打ち合わせ一切なしのリレー小説まとめ
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眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi はできなかった。 「奈倉くん、奈倉くん」 アスカさんの声が聞こえる。……ナカナイデ。その涙を拭うことも、その一言かけることすら僕には叶わない。 「また私をひとりにしないで」 その言葉が僕の心を締め付ける。僕はただ、アスカさんを守りたいだけだった。でも彼女は?大事な人を失うのが怖くて

2021-10-10 21:50:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そして、失って復讐を始めて…。その後は、なんで戦ってたんだろう?まさか、いや、それはまさかでしかな……い。 〜〜〜〜〜 「奈倉くん!奈倉くん」 アスカが叫ぶ。人の身体からはかけ離れた形となったヒーローの名を。 それを、沈痛な表情で見つめる者、目を背け、残党処理に向かう者、

2021-10-10 21:56:21
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 人それぞれだ。 「だから儂らにかかれば」 「こんなの造作もないわい」 とか言いながらも、教授と博士の額には玉の汗が浮いている。死者を蘇らせるのは最大の禁忌。俺の目から見て彼はもう、肉体だけじゃなく魂も死んでいる。 「教授、無駄なことはやめろ」 なおも彼を生き返らせようと躍起になる

2021-10-10 22:02:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L のは、人の情(サガ)とやらか。それが、人が人である所以か。 ただ…… ーーお前は、たくさんの人を助けた。 だから、たくさんの人に愛された。 そして、たくさんの人に求められてるんだ。 お前は、死んではならない。ここでは。 助ける方法は、ある。 自分をあいつが倒してくれればいい。

2021-10-10 22:08:17
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ただ、あいつがどこにいるのかわからない。どんなに精神を研ぎ澄まそうと見つからないのだ。 「ヤツは、死んだ」 「奈倉くんが倒した」 「奈倉くんの魂の尾は、儂らが掴んでいる」 教授たちがなにを言っているのかわからない。ヤツが死んだは、もしかしたらそうなのかもしれない。だから、存在を

2021-10-10 22:14:45
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L いや、違う。魂とか考えなくていい。人特有の考え方でいけば、気合でなんとかなるかもしれない。 幸か不幸か、自分は今心は繋がっている。心さえ戻せれば、何とかなるかもしれない。 あとは、あいつが大人しく自分を倒せば、希望は繋がるかもしれない。 ……宇宙のヒーローだったんだがなぁ。最後は悪

2021-10-10 22:23:13
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi もので終わりか。 「教授、どいて」 なおも彼を蘇らせようと必死なふたりプラス離れようとしないアスカをどける。 「ゴーミ、なにを」 「さっさと戻ってこい、よっ!」 胸ぐらを掴み、俺はその頬を思いっきり叩いた。 「好きな女泣かせてどうするんだよ、戻ってこいっていってるだろっ!」 バシバシと

2021-10-10 22:32:35
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 気付けのように引っぱたく。何発か叩いたところで、誰かに腕を掴まれて止めさせられた。見ればキッと睨むアスカというこいつの彼女。 アスカが、涙混じりに、何か言おうと口を開いた瞬間、奈倉がうめき声をあげた。誰もがそちらに気を取られ、自分はその隙にその場を離れた。 分身は上手くやれたらしい

2021-10-10 22:39:33
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi が、俺はそういうわけにはいかない。 「げほっ。ごほっ、ごほっ」 「奈倉くん……!」 急な呼吸で激しく咳き込む彼に、アスカが縋りつく。 「……アスカ、さん……?」 「やっぱり、死んだとか嘘だったんだ……!」 訳のわかっていない奈倉に抱きつき、アスカは号泣している。人間特有のお涙ちょうだい

2021-10-10 22:47:28
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L か。まぁ、感動するのも事実か。 あとは自分という存在が消えるだけ。誰の記憶からも、そこにあった痕跡さえも。 すうっと色を失っていく身体、ぼんやりとしてきた意識。 この星にきたとき、心と体が別れたのは、あの熊達の影響。心が暴走し怪人化して彼に取り憑いたあと、体は別の意思をもった。

