、そうでない少女よりも批判されやすい状況にあり、それによってさらなる人気の低下がもたらされやすい。 ネイザーは、人気序列の高低によって少女たちのセクシーな自己提示が
2023-07-12 19:55:08促進/抑圧されるという社会構造のあり方を指摘した。 セルフィ投稿が既存の外見的魅力の尺度に則った人気獲得を目指すものである限り、それは外見的魅力の序列やそれに基づく人気序列を強化するよう機能している。 少女たちの意味世界を踏まえることで見えてくるセルフィ文化の問題とは、
2023-07-12 20:00:19「身体的・性的魅力」や「人気」という社会的地位の序列化が強化され固定化されていく点にある。 これに対して、セルフィ文化の中から生じつつもルッキズム批判の視点を持つボディ・ポジティブは、既存の画一的な外見的・性的魅力の考え方を批判し、多様な魅力のあり方をtwitter.com/kai_66443322/s…
2023-07-12 20:10:44具体的に提示する運動として発展してきた。これは、外見的・性的魅力による序列化というセルフィ文化が形成する社会構造を、まさにセルフィ実践を通して内部から解体していく可能性を持っている。 ボディ・ポジティブ・ムーブメントが批判しているのは、、一元的な尺度に基づいた外見的・性的魅力の
2023-07-12 20:14:56序列化である。現在のルッキズム批判が訴える「不当性」の中心にあるのは、このような序列という社会構造である。 魅力や人気という「社会的地位」の差異に付随して起こってくる社会的抑圧が現在のルッキズム批判で訴えられている。 少女たちのセクシーな自己提示は、異性にアピールするためや
2023-07-12 20:19:56自分のためだけでなく、同性ピア集団での序列を上げるためや、自分のピア集団内での序列を確証するためになされている可能性が見えてくる。 20世紀後半の運動を駆動してきたのは、ジェンダー非対称性に対する「不当感」だった。女性の外見だけが評価のまなざしにさらされてtwitter.com/ruka_jams/stat…
2023-07-12 20:42:08おり、その力学によって「女らしさ」規範が維持され、女性差別がなくならないことが問題視されてきた。 それに対して、ルッキズムというフレーミングで論じられるようになった21世紀の運動を駆動しているのは、外見的魅力による人間の序列化への「不当感」である。
2023-07-12 20:46:18いまだ外見をめぐるジェンダー非対称性があるという現実を踏まえつつ、中心的論点は女性の外見に対してどのような解釈が与えられるのかに移行しており、魅力による序列を撹乱していく実践が大きなムーブメントをなしている。
2023-07-12 21:01:47①で外見的・性的魅力の序列構造に関わる社会的権力について述べた。 小林盾『美容資本~なぜ人は見た目に投資するのか』勁草書房, 2020.3.8. に、キャバ嬢へのインタビューがある。 「見た目がよくないと中身を知ろうと思えない。そこまでたどり着かない。人のパッケージって見た目だからw」
2023-07-12 21:15:48➁「男性身体とルッキズム」北村匡平, pp.117-26 京マチ子が主演した『いとはん物語』で、三姉妹の長女・お嘉津の容姿を侮蔑する、決して美男とはいえない男たちの醜悪さは不問に付される。彼女たちは一方的に見られるだけの客体化された存在であり、男たちはカメラと同一化した「見る主体」である。
2023-07-12 21:30:21男は女の眼差しを受ける客体化された存在ではない。 男性の窃視症的な眼差しによって女性身体は、性的対象として見世物化されているとローラ・マルヴィはハリウッド映画に潜むジェンダーの非対称性を看破した。
2023-07-12 21:36:32女優をメーキャップによって「醜女化」することが孕む暴力性は、自分たちの解釈可能な他者の外見を都合よく捏造するイエローフェイス/ブラックフェイスが内包する暴力の構造とさして変わらない。映画史はルッキズムの歴史でもある。 pic.twitter.com/uPN5flBb8S
2023-07-12 21:53:552008年『ハンサム★スーツ』には、「ブサイクな健常者」と「ハンサムな障害者」のどちらが「マシ」かを比較する醜悪で危うい台詞のやりとりがある。 また主人公が恋する北川景子は美人であるがゆえに、まったく内面を見てもらえないという悩みを抱えている。youtu.be/VTBSYtxqiI4
2023-07-13 03:29:08外見が美しいことで、傷つけられたり、不当に扱われたりする人間も間違いなく現実社会に存在しているだろう。 男性からの視線のみならず、女性は同性からも「見られる」存在として客体化され、その圧力の中で日々過ごしている。 #りゅうちぇる twitter.com/RYUZi33WORLD92…
