ヒーロー派遣会社

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 繰り返す。そんなんで動くあたり、ほとんどダメージはないのだろう。 「撃ち続けろ！奴を倒さねば、もはや安全な場所などない！」 おそらく、今この場で動ける者全員、ヒーローも非戦闘員も関係なく攻撃する。雀の涙のような時間稼ぎを。 「そしてお前さんにはこれじゃあ！」 大声で博士が投げて渡し

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi てきたのは……スーツ？ 「これだけ隠しておったのじゃ！ただしこれは……禁断のスーツ」 「禁断？」 見た目はいかにも、ちびっ子憧れのスーパーヒーローなのに？ 「運動性能を極限まで上げ、さらにAIも搭載しておる。到底使える人間はいないし、使えたとしても……死ぬ」 無言でスーツを見つめる。

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L が、選択肢なんてない。奴を倒さなければ、どのみち死ぬのだから。 「すぐに、着ます」 時間を稼いでくれているうちに、慌ててパワードスーツを着る。装着性も向上させた新型ではあるようで、以前に着ていたものと違い、ぱぱっと着れた。 「…最後にボタンを押すと、装甲が展開される!」 言われた通り

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@777nagomi ボタンを押すと、ガションガションと変身ロボットのごとく装甲が展開された。 「よいか！絶対にリミッターは解除するな！絶対にだぞ！さすれば命だけは助かるやもしれん」 博士が心配してくれているのはわかる。でもそれはもはや、解除しろってことだよ。 「奈倉くん……」 一瞬、泣きだしそうな顔を

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L みて覚悟が鈍るが、思いを断ち切るかのように身体の向きを変え、怪人を見据える。 「帰ったら、今度は普通のスーツのネクタイでも結んでくださいね」 気の利いたセリフなんて、すぐには浮かばない。ただ、そのままやって欲しい事を言って、前へと駆け出す。 「リミッター解除！」 操作すると、電子音

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@777nagomi がリミッターを解除したと告げる。装着する人間を無視した究極のこのスーツにはリミッター解除の使用制限は、ない。 「いってきます」 「いってらっしゃい」 ぎこちないまでも、笑ってアスカさんが頷いてくれた。いまから死地へ向かうというのに、気持ちはこれ以上なく晴れやかだ。 「撃ち方やめ！」

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 銃撃が止む。その中心は、地面が抉られ原形をとどめていない。そんな中、奴は立っていた。 はじめは、ユラユラと。だが、すぐにしっかりと足で立ち始めた。 もう回復したのだろう。 リミッター解除の時間は無制限。だが僕の体力は有限だし、奴と違い僕は回復なんてチートはない。この一撃に全てをかけ

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@777nagomi る。 「やーっと僕と遊んでくれる気になった？」 笑うな、その顔で。それは僕が一番、尊敬したあの人のものだ。間違った方向に進んでも、それはあの人の理想が高すぎただけ。最後に一瞬見せたあの人の顔は疲れ切っていた。いま僕が……楽にする。 「課長にその身体を、返せー！」 すべての力を、気持ち

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L を拳にこめる。 「ゆけぃ！」 平和を願う全ての人の思いを胸に、高く跳躍する。 ニヤリと笑って、奴も拳に力をこめていくのがわかる。 「うぉぉぉぉ！」 拳と拳がぶつかった瞬間、閃光が走り、凄まじい衝撃波がおこった。 そして訪れた静寂の中 『Complete』 という電子音が鳴り響いたという。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「奈倉くん、あーん」 病院のベッドの上、アスカさんがごはんを食べさせてくれるのはいいがこれはいったい？スプーンの上で謎に蠢く物体を無言で見つめる。運ばれてきた病院食は確かに普通だった。しかし彼女が早く良くなるスタミナ剤なるものを加え、謎の物体と化している。 「そういえば結局あいつ、

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L どうなったんですか？」 なんとなく、全く動かない右手を見つめながら聞く。そう、リミッター解除の時間が短かったのが良かったらしく、一命は取り留めたのだ。が、その代償が、腕から先が一切動かない右手。科学的には、『形があることすら奇跡』と言われるほどの負荷がかかっていたそうだ。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「爆散した」 「は？」 その程度……というのはあれだが、それであいつが滅びるとは思えない。 「奈倉くんのパンチで爆散したところを博士たちが掃除機で吸い取ってね？」 「掃除機……」 「それで複数の容器に分けて閉じ込めたから、もう元には戻れない」 「はぁ……」 アスカさんは高笑いしている

