2018年度に執筆した140字小説まとめ
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千月薫子 @Thousands_Moon4

とあるチェーン店のカフェに入ってみた。初めてのことにワクワクする。ジャンクフードの店とは入る感覚が違う。流れてる曲もオシャレで、みんな勉強したりパソコンでお仕事をしてるのかな。前々から飲みたかったものを注文した。ソファっぽい椅子に腰掛ける。これで私も大人の仲間入り。#140字小説

2018-04-08 23:23:19
千月薫子 @Thousands_Moon4

やっと見つけた。君がいたと聞いては、時間もお金も厭わず、その場所に赴いた。でも君はいなかった。何度も何度も追いかけたのに、今まで君は私の前には現れなかった。私がどれだけこの瞬間を待ち望んでいたことか。パッケージを持って初めまして。もげもげチョコこれで全種類完食だわ。#140字小説

2018-04-09 23:58:11
千月薫子 @Thousands_Moon4

すきっとした青空には桃色がよく映える。桜餅のようにもったりと咲いて枝の節々を重そうに揺らしていた。春の締めを飾るように八重桜が最後の『さくら』を運ぶ。染井吉野にしか興味がないのか、はたまた年度初めで余裕が無いのか。人々は目もくれずに通り過ぎた。八重桜はまだ咲いている。#140字小説

2018-04-11 00:05:56
千月薫子 @Thousands_Moon4

「幸福を運ぶ」ここは天使の学校。天使のお仕事は、対象の動物の心を覗いて、望むことを、自分の力の範囲で実現してあげること。自分の力量の見極めが何より重要な仕事だ。もちろん望みの取捨選択も。簡単そうで判断が難しい。ここにあまりにも優しくて留年し続ける天使がいたそう。#140字小説

2018-04-12 00:57:05
千月薫子 @Thousands_Moon4

学校の最寄りに学生が溢れかえる。待ち合わせ、もしくは待ち伏せかな。とにかく歩きづらくてかなわない。学校が始まって三日目では仕方ないだろうけど。どうせあと三ヶ月もすれば付き合う友だちを選別して、今の子とは会わなくなるだろうにね。別に妬みじゃない。無駄な時間だなって。#140字小説

2018-04-12 23:42:24
千月薫子 @Thousands_Moon4

グラスに零しながら入れた缶のお酒はいつか夢見た味とは正反対だった。苦くてまずい。初めて飲んだけど麦の味って感じなのかな。無理して飲まなくていいよと母は私を心配する。大丈夫だよ。そんな意味も含めてもういっぱい注いでみる。息を吹きかけたら変わるかな?うぇ……苦いままだ。#140字小説

2018-04-14 23:55:30
千月薫子 @Thousands_Moon4

「お母さんおめでとう」私の20歳の誕生日だ。いつものように豪勢な料理を作ってくれた母に言葉を伝える。当の母はぽかんとした顔だ。私は至極真面目に再び口を開く。「長女の私が20歳ってことはお母さんの子育て20周年記念日だよね!お母さんいつもありがとう」私はお母さんの子育て第一号。#140字小説

2018-04-14 01:00:24
千月薫子 @Thousands_Moon4

「そう言えばカバン直したの?前に壊してなかった?」ふと言われたさりげない言葉。それは彼女と知り合って間もない頃の話だった。自分も忘れかかってた出来事をまだ覚えていたんだね。「違うよ。似てるけどこれ新しいものなの」不思議と笑みがこぼれた。覚えていてくれてありがとう。#140字小説

2018-04-18 20:00:53
千月薫子 @Thousands_Moon4

目が開いたまま。枕元の時計を見ると午前3時、草木も深く眠り始めるような時刻にまだ寝付けない。布団をかぶる。体温が徐々に布団を温める。そんな調子で眠くなるはずなのに眠くない。お昼寝もコーヒーも飲んでないのに何故だろう。寝たくない講義ほどよく眠れるというのに、不便だよなぁ。#140字小説

2018-04-19 23:30:24
千月薫子 @Thousands_Moon4

車でどこかへ行ったあと、帰り道の夜の道路はなんというか、さみしい。家があったり、ファミレスがあったりする。今や街灯がたくさんあって明るいけど、車の窓から暗いなかに浮かぶ光を見るとつらくなる。きっと出掛け先で疲れたのもあるんだと思う。でもやっぱりさみしい。たださみしい。#140字小説

