第2部 対人行動の諸形態 7. 承認と不承認 10.属性付与と命令
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ある看護婦が、クライエントに一杯のお茶を与えた。クライエントはお茶を飲みながら、こういった。「誰かが私に一杯のお茶をくださったなんて、これが生まれてはじめてです。」

2016-12-08 13:22:42
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ある人間が、他人に一杯のお茶を供するということは、それほど容易な事柄ではない。一杯のお茶が私に手渡されたけれども、「私に一杯のお茶が供せられる」ことはなかったと言っているのである。

2016-12-08 13:23:05
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真に彼の自己もしくは彼女の自己であるところの一人の人間が、ほんとうに、みかけでなく、一杯のお茶を供する者によって彼もしくは彼女自身の存在を認知された他の人間に、実際に、単なる見かけだけでなしに、供するということは、世界中でもっとも単純にして、かつ、もっとも困難なことである。

2016-12-08 13:35:46
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このクライエントが述べているのは、人生の途上で、何杯と数えきれないほどのお茶が、他人の手から自分の手へ渡されたが、それにもかかわらず、一杯のお茶がほんとうに自分に供せられることは、自分の人生で一度もなかったということなのである。

2016-12-08 13:23:41
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ある種の人々は、人間として認知されないということに対して、とりわけ敏感である。誰かがこの点できわめて敏感であるなら、彼らが、精神科に連れて行かれる見込みは大である。(pp.127-8)

2016-12-08 13:23:58
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* この挿話は、チャールズ・ライクロフト博士から、破瓜型分裂病患者の話として伝えられた。

2016-12-08 13:41:10
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自分自身を真に強化する代わりに、他者を支配し統御することによって、また、勃起し射精する能力という、狭い意味での身体的強健や性的能力を理想化することによって、自己の不能性を偽装するのは、ニーチェのいう「弱者」である。

2015-03-18 17:46:54
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ひとは、他者で自分自身を満たすか(取り入れ的同一化)、他者の生を通して生きることによって身代わりとして生きる(投影的同一化)。そのひと「自身」の生は停止する。ひとは堂々巡りをつづけ、いたるところへ向かうが、いずこにも到達しない。

2015-03-18 17:51:30
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露出症者は、自分の身体、もしくは身体の一部、もしくはある種の高く評価される機能や技量を見せびらかして、自分の「ほんとうの」「真の」自己が他者に向かって表出され他者によって承認されたことがいまだかつてないと感じている者の、あの抜きがたい孤独を克服しようとする。

2015-03-18 17:55:57
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強迫的に自分のペニスを露出する人は、生活を通してではなく、この「物」を通して、自己表出の代わりとする。彼が他者に熱望させたかったのは、まさにこの物ではなくて彼自身であること、つまりその行動が「無力」「いんちき」「非現実的」で、誰にも感銘を与えないところの、彼自身だということである

2015-03-18 18:00:14
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彼は、彼のいわゆる「真の」自己を、自分のペニスに置こうとする。だが、潜在的な自己を明らかにし、それによって自分の存在を「強化」する代わりに、彼は、自分自身を内に保持(自分自身を抑制)し、ペニスを外に保持(露出)する。

2015-03-18 18:03:27
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キルケゴールがいうように、にせの境地にある人間は、自分自身を前方へ投げ出し押しやるための、つまり自分自身を投企するための、自分自身の出発点を失ってしまう。彼は場所を失ってしまう。彼は、自分がどこにいるのか、どこへ行こうとしているのかを知らない。

2015-03-18 18:08:07
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絶望においては、ある場所は他の場所と同一であるのと全く同様に、ある時間は他の時間と同一である。未来は現在の結果であり、現在は過去の結果であり、過去は不変である。(pp.155-161)

2015-03-18 18:12:37
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次は、「汝のいるところ、場所が生じる」(リルケ)について。

2015-03-18 18:13:54
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男の子がアパートの周りを駆けて、20回目に目の前を通り過ぎた時、警官はついに、君は何をしているのかねと尋ねた。するとその子は言った。僕は家出しようとしているんだよ。だけどお父さんが道路を渡らせてくれないんだ・・・。この男の子の『自由空間』は父親の命令の内在化によって削られていた。

2015-03-18 18:25:02
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ある人間がそれによって生きている「境地」を理解するには、彼が生育した世界における彼の場所の根源的な意味を知ることが必要である。彼の場所についての彼自身の認識は、彼がまず原初的他者の連鎖によっていかなる場所を与えられたかによって、一部分形づくられる。

