①「男性性、身体化 (embody) された男性労働者、そして歴史学者のまなざし」 ②
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『男性学基本論文集』平山亮・佐藤文香・兼子歩編, 2024.1.20. 勁草書房 ① (pp.289-309) Ava Baron [1991], "Gender and Labor History: Learning from the Past, Looking to the Future" 「男性性、身体化 (embody) された男性労働者、そして歴史学者のまなざし」竹田安裕子訳, 兼子歩監訳 #虎に翼 pic.twitter.com/fnJNUrtJys

2024-04-25 19:02:03
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#虎に翼 職場は男性性や男性アイデンティティの構築の主要な場だ。  Canning, K. は女性労働者の身体の表象がもつ重要性、彼女らの身体に付与された社会的病理、彼女らの身体がいかに国家による介入の場となったかを明らかにしたが、男性の身体とセクシュアリティもまた階級史に関与していた。

2024-04-25 19:02:04
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#虎に翼 Kimmel, M. は、「セルフメイド・マン」の神話が造り出した男らしさの基盤は不安定で、男性性は「決して完全に証明できるものではなく、永久に疑念に晒される未解決のものである」ため、男性性の「危機」は常に進行形であり、常に立証が必要であり、その追求は絶え間なく続くという。

2024-04-25 19:02:05
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#虎に翼 Maynard, S. は、職人が自身の技術が時代遅れになることで職と男性性の二重の危機に直面したという。  Kaster, G.L. は、男らしさのレトリックが19世紀の米国労働組合組織化に影響を与えたとする。  確立した男らしさの基準は決して安定しないために繰り返し証明を必要とした。 pic.twitter.com/XRYl0YeEfY

2024-04-25 19:02:06
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#虎に翼 労働の言説には、労働者の男らしさの運命についての「ジェンダーの不安」が織り込まれていた。  オートメーションや時間管理は自動車工場の男性労働者を「再男性化」した。機械化の技術経済的変化や家父長制の全体構造を危うくする女性の社会的役割の変化に対応して、建設労働者の間では

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#虎に翼 著しくマッチョで攻撃的な安全帽の男たちの文化が生まれた。  男らしさの伝統的概念が危機に陥る度に、男性労働者は男性性を再定義することによって、自分の男らしいアイデンティティを守る努力をしてきた。  これらの可変性分析における「危機」の語用は、歴史学者による男性性の扱い方が pic.twitter.com/BuRszsVlQl

2024-04-25 19:02:08
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#虎に翼 いかに静態と変化を不規則に組み合わせ、変化を敗北と捉えているかを明示している。  経済社会的変化は、粗野でタフな男性性の価値を高めることに帰着した。新たに台頭したヘゲモニックな男性性は、強靭さ、体力、攻撃性、危険を冒すことを強調した。筋骨隆々とした男性の肉体的強さは、

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#虎に翼 技術と機械化がその肉体の重要性を脅かすとされた19世紀後半に、文化的にますます重要になった。中産階級男性は自らの軟弱化を補う方法に取り憑かれるようになった。  「男性性崇拝( cult of masculinity )」の台頭で、男性的美徳として、攻撃性と大胆さが自制心に取って代わった。

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#虎に翼 Norwood, S.H. が示すように、この文脈で中産階級と上流階級の男性はスト破りをフロンティアのガンマンと同一視して美化し、大学生はスト破りに虚勢を張る新しい機会を見出した。  ストライキをする男性労働者もまたノーウッドは筋肉をまとった存在として描いた。

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#虎に翼 労働組合は労働運動の英雄を筋骨隆々の男性として描き、野蛮な強さ、暴力、攻撃性と虚勢をロマンチック化することで組織化を男性化した。  自らの身体と引き換えにジェンダー・アイデンティティを確保すること、肉体的剛勇さの言説、フロンティア神話、アスリートの理想化、身体の文化資本、 pic.twitter.com/VaMk206TEA

