打ち合わせ一切なしのリレー小説まとめ
0
前へ 1 ・・ 4 5 ・・ 13 次へ
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 頬をバシッと両手で叩いて喝をいれると、アパートの階段を駆け下りた。通りは、避難を始めた人が右往左往。まるで怪獣映画さながらだ。 「早く行くなら!」 ブロック塀によじ登ると、その上を駆け出す。一種の興奮状態になっているからか、猫のように走る事が出来たし、身体の痛みも消えていた。

2021-06-23 12:56:30
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「アスカさん!」 該当地区に到着し、あたりを見渡すが瓦礫ばかり。遠く、メガーネが暴れているのが確認できた。 「アスカさん!アスカさん!?」 手当たりしだいに瓦礫をはぐっていっていたらいきなり、後ろから口を塞がれた。 「むぐぐ」 振りほどこうと暴れるが緩まない。振り返ると研究所の職員が

2021-06-23 13:28:09
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 数人で羽交い締めにしていた。 「ぐ、ふぅ、はな、せ!」 振りほどこうにも、多勢に無勢、まして、病み上がりの身体ではいかんせん分が悪い。しばらく揉み合っていると、頭を思いっきり叩かれた。ぐるぐる眼鏡の博士だ。 「静かにせんかバカモン!儂等非戦闘員が見つかったら、どうするんじゃ!」

2021-06-23 20:33:52
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi はっとして動きが止まる。博士の言うとおりだ。 「……すみません」 「まあいい、こい」 博士に連れていかれた先にはボロボロのトレーラーーーロボニャンが止まっていた。 「乗れ」 言われるがままに乗り込んだ僕の前に、一着のスーツが投げつけられた。 「着るか着ないかはお主次第だ」 「博士、これ

2021-06-23 21:04:45
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L は?」 スーツといっても、本当にスーツだ。パワードスーツじゃない。 「メガーネとの戦いも佳境じゃったからな。パワードスーツは平和の時代には争いの種になる。ゆえに、能力を落とし、警護用にと試作したのが、このスーツ『まもる君』じゃ!」 「まもる君、ですか?」 若干、いや、かなりひき笑い

2021-06-24 01:46:00
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi してしまう。それにその名前の製品はすでにあるような。 「ただし、こいつのベースはあのプロトじゃ」 これで戦うなんて本気なのか、なんて思っていたが、その瞬間、顔が上がった。 「プロト……?」 「そうじゃ。お前さんで十分なデータが取れたからな。さらに」 博士が裏返した襟には謎のボタンが

2021-06-24 03:58:18
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「ポチッとな」 わざわざ博士が言いながら押すと…特に何も起こらなかった。 ジト目で博士をみると、満足そうに頷いている。 「まぁ、装着者がいなければ当然じゃ。本来なら全リミッターを解除する。数秒だけじゃが。ただし、こいつはあくまで対人用。装甲も怪人相手には紙切れ同然じゃし、武装もない

2021-06-24 12:35:32
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi でもプロトと驚異的な相性を叩き出したお主なら、なにか起こるかもしれんし起こらんかもしれん」 なんじゃそりゃ、とかツッコみそうになったが口には出さなかった。ようするに僕ならこのスーツで奇跡を起こせるかもしれないってことだろ? 「着ます!」 迷わずにスーツを着用する。すぐに博士からネク

2021-06-24 19:10:15
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L タイを渡された。 「市販品じゃが、スーツにはいるじゃろう」 「…そうですね」 すでにクールビズの季節にネクタイはどうなんだとも思うが、確かにしまらないかもだ。改めてネクタイを締めると、まさしくサラリーマン。企業戦士だ。 「エアージェットを使え」 小型ロケットがついたランドセルのような

2021-06-24 20:36:17
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ものを背負わされた。 「よし」 博士がスイッチをポチッと押す。徐々に、しかしある一点を超えたところで急速に加速し、身体がふっ飛ばされていく。 「言い忘れておったがそのネクタイ、細工……」 微かに博士の声が聞こえたが、聞き取れない。 「エアージェットじゃ……!」 文句を言いかけた瞬間、

