拷問あがつま、というひでえ呼び名で叫んだものです。 204話後、ぜんねず以外の男女カプが成立していた時空をベースとした世界線の、戦争とキメ学と鬼狩りと女体化と、ねずぜんと炭善と家族の話。
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朴@色々と限界値 @hzy195

えっアッそッチィ!? 晴れ晴れとした桜の下で、全校生徒からのそんな驚愕の悲鳴が轟き渡った。

2021-09-06 03:55:15
朴@色々と限界値 @hzy195

あまりにも傷の治りが早いってんで、拷問のペースが上げられることに気付いたら、もうなんだかどうしようもなくなってしまって、俺は呼吸の仕方を忘れた。

2021-09-06 03:55:17
朴@色々と限界値 @hzy195

もちろん、哀れに思ってくれたものがいないわけではなかった。昔鬼殺隊士だった奴なんかはそうだ。竈門家からの差し入れだと、哀れげな目で替えの衣服などを持ってきてくれた姿に、俺は伏して頼み込んだ。 やめさせてくれと。

2021-09-06 03:55:19
朴@色々と限界値 @hzy195

俺のような落伍者にかまけている姿を見せて、彼女たちの評判を落とすわけにはいかなかった。 あんなに真っ青なひどい顔での「おかえりなさい」なんて、今度こそ言わせるわけにはいかなかったのだ。 あの家では、俺は深く呼吸ができた。

2021-09-06 03:55:19
朴@色々と限界値 @hzy195

「ちょっと遠くの土地になるけど、いい仕事が見つかったからさ。しばらく行ってくるね。できれば仕送りもしたいけど、何しろ俺だからさ。期待しないでくれるといいなあ。……あ、でも頼りになる旦那さんが残ってくれているから大丈夫だねえ。じゃあ、行ってきます」

2021-09-06 04:08:14
朴@色々と限界値 @hzy195

あんまりにその足取りが軽やかに見えたから。 私は、あれほどに身を切られるような行ってらっしゃいを口に出したことはないわ。 いつも、善逸さんは笑顔で帰ってきてくれたから、余計に何も言えなかった。 「いつだって、首に縄をかける心地で『おかえりなさい』って言ってたわ」

2021-09-06 04:08:15
朴@色々と限界値 @hzy195

優しさゆえに鋭い刃となれる男だった。

2021-09-06 04:08:15
朴@色々と限界値 @hzy195

わかっていた。たんじろうだけが特別に悲劇にあったわけではない。 悲劇はそこらにあふれていて、それに傷つけられた者たちが寄り集まっていたのが鬼殺隊だ。 たんじろうとねずこちゃんに降りかかった悪夢は、あの中ではたいして特別なことではなくて。ありふれた不幸で。大多数の一つで。

2021-09-06 04:08:15
朴@色々と限界値 @hzy195

でも大多数が同じ目標を共有して、千年つないで、継いできたからこの国から鬼は消えることとなった。 それでも、お前はやっぱり特別だったのだと、俺は今でも胸を張って言えるけど。

2021-09-06 04:08:16
朴@色々と限界値 @hzy195

細い悪寒が続いている。 わかってる。たんじろうはただ、友愛を抱いてくれているだけで、あるいは、ただ許してくれているというそれだけで。 知っているのに、顔を覗き込まれるたびに細い熱情と劣情とを抱いていた。 淡くてもしびれるような恋だった。

2021-09-06 04:08:16
朴@色々と限界値 @hzy195

集団疎開していた子供たちはどうなっただろう。 心身損なわれることなく、帰ってこれて、いただろうか。

2021-09-06 04:08:16
朴@色々と限界値 @hzy195

「きちくべーえー!この国から出ていけ!やっつけてやる!」 何年前のことだったろう。幼い子供に、研がれた竹槍を向けられた記憶を持っている。

2021-09-06 04:08:17
朴@色々と限界値 @hzy195

「――きゃらめるちょうだい」 バラック小屋すら珍しいがれきだらけの荒野の景色。何となく、やせっぽっちの栄養失調がかわいそうなほど見て取れる子供に、弱く着物の裾を引かれた。 「ねえ、キャラメル頂戴、米兵さん」