2015-03-18 18:28:51
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すべての人間存在は、子どもであれ大人であれ、意味、すなわち他人の世界の中での場所を必要としているように思われる。自分のすることが誰にとっても重大なかかわりがない場合に、誰が自由を選択するであろうか。

2015-03-18 18:37:00
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男女関係においても、相手にただ愛し愛されることを求めるだけでなく、自己に愛されることによって相手が満足させられると自己が感じることを求める。

2015-03-18 18:39:12
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✄---------- 前掲書(R.D.レイン『自己と他者』(みすず書房))から、残りをパラパラと---------✄

2015-03-19 15:00:36
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「無意識」とは、われわれが自分自身に対して、あるいは、お互いに対してコミュニケートしないということである。われわれは、あることを自分自身に対してコミュニケートしないで、他人にそれを伝達することがありうる。(p.31)

2015-03-19 15:04:33
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ひとは、もっとも公共的な光景を経験しているさなかに、もっとも孤独でありうる。共通の経験を共有することは、ふたりの人間の間のもっとも真実なきずなのしるしであることもあり、最低の腐れ縁のしるしであることもある。(p.38)

2015-03-19 15:10:12
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家族からのがれようとする一つの手段は、自己の内部に家族を取り込むことである。それによって彼は、自分自身の内部の外側に存在することができ、それゆえ自由であることができる。

2015-03-19 15:14:54
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けれども彼は、どこへ行っても、また別のところへ行かねばならない。だから、ここに身を落ち着けて、自分自身のものと呼べる場所を持とうと決意する。安住しえない境地からのがれたいという要求が大きければ大きいほど、そうするチャンスがますます少なくなる。

2015-03-19 15:17:03
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境地が安住しえなければしえないほど、そこからのがれることがますます困難になる。安住しえないというのは、去ることもできず、とどまることもできないという意味である。(pp.43-4)

2015-03-19 15:19:51
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逃避とは、ひとが、彼本来の自己とはかけ離れた自分自身を装い、ついでこの見せかけから反転して、出発点に逆戻りしたかのように自分自身を装うところの関係である。二重の見せかけは、見せかけがないのに似ている。

2015-03-19 15:25:29
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彼本来の状態を「実現」する唯一の方法は、最初の見せかけを放棄することであるが、しかし、いったんそれに第二の見せかけをつけ加えてしまうと、予測しうる一連の見せかけには、果てしがなくなる。(p.49)

2015-03-19 15:29:55
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「ただの坊や」とは、まさに、子どもに関する専門家の多くが3歳の人間はかくあると考えるところのものである。(p.51)

2015-03-19 15:31:45
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時間を超越して過去に生き、未来に生きることは、時間の一部に生きながら時間の外に生きようとする試みである。現在は決して実現されない。(p.54)

2015-03-19 15:34:43
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あらゆる人間関係は、他者による自己の、自己による他者の定義づけを含んでいる。このような補完性は、人生のそれぞれの時期において、中心的にも周辺的にもなりうるし、力動的な意味合いの大きいことも小さいこともありうる。

2015-03-19 15:40:25
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ある時点で、子どもは、自らが選択したわけでもないこの両親やこのきょうだいに自分を結びつけているところのきずなの連鎖に対して、反抗する。彼は、この父親の子どもとして、また姉の弟として、定義づけられ同一化されることを欲しないのである。(p.99)

2015-03-19 15:44:22
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共謀は、共謀に対する命令が存在することを認知しないことにおいて成立し、そしてまた、命ぜられた共謀は可能でないということを認知しないことにおいて成立する。(p.101)

2015-03-19 15:47:45
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彼は自分が誰であるかはわからなかったが、自分が何であるかはわかった。そして、自分は、悪者だったのなら、悪者になろうと、彼は思った。悪者であるがゆえに、彼は、悪いことをしなければならなかった。このアイデンティティがいったん定着すると、彼の第一の仕事は、性悪な行動をすることであった。

2015-03-19 15:54:27
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彼がわんぱくを振い、両親が怒ってお前はろくな人間にならないぞと言うたびに、彼は、自分に対する彼らの「愛」が単なる偽善にすぎず、自分は本当は彼らにとって無意味な存在なのだという確信を裏書きするのだった。(pp.104-5)

