打ち合わせ一切なしのリレー小説まとめ
0
前へ 1 ・・ 7 8 ・・ 13 次へ
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ん? 聞き覚えのあるような、ないような。柔らかい、女性らしい声だ。だか、考えてもよく分からない声は、果たして夢だろうか? どのみち入院中の自分は遅刻とは無縁だし、これは夢と仮定して社会人憧れの二度寝を決め込む。 しかし現実は我々に甘くはない。 「起きろっつてんだろ!」 先程と違いドス

2021-07-16 01:13:28
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi のきいた声が響き、目を開けた。 「どうやって入ってきた?」 ベッドの脇に見知らぬ男が立っている。しかし僕の病室は関係者以外立入禁止なのだ。 「どうやってって、普通にドアから?」 へらへら笑いながら話している男が、まったくまばたきをしていないのに気づいた。途端に全身を悪寒が駆け抜けて

2021-07-16 01:41:18
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L くる。コイツはやばいやつだ。どれくらいヤバいかというと、演じたキャラが大抵裏切る有名声優なみにヤバい。しかも、女性のような声だと思ってみてみれば、若い男性の姿をしている。…完璧にフラグがたっている。 現在、鋭意量産試験中の変身アイテムは手元にない。怪人に変身も出来ない。素手で戦う

2021-07-16 01:55:09
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi しかないのか。 「やだなー、僕を忘れちゃったの?」 「……は?」 相手は気安い感じだが、警戒しかできない。忘れちゃった?こいつとどこかで会ったことがあるのか?こんな奴、絶対に忘れられないはずなのに。必死に記憶を捲り、ひとつの結論にたどり着く。 「……爆散した、って」 「そーだよ、あれ

2021-07-16 02:17:31
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は前の体。で、今は君の中にいる」 ーーは?何いってんだコイツは。いや、幻聴の類でなければ、あり得ないとも言い切れない。コイツは人の理解の外にいる。 ゆえに、おそらく、コイツは僕の中に在る。ならば、どうやって倒す? 自爆したところで同じことを繰り返す可能性がある。情報を引き出すべきか

2021-07-17 01:46:52
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「あ、そろそろ時間だねー。じゃあまた」 にっこりと笑った奴の姿が消えたと同時に……目が覚めた。 「夢……?」 なら、あれは僕が見せた幻?しかし、奴との会話は夢とは思えないほどはっきりと記憶に残っている。 「僕の中に……」 アイツはいるのか?しかし、毎日の検査ではなにも出ない。もっとも

2021-07-17 01:55:24
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 怪人の意識がうんぬんなんて、検知する方法はないだろう。 ーーこれは直感に過ぎないが、奴は僕の中にいる。間違いなく。 そのうえで、どう動く。医療機関というより、博士の方に言ったほうがいいのか。彼らの方が医者より専門だろう。その時、ふと以前に聞こえた声がよぎった。 【あの研究所の副司令

2021-07-17 13:46:02
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi が怪しい】 あの研究所とはどこを指すんだ? 朝食を無理やり飲み込んだ済ませる。食事ができなくなったのもあいつの影響なのか。 「よっ、元気にしとるかの?」 午前の検査が終わったところで、博士が研究員をお供に顔を出した。 「元気は元気ですよ」 変な夢を見なければ。あいつの声を聞かなければ。

2021-07-17 18:42:45
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「まぁ、色々あるじゃろが、元気が一番じゃ!」 カッカッと笑う博士。色々問題もある人だが、この人は怪しいとかはない気がする。とりあえず、相談はしてみるべきかもしれない。声を出そうとした時、その横にいる人物が目に入った。 眼鏡をかけたクール美人といった風の副司令。あまり話した事ないけど

2021-07-17 21:22:44
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 優秀だって噂だ。 「退屈しているだろうと思ってほい、持ってきてやった」 博士が無造作に投げたものを慌てて受け取る。これは……例の腕のサポート機? 「こんなもの、投げないでくださいよ!」 壊れたらどうするだよ、まったく。 「ほれ、装着方法を教えてやるから腕を出せ」 博士は聞く気がなさそう

