むかし自炊してたのがツイログで遡れないという事象に出くわした ( ゚ ▽ ゚ ;) 『科学技術をよく考える~クリティカルシンキング練習帳』伊勢田哲治・戸田山和久・調麻佐志・村上祐子編、名古屋大学出版会、2013.4.15. pic.twitter.com/LsLoFSc5oz
2021-02-08 19:16:57クリティカル・シンキング(Critical Thinking)[CT] 議論の吟味の流れ (1) 議論の特定 (2) 言葉の意味の確定 (3) 前提の検討 (4) 推論の検討 相手がどういう根拠に基づいて何を主張しているか 根拠として挙げられていることは本当に正しいか 根拠として挙げられていることは本当に根拠になっているか
2021-02-11 23:28:01科学技術社会論(Science, Technology and Society)[STS] 科学技術が引き起こす社会問題の解決においては狭い意味での科学的知識では不十分。 トランスサイエンス 「科学の言葉で問うことができるが科学の方法だけで答えることができない問い」
2021-02-11 23:36:45科学者だけではなく、市民が参加する形での意思決定が必要になる。 科学者と市民の関係についての従来の欠如モデル(科学者から一般人へ正しい知識さえ与えられれば食い違いは消滅するという考え方)に対し、STSで奨励されるのは、専門家と市民が双方向的にコミュニケーションし、市民は pic.twitter.com/2kTJP1qBMS
2021-02-11 23:43:23自分の問題関心にあった知識を専門家から引き出し、専門家は市民と話し合うことで自分たちの問題設定を見直すというモデル。 メタCT 批判的に考えるということ自体について批判的に考える。 本当にCTをするのが適切なのかどうか、ということをCT的にきちんと吟味する。
2021-02-11 23:50:11きちんと吟味した上で受け入れるかどうかを決める、というクリティカルな態度が求められる。 メタCTという観点から、批判的、合理的思考そのものについてもう一度考え直してみる。 [以下、抜粋順序はトレンドに即してバラバラですw]
2021-02-11 23:59:31コラム8、対人論法(ad hominem argument) 「森さんはOと言っている。しかし森さんはこんなひどい奴である。従って森さんの主張は受け入れる必要がない」 「川さんはOと言っている。しかし川さん自身Oに反する行動をとっている。したがって川さんの主張は受け入れる必要がない」
2021-02-12 00:11:47原語の ad hominem はラテン語で「人に向けた」という意味。対人論法とは、相手の議論の中身ではなく、議論をしている人の持つ特徴(老人など)に言及することで、反論をしようというものである。 「あの人は「未曾有」も読めない」といったことが、相手の主張の信憑性を損なうために挙げられる。
2021-02-12 00:20:39過去に間違った発言があったからといって、その後のその人の発言を全て信用できないとみなす、ということもこの種の対人論法の一つと言える。 若干性格の違う対人論法としては、「自分もやっているのに」型がある。「先生は信号は守らなくてはいけないと言うけれども、自分はよく信号無視をしている
2021-02-12 00:28:08だから信号なんて守る必要はない」というのがそれ。先生が「信号は守らなくてはならない」という主張の根拠に挙げた論拠が十分説得力のあるものなら、言った人がどんな人であれ、議論としては妥当なはずだからである。 実のところ、ある種の対人論法は、情報の信頼性の評価の方法としては有用である
2021-02-12 00:33:57「あの人はこの問題の専門家だが、企業からお金をもらって活動しているのだから、その企業に有利な発言は割り引いて考える必要があるだろう」というのも一種の対人論法である。相手の専門家としての能力を信頼するかどうかという場面で、その能力に関係するような個人の特徴(利益相反)を挙げるのは、
2021-02-12 00:41:59むしろ自然だろう。専門的な議論において、相手を信用すべきかどうかの判断の際に、相手の発言の信憑性と関係するような相手の特徴を挙げるのは、決して詭弁ではない。 気をつけるべきは、対人論法は、論理的にはともかく感情的には非常に強く訴えかけるので、流されてしまわないことである。
2021-02-12 00:48:00CTの基本的な考え方として、議論はあくまで議論そのものの善し悪しで判断すべきであって、その議論を述べている人がどういう人かは一旦わきに置いて考えるべきである。詭弁とは言えないような例外の状況も存在するので、対人論法を見つけたら、その例外にあてはまらないかどうかチェックする習慣が大切
