管崎嘉平の冒険

伍条 月斗（創作ｱｶ） @5jyouTsukito

「そうなの！？やったぁ～」 「道具を片付けるから、後で暎子さんと一緒に遊びましょうね」 「うん！」 そう言って、ウタカと呼ばれた少女は部屋を後にした。 笑みから無の表情に戻り、再びこの男をどうするかを思案する。

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いいや、思案する程でもないみたいだ。 【カゲ】様達が徐々に男の事を喰って蝕み影の中に連れてゆく姿を見て、金髪碧眼の浮世絵師ことマリー・ブロンドは「さようなら、双手双眼のカゲ法師。カヘイ・カンザキ」と呟いたのだった。

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大映黒の背後からもう一つの存在を感じ、睨みつける嘉平。 「そちらにお見受けするのは双手双眼のカゲ法師殿、ですね？」 夜の闇から現れるは一人の女性であった、どうやら、この者も【カゲ】に喰われてかけているらしい。 「お前、コイツに何したんだ」#菅崎嘉平の冒険

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「兄さんに、ですか…」 どうやら、この女は大映黒が先程言っていた妹の暎子らしい。 「っつーても、お前らのやる事なんて知れてるから聞くまででもないけどな」 「兄はまだ【カゲ】様にお喰われになられて時間が浅いですから、貴方でも救える筈です」 「お前はいいのかよ？」 「私はいいのです」

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「兄思いな妹が居るとは、羨ましい限りだ。でもよ、俺は片方を救う余裕があるならば、お前も、そしてあの女も救ってやりたいもんだけどな」 「そんな事、出来る訳が無い」 「今更言わせるな、俺を誰だと思ってんだ。双手双眼だぞ」

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その両目は既に緋色を越えて、夕陽が如くに燃える。 それと同時に両手もヒトの形でありながらも、何処か怪物じみた存在になっている事に気づかないのは、この場所が月光の明かりしかないからだろう。

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またしても暗闇の中に放り出されたような感覚に居るらしい、先程までは地に着いていたが、今は無の中に居るような感覚があるなと思った時である。 『ニンゲンだ、ニンゲンだ。ただのニンゲンじゃない、お前はカゲ法師。それも、両手両目が二つも備えるカゲ法師』#菅崎嘉平の冒険

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この声は散々と聞き覚えがある野郎共だ、嘉平は「出てこい、さっきはお前らに負けちまったが、今度こそ滅する。それが、俺の役目だからな！」と大声で叫ぶ。 『大口叩きやがった、さすがソウシュソウガン』 『ならば、コイツをもとに戻せるか？』 「なに？」

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自身の体が急降下で落ちて行くような感覚になり、その勢いで尻餅をついたような態勢になる。 「いってーな、バカ野郎。もっと丁重にだな…」 どうやら、自分の眼には今の光景が見える状況のようだが、辺りを見ても空には月光が照らす明かりのみで、如何にも【カゲ】達が好みそうな光景である。

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【カゲ】の気配はあるが、この時間帯は隠れやすい場所が多すぎて、滅そうにも闇雲に突っ込むようなものである。 ――さて、どうしたものかな？ 菅崎嘉平は考えようとした時である、遠くから「菅崎さん！」と聞き覚えのある声と見覚えのある者の姿が見えたのだ。

伍条 月斗（創作ｱｶ） @5jyouTsukito

「大映黒、お前無事だったか」 「はい、なんとか…」 ――妙だ、コイツからアイツらの反応を感じるのだが…。 「お前、俺と離れ離れになった時に何かあっただろ」 「そう、ですね…。妹の暎子には会いましたけど、まさかこのような場所で会うとは思いませんでした」 「それ以外は何か無かったか？」

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「それ以外ですか…、確か、暎子からこんな話を聞いたんです。【カゲ】様と共に過ごし、永らえた人物の名を…」 「なんだと？」 「その人の名は、う――た―――が――――――」 言葉が途切れ途切れかけた時である、大映黒が真黒くなりヴァッと大口を開け、カゲ法師を襲おうとしたのだ。