2021-07-17 22:25:20
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L で、投げたからですくせに、すぐに近寄ってきて、手取り足取り装着法を教えてくる。なら、投げなくて良かったのに。そして、昨日はニンニク料理を食べたらしい博士からは、ドラキュラなら卒倒するだろうキツイ香りが漂っている。 なんの罰ゲームだよこれ。 「博士、データ測定のケーブルが剥がれてます

2021-07-18 13:22:48
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「む。そうか」 なんてやりとりもいつものことだ。 「よし、動かしてみろ」 言われたとおり手を軽くグーパーしてみる。ぎこちないが、動かないはずの手が機械の補助があるからとはいえ動く。 「動きました!」 「ばかもん、動くに決まっておる!」 感動して博士の顔を見たら、間髪入れずに後ろ頭を

2021-07-18 16:05:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 殴られた。今度労組に問題提起したい。 「どのみち、ここでは動作確認しかできません。体調に問題ないとの事ですし、明日にでも研究所での試装に切り替えた方がいいのでは?」 「うむ、伊代君の言うとうりじゃな。手続きはやっておくから、お主は準備しとけよ」 僕の意思など無視して話が進んでいく

2021-07-18 20:42:07
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「じゃあ、待っておるからなー」 僕の了解など取らず、博士はさっさと帰っていった。 「……ほんと、自由な人だよね」 だいぶ慣れてきたとはいえ、苦笑いしてしまう。……しかし。 「……伊代さん、か」 部屋を出て行くとき。彼女がちらりと僕を見た。あの視線が忘れられない。……いや、恋とかじゃ

2021-07-18 20:49:40
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ない。妙な胸騒ぎがするのだ。例えるなら、物語序盤でチラリとすれ違っただけよ、何故か気になった相手が、実はラスボスだったみたいな感覚。僕の中二病ならいいけど、不安だ。そして、妙な夢の事も思い出した。【研究所】そして、【副司令】関係ないはずだと思いつつ、考え始める自分がいた。

2021-07-18 21:47:20
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「奈倉くーん」 博士たちと入れ違えるようにアスカさんが顔を出した。 「元気になるように特製お弁当作ってきたの。食べてね」 なんて語尾にハートがつきそうな声で彼女はいそいそと弁当箱を広げてくるが、悪い予感しかしない。 「はい、あーん」 差し出される箸を少しの間無言で見つめ、意を決して

2021-07-19 14:22:18
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 口を開く。そして、目は閉じる。息も止める。出来れば味覚も止めたいが、その能力は自分にはない。 その後、強烈な吐き気と腹痛と吐き気とあと何か色々でトイレに駆け込み、退院が三日伸びた。そして、その間アスカさんは出禁をくらった。前代未聞の事だそうで、何故か僕も怒られた。

2021-07-19 19:59:28
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「退院なんて残念ですー」 言葉通り心底残念そうな看護師をジト目で見つめる。ハプニングはあったものの、ようやく退院できる運びとなった。 「あ、でも、まだ検査で通うんですよね?ああ、でも私は外来担当じゃないし……」 この好意が純粋なものなら喜べるが、彼女の狙いは僕の眼鏡となるとまったく

2021-07-19 20:11:52
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 意味が異なる。少し前なら、メガーネと疑うし、場合によっては戦場で出会っていただろう。敵として。 「またケガしてお邪魔するかもしれませんし」 本来、病院に度々お邪魔するなんて絶対イヤだが、そうでも言わないと話してくれそうにない。そして、 「あ、そうですよね!」 なぜ貴方はそこで笑顔なの

2021-07-19 20:27:53
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi んだ!? ……などというやり取りをしつつ玄関までやってきた僕には、新たな試練が待っていた。 「なーくーらーくーん?」 アスカさんの声が不快そうに上がっていく。こめかみには怒りマークが浮いていそうだ。 「それって誰?」 「担当の看護師ですが?」 腕を組んで仁王立ちのアスカさんに対し、看護師