2018-04-21 01:13:28
千月薫子 @Thousands_Moon4

本を食べる妖怪って知ってるかい。本喰って書いて「ほばみ」と読むんだよ。昔の本は和紙で出来ていて綴じ具も天然素材だったからね。美味しかったんだろうな。よく端っこを齧られたり、1冊無くなってたりなんてしていたんだよ。今はめっきり減ったようだがね。姿形は人にそっくりだそうだ。#140字小説

2018-04-22 19:11:34
千月薫子 @Thousands_Moon4

あ、先輩。声をかけるか迷う距離に友だちと笑い合う先輩の姿が。その笑顔を私に向けて欲しい、なんて贅沢言わないから……。「お、どうした?」「いえ、なんでもないですよ」そうか?首をかしげて去っていく先輩の背中を見送った。もう少しこのままあなたを見かける日常を過ごしたい。#140字小説

2018-04-24 00:36:28
千月薫子 @Thousands_Moon4

「なんか最近上手くいかなくてさ」苦笑いするあなたの瞳に疲れと、私の知らない影が滲んでいた。いつも優しく頭を撫でる手を、そっと両手にとる。「おつかれさま」実は私より小さい手を包み込む。大丈夫だよ。きっとあなたの頑張りを誰かが見てくれてる。少なくとも私が見てるよ。#140字小説

2018-04-25 00:34:07
千月薫子 @Thousands_Moon4

いじけてない。ふくれっ面でそっぽを向いた。いじけのテンプレートで模範的ですらあるその態度に僕はそっと息をついた。そう?じゃあ、今日はもう帰ろうか。つとめて穏やかに言ったつもりだったのに、僕の腕をすぐさま掴んで首を振る。話してごらんよ、僕も聞いてほしいことがあるんだ。#140字小説

2018-04-27 01:07:45
千月薫子 @Thousands_Moon4

書きたいから書く。描写が拙くて、時系列がしっちゃかめっちゃかで、キャラが安定しない。オチもないし、ストーリーにアイデアがある訳でもない。でも書きたい。絵じゃない、詩でもない。私は物語が書きたい。誰の目にも止まらなくていい。世界のすみっこで、私はひたすら書き続ける。#140字小説

2018-04-27 01:13:51
千月薫子 @Thousands_Moon4

「お前があたしを越えるって?バカ言ってんじゃないよ」お師匠は僕のいうことを真に受けてくれなかった。教える時も手本を一回やって「ほらさっさと同じことやんな」無茶振りするクソみたいな人だ。間違えたら教えるでもなくもう1回手本を見せる。いつか見てろ、絶対あんたを食ってやる。#140字小説

2018-04-24 00:23:48
千月薫子 @Thousands_Moon4

私は貴方が真剣に真面目に向き合うその横顔が見られればよかった。あんな風になりたい。憧れはどこかで、いや。彼から告白された時に違うものになった。違う。貴方が好きなのではなかったんだ。離れた途端にわかる本心なんてなんと皮肉なものか。貴方は憧れの存在で終わるべき人だった。#140字小説

2018-04-17 00:00:03
千月薫子 @Thousands_Moon4

「言葉は刃になる」展覧会へようこそ。よく聞く文言だろう。昨今はどんな言葉が刃になるのかも分からない子が多くてね、当博物館ではこんな催しをやっているんだよ。刃になると言っても悪い意味だけではない。自体を切り開いてきた、そういう革命や開拓の刃もある。さて、案内しようか。#140字小説

2018-04-15 23:13:11
千月薫子 @Thousands_Moon4

え、読めない。ん?アップデートの失敗かな?iPhoneに表示された文字が解読不能だった。いつもと同じように操作しても動かなかったり、ふとした瞬間に動いてしまったり。何か変なものでもダウンロードしたのかな。見かねたらしい妹が言った。「お姉ちゃん、携帯逆さにしてなにやってんの」#140字小説

2018-04-28 23:22:58
千月薫子 @Thousands_Moon4

お昼どきを過ぎた食堂は閑散としていて、でも人の声が聞こえる。友だちと試験に向けた勉強会をしていた。白い紙が黒く染まってゆく。時々ぱらりと教科書が静寂に音を落とした。私はというと、携帯をいじるフリして盗撮の準備中だ。人が勉強している姿ってかっこいいなって思うんだ。#140字小説