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嘉平はとっさの事にどういう事だと驚く暇もなく、素早く距離を離し、真黒く硬質な手へと変えたのだ。 ――おいおい、そんなの聞いてないぞ。コイツが【カゲ】にってよ！

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何かを失いかけている、そう思った事に気づいたのは視界にある緋色の両目がこちらを見ていたからだろう。 自我の思いとは裏腹に緋色の眼に勢いよく向かうが、相手は静かに立ったままでいる。#菅崎嘉平の冒険

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――菅崎さん、そこに居たら危険です！ そう思った時だ、双手双眼のカゲ法師は杖を素早く出し、刀で一閃を貫くが如く大映黒の腹に目掛け突いたのだ。 うめき声を短く発した後、その場に膝をついた大映黒を喰いかけていた【カゲ】が離れたのだ。

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「妹さんが言ってたぜ、お前はまだ喰いかけだと。ならば、直接しない方が賢明だろうと思っただけの事だ」 影の中に逃げようとしたのは見逃さない、最後は自らの両手で【カゲ】を滅したのである。

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「大丈夫か、大映黒」 「えぇ…、ちょっとアレは痛かったですけどね」 「それはスマンな、後でちゃんと正しく謝るぜ」 「今はそれどころじゃない、ですもんね」 「その通りだ」

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二人の周りに【カゲ】達が居る、これを一人で滅するか？ ――面白いじゃねぇか。 そう思いつつニヤリとする表情を見た暎子は「兄さんは正気に戻ったけど、私は無理よ」と呟くが、嘉平は「二度も言わせるな、俺はアンタも、あの女も救ってやると言ったはずだぜ」と返す。

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嘉平と大映黒は背中合わせな状況、辺りには【カゲ】の大群が存在している中で「いいか、大映黒。俺が参と言った時に走れ」と言う。 ただでさえ、菅崎さんの早さにもついて行けなかった者に走れと言うなんて――と思うものの、大映黒は「わ、わかりました…」と自信無さげに返事をする。 #菅崎嘉平の冒険

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上からその様子を見ている者が居る、傍には小さな女の子も居る。 「そろそろですか…」 ――双手双眼はこの大群に勝つことが出来るかしら…？ その顔を見た子は「おじさん達は大丈夫だよ」と話しかける。 「どうしてそう思ったの？」

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「だって、あのおじさん達……特にどっちも紅い目とどっちの手も黒かったがおじさんは強いから」 ここへ来る途中、ウタコが双手双眼と暎子の兄でもある大映黒に助けてもらったという話を聞いたマリーは、少々複雑な気持ちが混ざっている状況でこの場所に居るのだ。

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――あの人達は、私の娘でもあるウタコの恩人である。 そう思った時、マリーの足元にある影がヒトとして現れる。 『迷ったな、いま？』 「迷ってなんか、いません」 「あっ、カゲのおじさんだー」 『よぉー嬢ちゃん、久々だな～』

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【カゲ】は頭を撫でる仕草をする、ウタコは「おじさん～」と照れたような声を出す。それ自体、実感は伝わらない事を解っている筈なのだが、不思議と当たり前のような感覚で居る訳だ。 『それで、お前は高みの見物ってヤツだな』

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「えぇ、双手双眼がこの人達を…、私達の絵を買ってこの場所に引き込まれた者達をどうするかを、見てるんです」 『カァーッ、ニンゲン様の考える事は全くもって解らんよーぉ！』

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壱：大映黒は走る態勢に入り、菅崎嘉平は目の前の【カゲ】を滅する為の態勢に入る。 弐：【カゲ】達が襲い掛かって来る態勢に入り、思わずたじろきそうになるも「大丈夫だ」と自身に言い聞かせる。 参：大映黒は走り出した、一切後ろを見ず、ただひたすらに走る。