2021-07-19 20:55:22
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は何故か僕の腕に抱き着く。 「はい!私、奈倉さんの専属看護師の慧といいます!」 とりあえず、まず専属でないし、なぜ腕に抱き着くのか。 笑顔なのに、額に青筋が浮かんでいるバーサーカーが目の前にいるのだ。このあとの未来は子供でも分かるだろう。 ……逃げたい。南極とか、人がいないところに。

2021-07-19 23:25:17
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi しかしできないので、これから先のさらなる地獄を覚悟した。 「どうもお世話になりまし、たっ!」 アスカさんが僕の腕を掴んで引っぱる。しかし看護師も離してくれない。 「離しなさいよ」 「あなたこそ」 左右から引っぱられて身体が避けそうだ。なんだこれは、大岡裁きか?僕は子供じゃないけど。

2021-07-20 11:08:40
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ちょっと前は、憧れの先輩と思っていたアスカさんだったのに、今ではその面影はない。 「はい、そこどいてねー」 現実逃避していた僕の耳に唐突に入ってきた声は、研究所のメンバーのもの。あれやこれやと二人を引き剥がすと、僕をワゴンに乗せた。あ然とする二人を尻目に、ワゴンは颯爽と走り出した。

2021-07-20 22:51:28
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「あの。……えっと」 「奈倉さんは我々のものです」 助手さんの上げた眼鏡がキラリと光る。さらなる火種の予感になんとも言えない気持ちになり、返す言葉もなかった。 「遅いっ!」 研究室に着いたら着いたで、博士が杖で床をバンバン叩いて怒っている。……いや、別に約束とかしてないし。なんて言葉

2021-07-21 07:22:51
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は通じない。ここはもはや治外法権なのだ。 「まあよい。とりあえず、今日は軽く新型スーツの慣らしじゃ。伊代君」 ーはい。と、件の副司令が腕時計のようなバンドを持ってきた。 「メガーネの生体データやお主のデータから、通常の人間態から怪人態への変身ギミックが判明した。ナノマシンで再現

2021-07-21 19:28:46
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi してみたから試してみろ」 いやいや、そんな軽く言われたって怖いし。なんて僕の思いは完全無視で、副司令は僕の腕にバンドを装着した。 「よし、変身じゃ!」 なぜか博士は少年のようにキラキラした目で見ている。これはもしかして、なんか期待されているのか? 「えーっと……。変身」 小さな声で

2021-07-21 19:59:32
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 言うが、何も起こらない。博士他その他色々にジト目をされた。 「お主、子供の頃何を見て育ったんじゃ?」 うんうんと頷く研究員。 いや、それ、関係あるのだろうか。えーい、こうなりゃヤケクソ! 「変身!」 大きな声で、それっぽいポーズを取ると、電子音声が再生された。 『Reproduction』

2021-07-21 20:06:03
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ウィン、と低い電子音がしたかと思ったら服が……木っ端微塵に砕け散った。 「はぁっ!?」 女性陣の前で一糸纏わぬ姿にされるなんて、死ねる!しかも彼女たちが手で目を覆うようにしながら、その隙間からバッチリみているとなると。……もう僕、お嫁に行けない……。などと思っている間にまばゆいばかり

2021-07-21 20:11:05
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L の光に包まれ、次の瞬間にはパワードスーツを身に纏っていた。 「ふむ、タイムラグがあるな」 「およそ3秒です」 冷静に対応している二人。そして、何事もなかったかのように動き出す研究員達。……いっそ殺してくれと思う。 「よし、とりあえず起動確認は出来たな。軽く動いて違和感なければ、今日は

2021-07-21 23:18:33
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 終わりだ」 「……はい」 渋々ながら返事をしたものの、ひとつツッコんでもいいですか?なんで変身ヒーローが、魔法少女のような変身をしなければならん?僕のサービスシーンなんて誰が……って、なんか助手さんたちは嬉しそうなのがまったく解せん。 軽く身体を動かしてみる。見た目は眼鏡をかけた

2021-07-22 14:04:44
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ような大きなツインアイ以外は、以前のものと大きくは変わらない。ただ、全身真っ白な姿は、なかなかに異常だ。 腰や腕に色々取り付けられるようになっているので、使用者にあわせてカスタマイズが可能なのかもしれない。 僕ならどうするだろう。腰に銃と近接用の装備は欲しいなぁ。あと、見た目も、