2018-04-28 23:31:12
千月薫子 @Thousands_Moon4

情報伝達の手段であれば、笑顔は咲かない。真実を伝えるものならば嘘はいらない。本当に苦痛なら、字を書く人はこんなに多くはいないでしょ。今もどこかで新しい言葉が生まれている。どこかで誰かが悩んでる。そんな人に何かを与えられる言葉を、表現を、物語を伝えたい。届けよう。私が。#140字小説

2018-04-28 23:53:54
千月薫子 @Thousands_Moon4

「それでそれで!」友人が目を見開いて次々と舌をもつれさせながら私に話してくれる。うん、うん。面白い話の中には愚痴もあったり楽しい話もあったり。知ってるよ、私が元気ないのに気づいてるんだね。あなたのそんな優しさが私は大好き。一言も話さなくとも、私は笑顔で相槌をうった。#140字小説

2018-04-30 01:19:03
千月薫子 @Thousands_Moon4

どうしよう。親友と喧嘩した。いや私が悪いんだ。悪いのはわかってる。でもあいつが……。やっぱりあいつも他の子と同じだ。いや、私が悪いんだって!私が!謝らなきゃ謝らなきゃ謝らなきゃ。でも視界の端に彼女を見た瞬間に呼吸が浅くなる。背中に妙な緊張感が走る。もう戻れない。たす #140字小説

2018-05-01 00:40:20
千月薫子 @Thousands_Moon4

強い日差しに立ちのぼるのは緑の匂い、命の匂いだ。袖や丈が短くなってくるのとは逆に陽の光は長くなる。暑くなってきたね。ホント!最近気温が気まぐれで困るわー。少しおばさんくさい?そんなことない。そこらで漂う雰囲気と香りが過去の思い出を呼び起こす。大学2年の夏が、来る。#140字小説

2018-05-02 00:59:23
千月薫子 @Thousands_Moon4

まぶたが重い。自分の意志とは関係なく落ちてくる。体が動かない、動きたくない。でも書かなくちゃ。今日という日が終わるその直前で、転がった携帯に手を伸ばす。昨日の作品の反応は、ぜろ。まぶたがさらに重みを増す。でも私は携帯を起動する。まだ見ぬあなたのために私は筆をとろう。#140字小説

2018-05-03 23:52:27
千月薫子 @Thousands_Moon4

字字字字字字字字字字字字字。字字字字字字字字字字字、字字字字字。字字字字、字字字字字。「字字字字」字字字字字!字字字字字字字字字字。字字字字字字字字字字字字字字。字字字字字字字。字字字?字字字字字字字字。字字字字字字字字字字字字字。「字から意味がログアウトしました」#140字小説

2018-05-04 00:00:23
千月薫子 @Thousands_Moon4

風が体を通り抜けるようなミントの香りがする。アンタが来た証拠だった。いつでもミントのタブレットをガリガリ噛んで颯爽と現れる。人を馬鹿にしたような態度を取るアンタがきらいだ。気まぐれなアンタはアタシが困った時にしか来ない。アンタがにくい。ずるいんだ。涙はかえらない。#140字小説

2018-05-04 23:13:00
千月薫子 @Thousands_Moon4

「青酸カリって知ってる?」私はそんなことを彼に聞いた。知ってるよ、アニメやドラマとかでよく見るよね。彼はふふんといつもの得意げな笑みを浮かべて言う。「そうそう!あれって苦しいらしいね」そうなんだー。気のない返事と共に彼はテーブルにあったコーヒーを口元に運んだ。#140字小説

2018-05-05 20:37:09
千月薫子 @Thousands_Moon4

私は海の中の水と同じ、まじょりてぃのひとつ。平凡に、波風立てないように、不快な害のあるものから身を遠ざけて、無難に無難に生きている。海面に近いところがまた、騒いでいる。でも私には関係ない。水底から他人事のように見ていた。こんな私捨ててしまえたらどれだけいいか。笑える。#140字小説

2018-05-07 23:59:18
千月薫子 @Thousands_Moon4

拝啓、私はわたしが好きですか。こんにちわ、わたしです。どうしても私に言いたいことができたから今こうして書いているの。三日後に死ぬとか、この人と結婚するとか、そんなことは知らないけど、ただ一つだけ。私が想っていることは正しい。不安がる必要は無い。願わくば、自信を持って。#140字小説

2018-05-09 00:37:27
千月薫子 @Thousands_Moon4

魔が忍び寄る夜の世界。なぜ動物は夜に寝るか、知ってるか?夜は良くないものが動きだす。妖怪から、負の感情まで。良くないもの全てがずるりずるりと動き出すのだ。身を守るために私たちは眠る。良くないものは目に見えない。眠らないと体調が悪いのは良くないものに悪戯をされるからだ。#140字小説