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L が、その時の様子を思うと、僕の場合はどちらかというと苦笑だ。 破片が一枚ないばかりに再生出来ないモンスターなんて、それこそファンタジーの世界だと思っていたら、まさか実在したとは。 「南極にエベレスト、日本海溝にアマゾンの奥地、他にも色々あったけど、かなり分けたから大丈夫よ」

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@777nagomi アスカさんは頷いているが、本当にそうなんだろうか。あいつが課長の身体を乗っ取るところを僕は見ている。爆散したあと、また中身を別にしたのだとしたら？でもそんな不安は、アスカさんが打ち砕いてくれた。 「あいつ、中身を移動させる前に爆散したみたい。それだけ奈倉くんのパンチの威力が想定外

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L だったのよ。それに、最強のヒーローも護ってるのよ？」 少し遠い目をするアスカさんに続いて、僕も病室の外の空を見ながら頷いた。 「そうですよね」 あの戦いで、課長は死んだ。そのお墓にも、奴の身体の一部が封じられていると、アスカさんの持っているリストに書かれている。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「それにしてもあいつ……いったい、なんだったんでしょうね？」 メガーネを超える、不死の存在。そもそもメガーネっていったい、なんなんだろう？眼鏡好きの心が高じてメガーネに変身するのだと言っていた。しかしこの眼鏡に、そんな力があるんだろうか？ そっと、かけている眼鏡に触れてみる。これは

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 何の変哲もない、ただの眼鏡 ほとんどの人にとっては、ただの視力調整器具。だが、実際異常な執着をみせる人もいる。 そういえば、福岡の方にいる知り合いがその一人だ。作家をやってると昔言っていたが、今回の事を話したらネタになるだろうか？

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「眼鏡にそんな、たいそうな力があるとは思えないんですけどね」 自分でもメガーネに変身しておきながらなんだが、やはり理解はできない。 「もしかしたら付喪神的なものだったんじゃないかって、……博士が」 「付喪神？」 それって使い込まれたものが魂を持つって奴だよね？眼鏡そのものが変化した

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L のだろうか。 「まぁ、現代科学では証明出来ないから、全ては憶測のままだけどね」 少し残念そうなアスカさん。でも、それでいいのだろう。解明されてはいけないこともある。 あんな怪物が軍事転用でもされたら、世界は瞬く間に崩壊する。 「さて、そろそろ時間だから戻るわね」 名残惜しいが、

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi アスカさんもお昼休みを抜け出してきている。仕方ない。 「それじゃ、大人しくしとくのよ。あ、それはもちろん全部食べるのよ！」 元気にアスカさんが去ったあと、目の前にある謎の物体と目があった。 今回は身体中隅から隅まで検査され、入院は長引いた。どんな後遺症が出るのかわからないのと、

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そもそも、意識を保っていたとはいえ、怪人化しているので、それこそ念入りにだ。 多分、あと一ヶ月は入院生活。ちょっと憂鬱だ。 そう思っていると、スマホにメッセージが入った。 『早く退院してね？そしたら、ネクタイ締めてあげるから』 RPGのように、ヒーローから、サラリーマンに転職した僕は、

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 退院したら普通の会社員だ。……嘘。いままでいたヒーロー派遣の警備会社で事務員として働くことになっている。業務による身体の損傷は、会社が保証してくれるシステムだ。希望すれば部署異動で引き続き働ける。……ただ。僕の場合は「あやつを一般人に戻すなど、わしの実験材料……もとい。会社の損失

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 世界の損失じゃ！」 と、某マッドサイエンティストが熱弁により、事務員という肩書で、おそらく違う仕事をすることになる。実際、ヒーロー派遣事業は事実上の休業状態とはいえ、いつ何があるか分からない事を証明もしてしまっている。今後もパワードスーツの開発や、各種兵装の開発は必要だろう。

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@777nagomi 「ああーっ、それにしても暇だ……」 会社の好意で個室なので気兼ねする必要はないとはいえ、あれこれ持ち込むわけにもいかない。あるのは大量に積まれた本だけだ。……課長が残していった。 課長は勝手に病院を抜け出し、あの戦いに参加していた。その課長が亡くなれば残っていた本の行き先も困る。