2023-07-13 04:15:37前川直哉は、80年代後半あたりから「男性」が〈見られる側〉に回ることを自覚し、〈男らしさ〉からの逸脱を気にすることなく、服装や髪形・スキンケアに時間を掛けられるようになっていったと論じている。前川もまた90年代が「芸能界や日常の生活世界においても〈見られる男性、見る女性〉という構図が
2023-07-13 04:17:50普及・定着する時期」としていることからも、90年代に「男性の客体化」が一気に促進し、2000年代に「イケメン」言説を通じて、男性身体とルッキズムの問題が無意識のうちに社会に根付いたと考えられる。 2005年に『人は見た目が9割』(竹内一郎)がベストセラーになり、男女問わず若者を中心として
2023-07-13 04:26:58スマートフォンによって身体がメディア化され、セルフィも普及し、「いかに見られるか」をかなり意識するようになったのが2000年代の決定的な特徴である。 星野太は「顔がひとつの宿命であるという時代から、そもそも最初から操作可能性を織り込んだものとして自分の顔を把握する時代へと移行」して
2023-07-13 04:31:57いるとした。 花王「エッセンシャル」のCMで「カワイイは作れる」というtaglineが話題になったのが2006年。 外見のケアは自己責任であり、それをしない者は怠惰であるという風潮が強まっていく。ここには自己の努力だけではなく、経済的な問題も大いに関係している。
2023-07-13 04:42:58金銭的に余裕があり、美容に時間と労力を使う者(使える者)が優位になる社会。 石井政之・石田かおり『「見た目」依存の時代~「美」という抑圧が階層化社会に拍車を掛ける』では、「「見た目」の違いが他者より優位に立つための手段として顕在化した時代」になったとし、
2023-07-13 04:48:53日本社会に「外見ファシズム」が根付くことの危機感を表明した。 見た目第一という意識は、中高年男性にまで広がっている。 男性は「見る性」であり「選ぶ性」で、女性は「見られる性」、「選ばれる性」だった時代から、性による暗黙の権力関係図式が崩れつつあることが、メトロセクシャルの
2023-07-13 04:54:56「もてたい願望」の公言という現象の背景にある。 「メトロセクシャル」とは、メトロポリタンとヘテロセクシャルの合成語で、都市部に住んで女性的な文化嗜好を身に付け、洗練されたルックスやファッション、ライフスタイルを望み、そこに使う時間と金を惜しまない美意識を持った男性を指す。
2023-07-13 05:02:18[ちな自分はレトロセクシャル。すね毛をケツまで剃り上げているのは、走る人としてのエチケットだからw] 『ハンサム★スーツ』公開と同年(2008年)に、秋葉原通り魔事件が起こった。加藤智大は書き込んだ。 「顔が全て/俺の顔の方が気持ち悪いですかそうですか」
2023-07-13 05:12:23男性主体は歴史的に、ほとんど自身の身体に再帰的な眼差しを注いでこなかった。「見る主体」としての特権を占有してきたからだ。支配的で優位な立場にいられたからこそ、自身の身体イメージを意識したり悩んだりする必要がなかった。 2020年、『男は見た目が9割』(堀江義明)が刊行された。
2023-07-13 05:17:35「見た目」は個人でケアすべきもので、手をかけられる時代にもかかわらず、NGな人はそれを怠っている。「見た目」NGな人は自分の責任というわけだ。 小林盾『美容資本~なぜ人は見た目に投資するのか』(勁草書房)は、「美しさ」を資本と捉え、そこに投資される時間や労力を「美容資本」と呼ぶ。
2023-07-13 05:24:16「美容に投資することで、容姿が向上して年収、人生の幸福度(ウェルビーイング)や恋愛経験数が向上するか」という命題に対して、仮説を立ててアンケートやインタビューから、これらが正しいことを証明しようとする。 ①容姿が良いと年収が147.6万円上がる ➁人生の幸福度が10点満点で0.9点高い
2023-07-13 05:31:01③容姿が良いと恋愛経験人数が1.5倍多い ④告白される人数が2倍になる ⑤学歴が上がると容姿レベルが上がる 一方、以下のことには影響を与えない。 ⑥毎日行う美容にかける時間が長くなっても、容姿に優位な影響を与えない ⑦容姿レベルと雇用形態には相関がない
2023-07-13 05:34:29⑧容姿レベルは結婚回数や子供の数に影響を与えない 現実に男性優位な権力関係が根深い日本では、男性が抱え込んだ「見られる」ことの内面化による苦しさは可視化されにくい。 男性性研究の泰斗であるレイウィン・コンネルは、ジェンダーロールを単純に二元論で区分することを避け、
2023-07-13 05:40:20男性性を複数形(masculinities)で捉えている。女性性/男性性のジェンダーの対立だけではなく、男性間の差異や権力の不平等が階層的に構築されることに注意を促した。 グラムシの「ヘゲモニー」論を男性学研究に導入して、支配的な立場の「ヘゲモニックな男性性」(Hegemonic masculinity)と
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