千月薫子
@Thousands_Moon4
屋根の上で、テレビ用のアンテナと一緒に今日も僕は夜空を見上げる。今日は猫さんがまだお見えにならない。今なら怒られないかも。空に手を伸ばして、バレないように等級が一番低い星に指先を近づける。「何をしているのかにゃ」ひっ。驚いた拍子に星を落として、流れ星にしてしまった。#140字小説
2018-12-27 23:09:31
千月薫子
@Thousands_Moon4
ノートにのたうち回る文字は私によって更生され、綺麗に便箋に並べられる。乱れは許されない。万年筆なんか使っちゃって、手紙をしたためる。誤字がないか確認して、二つ折りにした。封筒に入れて糊付けする。いまさっき確認したのにむくむくと不安が募って、私は糊付けされた封を開けた。#140字小説
2018-12-28 23:13:57
千月薫子
@Thousands_Moon4
机を整理すると出てきた。未使用のノートがたくさん引き出しの奥から。窮屈だったろうに。まっさらな紙が眠るノートを手に取ると埃を払った。かわいいノートがあると百均だろうが高価だろうが買ってしまう。年の瀬らしいな。私は微笑む。来年はきっとこれらが埋まるくらいの物語を書こう。#140字小説
2018-12-30 01:36:43
千月薫子
@Thousands_Moon4
タイムラインを新年の挨拶が埋める。そんな画面を眺めながら僕はトイレで年を越した。いつもより時間の流れが遅いとさえ感じるただの平凡な一日。それが終わると新しい年。なんとも不思議に気分だった。何も変わらない自分と、何もかも新しい世界。トイレで携帯をいじりながら、僕もあけおめとうった。
2018-12-31 23:53:05