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その後ろで嘉平は大声を上げ、目の前に居る【カゲ】を滅し始める。 その中に人が居る可能性も考えつつも、その場に居る【カゲ】を全て滅する為に、カゲ法師は存在する。

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【カゲ】が一つ二つと滅されて行く、そうすれば、喰われかけていた人達も元の姿に戻っていく意味になる。 元の姿に戻った人達は一時的に昏倒しているだけで、時間が経てば意識を取り戻し、自身で動けるようになるわけだ。#菅崎嘉平の冒険

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大映黒は走る中で、菅崎嘉平に言われた事を思い出す。 「俺がアイツらを滅する、スマンが…人の方はお前に任せてしまう事になるが、いいか？」 「大丈夫ですよ、菅崎さん」 「頼もしい返事をしてくれるじゃねぇか、そんでもってだな、走る時はアイツらを踏んで行けよ」

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「踏むって？」 「俺は滅するに少々長け過ぎててな、力が余る時がある。そんでもって、影踏みみたいにお前は走る時はアイツらをって訳だよ」 「それって効くんですか？」 「アイツらは生きているが、所詮は【かげ】だ」

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大映黒は意図して地に見える【カゲ】達を踏む、小さい時に妹の暎子と遊んだ時のように、少々ぎこちない動きがありながら。 『みゃづっ』 『ふゅみゅっ』 どうやら、嘉平の言っている事は嘘ではなかったようだ。【カゲ】達は法師の攻撃程ではないものの、踏まれる影響を少々受けているようだった。

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――カゲ法師ってのは、能力を使える者達の一種なのかもしれないな。こうして今、周りにいる私に少なからず力の影響を受けている気がするけれど…、こればかりは後で本人に聞いてみない事には解らないだろうな…。 そう思いながらも、大映黒は再び辺りを意図して走るのであった。

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――馬鹿な、数は明らかにこちらの方が多いと言うのに、ほぼ一人で【カゲ】様の相手をしているだなんて。…これが、双手双眼のカゲ法師という事か…。 上で見るマリーも、下に居る暎子も同じ事を思っていた。 刻々と滅されて行く【カゲ】と、その下から解放された人達が居る光景だ。 #菅崎嘉平の冒険

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嘉平のカゲの滅し方は峰打ちの型に似ており、杖を使いつつ巧みに【カゲ】と人を上手く叩き、滅しているのである。 辺りに居る【カゲ】をほぼ滅し終えた嘉平は「さぁ～て、残るは大映黒の妹さんと……居るのは解ってんだ、姿を現せ、今回の首謀者さん？」

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ウタカは「おかーさん、行くの？」と心配そうな声色で聞くも、マリーは「大丈夫よ、ちょっとあのおじさんとお話するだけだから」と静かに話し、ウタカの元を離れ菅崎嘉平の元へ行くのである。

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途中、暎子の前を通り「マリーさん、ここは私が…」と何かを言いかけると「暎子さんは下がっていてくださいな」とハッキリと言った。 その間、大映黒は嘉平が滅した【カゲ】に喰われかけていた者達の様子を伺う。

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――どうやら、異常はないようだ…。この場に居る人達は宿の人達だ、私や嘉平さんと同じように例の浮世絵に引き込まれたのだろうか…。 そう思いながら、大映黒は双手双眼のカゲ法師と【カゲ】によって喰われ続けている妹の暎子とマリーの方を気にしつつ「大丈夫ですか？」と声をかけるのであった。

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「カヘイ・カンザキ、貴方の力は確かに素晴らしいですわ。教祖……、箕河様が言っていた通り、双手双眼のカゲ法師だけあるわね」 「それは有難い事を聞いたな、マドモアゼル」 「しかし、私達を残しておいたことを後悔する事になるわ」 「それは一体、どういうご事情だ？」#菅崎嘉平の冒険

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マリーと暎子の足元に居る影が動き出し、互いに喰い始めたのかと思えば、徐々に何かの姿を現したのだ。 それはまるで、かつての浮世絵にあった大きな大きな人の形をした存在である。 「おいおい、冗談キツイぜ…」