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これらを台頭する19世紀の中産階級男性は忌避し、自分たちをワイシャツ一枚着ただけの肉体労働の男性から区別した。 「文明化された」中産階級のビジネス服を着ることで、中産階級の男性は、自らの体の欠点や理想的な筋肉のある体を実現する能力のなさを隠すことができた。

2024-04-25 19:02:12
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「屈強な男(he-man)」レトリックは問題のあるお世辞であり、ジェンダー言説がいかに人種化されるかを示している。  下位の人種集団の男性が「生まれつき」持つとされる「自然な」労働身体とは対照的に、白人中産階級の筋肉的身体は「造り上げられ」、規律と自制を使いこなす中産階級男性の pic.twitter.com/RECPoBkOF0

2024-04-25 19:02:13
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優れた能力を表すようになった。「文明化された」中産階級男性と彼らより劣等な存在の間を隔てる境界線として機能した。  雇用主は、移民男性の身体を劣悪な環境で働ける「身体的原料」とみなしたため、彼らの地位が向上することはなかった。

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黒人男性への身体への軽蔑的な社会的意味が、彼らが就く仕事の尊厳(の欠如)を定義した。仕事の人種化は、危険で肉体的にきつい仕事を英雄的なものから屈辱的なものに変えた。  白人の労働者階級の男性が他の人種集団の男たちの身体に向けるまなざしは、人種化された規範的な男性身体観を強化するよう

2024-04-25 19:02:15
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機能した。そのまなざしは、「真の男」の基準からの逸脱の程度を定義することで、男性の身体を規律化する装置として機能した。  白人男性は自己の身体を「社会通貨」の一種として使いながら、自らの体と外見を下位の男性のものと対比させた。 pic.twitter.com/mW7ySCtOXI

2024-04-25 19:02:15
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労働者階級男性は、自らに向けられたまなざしを女性へと転嫁しようとした。ブルジョアのリスペクタビリティの場合と同様、労働者階級の女性は労働者階級のリスペクタビリティを体現するようになった。  筋肉のたくましさが力を与えるのか奪うのかは、まなざしの角度と、誰が「存在」していて、誰が

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「見られて」いるのかに左右された。筋骨たくましいことは、単なるジェンダーの肉体的要素ではなく、ジェンダーを儀礼的に演じることの一部だった。このようなジェンダーの遂行的な性格は、筋骨隆々の男性性を強化するようにも不安定化するようにも働きうるものだった。

2024-04-25 19:02:17
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#虎に翼 「ブラザーフッド(brotherhood)」は労働組合がフラタニティ(fraternity)であることを意味するだけでなく、職場における男性の結束の重要性を明らかにするものだった。ブラザーフッドは友愛主義(fraternalism)や互助の概念と本質的に関連していた。

2024-04-25 19:02:19
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19世紀アメリカの社会的経済的な友愛組織を特徴づけていたのは、男同士の連帯とジェンダーの排他性である。 Clawson, M.A. によれば、友愛主義は、搾取的な資本主義市場から逃れる場としての女性化された家庭生活の代替物であった。友愛主義は19世紀における男性性の危機の徴候でもあった。

2024-04-25 19:02:20
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#虎に翼 19世紀初頭の英国における男性帽子職人や靴職人の「兄弟」たる職人に対する忠誠心は、同業の女性に対しての忠誠心よりも強いものだった。たとえその女性労働者が自分の妻だったとしても。  男性間の権力関係を理解することは、女性に対する男性の権力を理解する鍵となる。

2024-04-25 19:02:20
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#虎に翼 男性性とは男性がその男らしさを他の男性から認められようとする 「ホモソーシャルな上演( a homosocial enactment )」である。  「粗野な男性性(rugged masculinity)」「空威張りする男性性(swaggering masculinity)」という労働文化の要求に応えて生きよという x.com/asadora_nhk/st…