2015-03-19 15:58:33
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要(かなめ)になるのは、彼の意志と計画の全階層が、そして彼が愛し憎み恐れるところの人物や事物が、彼の成功感や挫折感が、いつアイデンティティを要(かなめ)として回転するかということである。

2015-03-19 16:03:58
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他者や世界についての「現実的な」見方全体を再構成して「真の」自己を再定義するか、事実であることと事実であると知っていることとの間のへだたりを自分が知っていることに立脚して消し去るかのどちらかである。自己のアイデンティティとは、自分が何者であるかを、自己に語って聞かせる説話である。

2015-03-19 16:08:39
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イエスは、両親を捨てよと説いた。彼が強調したかったのは、彼らの関連系に基本的な安定を求めてしがみつくのは賢明ではないということ、そのようなやり方では自分自身を発見できないということであった。(pp.109-10)

2015-03-19 16:12:22
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「家族ロマンス」は、自己を定義する他者たちを変えたいという夢想である。自己のアイデンティティは、他者の再 - 定義によって、自己 - 定義されるというわけである。この父親とこの母親の息子や娘であることに羞恥よりも誇りを感じようとする試みなのである。(p.112)

2015-03-19 16:22:42
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彼に課せられた根源的な真の選択は、両親との共生的関係を失うという犠牲を払って「自分自身となる」か、自律性を失うという犠牲を払って共生を続けるか、である。この問題点は明確なのだが、それについての明確な認知はめったにない。それは常に、家族と共有の空想体系によって、覆い隠される。175

2015-03-19 16:31:33
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二重拘束(ダブル・バインド)状況に必要な要素は以下の通り。 ①二人以上の人間。 ②反復される経験。二重拘束構造が習慣的期待となるに至るような犠牲者の中で繰り返される主題。

2015-03-19 17:07:40
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③一次的否定的命令。「これこれのことをしてはいけません。さもないとお前を罰しますよ」あるいは「もしお前がこれこれのことをしないならお前を罰しますよ」報酬の追求という文脈よりも処罰の回避にもとづいた学習の文脈。

2015-03-19 17:10:37
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④より抽象的水準においては、第一のものと矛盾しており、処罰とか、生存をおびやかす合図とかによって強要される点で第一のものに似ているところの二次的命令。 一般に、非言語的手段を介して子どもに伝達される。また、二次的命令は、一次的禁止のなんらかの要素を侵害することがある。

2015-03-19 17:15:58
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⑤犠牲者に場からのがれることを禁止する三次的否定的命令。二重拘束が幼児期に課せられる場合、逃亡はもちろん不可能である。

2015-03-19 17:18:34
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⑥最後に、犠牲者が二重拘束のパターンにおいて彼の宇宙を知覚することを学んだ時、前述した諸因子一式が完備している必要はもはやなくなる。一連の二重拘束のほとんどどの部分も、パニックや激怒を引き起こすのに十分である。相矛盾する諸命令のパターンは、幻声によって引き継がれることもある178

2015-03-19 17:25:18
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ひとがある人間のものとするところの属性が、その人間を限定づけ、その人間をある特定の境地に置くことになる。彼にある特定の境地を割り当てることによって、属性付与は「彼を彼の場所に置き」、かくてそれは、事実上命令の力を持つにいたる。(p.187)

2015-03-19 17:36:44
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「お前は役立たずだ」とか「お前はいい子だ」とかいう形の全面的な属性付与の場合、そのように与えられる属性を受け入れる側には、自分自身でそれを否認しうる手立てが全くない。そうした事柄について取り計らうことができるような境地を彼がわがものとするにいたるまでは。(p.188)

2015-03-19 17:41:26
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人間は他人がこうであるとみなしているところのもので必ずしもないということを悟るのは、一大偉業というべきである。(p.189)

2015-03-19 17:44:14
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自分が自分にする属性付与が、自己について他者によってなされる属性付与と背離している場合、特に他者による属性付与が命令として受けとられる場合、罪や不安や怒りや疑惑を感じるという強い傾向が存在する。(p.189)

2015-03-19 17:54:45
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ジョーンの母親は、彼女の二十歳の誕生日プレゼントに,ふた回りも大きくて地味なブラウスを彼女に贈った。ジョーンはがっかりしたり腹を立てたりせず、恥ずかしさと罪を感じたのだった。彼女は、自分がそのブラウスにぴったりのサイズでないために、自分自身をどうしてよいのかわからなかった。

2015-03-19 18:00:03