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大映黒もその音に気づき、その方を見た。 「あれは…、相馬の――」 人の形をしたと言っても、人間ではない。妖術を操る者が死者を蘇らせた、あの浮世絵を彷彿とさせる存在で、唯一異なるのはカゲによって出来ている為に全体的に真っ黒である事だ。

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二つの【カゲ】が大きく、一つの存在としてなった。 ただそれだけの事だ、それはつまり、的が大きくなったという事にも繋がる訳で、双手双眼のカゲ法師は二人と一つの【カゲ】に向かってこう言った。 「お前ら、俺を本気にさせたな？悪いが、それ相応の覚悟はしてもらうぞ！」

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光りある所にモノさえあれば、かげは出来る。 その中で自我を持ち、生ある存在にあるスキマを狙い喰い、生きようとする存在が【カゲ】であり、生きる意味となる。 と、誰かが言っていたのを聞いたことがある。#菅崎嘉平の冒険

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だが、それはヒトが言った事に過ぎない。 俺達は俺達で生きている、ヒトを狙うのは、永い間生きてきた中でもっとも心のスキマが脆く喰い甲斐があり、成り代わりやすいからヒトを選んだと言っても過言じゃない位だ。

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だが、俺達に対抗するという存在が現れた時、状況は一変したのだ。 【カゲ法師】――俺達を見つける紅い目に、滅する黒き手を備える存在。 しかし、時代と共に世界は徐々に明るく、少々住みにくくなっても、かげの色も濃くなり、かえって行動する時刻がハッキリとして、好都合になったようなものだ。

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昼間でも強いヤツは喰うが、弱いヤツは身をひそめるが、夜になればそんな事は殆ど関係が無くなって、どうぞご遠慮なくという状況になる。 夜に【カゲ法師】があまり出回らないのを良い気になっているのが大半かもしれないが、実際にそうなのだから、正に格好の餌場になる訳だ。

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しかし、昼も夜も関係なく俺達をより、強く見つけ滅する存在も居る事を忘れてはならない。 【双手双眼のカゲ法師】――文字通り、両手が【カゲ】を滅する手に変わり、両目とも【カゲ】を見つけ出す目に変わるというヤツだ。

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しかし、その存在自体も多くはないようで、結局は殆ど変わらぬ日々を俺達は過ごしているにしか過ぎない所に、俺達を信仰するという存在が現れたのだ。 【幻影教】――『目に見えぬ存在に願う意味はない、目に見える存在を信じてこその幻影教』を合言葉に、神の代わりに【カゲ】を信仰する人間たち。

伍条 月斗（創作ｱｶ） @5jyouTsukito

今回の事を引き起こしたのは【幻影教】に居るヒトの一人に過ぎないが、それが誰なのかは俺は知らない。 そういう事に関しては興味を示さず、ただ、面白い事をするヒトだなと思い、少々の加担をしているに過ぎないのだからな。

伍条 月斗（創作ｱｶ） @5jyouTsukito

「大丈夫ですか？」 大映黒は先程まで【カゲ】に喰われかけ、嘉平によって助けられた人達の元に寄り意識が戻った宿の女将や従業員の様子を改めて見る。 「えぇ、なんとか…」 「私達は何故ここに？」 すると、眼を覚ました者が言う。 「っていうよりもよ、あのデカい野郎はなんだ！？」#菅崎嘉平の冒険

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菅崎嘉平が今、まさに戦っている相手の事を指さして思わず叫ぶ者。 「詳しい事は後で説明します、今はともかく、この場所から少しでも安全な場所へ逃げた方が得策です」 「そうですね、その方がよろしいかと思いますわ」

伍条 月斗（創作ｱｶ） @5jyouTsukito

大映黒は黙って頷き、立ち上がり、自力で動ける者はまだ目の覚めぬ者を背負い、互いの肩を抱き、逃げれる所を探し始めたのであった。