2021-02-12 00:54:08【コラム1、思いやりの原理】p.25 思いやりの原理(principie of charity, 慈善の原理) 相手の発言や行動を解釈する際には、できるだけ筋が通ったものになるように解釈せよ。 たとえばAさんとBさんが二人で街中をあるお店に向かって歩いていたとする。しかしAさんはそのお店の看板の前を素通りして
2021-02-12 05:15:21どんどん先に行ってしまう。Bさんから見てAさんの行動には無数の解釈の余地がある。Aさんは看板の文字が読めなかったのかもしれないし、目的地にまっすぐ向かうと不吉な事が起こると信じているのかもしれない。しかし、Aさんに基本的な知識が欠けているとか(店は看板のある建物内にあることを知らない)
2021-02-12 05:22:40妙な欲求を持っているとか仮定しなくても、「看板を見落とした」と考えればAさんの行動は無理なく説明できる。そういう無理のない解釈をせよ、というのが思いやりの原理である。これは生産的な議論を行なう上では必要不可欠な原理である。日常生活で、相手も共有しているであろう前提は省略して喋るし
2021-02-12 05:27:17省略された部分についてはいろんな解釈の余地が発生する。そういう部分を曲解して批判すれば、いくらでも批判は可能である。 CTにおいて思いやりを働かせることを奇妙だと思う人は、論争というものを勝ち負けで捉えているのかもしれない。とにかく相手を論破したら勝ち、というゲームだと思ったら、
2021-02-12 05:32:32相手に対して思いやりを働かせる理由はなくなる。 しかし、CTを行なう理由が少しでも真実に近づきたい、少しでも合理的な結論にたどり着きたい、ということなのだとすれば、論争の相手は、実はその同じ目標のために協力する大事なパートナーなのである。
2021-02-12 05:36:18【知識1、予防原則】p.21 予防原則(precautionary principle)「事前警戒原則」 社会的に大きな影響を与えうるような技術については、危険性について十分な証拠がまだなくとも、予防的な措置を取ることが許される、という考え方。 代表例とされるカタルヘナ議定書では、ある輸入品が生態系に悪影響を
2021-02-12 05:49:03【知識1、予防原則】p.21 予防原則(precautionary principle)「事前警戒原則」 社会的に大きな影響を与えうるような技術については、危険性について十分な証拠がまだなくとも、予防的な措置を取ることが許される、という考え方。 代表例とされるカタルヘナ議定書では、ある輸入品が生態系に悪影響を
2021-02-12 05:49:03及ぼすかどうかについて「科学的情報及び知識」が不十分で確実なことが言えない状態でも、結果が重大だと思えば「締約国が決定を下すことを妨げない」、つまり輸入制限などの措置を取ってもいい、とする。 常に科学的な証拠を重視する「健全な科学」(sound science) の考え方や、
2021-02-12 05:56:56及ぼすかどうかについて「科学的情報及び知識」が不十分で確実なことが言えない状態でも、結果が重大だと思えば「締約国が決定を下すことを妨げない」、つまり輸入制限などの措置を取ってもいい、とする。 常に科学的な証拠を重視する「健全な科学」(sound science) の考え方や、
2021-02-12 05:56:56すでによくわかっているリスクを避ける「防止」(prevention)としばしば対比される。 「わかっている確率」(known probability)と「不確実性」(uncertainty)の区別が重要。 一万人に一人、といった確率が分かっている場合は通常のリスク分析でリスクの大きさが評価できるが、そもそもそうした確率が
2021-02-12 06:03:26すでによくわかっているリスクを避ける「防止」(prevention)としばしば対比される。 「わかっている確率」(known probability)と「不確実性」(uncertainty)の区別が重要。 一万人に一人、といった確率が分かっている場合は通常のリスク分析でリスクの大きさが評価できるが、そもそもそうした確率が
2021-02-12 06:03:26わからないという不確実性がある場合には信頼性のある数値的な見積もりはできない。「健全な科学」は、そうした不確実性のある場合でも、きちんとした科学的根拠もなしに規制などの措置をとるのはおかしい、という考え方で、「予防原則」は不確実性のある場合は別の基準があるべきだという考え方。