2021-07-22 20:40:39
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi もっと格好よく、ヒーローっぽくしてほしい。 「よし、今日はもういいぞ」 僕が妄想に耽っている間に、今日のテストは終わったようだ。 「ほれ、変身をとけ」 博士は軽く言ってくるが、悪い予感しかしない。さっきから急に、ギャラリーも増えているし。そもそも、あの木っ端微塵になった服は元に戻る

2021-07-22 20:48:42
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 気がしない。というが、伊代さんがバスタオル持って待機してるあたり、絶対そうだろう。 「いや、ここではちょっと……」 無駄な抵抗と思いつつ、抗議の意思をみせるも、 「とっととせんか!」 と、博士に頭を叩かれた瞬間に変身が解けた。 そして、バスタオルを被せられる。 スーツの防御力とは!

2021-07-23 08:14:02
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi なんて僕の疑問をよそに、博士はすでにタブレットを手にブツブツ言っている。 「基礎動作は問題ないが……変身機能は……」 「あのー、博士?この変身はどうにかならないの……」 「なんだお主、まだいたのか?もしかしてもっとテストを受けたいのか?」 にやーっと嬉しそうに博士の顔が歪む。 「いや

2021-07-23 11:19:48
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L やめた方がいいと思われます。以前、不用意に動かして、痛い目にあったのをお忘れですかハゲ」 さらりと伊代さんが毒を吐いているが、博士は全く気にしてないようで、 「うむ、確かに。また機械を壊されては困るしな。やはり今日は止めじゃ」 と、あっさり今日のテスト終了を認めた。 「では、こちらに

2021-07-23 19:09:18
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi どうぞ」 伊代さんが僕をどこかに連れていこうとするが。 「あのー、帰っちゃダメなんですか?」 病院から直接ここに拉致されて、家には帰っていない。アスカさんがその後、どうしているのかも気になる。 「ダメです。ここで引き続き、検査を行っていくとこになっています」 あれで検査は終わりだと

2021-07-23 19:32:25
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 言われたが、まだあるのか。 覚悟はしていたが、実験台は辛い。案内された小さな部屋のベッドに腰掛けると、頭を抱えた。 すると、頭の中に声が響いた。二度と聞きたくないと思った、アイツの声。 『や、気分ブルーみたいだけど、どうした?』 昔からの親友みたいに話しかけてくるも、コイツは敵なのだ

2021-07-23 21:51:30
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 『返事くらいしろよ』 「……うるさい」 なんで僕が。そんな考えがあたまの中をぐるぐる回る。 『なんでって君が、類稀なる才能を持っているからだよ』 勝手にあいつがそれに答えてきた。才能?この僕に?僕はただの人間だ。 『まだ気づかないのかい?君は眼鏡と恐ろしいほどに“相性がいい”」 だから

2021-07-25 09:36:24
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 怪人化しても自我を保っていられるし、僕と直接コンタクトとれるんだよ。 眼鏡との相性、確かに似合ってるとは言われるが、たったそれだけで?疑問しか感じない。 『なんだい?疑り深いなぁ。まぁいいや。ところで、あの伊代って人がどう思う?』 伊代、研究所の副司令にあたる女性で、

2021-07-26 11:24:13
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 年齢不詳。若く見えるがもう20年以上勤めているだとか、司令の愛人だとか、実は博士の孫、いやいや財産目当てで結婚した若妻、なんて噂が流れている。しかし実際のところ、そんな噂があるにも関わらず男女ともに憧れの的だったりする。 「どうって……」 しかし僕にとってはちょっと冷たそうなただの

2021-07-26 20:21:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L キャリアウーマンにしか見えない。 『なんだ、君は才能はあるけど、目覚めてるわけではないんだね』 目覚め?才能が眼鏡との相性だとすると、目覚めとはなんだろうか?しかし、それについて教えてくれる事は無かった。 『ま、すぐに分かるよ。ほら、来たよ?』 呼び鈴がなり、ドアカメラをみると、伊代

