伝承に見られる三好実休の最期について

簑輪諒@『化かしもの』発売中 @genkyo_kyogen

「歴史群像」2月号（1月6日発売号）、本日発売です！ 連載コラム、「日本100名城と武将たち」第36回、 ＜勝瑞城×重臣・三好実休　天下人たる兄を支えた、阿波の数寄者武将＞載ってます！ pic.twitter.com/WjntONIZ85

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近年、「戦国最初の天下人」として再評価が進む三好長慶ですが、彼を支え続けた弟・実休もまた、もっと世間に知られてもいい人物ではないかと思います。 大久保ヤマト先生のイラストでは、武人らしい風格と文化人らしい知性を感じさせる、とても頼もしい姿になっております。ぜひ本誌でご確認を！

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小ネタ：伝承に見られる三好実休の最期について 伝承①「根来衆の往来左京に討ち取られる」 実休ヲハ根来衆ニ往来左京ト云モノ突落シ首トリテ指上タリ（『足利季世記』） dl.ndl.go.jp/pid/1920348/1/… 根来衆の往来左京（根来左京）に突き落とされて（槍で？）首を取られた、とのこと。 twitter.com/genkyo_kyogen/…

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『武辺咄聞書』には、「実休が討たれる間際、往来左京を愛刀の"実休光忠"で斬ろうとしたが、左京の鎧の脛当てに当たってしまい、切っ先が少し欠けてしまった」との逸話が伝わります。 dl.ndl.go.jp/pid/897848/1/68

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『蜷川家記』にも「三好豊前入道実休打死、根来寺往来右（左？）京首執之」とあり、 dl.ndl.go.jp/pid/9575736/1/… 雑賀衆の佐武伊賀守も『佐武伊賀働書』という覚書で、往来左京のことを、実体の首を取った人物だと証言しています。 dl.ndl.go.jp/pid/1225341/1/…

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×実体 〇実休 元の史料（『佐武伊賀働書』）内だと「三善（好）実体（休）」って書いてあるので、引っ張られて間違えちゃった。 twitter.com/genkyo_kyogen/…

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伝承②「流れ矢が胸に刺さる」 何処より来る共知らず、流矢一つ来て、実休の胸板に篦深に立つ（『三好記』） dl.ndl.go.jp/pid/3006025/1/… ※篦深（のぶか）…矢が深く突き刺さるさま。篦（の）＝矢柄（やがら）、矢の棒部分のこと。

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伝承③「鉄炮に当たって死ぬ」 實休當于鐵炮死去（『長享年後畿内兵乱記』） dl.ndl.go.jp/pid/1920348/1/… 射殺説のある戦国武将はそう多くないからか、創作物や一般書籍でけっこう引用される逸話ですね。

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伝承④「雑賀孫市に討たれる」 孫市子細にや及ぶとて山を下り立、真一文字に實休旗本に押懸り、忽ち實休を槍玉に上げて討取たり（『常山紀談』） dl.ndl.go.jp/pid/1078984/1/… 伝承③と合わせて、雑賀孫市の箔付けに引用されがちな逸話。ただし、この逸話では鉄炮ではなく槍で討ち取られています。

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伝承⑤「重傷を負い、愛刀の"実休光忠（三雲光忠）"で自害した」 實休重手ヲ負、久米川ノハタニテ自殺ノ時、数年秘蔵ノ茶酌（杓）アサジト云ヲ押折、三雲光忠ノ刀ニテ自殺ス（『武家事紀』） dl.ndl.go.jp/pid/946584/1/3…

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色々と伝承を紹介しましたが、佐武伊賀守の証言などからも、首を上げたのは往来左京と考えてよいのではないかと思います。 ただ、首を獲られるまでの過程については、想像の余地がありそうです。

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ところで往来左京の往来ってなんて読むんでしょうね……。 雑賀衆関係の本では「往来（ゆきき）」と紹介されていたけれど、本当に……？