2021-02-12 06:08:46わからないという不確実性がある場合には信頼性のある数値的な見積もりはできない。「健全な科学」は、そうした不確実性のある場合でも、きちんとした科学的根拠もなしに規制などの措置をとるのはおかしい、という考え方で、「予防原則」は不確実性のある場合は別の基準があるべきだという考え方。
2021-02-12 06:08:46アメリカなどは「健全な科学」に近い立場を一貫して採用し、欧州連合などが予防原則の側に立つ。 「健全な科学」側から予防原則に対してしばしば投げかけられるのが、「科学的根拠もなしに規制ができることになると何でもありになってはしまわないか」ということである。
2021-02-12 06:12:47アメリカなどは「健全な科学」に近い立場を一貫して採用し、欧州連合などが予防原則の側に立つ。 「健全な科学」側から予防原則に対してしばしば投げかけられるのが、「科学的根拠もなしに規制ができることになると何でもありになってはしまわないか」ということである。
2021-02-12 06:12:47なので欧州連合では2000年に「予防原則に関する欧州委員会通達」を発表した。マーストリヒト条約で規定されていた環境問題以外にも予防原則を適用することを明示するとともに、予防原則の使用に踏み切るプロセスや使用の際の六つの原則を明示した。
2021-02-12 06:17:18なので欧州連合では2000年に「予防原則に関する欧州委員会通達」を発表した。マーストリヒト条約で規定されていた環境問題以外にも予防原則を適用することを明示するとともに、予防原則の使用に踏み切るプロセスや使用の際の六つの原則を明示した。
2021-02-12 06:17:18予防原則をめぐる決定には、そもそも対策を行なうか否かの決断と、どの程度の対策を行なうかの決定の2つの側面がある。 予防的な対策へ踏み切る前にまず古典的なリスク分析が必要である。データ不足などではっきりした答えが出ないが、どうやらリスクが実際にありそうだと思われる時に予防的対策を
2021-02-12 06:23:33予防原則をめぐる決定には、そもそも対策を行なうか否かの決断と、どの程度の対策を行なうかの決定の2つの側面がある。 予防的な対策へ踏み切る前にまず古典的なリスク分析が必要である。データ不足などではっきりした答えが出ないが、どうやらリスクが実際にありそうだと思われる時に予防的対策を
2021-02-12 06:23:33取ることがありうる。どの程度のリスクまでなら許容するかについての社会的意思決定もこの段階で必要となる。また、研究の開始や公衆への情報提供なども予防的対策のうちに含まれる、という点は注意しておく必要がある。対策の中身を選択する上では、どういう理由で予防的対策を行うことになったかが
2021-02-12 06:27:25取ることがありうる。どの程度のリスクまでなら許容するかについての社会的意思決定もこの段階で必要となる。また、研究の開始や公衆への情報提供なども予防的対策のうちに含まれる、という点は注意しておく必要がある。対策の中身を選択する上では、どういう理由で予防的対策を行うことになったかが
2021-02-12 06:27:25重要な役割を果たす。 予防原則を使う際の六つの原則は次の通り。 ①比例性(proportionality) どのレベルの保護を行なうかの選択に比例して対策(measure) を選ぶこと。たいして保護する必要がないと判断されるリスクのために大きな犠牲を伴う対策を立てたりしない。
2021-02-12 06:33:10重要な役割を果たす。 予防原則を使う際の六つの原則は次の通り。 ①比例性(proportionality) どのレベルの保護を行なうかの選択に比例して対策(measure) を選ぶこと。たいして保護する必要がないと判断されるリスクのために大きな犠牲を伴う対策を立てたりしない。
2021-02-12 06:33:10②無差別性(non-discrimination) 似たような状況を違うように扱ったり、同じような状況を違うように扱ったりしない。A国からの輸入品には規制をかけるのにB国からの同じ製品には規制をかけないといったことをするとこの原則に違反する。
2021-02-12 06:38:46②無差別性(non-discrimination) 似たような状況を違うように扱ったり、同じような状況を違うように扱ったりしない。A国からの輸入品には規制をかけるのにB国からの同じ製品には規制をかけないといったことをするとこの原則に違反する。