2018-05-09 22:45:29
千月薫子 @Thousands_Moon4

君が泣いている。なのに何も出来ない背中をさすってあげることしか、僕にはできない。それだけでいいと君は言う。貴方の大きな手で背中を優しくさすってもらえると勇気が出るのだと。そんな言葉を真に受けて、僕は気の済むまで背中をさすった。病院から見える景色はとても嘘くさく見えた。#140字小説

2018-05-11 00:16:14
千月薫子 @Thousands_Moon4

闇をかける作家のあなたには光沢の無い黒の万年筆を差し上げましょう。実は親指で隠れるあたりに小さな小さな星が描かれております。常に闇だけでは代わり映えがない。ふとした時にその星を思い出してください。その星は読者であり、もう一人のあなた。あなたが闇の中で見上げる星なのです。#140字小説

2018-05-11 16:46:24
千月薫子 @Thousands_Moon4

若き清涼を生み出す作家のあなたには、消しゴムつきの鉛筆を差し上げましょう。緑色の鉛筆は削るのが面倒ですが、あなたの頑張りが目に見えます。六角の一面には青い風のモチーフが彫られています。使い切った時、風は消えるでしょう。ですが、その代わりにあなたの物語が完成します。#140字小説

2018-05-12 23:38:01
千月薫子 @Thousands_Moon4

幻想的なファンタジーを綴るあなたには、羽ペンを差し上げましょう。お世話が必要なペンです。あなたが書きたいと思った時にインクが出る物書き専用となっております。書きたいのにインクが出ない場合がありますが、それは無理をしている時です。書くのに焦ってはいけません。一度深呼吸を。#140字小説

2018-05-13 22:15:52
千月薫子 @Thousands_Moon4

「シャーペンは現代の筆記用具の至高と言っても過言ではない」青いメタリックなシャーペンを持って何の疑いもなく口走った。頭のおかしい友人は年中シャーペンを眺め、使い、買い集めている。「あー、わかったわかった。かっこいいな」適当な返事を返す俺の手にはボールペンが握られていた。#140字小説

2018-05-15 00:35:34
千月薫子 @Thousands_Moon4

私から見てあなたはかっこいい青。どこか憂いのある表情を見せてくれることもあるからネイビーもあったらいいかな。いつもの私からは到底離れた印象を与える色が爪先を染めてゆく。きっと君は言うわね。「珍しい色だね」って。当たり前よ、あなたの色に私が染めたんだから「いいでしょ?」#140字小説

2018-05-15 23:57:53
千月薫子 @Thousands_Moon4

涙が止まらない。悲しいことなんて何も無いはずなのに。ぽろ、つつー、ぽろ、つつー。涙が頬を這う感触が続く。寝転がっている布団にしみが増えていった。私は涙も拭わずに本を読む。真犯人がやっとわかるんだ。涙を拭く手間が惜しい。「そんなに欠伸するなら早く寝なよ、姉さん」うるせ。#140字小説

2018-05-16 22:59:52
千月薫子 @Thousands_Moon4

つらい時はよりかかればいい。静寂にあたたかい気持ちがぽんと生まれた。あんたは頑張ってるよ。画面の向こうへ、思いが伝わるだけの語彙があるか不安になるけど、一字一句を紡ぎ出す。小説とは違う直接想いを伝えるコトバ。「お互い頼りまくろう」と言ってくれるあんたには敵わないねぇ。#140字小説

2018-05-17 23:39:49
千月薫子 @Thousands_Moon4

夏は嫌いだ。僕は浜辺を歩きながらそう思った。隣には白いパラソルをさした君が歩いている。ご機嫌そうにくるくると回しながら。こんなに近くにいるのに顔も見られない。1枚の薄い布は2人の間に微妙な距離を開かせる。だから夏は嫌いだ。僕は気づかれないようにそっとその白地を睨んだ。#140字小説

2018-05-19 00:58:12
千月薫子 @Thousands_Moon4

たかが一瞬。されど一瞬。張り詰める気の、ほんの僅かな隙間が命取りになった。風を切る竹刀が頭上に落ちた。残心を潰そうと追いかけるもその甲斐なく、無残にも相手の色の旗が上がった。後悔で顔が歪む。でもそんなことは言ってられない。あと1分か。上等だ。その一本、取り返してみせる。#140字小説