2021-06-24 21:03:09
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L エアージェットが火を噴いた。 「ウソ?」 言いながら、みるみる落下する。急いでランドセルを脱ぐと、なんとか態勢を立て直し、両足で着地する。 「いってぇ!」 めちゃくちゃな衝撃が足に加わる。パワードスーツなら、ノーマルタイプでも衝撃なんかなかっであろう事を思うと、ほんとうに紙装甲らしい

2021-06-25 02:02:16
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ……もしかしてこれ、予想以上に役に立たないのでは?なんて考えている僕の目の間にはメガーネが迫っていた。しかも、アスカさんという人質を連れて。 「卑怯だぞ!」 「ギ?」 メガーネはわけがわかっていない様子だが、言葉は通じないから仕方ない。 「アスカさんを離せ!」 小脇に抱えられた彼女は

2021-06-25 17:39:11
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 気を失っているのか、ぐったりしている。動けない人質は足手まとい。犯罪心理ではそうらしいが、なら何故連れているのだろう。いや、それはあと。どうやって助けるか。考え始めた瞬間、メガーネがアスカさんをぶんぶんと振り回し始めた。 「おま、止めろ!」 アスカさんは人質枠ではなく武器枠だった

2021-06-26 01:56:48
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 普通でもヤバいのに、メガーネの力で振り回されたら本気でヤバい。 「ちょ……!?」 「ギ?」 メガーネの手からアスカさんがすっぽ抜けて飛んでいく。奴にしても予定外だったらしく、あきらかに〝しまった〟という顔をしていた。脊髄反射でアスカさんを追うが、ただのスーツで超加速などできようはずが

2021-06-26 02:54:28
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ない。 「アスカさーん!」 叫んだところで、映画のようには行かない。空中から地面に落下していくアスカさんを、手を伸ばしながら間に合わないのをみてるだけ。だが、想定外に想定外が加わった。 「ギギ!」 武器?を失くしたメガーネは接近戦を諦め銃撃に切り替えたようで、その爆発が後ろで起こった

2021-06-26 10:35:52
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「うおっ!?」 普通なら最悪なんだろうが、いまはナイス!爆風で思いっきり身体がふっ飛ばされ、アスカさんが飛んでいく前方に落ちた。 「ラッキー!」 受け身を取って転がり、急いで立ち上がる。身体はあちこち痛むがかまっている暇はない。間一髪でアスカさんを受け止めた。 「アスカさん!」

2021-06-26 16:27:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「う、ん」 意識はないみたいだが、特に外傷はなく無事なようだ。 物陰に横たわらせると、メガーネをキッと睨みつける。 「ギ、ギ?」 特に気にした風もないメガーネは、2発目を撃つべく、こちらに照準をあわせているようだ。 ーーやらせない。 太陽を背に、全力で飛び上がり、蹴りを向ける。

2021-06-26 20:13:58
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「ギーッ!」 華麗に決まり、メガーネがよろめいた。……いける!奴が落とした銃を拾い、ぶっ放す。煙幕が晴れたとき、そこに倒れていたのはメガーネではなく人間だった。 「とりあえずは、と」 遠く戦いの音が聞こえるばかりで、周囲にメガーネの気配はない。いったん、博士のところまでアスカさんを

2021-06-26 20:54:52
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 運ぶべきか。お姫様抱っこのように抱えると、周りで戦っていたヒーローが近寄ってきた。戦いが一段落したらしい。 「加勢、感謝する。…言いにくいのだが、本部に向かってくれ。もう無線からの救援もなくなったが、本部の薬が狙われてるらしく、集中攻撃を受けてるらしい」 アスカさんの顔を見て一瞬

2021-06-26 22:58:00
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 考えた。彼女を放ってはいけない。しかしいまはそんな時じゃないのだ。 「わかりました」 頷き返し、とりあえずロボニャンへ戻る。 「博士!本部へ向かいたいんですが!」 ここからはそれなりに距離がある。それに体力は温存しておきたい。 「相わかった!少々揺れるが掴まっておれ!」 ロボニャンが

2021-06-26 23:22:05
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 咆哮をあげ、急加速する。 『にゃ、にゃ〜ん』 …イベントではちびっ子に大人気の咆哮(クラクション) 意匠権を取得して、自動車運転時のイライラ防止として一般販売も予定しているらしいが、今は逆にイラッとする。アクセルに伝導してるから仕方ないが、なんともだ。あと、どうせなら内装もフカフカ