2021-09-06 04:08:17
朴@色々と限界値 @hzy195

ちょっと、ぼんやりしてしまった。そうこうしているうちに、兄なのだろう青年が駆け寄って後ろから羽交い絞めにするように抱きしめて、子供を俺の体から引き離す。ああ、兄ちゃんは弟を守ってやらないとな。 青年が、俺の容貌を見て、ぎくりとその痩せたからだがこわばったのを何となく見やった。

2021-09-06 04:08:18
朴@色々と限界値 @hzy195

ああ、生きていたのか。 喜んでしまうから、我妻善逸というやつは業が深いと言われてしまうのかもしれない。 「ごめんね、今持ってないんだあ」 申し訳なさをにじませながらへら、と笑う。和装を着ていても俺のすそを引っ張る子供は多かった。

2021-09-06 04:08:18
朴@色々と限界値 @hzy195

「ごめんね、善逸」 「善逸が女だったら、たんじろうは絶対に善逸を選んでたよ」 そんなことを、言わせてしまった自分が一番嫌いだ。 そのくせ、そんな言葉を覚えていながら、何を期待したのか今生ではこんな性別に生まれついてしまった己の、愚かさと、醜悪さ、

2021-09-06 04:08:18
朴@色々と限界値 @hzy195

露呈してしまったあんまりにひどい、誰もを裏切るあさましさ。 ――ああ、……ああ、ああ。 慙愧に堪えない。

2021-09-06 04:08:19
朴@色々と限界値 @hzy195

でも女の子になったのはこれならだれはばからずねずこちゃんの傍にいられるし守れるっていう無意識も働いているんだ…

2021-09-06 04:08:19
朴@色々と限界値 @hzy195

「結婚してください、善逸さん」 「既婚の女性がそんなことを堂々と言うもんじゃありません」 守りたい人と、守りたい人と、無自覚に誰よりも焦がれた人と。 誰のことも守れていない。馬鹿で愛しい兄だった。 「離縁します。知っているんです。もう、私は愛らしいだけの童女じゃないのよ、善逸さん」

2021-09-06 04:08:19
朴@色々と限界値 @hzy195

――最初に彼を密告したのは、私が嫁いだ家の、私を選んだ男であった。 淡い、嫉妬だったのだろうか。あまりに私たちは、心を共有してたから。 だが始まりがそれであっても、それがもたらした結果はどうだ。

2021-09-06 04:08:20
朴@色々と限界値 @hzy195

――何よりひどい。死ぬよりひどい。首を斬って、太陽の下にさらされるよりも、残酷なことをあれはした。 「駄目だ」 折り目正しく折れた片足で正座を解かない、彼の態度は硬かった。 「それでも、見限れないでしょう。君はとてもやさしい女の子で、あいつと同じく一途だから。

2021-09-06 04:08:20
朴@色々と限界値 @hzy195

そして、カナヲちゃんたち、アオイちゃんたち家族のことを、どうあがいても置いてはいけない。子供たちへの風聞もある。女性が経歴に傷をつけてはいけない」 残酷なことに、私が嫁いだ家は、界隈では名の上がる程度には良家、名家の類であったのだ。

2021-09-06 04:08:20
朴@色々と限界値 @hzy195

兄が家族と認めた彼らを、時に保護し気にかけることができているのは、そのせいであった。 「家族は、大事だろう、ねずこちゃん」 「あなただって私の家族でしょう」 「違うよ。俺は、あなたの下男だ。あなたは瑕疵だらけの身分の俺を、慈悲深く雇い保護してくれた、気風のいい優しい女主人だ。

2021-09-06 04:08:21
朴@色々と限界値 @hzy195

――なあ、あいつは、それを信じて死んだだろう」 俺、それを裏切りたくない。俺のわがままに付き合ってくれ。 夜空に浮かぶ月のような彼の瞳がギラリと光った。 「それを抱えて、俺と心中してくれないか、ねずこちゃん」 ――あれ、これ、恋仲で使う言葉みたいだね。

2021-09-06 04:08:21
朴@色々と限界値 @hzy195

彼の方が無邪気な体で、あの頃のように幼い顔してにっこりと笑う。 「俺は、君と恋仲になりたい」

2021-09-06 04:08:22
朴@色々と限界値 @hzy195

――だから、私、何時までもあなたのことを許せないのよ、兄さん、兄さん、 ――大好きだから。

2021-09-06 04:08:22
朴@色々と限界値 @hzy195

拷問あがつま何が書きたかったのかいまいちまとまらない話になってきたな あと時代考証とWW2当時の年齢確認をしていない。どうすんだよ徴兵もできない歳のオッサンだったら