2021-07-27 10:21:50
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi さんが立っていた。 「夕食の時間です」 無表情にトレイを備え付けのテーブルの上に置く。 「終わった頃に下げに参ります」 「あの!」 用件は済んだとばかりに出ていこうとする彼女を慌てて止めた。 「携帯を返してくれませんか?」 ここに来るとき、携帯は没収された。携帯だけじゃない、私物の

2021-07-27 20:32:14
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 類はほとんど。服だって、着てる物以外は、支給されたものしかない。いくら何でも、それはあんまりだ。特に、携帯は業務関連の連絡もある。家族からの緊急の呼び出しもあり得る。この時代になくてはならないものだ。だが、返ってきた返事はつれないもので、首を横にふるだけ。 「これじゃ、牢獄だよ」

2021-07-28 02:12:41
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 僕の不満を無視して、伊代さんは部屋を出ていった。 ため息をつきつつ、食事をする。いや、これは食事と言えるんだろうか?堅いバーのレーションとカロリードリンクのみ。自衛隊のミリメシのほうが何倍も豪華だろう。パサパサでなんの味もしないそれを飲み物で流し込む。 「これならアスカさんの料理の

2021-07-28 02:19:25
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 方がま……しでもないな」 食べてから思う。この世には、食べ物から化学兵器が生み出されることもあるのだ。少なくとも、これはどこかの食品メーカーの人が苦心して、様々な法規制を乗り越えて流通した"食品"なのだ。 美味しくなくても、腹を下すことはあるまい。 『へぇ、そんな食べて大丈夫なのかい

2021-07-28 10:44:33
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 大丈夫?そんなの……。 「うっ」 強烈な吐き気が襲ってきて手洗い場ですべてを吐き出した。 『ほらー。君は適合者だからね。食事はもう必要ない』 食事が必要ない?奴がなにを言っているのかわからない。しかし、実感としてはある。病院でも食事は身体が受け付けなかった。それでも無理矢理飲み下して

2021-07-29 01:30:50
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ていたけども。 『まぁ、そもそも毒薬入りだから、身体が受け付けないのは当然か』 毒薬?まさか、そんな。 『あ、めっちゃ驚いてるね』 ケラケラと笑う声が頭の中で響く。あの、人を見下した笑顔だ。 『だって、君は邪魔者だもの。そりゃ消すでしょ』 何を今更といった風に言うが、寝耳に水だ。

2021-07-29 13:41:41
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「僕が邪魔って?」 そんなはずないと思いたい。しかし、この待遇はそうだという疑問を払拭させなかった。 『そうだろ?だって君は生まれてはいけない適合者なんだから』 奴は適合者と繰り返すが、それはいったいなんだ? 「なあ、適合者って……」 「失礼します」 伊代さんがノックとともに入ってきて

2021-07-29 20:23:35
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 驚いた顔をする。 『ほら、君が死んでるのを確認にきたのに、生きてるから驚いてる』 再びケラケラと笑い始める。でも、まさか、そんなことって。しかし、現実は止まらない。絶望へと加速していく。 「毒薬で死んでくれたら、良かったのに……」 ため息をつき、めんどくさそうに顔をあげる伊代さん。

2021-07-30 02:00:25
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「どうして僕を殺したいんですか!?」 激高し、詰め寄った僕を見る伊代さんの目は凍えるほどに冷たくて、気持ちは見る見る萎んでいく。 「次はちゃんと死んでくださいね」 事務的にそれだけ言い、彼女は出ていった。 「はぁーっ」 ため息をつき、備え付けのベッドに座る。なんでこんなことになっている

2021-07-30 02:24:27
前へ 1 ・・ 7 8 ・・ 13 次へ
0
まとめたひと
霧内杳/眼鏡のさきっぽ@アカウントお引っ越し @kiriutiharuka03

アカウントお引っ越し。こちらのアカウントは2月10日をもって停止します。今までのご愛顧、ありがとうございました。新しいアカウントも霧内杳/眼鏡のさきっぽです。凍結怖いので申し訳ないですがこれで探してください。新しいアカウントでも仲良くしてくださると嬉しいです。