2021-06-26 23:25:37
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ネコ○ス仕様にしてほしい。……いや、そんなことよりも揺れが激しすぎる。瓦礫の上を走っているのだから仕方ないが、車体が何度も大きくバウンドした。 「おっと!」 身体が振り回されないようにシートに掴まる。 ……せよ。 不意に、なにかが聞こえた気がしてあたりを見渡した。 ……せよ。 それは

2021-06-26 23:30:37
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 夢の中で聞いたような声。 『…メツせよ』 意識したからか、今度はもう少し聞き取れた。瞬間、頭の中にノイズが走り、本部の近くで暴れ回るメガーネ。そして、メガーネに向かって何かを叫ぶ課長とアスカさんがいた。 これは…? 瞬間、頭痛がしてそれ以上は考えられなくなった。 「おい、もうすぐ着く

2021-06-26 23:41:45
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ぞ」 「は、はい!」 いまのはきっと気のせい。振り払うようにあたまを振ると、頭痛も治まった。 本部の前には多数のメガーネが張り付いていた。 「あの中に入れれば、あらかた修理の終わったお主のプロトもあるんじゃが」 博士はぼやいているが、そもそもどうやって脱出したんだろう? 「あやつが儂ら

2021-06-26 23:52:51
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L の研究所を狙っておるのは以前からわかっておった。ゆえに秘密の抜け道があるのじゃよ。設計者いわく、『城に抜け道は必須』との事らしいが。倉庫の薬は運べなかったが、奴らがまだ門にいるという事は無事のようじゃ」 みると、その門の前で奮起している数人のヒーローの中に知っている人がいる。病院

2021-06-26 23:59:52
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi にいるはずの課長だ。 「その秘密通路は!?」 まだ怪我の治っていないあの人を、これ以上戦わせるわけにはいかない。 「爆破した」 「は?」 爆破?これは僕の聞き間違いだろうか? 「そのー、秘密通路……」 「だから、爆破した」 2度、同じことを言われ、思わず博士の襟元を掴んでいた。 「なんで爆破

2021-06-27 00:08:09
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L したんですか!」 思わず声を荒らげてしまうが、博士は全く動じてない。 「たわけ!むしろ、なぜ残さねばならんのだ!内から出れるという事は、外から入る事もできるのだ!」 「あ」 そうだ。そこからメガーネが入る事も出来てしまう。ならば、そこにもヒーローに守らせないといけない。ただでさえ少な

2021-06-27 00:21:34
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi い戦力だ、分散させるわけにはいかない。 「あの中に入るには、あれを突破しなきゃいけないということですね……」 あれを?戦いは苛烈を極めている。 「なに、中には入れれば勝ったも同然じゃ。薬を屋上から散布すればいいからな」 博士は軽く言ってくれるが、それはかなり難しそうでは? 「では、

2021-06-27 00:26:42
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 行って来い!」 景気よく押し出されるが、1回の戦闘でスーツは所々ほつれている。性能はさらに低下しているだろう。それでも、結局行くのは、ヒーロー適正とやらのせいか。 「あ、そういえばネクタイじゃがな」 そうだ。さっきも何か言っていた。秘密兵器か? 「変声機になっておる」 いらねー!心の底

2021-06-27 11:01:40
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi からツッコんだ。 「あと、剣にもなる」 「は?」 思わず、変な声が出る。 「こう、こう、振るとな?シャキーン!と剣になるんじゃ」 身振り手振りで博士は教えてくれるが、いまいち要領を得ない。しかし、武器があるのは心強い。 「わかりました、じゃ、行ってきます!」 ネクタイを抜きながら車を

2021-06-27 19:18:22
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 降りて、駆け足で向かう。とりあえず、ネクタイに編成機機能を付けた事は、始末書ものだ。この世界には、『蝶ネクタイに変声機能をつけたら滅びる』という伝説がある。なぜ、そこでギリギリを攻めるのか!心の底出叫びながら、冷静にネクタイを取り外して変形を試みる。…が、案の定というか、動かない