2021-09-06 04:12:36
朴@色々と限界値 @hzy195

待ってほんとにダメだな?計算します

2021-09-06 04:25:40
朴@色々と限界値 @hzy195

「ねずこちゃんにはさあ、ほんとは俺がいない方がいいんだろうね」 正直に言えば、たんじろうもそう思う。 ねずこは、何かに必死過ぎた。切実すぎる眼差しをしている。それは、どうにも、プラスになるような感情ではないとたんじろうの鼻も嗅ぎつけていたから。

2021-09-06 07:45:39
朴@色々と限界値 @hzy195

「俺がわがまま言ったのに。俺が傍にいる限りは罪悪感を捨てられないんだ…かわいそう」 「かわいそう?」 それにはひどい反感を覚えた。ねずこが、善逸の傍に行くために必死だった姿を、善逸が見ていなくてもたんじろうたちは見ていたからだ。つぶさに、畏怖さえ覚えながら。

2021-09-06 07:45:40
朴@色々と限界値 @hzy195

「善逸は、ねずこが嫌いか」 「何言ってんの大好きだ。言っただろ、女の子としていっとう好き」 「なら何で…」 そんなに残酷なことを言うのだ。 いつか、たんじろうの知らないいつかで、残酷なことをしたのだろう。

2021-09-06 07:45:40
朴@色々と限界値 @hzy195

(――俺よりもずっと、知らないお前を見ていたくせに?) 厚い緞帳に隠されたような、それでも確かに腹の底に浮かんだ淡い言葉にびくりとした。その苛烈な言葉は、砂時計がひっくり返ったかのようにすぐにかしゃんと崩れて去っていく。 俺は今、誰かを責めたか。 誰を、誰を責めたのだ。

2021-09-06 07:45:40
朴@色々と限界値 @hzy195

スマートフォンが震えたかすかな音が、なぜかこちらまで伝わってきた。 「ぜんいつ、」 「んー、ん-ん……呼び出し」 まあ、あんまお前さんは気にすんな。 「お前はできるし、お前が仮にできないってなら俺がする。適材適所、俺たちも伊之助もずっと昔からそうだったろう」

2021-09-06 08:26:51
朴@色々と限界値 @hzy195

「さて。――ああ、たんじろ、早く帰れよ。夜は鬼が出るからなあ」 今度こそ後悔はすんな、鍵かけとけよ。 そう言って、本気でもなさそうにゆるく背中を向けて駆けていく。 俺の視界から外れたところで、びゅん、と霹靂のように瞬く間もなくいなくなったのが、なぜだかわかった。

2021-09-06 08:26:52
朴@色々と限界値 @hzy195

あがつまなんでこんなに我が強いんだ ねずこちゃんを徹底的に傷つけやがって

2021-09-06 08:47:47
朴@色々と限界値 @hzy195

そんなあがつまぜんいつ♀、炭さんが無謀をすると気炎を吐いて助けた挙句に怒り狂う。 ふう、ふう、と吐息を落として、シィィィィィという威嚇のような呼吸音。 「――またねずこちゃんを守れないまま置いていく気か、かまどたんじろう」 ねずこちゃんの代わりに俺が粛清してやる。死んでも許さん。

2021-09-06 08:55:28
朴@色々と限界値 @hzy195

入学式でのねずこちゃんによるクソデカボイスプロポーズ 風紀委員という腕章をつけた少女は、キレ散らかしました、という蔑みのゆがみに満ちた表情を隠さずこちらを向いた。 「――新入生。一年、かまどたんじろう」 とてもとても、低い声。 「――お前さん、妹の情操教育何しやがった」

2021-09-06 08:55:28
朴@色々と限界値 @hzy195

――はらはらと涙が落ちた。善逸さんは、ほんのちょっとだけ眉をひそめて、それから優しく優しく笑った。 「ねえ、ねずこちゃん、」 「君の旦那さんは、君が大好きなんだろうね」 そう思うよ。 ――その時の、心臓が握りつぶされるような感覚と言ったら!