2018-05-19 23:50:04
千月薫子 @Thousands_Moon4

「じゃあまた」手を振ってホームでわかれた。帰りの電車に向かって歩く。一呼吸ついた後には今日の出来事を最初から流してみた。あそこでお願いすればよかったな。でもあれを言われた時は嬉しかったな。一人で一喜一憂して電車にひょいと乗った。楽しい一日の寂しい終わりに向かって。#140字小説

2018-05-20 23:30:29
千月薫子 @Thousands_Moon4

夜、LEDの明るさしか頼りにできない暗い時間。認識できるのは自分だけの特別な時間。よいこじゃない私はまだ起きてる。今日一日が走馬灯のように脳内を駆け巡った。小さな小さな微粒子のような失敗ばかりが目につく。やっぱり私は駄目なんだと。心に夜の、花が咲く。そして私を埋めていく。#140字小説

2018-05-22 00:06:25
千月薫子 @Thousands_Moon4

歩道橋から見える夕焼けは太陽が大きかった。長い一日をオレンジに染めて浄化するかのように辺りを照らす。大通りには自動車が忙しなく行き来していた。もしかしたら、今あの夕日に手を伸ばせば届くかもしれない。私は手すりに身を乗り出して、明日のために沈む太陽に、手を伸ばした……#140字小説

2018-05-22 23:09:24
千月薫子 @Thousands_Moon4

あ、オレンジ色の水玉の傘だ。柄が茶色で可愛らしい。誰が持っていたのかな。始発の電車に乗り込んでそんなことを思った。可哀想に、忘れられちゃったんだね。このコはどこに行くんだろう。終点?それともまた、別の人の元へ?雨の日はきっと忘れ去られるモノ、ヒトが多い。キミに幸運を。#140字小説

2018-05-24 00:23:10
千月薫子 @Thousands_Moon4

オレンジ黄緑、緑。そして、青。月と太陽が共存する誰そ彼どき。今となっては煌々と輝くLEDのせいで、あなたは誰?なんて聞く機会もない。まぁ、そんな事しなくても、私の横を歩く人なんて決まってるんだから。こっそりその横顔を見上げては、視線を逸らした。どうしても頬が緩んでしまう。#140字小説

2018-05-24 23:50:06
千月薫子 @Thousands_Moon4

オレンジのレンガ作りの図書館。フラミンゴが名物の小さな動物園。それが見渡せる場所に私は立っていた。太陽は出ているけど温度は感じない。風も吹いていない。ここは何処だろう。目の前には駒込ピペットと緑の液体が入ったビーカーがそれぞれ5つあった。手を伸ばそうとして目が覚めた。#140字小説

2018-05-26 10:49:13
千月薫子 @Thousands_Moon4

彼女にふられた。部活頑張って、勉強教えて貰って、馬鹿返上して、同じ大学まで追っかけたのに。別れは一瞬だった。意気消沈している俺に、突然、父さんが再婚すると言った。さては彼女の母親だというオチだな。げんなりしながらその相手に会った。その人は彼女と同じ名字の男性だった。#140字小説

2018-05-27 20:12:08
千月薫子 @Thousands_Moon4

やたら光を放つ画面を睨めつける。深夜の12時を回ろうとしていた。お供のクッキーも半分無くなったが、今日締切のレポートはまだ最低文字数にも到達しない。同志だと思っていた友は既に書き終えていた。深夜独特な静けさの中でクッキーを1つ口に放り投げると、破壊音がいやに短く響いた。#140字小説

2018-05-28 01:31:06
千月薫子 @Thousands_Moon4

散歩。気晴らしや健康のためにぶらぶら歩くこと、だそうだ。実は著名なあの人と、この人、似た意味の名前がついているって知ってた?文筆家というのは総じてそこらを気ままに歩くものなのかもしれないね。ごめんごめん!前に知ってびっくりしたから聞いて欲しくて。君と歩くのは楽しいよ。#140字小説

2018-05-30 00:01:14
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まとめたひと
千月薫子 @Thousands_Moon4

千月薫子(センヅキ カオルコ) ⚡️🧪🍫と申します。ることお呼びくださいませ。主に一次創作の字書き20↑140字掌編作家。相棒(@ame_susk_ringo)とサークル名:つれづれえんにちで活動中。nyanyannyaさん尊敬/アイコンは至極お姉さま@N_satiwo