2024-04-25 19:02:21
朝ドラ「虎に翼」公式 @asadora_nhk

🐯 #トラつばプレイバック 🪽 "猪爪寅子を訴える"という花岡を、轟が思い切りビンタ😵 「思ってもないことを宣(のたま)うな」 轟からの叱咤に、花岡はハッと我に返ります。 #朝ドラ #虎に翼 #岩田剛典 #戸塚純貴 pic.twitter.com/ZCoR18LGoQ

2024-04-25 08:15:15
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#虎に翼 圧力は強く、男性は(自分と同じ階級と人種の)他の男性に評価してもらえるような男らしさの証しを示す方法を探し求めた。職場文化は非常に強力であり、「危険な」仕事をすることは「ジェンダーをする(doing gender)」方法でもあった。

2024-04-25 19:02:22
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#虎に翼 労働する男性は男性性を遂行し、その男性性を公に承認してもらう手段を得ることができた。  男性中心の職場では同僚からの圧力が甚大で、マッチョな労働文化への順応圧力も高かった。すべての男性が、(性差別主義に関して)自分の気持が何であれ、女性に対してその品位を貶める言動をするよう pic.twitter.com/NmBZblHVs7

2024-04-25 19:02:23
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#虎に翼 強要された。「強い男」の男性文化に参加できなかった男性は冗談や悪口の標的にされた。ホモフォビア(同性愛嫌悪)、性的な不適切さへの非難、女々しさへの恐れが、男性文化への順応の原動力であった。セクシャル化されたユーモアは「ジェンダーをする」ことで職場の友愛の結束を強固にした。 pic.twitter.com/5B5FwwkBhx

2024-04-25 19:02:24
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#虎に翼  特定の文脈で「男のように冗談がわかる」ようになることは、男性的職場の友愛の絆に仲間入りする手段となった。「真の男」だけが侮辱されながらも自分自身を笑うことができるのである。他方で彼らは、異性愛規範やジェンダーの慣習に従うよう他者に圧力をかけ、従わなければ罰するための手段

2024-04-25 19:18:02
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として、ユーモアや冗談、悪ふざけを利用するのである。「ブラザーフッド」への仲間入りは、しばしば驚くほど性的な儀式を伴った。  近年の男性から男性へのセクハラ訴訟事件は、職場が女性労働者だけでなく男性労働者にとっても非常に性的要素に満ちた場であることを示している。

2024-04-25 19:22:09
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しかし米国の裁判所は、職場での同性間のセクハラを理解し名指すことに困難を抱えてきた。労働者階級史研究者もまた、男性労働文化の性的な性質を認めようとしてこなかった。彼らはそのホモエロティックな内容については沈黙してきた。  男性労働者のアイデンティティは、ジェンダー化された行動の

2024-04-25 19:27:15
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繰り返し (罵り、飲酒、ギャンブル、悪態、女性に対する性的な嫌がらせ) を通して構成された。  いかにセクシュアリティが職場におけるジェンダー規範を監視する機能を果たしていたのかという重要な点が明らかになっている。  男性の女性労働者に対するセクハラにばかり焦点を当てると、

2024-04-25 19:33:46
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#虎に翼 職場が女性参入のずっと以前からいかにセクシュアル化されてきたのかを見落としてしまう。  しかし労働者階級史の研究者は、労働者階級男性のセクシュアリティに自らの批判的まなざしをほとんど向けてこなかった。  労働者は身体化されており、仕事はセクシュアル化された場である。 pic.twitter.com/kDSodxR10e

2024-04-25 19:41:20
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#虎に翼 しかしこれらは単に「女性の問題」なのではない。まなざしを女性の身体化にばかり向けていると、労働者階級史はますます職場における男性の身体の存在を自然化し、職場においては女性の身体は場違いだという考えを強めてしまうのである。 (了) pic.twitter.com/DD2zmONP7d

2024-04-25 19:48:24
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