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L その後はともかくとして、とりあえずの置き場としてこの病室に置かれた。正直、どういう理由でそうなったのかは知らないが、謎でしかない。ほとんど嫌がらせだとは思うけど、時間だけはあるし、なんとなく気になったものをパラパラとめくってはいるが、いっこうに進まない。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 課長はこんなものを読んで、なにを考えていたんだろう。経済学、スポーツ学、いまとなっては失われゆく技術であるオプトメトリストや眼鏡士の参考書もある。 「本当に眼鏡が好きだったんだな。……ん？」 ぱらぱらと捲った本の間から、なにかが落ちた。拾ってみるとそれは写真で、アスカさんと課長、

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そして知らない男性。……おそらくアスカさんの彼氏だったマコトさんだろう。 みんな眼鏡をかけて、すごく笑顔だ。少し古い写真のようだから、きっとヒーローになるもっと前。メガーネとかもなく、もっと平和だった時代。……少なくとも、僕らヒーローはこの笑顔を守れなかった。

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@777nagomi 「課長はアスカさんが好きだったのかな……？」 課長の視線はさりげなくアスカさんに向いている。それだけならまだしも、まるで邪魔だと言わんばかりにマコトさんの身体は半分、切れていた。あの課長でもヤキモチなんて人間臭いところもあったのだとほっとするのと同時に、複雑な気持ちになった。

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@777nagomi 「奈倉さーん、検査の時間でーす」 「あ、はい」 看護師の女性が僕を迎えにきて、本を閉じる。 「うふふふ。じゃあ、行きますよー」 車椅子を押す彼女の鼻息が若干荒いが……仕方ない。彼女は担当になった直後、眼鏡姿の僕を見て『ご褒美です……！』などと口走った、めがじょだ。しかし眼鏡男子は鑑賞

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L するのみで、それ以上は踏み込まない！という穏健派？というものらしい。 過激派とされる怪人集団が滅びたことで、実質穏健派しかいないはずなのだが、数年に及ぶ断圧を経て解放された彼女達の鼻息は、わりと恐い。 「そういえば、奈倉さんは退院されたらヒーローショーのお仕事されるとか？」

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@777nagomi 「あー、まだ予定ですけどね」 動かない右腕についてはいま、博士がアームサポートを作ると躍起になっている。完成すれば僕のように腕が動かない人間はもちろん、義手にも応用できる技術なのらしい。あの人はマッドサイエンティストながら、まともな開発もするのだ。 「私絶対、観に行きますね！」

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「それは、お願いしますね」 表向きの仕事の一つ。ヒーロー派遣会社の存続理由の一つが、ガシェットから一瞬で変身出来る技術。ゆえに、特撮の撮影からヒーローショーには引っ張りだこなのだ。 「私、東海地区のヒーロー、ゴールドスナイプが好きなんですよ」 各地域の代表的なヒーローを模したスーツ

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@777nagomi のコピーが売られていたりもする。とはいえ、変身しかできないが。 「奈倉さんはどのヒーローをやるんですか？」 「あー……まだ未定です」 笑ってなんとなく誤魔化した。本当は決まっているが、あのヒーローを僕がやるのはまだ気が重い。完全に僕には役者が不足している。 「決まったら教えて下さいね

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 楽しそうに笑う看護士さんだが、そもそもショーに出ることすら確定ではないのだが。…まぁ、その実験台の可能性は高いのだが。 そういえば、同期のやつは元気だろうか。九州支部にいると聞いたが。 確か、九州支部の代表は少し気難しい人だと聞いたことがある。無論、仕事は真面目らしいが。見た目は

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi お硬い銀行マン風の、ぴっちり七三眼鏡らしい。なんでも、同僚の誰もが彼の笑顔を見たことがないという。 「はい、とーちゃーく！」 そうこうしているうちに検査室に着いた。 「奈倉さん、じゃあ検査をはじめていきますね」 検査技師が僕のあたまに装置をつけていく。様々な刺激を与えながら、脳波の

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 異常を検知しているらしい。ピーピーと、機械の音声がなる度に、あーだこーだと色々な話し声が出てくるが、やられてる方としては、全く分からないので、つまらないだけだ。 しばらくすれば、 「うん、特に問題なさそうだね」 と、笑顔眩しく医者に言われる。 こればかりで、さすがに体がなまってくる。

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 問題がないので、余計にストレスがかかる。そう、身体に不調はないと思われる。…身体には。 「とりあえず今日の検査は以上かな。あとは好きに過ごして大丈夫だよ」 いつも通りの医者の言葉で、また部屋に戻される。看護士さんと一緒の時はまだいいが、一人になるとまた聞こえてくるのだ。 「壊せ」 と