2021-10-10 23:04:42
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ずっと自分が何者かなんて忘れていたが、思い出したのはついさっき。心が消えたからだ。 「これで、よかったんだよな」 最初から俺は、ここには必要ない存在だった。このままひっそりと消滅しようとした、が。 「……なに、逃げようとしてるんだよ?」 ドスのきいた声が響く。 「……は?」 まだ彼に

2021-10-10 23:37:44
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 未練があったせいか、それとも、不思議なバランスを保つこの世界に未練があるせいか。少しでも長く見てみたいと思ったのは事実で、無駄な抵抗とは思いつつも、踏ん張っていたところに、不意にかけられた声は、初めてのものではなく、少し懐かしいと思えるもの。

2021-10-12 02:00:39
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「君まで消えたら終わりだろ」 「は?」 せっかく人がいい気分で終わりを迎えようとしているのに、ソイツは俺の邪魔をしてくる。 「なに満足してるの?僕は全然、満足じゃないんだけど」 「は?」 さっきからコイツはいったい、なにが言いたいんだ?俺はこのまま逝きたいんだ。邪魔をしないでくれ。

2021-10-12 03:32:15
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「……ほんとに死ぬ気なのか。なら、お前はもういい。他のやつを探すよ」 散々絡んできたのに、興味がなくなった途端に、その声はすぐに消えてなくなった。 あの声、そうだ。あれは、いずれまた牙を剥いて襲いかかってくるだろう。 でも彼らなら勝てると信じている。 人の思いは、神すら超えるのだから

2021-10-13 10:12:30
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi それでも、俺の始末は俺がつけなければならない。 「待てよ」 アイツの元へ行こうとするヤツの腕を掴む。 「地球の平和は……いや、違うな。アイツの幸せは俺が守る……!」 渾身の力で、ヤツ……精神体の俺を殴り飛ばす。 「はっ、地球人特有の感情論?人間として暮らしているうちに、随分と人間臭く

2021-10-13 20:40:36
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L なったな。正義という自己満を振りかざす冷酷な宇宙警察様が!」 冷笑する自分の顔。それは、力が暴走した時に生まれた怪人としての自分。それは、悲しくも自分の心のどこかにあった醜い部分。 彼なら、それすらも受け入れて、まさしくヒーローとして生きるのだろうが、あいにくと、そんな時間はないし

2021-10-15 02:52:50
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「悪いが、一撃で決めさせてもらう」 もう、それくらいしか時間は残されていない。俺自身を止めて未来をアイツに、託す。 「へん、しん」 これが最後の変身だ。持ってくれよ、俺の身体。 「はっ、そんな消えかけの身体でなにができるっていうんだ!」 殴りかかってくるヤツをギリギリで避ける。

2021-10-15 03:54:35
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L そして、長く自身には使っていなかったヒーローの力が、身を覆った。 彼とは違い、全身真っ黒の、この世の闇を凝縮したかのような姿。 悪の怪人にも間違われかねないが、所々にある銀色の光が、暗闇に輝く星のようで、自分としては気に入っていた。 自分が持つ、全ての力をこめる。 「

2021-10-16 01:38:15
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「必殺、ハッピーフラーシュッ!」 我ながらくさいネーミングだとは思う。しかし地球の、アイツの幸せを守るためなんだから、これでいい。 叫ぶと同時に全身がまばゆいばかりに白く光った。その全エネルギーを拳にのせる。きっとよくて相打ち。それでも俺は、自分自身を必ず倒す。 「そんなので僕が

2021-10-16 02:54:11
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 倒せるとでも?」 言葉と裏腹に、半身が消し飛んだ自分が目の前にいる。だが、そうだ。それで殺せないのは知っている。だから……。 「お前!」 徐々に回復したであろうもう一人の自分の眼に写ったはずだ。 同じく半身を消し飛ばし、なおも自爆を続けている自分の姿が。

2021-10-16 23:33:12
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「オマエを倒さなくても、俺が消えればオマエも消える。繋がりの緒は掴んだからな!」 なにかに気づいたかのようにヤツが自分の身体を見渡す。その身体から長く伸びる糸の端は俺が掴んでいた。精神と身体を繋ぐ糸。これが繋がっているいま、俺が消えればヤツも消える。 「させぬ!」 躍起になってヤツ

