イエスはゲイであると言うことだってできる。辱められている人々がいれば、その人達の名でイエスを呼ぶことができるのだ。私の生徒の一人だったジャクリン・グラントは『イエスは黒人女性だ』と言ったが、彼女は正しい。イエスとは、傷つけられ軽蔑された人々と神の連帯を表現する1つの方法なのだから
2020-11-24 19:51:08神学とはいつもセカンドステップなのだ。貧しき者たちの共同体が正義を求めて闘っている時、それに対する応答として神学は立ち現れる」。 授業は終わりに近づいていた。「苦しみは私たちを分裂させることもできる」と私は言った。「しかし同時に、私たちを一つにすることもできるのだ。
2020-11-24 19:55:56苦しみは人々をつなげる橋となりうると、ボールドウィンは何度も語った。キング・ジュニアはこう言っている。『すべての命は互いに関連している。…どのようなことであれ、一つが直接的な影響を受ければ、それに伴いすべてが間接的な影響を受けるのだ。
2020-11-24 20:03:50📌あなたがあるべきあなたになるまで、私はあるべき私にはなれず、私があるべき私になるまでは、あなたはあるべきあなたににはなれない。現実は相互依存的な構造をしている。どこかの不正義は、あらゆる場所の正義に対する脅威なのだ』」。
2020-11-24 20:04:36授業が終わる前に、私は授業を中断させた学生にもう一度語りかけた。「ゲイの経験について、私がもっと深く理解できるよう助けてくれるつもりがあるなら、文献リストを作って、君や他の学生がこの授業でしたいことを教えてくれないだろうか。人生に意味を見出そうとしている学生の話を聞く準備はいつも
2020-11-24 20:08:28できているからね」。他の学生が帰ると、彼は私のところに来て、自分の声を見つけるように励まされたと感謝してくれた。彼は文献リストを作る用意があると言い、後日、私たちは数時間に渡ってその学期の授業のことを語り合った。今日に至るまで彼は私の良き友人だ。
2020-11-24 20:12:04彼はゲイの経験とエコ・ジャスティスについての論文で博士号を取得し、現在はLGBTQコミュニティの卓越した代弁者として働いている。 (p.173) ユニオンでは、学生が授業を中断させることが珍しくない。彼らが怒りを感じている瞬間は、何か大切なことを教える機会となる。
2020-11-24 20:16:04(p.174) 普遍的な神学など存在しないのだ。人間は皆特定の場に生きる有限な存在であって、私たちの神理解はその経験から生み出されるのである。ある経験がそっくりそのまま普遍性を持つことはありえない。もし私たちが自らの神についての言説を究極的な現実と勘違いしてしまうなら、
2020-11-24 20:20:46それは固有の経験のイデオロギー化に他ならないのだ。📌いかなる神学者であっても、それが過去の人であれ現在の人であれ、あなたに代わって神学をしてくれる者などいない。 (p.175) 自身がなり得る最良の自分へと近づくために、私たちは学び合う。愛はいつも「互恵的」であり、相手の存在なくしては
2020-11-24 20:25:02見えないことを互いに教え合う。もっとも、そのようにして見えて来た自分は、目を背けたくなるような姿をしていることが多い。だからこそ「愛が戦い」になる。 (p.179) 1836年に創設されて以来、私が着任する1969年まで、ユニオン神学校はその博士課程に一人の黒人も入学させたことがなかった。
2020-11-24 20:30:35もっともそれを気に留める白人の教員はいないようだった。白人の同僚になぜ黒人を一人も博士課程に合格させたことがないのかと聞くと、私の予想通り彼らは、合格にふさわしい人物を見つけることができなかった、と応えた。
2020-11-24 20:33:51(p.180) それ以来ユニオン神学校は、神学の学科、教育についての理解を大幅に修正し、黒人解放の神学や女性神学、フェミニスト神学など解放の神学の発祥地として広く国際的に認知されるようになった。 神学以外の分野も徐々に研究対象を黒人や他のマイノリティのグループへと広げつつあるが、
2020-11-24 20:38:24学生を数多く集めるには至っていない。📌その理由は、それらの分野がその学科の仕組みや教育法を変えていないからだ。そのような中にあっては、黒人はこう言われているに等しい。「試験に合格できるほど優秀なら私たちが教えることを学んでくれてもいいが、黒人の経験の中から生まれた新しい問いは
2020-11-24 20:41:53無視しなさい」。 (p.182) アメリカにおける黒人の非力は人種と階級どちらに起因するかということを、コーネル・ウェストと私は議論した。ウェストは階級の重要性を強調した。「階級的地位は人種的身分よりも、アメリカにおける基本的な無力さの形態の原因となっている」と彼は『予言のおとずれ』の
2020-11-24 20:47:14中で書いている。 黒人女性からの批判は、男性からの批判よりもずっと鋭いものだった。中でも特に鋭く、また真実だったのはドロレス・ウィリアムズからの批判だ。ウィリアムズは、白人のフェミニスト神学の理論的枠組も、黒人(男性)神学の解放という主題も、アフリカ系アメリカ人女性の経験を十分に
2020-11-24 20:51:22汲み取れていないと主張する。「モーセとイスラエルの民のエジプトからの解放は、カナン人の虐殺を招いたではないか。それはアメリカにおけるネイティブ・アメリカンに起こったことと何が違うのか」。当時も今も、私は答えを持たない。聖書は倫理的、宗教的な矛盾で溢れている。
2020-11-24 20:56:02聖書の無謬性や直解主義を容認することができないのは、そのためである。そこでは創造的な未来が閉ざされているのだ。途方に暮れる私は、自分の宗教的な主張を過信せずにすむ。信仰には疑いが必要なのだ。 ウィリアムズは、十字架に救いなどない、「血の力」などないと主張する。神学者や説教者は、
2020-11-24 21:02:52イエスの受難を賛美することをやめなければならない。それは悪以外の何ものでもないと、ウィリアムズは論じる。 (p.187) その後、第三世界のフェミニスト研究者たちがその声に加わった。十字架は、家庭内暴力に晒されるアジアの女性たちを十字架上のイエスのように受動的にし、その苦しみを助長して
2020-11-24 21:07:31いるというフェミニスト宗教学者の主張から目を背けることはできない。 神学者として私が経験した何よりの幸せは、批判を受けたことである。批判を受け入れるのは辛いことであるが、それは必要な授業なのだと考えればいい。
2020-11-24 21:12:00批判者がいたからこそ、私はより深く、より明晰に思考することができ、また自分に甘えずに済んだ。批判者を与えてくださったことを神に感謝しなければいけない。沈黙は思考と想像力を殺す。
2020-11-24 21:13:39