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@777nagomi 「ああもう、考えなーい！」 なにかしていないと深みにはまりそうだが、やることと言えば課長の遺品の本を読むしかない。 「アスカさんもさ、まんがとか差し入れしてくれればいいのに……」 病室の隅に積まれるケースをちらりと見る。アスカさんが差し入れしてくれた、早く怪我が治るスタミナ剤らしい

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L "何か"を口に詰め込む。凄まじい吐き気に襲われるが、気合と根性で胃に落とす。診察で問題がおきてないから、食べても支障がないことは分かっている。食べていいかはまた別だと理性が訴えるが。 繰り返される理性の訴えを却下し、本のタイトルだけをみていると、一冊の本で止まった。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi タイトル表記がないのを不審に思い、手に取ってみる。 「これ……」 それは本の形をしたノートというかそういうものだった。内容は日記らしい。故人のプライベート、しかも日記などと心の中を覗くみたいで気が引けたが、興味のほうが勝った。それでも遠慮がちにそろりと文字を追う。並ぶ几帳面な字は

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 課長らしい。日付をみると、去年からのもの。近くをみると、同じようなノートが何十冊とある。 ーひょっとして、ヒーローになったときからずっと？ 怪人との戦いでの反省点、部下の事、業務日誌というより、ヒーローとしての課長そのものが書いたような内容は、ただただ尊敬する。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ……しかし。 【倉池が憎い】 その一文でページを捲る手が止まる。それはアスカさんと倉池――マコトさんの婚約を書き留めたページにあった。それからはマコトさんへの怨嗟の言葉で埋め尽くされていた。知りたくなかった、課長の一面。完璧なあの人にもこんな人間臭いところがあったんだとは思うが、

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 憧れの人だっただけに、見たくはなかった。その反面、ヒーローとしてのマコトさんについては、称賛もしている。そして、マコトさんが死んだ時には、悲しそうに思いを綴っている。最も、複雑な思いがある事も綴られているが。そして、それが原因なのか、たまたまか。自身が怪人化した事へと内容は変わる

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 【憎い。倉池が憎い。アスカの心を縛ったまま逝ったあいつが】 【これは僕じゃない。僕はこんなこと】 【憎い憎い憎い憎い】 【アスカが手に入らないのならすべてを壊す】 【違う！僕はアスカの笑顔を守りたいだけなんだ！】 後悔なのかところどころ塗りつぶしてある。苦悩していく課長の心。読んで

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L いて気持ちよくはない。この先を読んではいけないと思いつつも、好奇心がページを進ませる。 そして、自分と同じように怪人化した部下を手に掛けた時が綴られている。 【また、部下が怪人化した】 【倒しても薬が効かない】 【なぜ、薬で怪人化が解除されない？】 【もう、手に負えない。殺すしかない

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ……ここまでは正常な判断だ。しかし。 【殺したい殺したい殺したい】 【怪人化した部下を殺すのは気持ちがいい】 塗りつぶされた下、かろうじて読める文字。 【嘘だ、ぼくはそんなふうに思っていない！】 【部下を殺すのはつらかったはずだ！】 更にはじまる、自問自答。 【本当につらかったのか？】

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 【本当は楽しんでいたんじゃないのか？】 【自分は二重人格なのか？】 その後も、苦悩と後悔、そして快楽に飲み込まれた懺悔は続いていく。まだ半分以上ページはあるが、さすがにこれ以上は読む覚悟がなかった。 …これは、落ち着いたら燃やしてしまった方がいいだろう。残しておくべきではない。

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi そう思いつつ閉じようとして、ある言葉が目に止まった。 【遺伝子実験の失敗】 いままでとは違う、異質な言葉。勢いよく再びノートを開き、その箇所を目で追う。 【眼鏡をかけているものまで怪人化するのはなぜか】 言われればそうだ。かけているものに眼鏡に対する憧れなどないはず。少なくとも僕は

和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ない。 そもそもの発端であるメガーネは、眼鏡に対する異常執着者たち。これらが、メガーネになった。これは分かる。元々、彼らはそういう薬を服用していたという。 が、隊員は？ぼくもそうだし、課長もだ。薬なんて服用していない。疑問に思いつつページを刷ると…。 【あの研究所の副司令は怪しい】

眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi あの研究所とはどの研究所なんだろう？ ……壊せ。 「痛っ」 不意にまたあの声が響き、あたまが痛みだす。気にはなるが今日はここまでにしたほうがよさそうだ。 「いったい、なんなんだよこの声……」 かなり集中して読んでいたせいか、眠気が襲ってくる。すぐに僕は眠ってしまった。 「はろー」