(抜粋②) 『誰にも言わないと言ったけれど～黒人神学と私』 ジェイムス・H・コーン著、榎本空訳、新教出版社、2020.3.31.

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(抜粋②) 『誰にも言わないと言ったけれど～黒人神学と私』 ジェイムス・H・コーン著、榎本空訳、新教出版社、2020.3.31. 序文(コーネル・ウェスト) pic.twitter.com/z1SkC5nLRp

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(p.14)　コーンが自身の内のチャーリー・コーンについて語る時、それはブラック・ナショナリストの兄弟姉妹が理解するところのサンコファ(Sankofa [(Sanko- 戻る、fa- 手に入れる)]「過去に戻り手に入れよ」)のようなものなのです。つまり、自分の内側にある最良の部分と確実につながるまでは、

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立ち上がって前進すべきではないということ。最高の規範は、死んでいった者たちによってすでに立てられているためです。 (p.15)　ジェイムズ・コーンはこう言ったのです。「これだけは今すぐはっきりさせておこう。私をおどおどと怯えているニグロの一人だと思って見るな。私はこれからあなたがたに

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真理を教えてやる。黒人の苦しみについて話すから、よく聞け。」 (p.16)　私たち、特に若い世代には、ジェイムズ・コーンを創り出した伝統の精神が必要なのです。燃えるだけではなく、愛と正義をその炎の中心に据えることが。そして何よりも、リスクを背負うのを厭わないことが。

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1.　抑えられぬもの ～仮面を脱ぎ捨てて 1967年7月のデトロイト暴動は、学問の世界でまどろんでいた私を叩き起こした。神学とは私の生業であり、それまでの30年の人生で得たすべてであった。しかし組織神学の博士号は、黒人の正義を求める闘いのために何か役に立つのだろうか。これまで読んだどの書物

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も、黒人がくぐり抜けねばならなかったことに触れたものはなく、私はその答えがわからなかった。「12番通り暴動」としても知られているデトロイト暴動は私を深く悩ませ、それを機に私の思想は大きく変化した。もはや、これまでのようにヨーロッパ人やアメリカの白人たちに手を引かれながらものを書く

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ことなどできなくなったのだ。黒人に、そして彼らの解放運動に対して責任ある新しい形で、神について語る方法を見つけなくてはならない。しかし、人口2万5000人のアメリカ中西部の街にある白人の大学でニグロの教授は私一人であり、そもそも街のニグロの人口は、私の知る限り50人に満たなかった。

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ストークリー・カーマイケルの唱えたブラック・パワーが当時のニュースを賑わしていたにもかかわらず、人種について周囲の人々と話すことはなかった。平静を装って良いニグロであろうと努力する日々。妻と4歳になる息子のことを考えると、家族の社会生活を台無しにすることもできない。大学の進歩的な

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同僚とすら、人種の話題は避けるべきものであった。彼らとは受け持ちの宗教や文学、歴史の授業について会話し、話題が正義の問題におよぶと、激化するベトナム戦争以上のことは話さないようにしていたのだ。ベトナムでの有色人の殺害と、アメリカ諸都市におけるニグロの殺害。これら二つを切り離して

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考えることなど、私にはできなかった。キング・ジュニアのように、世界的な規模の人種差別に対し深い怒りを表明することは、同時に白人の同僚との関係性を脅かしてしまうことを意味していた。当時出席していた第一合同メソジスト教会でも、人種の問題については口を閉ざしていた。

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バリー・ゴールドウォーターに票を投じた白人共和党クリスチャンの門前で人種差別について少しでも話そうものなら、私はたちまち論争の標的となってしまっていただろう。彼らはその笑顔と当たり障りのない優しさで、自分がニグロに対する偏見を持たない善人であることを必死に証明しようとし、

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その返礼として私は、自分が白人に対する恨みを持たない行儀の良いクリスチャン・ニグロであることを示した。私はひっそりと教会社会の一部となっていたのだ。 子供の時から、仮面をかぶることは当然のごとく学んでおり、エイドリアンに移る頃にはその偽装を完璧に習得していた。