2021-09-06 09:52:14
朴@色々と限界値 @hzy195

信じたいものを信じるというよりそう思っといた方が楽だよと言いくるめるに近いあがつま 卑怯な大人になってしまったのだな そして我が強い

2021-09-06 10:02:36
朴@色々と限界値 @hzy195

「――竈門」 「むらた、さん」 呆然と善逸の駆けていった大通りを眺めていた俺の背後に、気遣うように、それでいて無関心なような声がかかった。 「善逸に頼まれましたか」 「うーん、我妻だけじゃないけどな」 いいひとだ。それなりに誠実に、俺に渡せる情報を精査して渡してくれる。

2021-09-06 14:35:19
朴@色々と限界値 @hzy195

きっと善逸には、あとでやんわりと怒られるのだろう。 「ま、帰ろうぜ」 まるで警護するみたいに俺の隣を陣取って歩き出す。 ついていってもいいのだろうか、逆に不安になってしまう。 「村田さん。俺は、何が、」 善逸も、ねずこも、伊之助も、しのぶさんも。 冨岡先生、煉獄先生、宇随先生。

2021-09-06 14:35:19
朴@色々と限界値 @hzy195

俺を取り巻くキメツ学園の優しい檻。 「俺には、何が、足りないのですか」 もうわかっている。俺は察することが苦手だけれど、わかってる。 彼らの持っているものを、俺だけが持っていない。 優しい檻が、そこから出るなと俺のことだけ縛っている。 珍獣にでもなった気分だ。

2021-09-06 14:35:20
朴@色々と限界値 @hzy195

いっとう繊細に仕上がった宝玉。 「善逸は、村田さんは、俺の何を守ろうとしているのですか」 俺だけが溺死させられている気分だ。 善逸。 ――お前からは、いつもぐずぐずと腐った死のにおいが香っているのに。

2021-09-06 14:35:20
朴@色々と限界値 @hzy195

壊れさせてはいけない玉(ぎょく)を、いっそ割ってしまえばいいのだろうか。

2021-09-06 14:38:26
朴@色々と限界値 @hzy195

こんなことやってる竈門家長男、ちょっと考えてないけど何かしら(あるいは何もなく)あって寝た夢の中ですべてを悟ってしまうといいなって…違うよ去ってないんだよ見守ってたよ見守ってたんだよ 彼らの通った地獄の道を 羅刹の鬼となって進んだ兄妹のことを家族が守ってくれてたように

2021-09-06 16:19:50
朴@色々と限界値 @hzy195

そうなった竈門家長男のメンタルの調子はどうなるんだろうな どれくらいメンタル強者なんだろう竈門家長男 アニ滅ではめちゃくちゃサイコパスそのものの目をしているのに(今でもアニ滅見れてないのは割とそのせい)(主人公の立ち絵がめちゃくちゃ怖いって何事)

2021-09-06 16:19:51
朴@色々と限界値 @hzy195

「ぜんいつ、」 「すまない、俺は、あいしている」あいしている、とバックハグしてくる記憶持ち長男 善♀はそれこそが怖かったし、炭もそう思われていたのを知っていた 大正では全部本能だったから無自覚だったけど 互いを尊重しすぎてしまった 「――お前が欲しいとやっと言える」

2021-09-06 16:19:51
朴@色々と限界値 @hzy195

かつて親友だった少女は、宥めるようにたんじろうの腕に繊手を添えた。 「…そうかい、俺は、嫌いだよ」 そう返されるのを知っていた。

2021-09-06 16:25:36
朴@色々と限界値 @hzy195

それににこっと微笑んで、鬼の前にノープラン丸腰で立っちゃう長男 うん君はめちゃくちゃメンタル強いなほんと こういう時だけ ぜんいつくんを激怒させる 逆鱗だとわかっててそうする

2021-09-06 16:25:36
朴@色々と限界値 @hzy195

「なあ、それ、勘違いだよ、たんじろう」 「まいったな、お前、ほんとに素直すぎるんだもんな」 見ちゃった?と金色の少女が苦く笑った。 「ねえ、お前は、大丈夫だよ」 「必要がねえよ。幸せになれるよ。また全部忘れちまえばいい。愚かな男の、泣きわめく声に同調なんてしなくてよかった」

2021-09-06 16:44:14
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まとめたひと
朴@〆切6/2と6/12 @hzy195

甘味の海に溺死しろ|Fate赤弓とkmt善逸|R18腐ゆえに鍵です ある程度まとまった壁打ち等々はプロフカードへ オタクというより軽率な腐女子 タイッツー垢:同じIDです(鍵)暫くこちらにいます Bluesky垢:同じIDソーシャル Xはおおかた情報収集目的で覗いてます