2021-10-17 00:26:27
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は暴れまわるが、これは絶対だ。だから、ヤツは俺に成り代わろうとしたのだから。自分という存在が、本物がいるからこそ成り立つのを知っているから。 「さらばだ。青い星の英雄(ヒーロー)よ」 〜〜〜〜〜 「アスカさん僕病み上がりなんですけど、本当に行くんですか?」 宇宙服に見を包みロケット

2021-10-17 22:14:50
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi に乗り込む彼女を見上げる。 「行くに決まってるでしょ!クマの本拠地を潰さないとヤバいんだから!」 アスカさんの言うことはわかる。わかるけれども。 「それって僕たちがやらなきゃ生けないことなんですかね……?」 あのあと、クマの本拠地は壊滅した。ご丁寧にも博士と教授が木っ端微塵に爆破まで

2021-10-18 00:09:26
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L やった。両人とも、色々あって兵器開発に没頭した結果らしい。その、数日後に某国からスカウトがあったらしいが、それを断ると大量破壊兵器の開発者としてマッドサイエンティスト認定され、大炎上した。 それを1からコツコツと否定して名誉回復を担っているのは、伊代さんだ。なんだかんだで、面倒見が

2021-10-19 17:42:17
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi いい。 僕らはとは言えば、……テロリストとして追い回された。地球を救ったのに!?とは思うが、日本政府からは最果て領土を破壊し、国境線を変えようとすると認定されたのだ。その気持ちはわからなくもないが、守ったのは僕たちですよ?という主張は黙殺された。博士たちの爆破のおかげで島が沈んだと

2021-10-19 21:10:43
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 言う事実は変わらない。そして、表向き、怪人は消えたわけで、ようは用済みなのだ。 「ほれ、夫婦漫才はいいから、打ち上げるぞい」 赤色の、いかにもなスイッチに指を載せる博士。ロケットの発射スイッチを押す準備だけは万全らしい。 「うぅぅ、分かりましたよ。この際、どこにでも行きますよ!」

2021-10-20 18:17:02
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi クマは倒した。しかし火星と木星の間に巣食ったクマの本拠地から、いつ第2陣、第3陣と送り込まれるのかわからない状況だ。地球が完全に平和になるには、本拠地を叩くしかない。 「ほな、行って来い」 博士の手によってぽちっとボタンが押され、ロケットが発射される。Gに耐えながら隣に座るアスカさん

2021-10-20 20:18:20
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L が軽くウインクした。 茶目っ気たっぷりのそんなアスカさんは、かつての仇だった課長の意思を継ぎ、世界を守ると決めた。 そして、自分はそんなアスカさんを守ると決めた。 「行きましょう!」 覚悟を持っていうと、クスクスと笑われた。 「ま、もう後戻り出来ないけどね」 そう、僕らの戦いは

2021-10-20 21:58:21
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi きっと終わりがない。クマは先遣隊でさらに本隊が控えているという話もある。ならば、すべて叩くのみ!それがヒーローってもんだろ?それに僕は……。 「アスカさん。……愛しています」 せっかくの人の告白を遮るようにビービーと激しく警告音がなる。 「見つかったわ!」 アスカさんが臨戦態勢を取る

2021-10-20 22:02:48
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L さすがに、宇宙空間ではヒーロースーツは着ない。ロケットから分離した戦闘宇宙船で、アスカさんが操縦、僕が迎撃だ。 敵機に照準をあわせ、引き金を引く。 「了解です!いきます!」 (完)

2021-10-20 22:20:36
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まとめたひと
霧内杳/眼鏡のさきっぽ@アカウントお引っ越し @kiriutiharuka03

アカウントお引っ越し。こちらのアカウントは2月10日をもって停止します。今までのご愛顧、ありがとうございました。新しいアカウントも霧内杳/眼鏡のさきっぽです。凍結怖いので申し訳ないですがこれで探してください。新しいアカウントでも仲良くしてくださると嬉しいです。