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白人の男や女…それがたとえ子どもだったとしても…あえて彼らに反論しようと試みる黒人は皆無である。白人はいつも正しい、そんな世界に彼らは生きていたのだ。それを十分に承知していた私たちは、仕事を失わないために、刑務所に入らないために、そしてただただ生存のために、本当の自分を偽らねば

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ならなかったのである。「白人の連中に見せるために片方の心を、もう片方は自分が知っている自分のために」と続く有名なニグロのフォークソングを、私は成長するにつれてよく聴くようになった。白人といる時はほとんど一言も発せず、話しかけられた時だけ話すようにし、また自分に求められる振る舞い

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白人の振る舞いとは異なるのだが…に従った。つまり、頭を下げて白人の目は絶対に見ないように。リチャード・ライトが「ジム・クロウ下の生活の倫理」と呼んだものを私は憎んでいた。それでも、常に注意深く、彼らの動作一つ一つを観察しなければならない。 (p.27)　その当時、座り込みとフリーダム・

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ライドが南部中で展開されていた。黒人と白人の活動家たちは、ランチカウンターで食事をする権利や州間バスの差別撤退、公共トイレを使用する権利などを主張して血を見るまで殴られ、時に殺されることすらあったのだ。白人の牧師たちは、そんな人々の行動を説教台やメディアを通して糾弾し、彼らのこと

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を「外部の扇動者」「犯罪者」「悪党ども」と呼んだ。一方、私の指導教授や彼の同僚を含む白人の神学者たちは口をつぐんでいた。あたかもアメリカの街頭で何も起こっていないかのように、彼らは教壇に立ち続けたのだ。私は仮面をそっと被り、無事に学位を得た。 エイドリアン・カレッジに教授として

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赴任して約一年、私はニグロとして求められていることを行っていた。だがそんな時、デトロイトの暴動が起こり、私の内の何かもまた爆発した。私の奥深くに眠っていた人種的なアイデンティティが、その爆発によって揺さぶられ、自分の中の「ニグロ」が死に、黒人としての自分が復活したのだ。

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黒人の炎が私の内で燃えている。その時私は初めて悟ったのだ。自らの中で呼び起こされつつあるものを世界に知らせるためには、書くしかないと。そうでもしなければ私は狂ってしまっていただろう。 教会で、メディアで、白人の牧師と政治家たちはブラック・パワーのことをヘイトスピーチと糾弾し、

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また都市部での暴動を、犯罪行為に加担するニグロの暴漢たちによる行動だと非難していた。そして多くのニグロの牧師と公民権運動家が、そんな意見に同調していたのだ。 しかし私の意見はキングとは違っていた。1966年6月にミシシッピでストークリー・カーマイケルがブラック・パワーというフレーズを

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初めて叫んだ時からずっと、この言葉は私の心を捉えて離さなかった。私はブラック・パワーを暴力や憎しみと関連づけて考えたことは一度もない。350年間にわたって白人優越主義に晒され生きてきた黒人にとって、自らの尊厳を主張することは必然であり、ブラック・パワーという言葉は、その必然性を

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言い表している。ニグロの人々は、もはやこれ以上の搾取や侮辱に甘んじることはできない。ブラック・パワーが伝えようとしたのは、そんな単純なメッセージだった。私は神学者として、白人教会へのマニフェストを書かなければならないと感じていた。ニグロはこれ以上、自らの尊厳の蹂躙を我慢できない。

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マルコムＸは私の意識を変革し、私をニグロの神学者から、白人神学者と闘う用意のある怒りに燃えた黒人の神学者に作り変えた。その時初めて發見した黒人としての自覚は、神学を書けと私の背中を押したのだ。神学の世界に新しい声が響いていることを、世界に告げ知らせよう。

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ヨーロッパの神学者について書くように、ブラック・パワーについて書くわけにはいかない。ヨーロッパで生まれた神学に自分を捧げるつもりはないし、啓示の意味についてバルトが正しかろうと、ハルナックが正しかろうと、そんなことはどちらでもよい。そんな議論のために命を差し出すつもりなど毛頭

