（コラムで使った）吉田好寛逸話出典集

簑輪諒@『化かしもの』発売中 @genkyo_kyogen

「歴史群像」12月号（11月5日発売号）、本日発売です。 連載コラム、「日本100名城と武将たち」第29回、 「福井城×重臣・吉田好寛　"妙なる心がけ"ありし、越前の智将」載ってます。 一般的には知名度の低い人物ですが、実は多くの逸話をもつ、越前松平家の名臣です。 rekigun.net/magazine/index… pic.twitter.com/pk0l6bx3Es

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元は豊臣秀次の側近であった吉田好寛。主君の自害後は、徳川家康の次男・結城（松平）秀康に一万四千石で招かれ、福井城総構えの縄張りを担当したと伝わります。 それから十四年後、「大坂の陣」が勃発。この戦役で、好寛は主家のために、ある行動を起こすことになるのですが……詳しくは本誌で！

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なんとなく、ちょっといつもと違う試みとして、コラム本文で採用した、吉田好寛（修理亮、久左衛門）の逸話の出典を、twitterで公開してみようかなと思います。 需要は果たしてあるのか、ないのか……！？ twitter.com/genkyo_kyogen/…

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・用意のいい好寛① 方々縄張のありしに、間竿なくて不叶ことありて取りに行きけるが、修理はしり出でて、家来にもたせたる間縄を持来りて、則ち用所をたせり（『士談』）

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・用意のいい好寛② 越前へ秀忠公の姫君御輿の入るに、修理御迎のために路次まで出でたるに、俄に雨のふり出でてければ、傘二三百本出して、供奉の面々を雨にぬらさざりしと也（『士談』）

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※コラム本文では、時系列が前後して混乱することを避けるためにボカしていますが、二つとも越前松平家時代のエピソードです。前者は北ノ庄城普請、後者は勝姫入輿の際のもの。

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・陣中の鶏 吉田久左衛門鶏をもとめて陣屋に飼置たり、 家康公ある夜鶏の声を聞召れ、これは多分吉田久左衛門が鶏を飼をきたる物そとて、たつねさせ給ひしに、久左衛門にてありけり、時をしるへきとの心懸奇特也とて、御感有しなり、

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総て此久左衛門は妙なる心かけありし人也、後には関白殿につかへ、そののちは三河守殿へ参り、大坂陣の時は、吉田修理といひし也（『備前老人物語』） ※サブタイトルの「妙（たえ）なる心がけありし」は、ここから来ています。 『備前老人～』だと、秀次以前は徳川家臣だったという認識のようですね

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・「小牧長久手の戦い」における、秀次軍壊滅時の好寛 八千餘騎の勢、討殲されしもの皆赤裸にはかれ、四方へにけちりける、吉田久左衛門はかり馬物具指物をもすてず、首一つ取て楽田へ帰りけり（『備前老人物語』）

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※どちらかといえば官僚肌な好寛の、意外な戦場エピソード。味方総崩れの中で全く取り乱さないのは、かなり肝が据わっていますね。 『武家事紀』には、「吉田修理亮ハ、指物ヲ巻テヲトサス引トル、コトニ首一ツ討取」と、退却にあたって（旗）指物を巻いたことが記されています。落ち着いてますね

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・秀次に挙兵を勧める好寛 吉田修理此時申けるは謀叛真実におはしまさば人数一万我に付られ候へ、今夜伏見に討して只一時に城を乗破るべしといひけれども聞入ざりしとなり（『常山紀談』）

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※『太閤記』にも同じエピソードがあるのですが、こちらは、「弁明した上で宥免が叶わなかったときは、私に一万の兵をお預け下さい。先駆けを務めて戦い、忠勤を示します」といったような内容で、即座に挙兵を勧める『常山紀談』とはかなりニュアンスが違います。

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史料の成立年代的にも、『太閤記』の記述を採用した方が無難かとも思いましたが、コラムの字数の関係と、あくまで読み物ということで、筋書きが単純な『常山紀談』の方をベースにしました。

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・好寛の出奔 吉田修理ハ欠落行方ツヰニ知不申候（『伊達日記』） ・北ノ庄（福井）城改修 御本丸二之丸者　家康公御縄張。惣御郭者、吉田修理亮源好寛。奉行者清水丹後守孝正　諸大名御手伝（『国事叢記』）

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※伊達成実が好寛出奔（欠け落ち）について記録していることに、なんだかテンションが上がってしまうのは自分だけでしょうか。 北ノ庄城（福井城）の縄張り担当者は諸説ありますが、コラムでは好寛が総構え（総郭）担当との伝承を採用しました。

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好寛と大坂夏の陣についての出典は、主に『越叟夜話』です。 引用するには長すぎるので、「福井市史　資料編4」をご参照下さい（国会図書館デジタルアーカイブのデジタル化資料送信サービスで見られます）。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

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・溺死の真意 好寛全過て非溺死。忠直卿態と御軍法御背被遊様に御諫言申上　君之御難を、好寛一人が身請死す。伊豆守富正と申合けるとなり。（『国事叢記』） ※逸話は以上です。 コラム本文を読んでから、改めてご確認頂けるとより面白いんじゃないかと思うので、ぜひご一読を！

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また、余談ですが好寛の出自について。 『明良洪範続編』『関原軍記大成』は、彼を「尾張岩塚城主・吉田守氏の子」としていて、福井藩の『国事叢記』もこれを採用しているのですが、個人的には色んな意味で無理があると思っていて……この話は長くなるので、あとで改めてnoteとかに書くと思います

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note書きました。 「吉田好寛（修理亮）を、尾張岩塚城主・吉田守氏の子とするのは誤った俗説だと思うよ」 「そもそも好寛って何歳なの？」 というような話です。 吉田好寛の出自について+a｜簑輪諒 @genkyo_kyogen #note note.com/genkyo_kyogen/…