2021-02-12 06:38:46③一貫性(consistency) 科学的な証拠のある同等の領域で取られている対策と、範囲や性質において同様の対策を行なうこと。Aという遺伝子組み換え作物がBという食品と同じようなアレルゲンを持つと推測され、Bについてはすでに科学的証拠もそろい対策も行われているという場合、Aに対しても同じような
2021-02-12 06:44:53③一貫性(consistency) 科学的な証拠のある同等の領域で取られている対策と、範囲や性質において同様の対策を行なうこと。Aという遺伝子組み換え作物がBという食品と同じようなアレルゲンを持つと推測され、Bについてはすでに科学的証拠もそろい対策も行われているという場合、Aに対しても同じような
2021-02-12 06:44:53対策をとることが求められる。 ④費用と効果の吟味(examining cost and benefit) 対策の決定においては費用効果分析(cost-benefit analysis)を行なうこと。よい環境や健康の維持といった金銭に換算しにくい価値も費用や効果として考慮の対象となりうる。
2021-02-12 06:53:37対策をとることが求められる。 ④費用と効果の吟味(examining cost and benefit) 対策の決定においては費用効果分析(cost-benefit analysis)を行なうこと。よい環境や健康の維持といった金銭に換算しにくい価値も費用や効果として考慮の対象となりうる。
2021-02-12 06:53:37⑤見直しの実施(subject to review) 予防原則に基づく対策は新しい科学的事実の下での見直しをうけなくてはならない。見直しは定期的に行われ、必要な修正がなされなくてはならない。
2021-02-12 07:00:13⑤見直しの実施(subject to review) 予防原則に基づく対策は新しい科学的事実の下での見直しをうけなくてはならない。見直しは定期的に行われ、必要な修正がなされなくてはならない。
2021-02-12 07:00:13⑥科学的証拠の生成の責任の明確化(assigning responsibility for producing scientific evidence) 誰が見直しに必要な科学的証拠を生成するのかはっきりさせておくこと。特に、予防原則に基づく方策において、見ただけで危険だとみなされた製品については、安全だと主張する側に立証責任が移行する。
2021-02-12 07:03:32⑥科学的証拠の生成の責任の明確化(assigning responsibility for producing scientific evidence) 誰が見直しに必要な科学的証拠を生成するのかはっきりさせておくこと。特に、予防原則に基づく方策において、見ただけで危険だとみなされた製品については、安全だと主張する側に立証責任が移行する。
2021-02-12 07:03:32【スキル1、議論を特定する】p.14 CTの対象となるのは「議論」と呼ばれるものである。議論とは、何らかの根拠に基づいて結論を導き出すという構造を持つような発言を指す。「明日は晴れる」と何の根拠も示さず言い切ったら議論ではないが、「天気予報で晴れだと言っていたから、明日は晴れるはずだ」
2021-02-12 08:29:43と言うのは議論の構造を持つ。根拠のない断定は吟味のしようがないが、根拠を示してある場合には、根拠として挙げてあるものは正しいか(本当に天気予報で晴れだと言っていたのか)、その根拠から本当に結論が導けるのか(天気予報は信頼できるのか)といった吟味、つまりCTが可能になる。
2021-02-12 08:34:22議論には3つの要素がある。 結論 : その議論で最終的に主張されること 根拠 : その結論を支持するために持ち出される事実や要因 推論 : 結論と根拠を結ぶ関係 「明日は晴れるはず」(結論)、「天気予報で晴れと言っていた」(根拠)、「から(接続詞)で示される両者の関係」(推論) pic.twitter.com/Bm3s12mOix
2021-02-12 08:42:09議論の構造がわからない限り、議論を批判的に吟味することはできない。 まず、論証図の書き方から。 一つの結論に対して一つしか理由が挙げられていない場合、論証図は一通りしか考えられない。「天気予報で晴れだと言っていた」を(a)、「明日は晴れるはず」を(b)とした時の論証図は図1.2。 pic.twitter.com/C9wlj9WdUj
2021-02-12 08:49:12