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なかった。しかしブラック・パワーは違う。すべてを差し出してもまだ足りない。白人優越主義がはびこるこの世界のただ中にあって、黒人の人間性を自覚するため、黒人の尊厳のためなら、この命も惜しくはない。 ブラック・パワーや黒人の文化的アイデンティティ、彼らの政治的正義を求める闘いから、

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目を背け、福音書を語る白人神学者の書物、そんなものはもうたくさんだ。暴動だけを批判し、それを生み出している社会的条件を無視するリベラルな白人牧師、彼らにはもううんざりだ。白人優越主義によって黒人が殺されていく世界に対し、イエスがあたかも何の言葉も持たないかのようにあの世の福音を

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説教する保守的な黒人教会、そんなのはもうたくさんなのだ。 白人男性の神学を彼ら自身に歯向かわせ、黒人解放のための声としよう。戦闘的なニグロの牧師たちには、その思考をいかなる白人神学への依存からも解放させるような神学が必要なのだ。

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「ブラック・パワーとは、今日のアメリカにおけるイエスの福音である！」デトロイト暴動について熟考した結果、私はこのような神学的結論にたどり着いた。そんな折り、アメリカ宗教学会の年次総会が1967年11月に開催された。私は自分でも驚いたことに、大学院時代からの白人の友人たちとの議論の場で、

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勇敢にもこの考えを述べたのだ。私の親友だったロナルド・ゲーツには私の発想が福音のイデオロギー化と映ったようだ。ゲーツの懸念はよく理解できた。人間と神の行為を同一視することの危険性を知るためには、ナチス時代のドイツ教会に何が起こったのかを見るだけで十分だろう。

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文化の神学の危険性については私も十分承知の上だった。しかし私は神について、上からではなく下から、権力ある白人抑圧者の経験からではなく、無力な被抑圧者である黒人の経験という視点から考えていた。神の力は人間のひ弱さの中に、抑圧者に対する被抑圧者の闘いの中に見出される。

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一方、ブラック・パワーを非難する人々は、アメリカにおける白人の福音主義、自由主義、そして新正統主義神学のイデオロギー化に対し、明らかに目を閉ざしていた。自らの教会内における白人優越主義的な部分を受け入れるか、あるいはその構造を無視する、それが彼らの神学的態度だった。

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ほとんどの福音主義者にとって啓示とは無謬の聖書の中にのみあるもので、その他の場所を探す必要はない。しかし私は肝において、神の啓示が貧しき黒人のただ中に見出されることを知っていた。 (p.35)　ブラック・パワーとイエスの同盟など、当時、戦闘的なニグロの牧師ですら主張していなかった。

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彼らの思想は、バルトの「神と人間との無限の質的差異」宣言とどこか似ていた。神は天国に我らは地上にと言い、神と人間との類似のいかなる可能性も排除しようとしたバルト。この主張に反論するニグロの説強者は誰もいなかったし、信徒たちもそれに追従していた。

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一方、ブラック・パワーの信奉者たちは、マルコムＸに倣ってキリスト教信仰を拒否し、「キリスト教は白人どもの宗教だ」と口を揃えていた。彼らにとってイエスとは、ブロンドの髪に青い目をした白人以外の何者でもなかった。黒人性かキリスト教信仰かという選択に直面し、一部の説教者は黒人性を選んで

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教会を去り、ネーション・オブ・イスラムなどの黒人宗教に参加した。 マルコムＸと違い、マーティン・キングは、黒人性をめぐる言説に居心地の悪さを感じており、生涯を通してニグロであり続けた。黒人過激派から迫られた時だけ、彼は渋々「黒人」という言葉を使うのだった。

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キングにとってブラック・パワーは、ニグロを白人から疎外するものであり、それは二つのコミュニティが協力して作る統合された社会への道を閉ざしてしまうものであった。 さて、「ブラック・パワーのメッセージはキリストのメッセージである」ことを神学的に証明するためには、

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はじめにブラック・パワーの意味を、それからキリストのメッセージの意味を定義しなければならない。ストークリー・カーマイケルはハミルトンとの共著で再定義した。「黒人の自決とブラック・パワーを自覚することの目的は、黒人の生活に影響している政策決定の過程に黒人が完全に参与することであり、