2021-06-27 19:46:51
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi こう、こう、こうか? 「ギーッ!」 無闇矢鱈と振り回したネクタイがたまたま当たったメガーネが倒れていく。 「あ、そういうことか!」 コツを得た気がして、次のメガーネめがけてネクタイを振り下ろすと雑魚メガーネは倒れた。どうも通常状態ではただの布だが、勢いよく振り下ろすと硬化するようだ。

2021-06-27 20:02:20
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 中々便利な仕組みだ。若干短めのリーチが気になるが、急ごしらえとしては上々だ。 「ギ、ギー」 少し強そうなメガーネが、特撮よろしく眼からビームを放ってきた。無理やり態勢を変えて回避すると、他之メガーネに当たって同士討ちとなったが、無理やり腰を捻らせたことで、少しやらかしたらしたい。

2021-06-27 21:06:32
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「うっ」 痛いがあまりかまっている暇はない。それにメガーネを倒すよりも本部へ入るのが使命なのだ。 「よしっ!」 気合を入れて襟裏のボタンを押して走り出す。――これが、最悪の事態を引き起こすなんて知らずに。 すぐに加速がはじまり、リミッターが正常に解除されたのだとわかった。けれど同時に、

2021-06-27 21:12:43
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 頭の中に声が響き始める。…前よりもハッキリと。 『センメツセヨ。スベテヲメガネニセヨ。アラガウモノハケシサレ』 「う、あぁぁ」 気持ち悪さに、思わず足を止めてしまった。そして、膝をつく。もう、立ち上がれない。その間も、何度も、何度も声が響く。繰り返し、頭の中で。

2021-06-27 21:17:01
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ……意識が、朦朧とする。 『奈倉くん、正気に戻って!』 あれは、アスカさんの声? 『奈倉君!やめるんだ!』 今度は、課長? ぼーっとあたりを見渡すと、メガーネがアスカさんと課長に攻撃を加えていた。助けなきゃ、そう思うが身体が動かない。そのうち、メガーネの手がアスカさんの首にかかった。

2021-06-27 21:41:37
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ーーヤメロー! 声にならない叫びのせいか、はたまた別の理由か。メガーネは突然動きを止めた。そこを課長が銃で狙う。 さすが課長だ。もうほとんど生身なのに、ヒーロー用の武器で戦ってる。そう、その銃でメガーネを撃てば…。けれども、課長はいつまで経っても撃たない。それどころか、銃先が震えて

2021-06-27 21:45:18
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi いる。 『すまない、✕✕』 課長の声はよく聞き取れない。意を決したように課長が引き金を引いた。弾がメガーネに命中し、咆哮が上がる。しかしその声は――僕自身から出ていた。 僕がこの、メガーネなのか?メガーネが暴れ、アスカさんを振り投げる。 『やめろ、やめるんだ!』 僕だってしたくない。

2021-06-27 21:57:56
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L もう、いっそ殺してくれ。誰かを傷つけるぐらいなら、いっそ終わらせてくれこの悪夢を! しかし、頭の中では別の声が鳴り響く 『ホロボセ』 違う、違う違う。 『タオセ』 違う、まもるんだ! 『スベテヲメガネニ』 違う、眼鏡とかそんなの関係ない。必死に抵抗するも、声は止まない。

2021-06-27 22:02:46
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 嫌だ、嫌だ、嫌だー! 意識がまた、遠のいていく。このまますべてが終われば……。 『奈倉くんは眼鏡が似合うね』 いつかの、優しいアスカさんの笑顔が蘇る。眼鏡?そうだ、僕は“眼鏡ユーザー”だ! 内ポケットがあるはずの場所を必死で探る。と、指先が硬いものに当たった。引っ張り出したそれは愛用の

2021-06-27 22:12:48
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 眼鏡の感触。それに触れた瞬間、頭の中の声が聞こえなくなる。残ったのは1つの意思。『まもる』という言葉だけ。 同時に、フラフラと力が抜けた僕は、その場に崩れ落ちた。 ーーイテッ 倒れるときに頭をぶつけたようで、思わず手で拭うと、赤い血が見えた。 「奈倉!」 「奈倉君」 二人の声がはっきり