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黒人としての美徳を認識することである」。 (p.40)　イエスの信仰の業とは、根本的な意味において貧しい者と圧迫されている者の解放であると、ルカによる福音書は明確に記している。イエスの業の核心に解放がある事を知るために、神学の博士号など必要ない。

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(p.41)　ニグロの自由を求める闘いに唯一欠けていたのは、黒人性の強調と黒人が妥協することなく自らの尊厳を主張する権利を求めることだった。白人からの疎外を恐れたニグロの教会や牧師、活動家は、黒人であることを拒否したのだ。白人はキリスト教を普遍的なもの(もちろん彼らにとっての普遍性とは

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白人的なものに他ならないのだが)と解釈し、それゆえ黒人性の特異性を否定し、それを罪や悪、そして時には悪魔とさえ呼んだ。しかし私はこう主張したかった。イエスの福音は黒人であることに敵対するものではない。いやそれどころか、キリストは黒人なのだ！キリストは正義と尊厳を求める黒人の闘いと

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共鳴するのである。 自分の観点を白人の聖書学者や神学者に正当化してもらう必要がなくなると、イエスの福音について以前感じていた知的な葛藤も消えていった。彼らの神学を読んでいると、聖書のイエスは遠くへ離れていき、彼らが作り出した白人イエスが現れるようだった。 pic.twitter.com/uDO1kjZ3qw

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ギャレットで新約聖書学の授業を受けていた時、教授がイエスを白人男性として描写していたことを覚えている。ボールドウィンが世界教会協議会で喚起したように、ユダヤ人としてパレスチナの「焼け付くような太陽のもとに」生まれたイエスが、白人であったはずがあろうか。中東について少しでも知識の

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ある人であれば、簡単にわかることだろう。イエスは生物学的な意味において白人ではないのだ。白人の学者たちはイエスの本当の姿を伝えようとしていない。彼らは嘘をついている。 権力のない黒人は、彼らのイエス像を他の誰かに押し付けることができなかったため、白人と比べ彼らの宗教体験は

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イデオロギーに毒されていない。しかし黒人は、自らの経験を信頼せずに白人の価値観に頼ってしまうことが往々にしてあった。教会のステンドグラスや家の壁に、白人のイエス像を飾るように。 「何かを書く時の頼りは一つだけ、自分の経験だ」とジェイムズ・ボールドウィンは書いた。

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1968年2月、私はエルムハースト大学で初の公開講座を行った。聴衆は予想通り、ブラック・パワーと福音の同一性について疑問を呈してきた。「苦しんでいるのは黒人だけではない」「福音のメッセージは解放だけではない」。この二点が白人聴衆の主な反応だった。

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もちろん私は、黒人だけが苦しんでいるとも、聖書のメッセージは解放だけだとも言ったことはない。しかし、白人優越主義はアメリカの原罪であり、聖書の中心的なメッセージは解放なのであると私は返答した。 (p.45)　ストークリー・カーマイケルが6月17日に、ミシシッピでのメレディス行進において

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ブラック・パワーを宣言した一ヶ月後、のちの「黒人聖職者会議」(National Conference of Black Churchmen)は、1966年7月31日に『ニューヨーク・タイムズ』誌上で発表した。彼らがブラック・パワーを認めたのは「無力さは乞食の人種を産む」という理由からだった。これらの声明にも私は満足できないで

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いた。黒人が必要としていたのは、ブラック・パワーや黒人芸術運動に比肩しうる神学的革命であった。キリスト教教義そのものについての考え方を変革する必要があったのだ。

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(P.47)　ジェイムズ・ボールドウィンはこう述べている。「物書きになりたいというなら、何を言ってもあなたはそうするだろう。物書きになりたくないというなら、何を言っても仕方あるまい。何かを始める時あなたに一番必要なのは、その努力が無為ではないということを伝えてくれる誰かだ。」

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(P.48)　何かを書く時、心に留めておかなければならないことは3つある。誰に向けて書くのか。その人たちに何を伝えたいのか。そしてなぜそれを伝えなければならないのか。 私は、貧しい黒人キリスト教徒のために、本を書こうとしていた。彼らは、白人社会にあって虐げられており、白人神学の埒外に