2021-06-27 22:18:22
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi と聞こえる。 「えっと。ご心配をおかけしました」 なんだか気まずくて、とりあえずへらへらと笑って誤魔化した。 「本当よ、まったく!」 「いたっ!」 アスカさんから思いっきり叩かれるのすら嬉しい。彼女を、僕自身の手で殺めなくてよかった。 「しかし、まだ危機的な状況には変わりないがな」

2021-06-27 22:23:36
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 「そうね。ヒーローもどれだけ残っているか……」 アスカさんの瞳が曇る。後方にいたはずのアスカさんがここにいるという事は、もはや後方などない。それは、今の状況を如実に物語っている。 「とにかく君達二人は援護に回ってくれ!私がなんとか道をつくる」 「戦います!」 予想外に大きな声が出た。

2021-06-27 22:29:57
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi 「いや、しかし……」 課長の声は渋い。メガーネ化して暴走した僕を見ればそうなるだろう。 「博士が薬は無事だから、本部から散布すればすべてが終わると言っていました。課長、行ってください」 「いや、行くのは君だ」 力強く課長が、僕の肩を叩く。 「正直、立っているのがやっとでね。走れそうに

2021-06-27 22:41:53
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ない」 実際、課長の体力は限界だろう。ならば、 「アスカさんお願いします」 呼ばれたアスカさんは、驚いた顔をする。でも、これしかない。戦力は削れない。 「奈倉君、君は」 「大丈夫です!…きっと」 不安そうなアスカさんの静止を振り切り前を見る。そう、声が、変わったんだ。だから、 「変身!

2021-06-27 22:46:53
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi ぽちっとボタンを押したところで変化はない。もう、あの声も聞こえない。眼鏡をかけ直し、課長の前に立つ。 「アスカさんを援護します。課長はバックアップをお願いします」 「わかった」 神妙に彼が頷く。 「アスカさん。僕がアスカさんには弾すら絶対に掠らせません。だから、前だけを見て走って

2021-06-27 22:52:07
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L ください!」 「ギ、ギ!」 集まってきたメガーネ達。駆け出すと同時に一瞬で距離を詰め、パンチをお見舞いする。一体また一体と。 「課長、私の見間違いでしょうか?奈倉君が、瞬きの度に、人の姿と、メガーネの姿に変わっていて、点滅しているかのよう」 「いや、私にもそう見える。彼はメガーネの力

2021-06-28 07:03:05
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi すら、自分のものにしたのだろう」 「アスカさん、早く!」 この状態は長くは持たない。それでも、彼女が本部に着くまで守り抜く! 「行くわよ!」 勢いよくアスカさんが走り出したのを視界の隅に収め、そちらへ向かおうとしていたメガーネへ拳を叩き落とす。 「ゴーゴーゴー、ゴー!」 掛け声と共に課

2021-06-28 07:49:19
和美 @777nagomi

@megane_ryman_L 長が弾幕をはる。できた道をアスカさんが駆けてくる。そして、僕は道を作っていく。幸い、もう強力なメガーネはいないのか、弾幕が届かなくなる頃には、本部の入口までたどり着いていた。 「無事に来れたわね」 息も絶え絶えなアスカさんに対し、僕は立ち止まると同時に変身も解けた。しばらく怪人の力

2021-06-28 21:41:01
眼鏡リーマンスキー @megane_ryman_L

@777nagomi も使えそうにない。 「研究室に急ぎましょう!」 これでもう安心だ、どこかにそんな気の緩みがあったのも否定できない。けれど、誰がこんな事態を想像するだろう? 「ごめんね、奈倉くん」 泣き笑いのアスカさんが僕から離れていく。おそるおそる見た腹にはナイフが深々と突き刺さっていた。 「アスカ

2021-06-28 21:53:36
前へ 1 ・・ 4 5 ・・ 13 次へ
0
まとめたひと
霧内杳/眼鏡のさきっぽ@アカウントお引っ越し @kiriutiharuka03

アカウントお引っ越し。こちらのアカウントは2月10日をもって停止します。今までのご愛顧、ありがとうございました。新しいアカウントも霧内杳/眼鏡のさきっぽです。凍結怖いので申し訳ないですがこれで探してください。新しいアカウントでも仲良くしてくださると嬉しいです。