「けんえん。」の作中の元ネタとなった民話や神話の解説集です。漫画ではだいぶアレンジしてるので本当はこういう話だったのか〜というのが知りたい人向け。
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風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

サカトメに関しては天竜大神のところで解説しておりますのでそちらをご参照ください。 twitter.com/fuetsudo/statu…

2019-07-07 13:04:22
風越洞【ふることふひと⑤2/15】 @fuetsudo

安曇野にある穗髙神社では穗髙見命(ホタカミノミコト)をお祀りしておりますが、この神様の妹が諏訪の御祭神である八坂刀売命(ヤサカトメノミコト)と言われており、二柱はともに安曇氏が祀る海神・綿津見神(ワタツミノカミ)の子供達です。名前がいっぱい出てきてややこしくなってきましたね。

2019-04-07 12:29:10
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

・御神渡り 諏訪湖が氷結すると表面に山脈のような氷壁の盛り上がりができます。これを「湖水神幸(こすいしんこう)」といって、上社のタケミナカタが下社のヤサカトメの元に通われた印である、と伝えられています。これも「諏訪七不思議」の一つです。

2019-07-07 13:04:22
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

でも上社と下社の両社にはそれぞれタケミナカタとヤサカトメの夫婦神が一緒に祀られているのに、片方の社に会いに行くなんてちょっとおかしな話だと思いませんか。お互いのパートナーならすぐ隣の社にいるのにわざわざ対岸まで渡らんでもいいじゃん…と私は思うのですが…???

2019-07-07 13:04:22
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

実際に祀られている(と言われている)神と伝承に矛盾が起きているように感じるのも、諏訪のミステリーなところです。ですが御神渡りを「神様がお通りになった道」という自然と神を結びつける非常に日本人らしい幻想的な思想はとても好きです。結局お諏訪様とは何なのか?色々考察すると楽しいです。

2019-07-07 13:04:23
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

・番外編 余談ですが諏訪は縄文時代の遺跡も有名です。キャラクターデザインに関して私はほとんど何も指定せず毎回壱村先生にポイっと丸投げしているのですが、モレヤだけは縄文風にしてほしいとオーダーを出させて頂きました。ワイルドかつシャーマニックでかっこいい素敵なデザインですよね!

2019-07-07 13:04:23
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

【7巻収録説話集②】 ・猿の婿様 これはもはや原点がどの地域なのか分からないほど全国的に分布している話なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。数ある日本民話の中でも断トツで胸糞悪い話なのですが辰野バージョンでは切なさの方が際立っているという珍しい例です。 pic.twitter.com/eWCAX1NUsH

2019-07-31 12:31:45
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風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

昔、辰野の新町に三人の娘を持つ百姓がいました。日照り続きで百姓が困っていると一匹の猿がやってきたので、百姓は猿に「田に水を貯めてくれたら娘を一人やる」と、つい約束をしてしまいました。猿にそんな事できっこないと、たかを括っていたのです。

2019-07-31 12:31:46
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

ところが翌日、一面に水が溜まっている田を見て百姓は驚きました。娘達に例の約束を話すと、上の娘も中の娘も猿の嫁など嫌だと怒って嫌がりましたが、下の娘は自分が行くと言って承諾しました。

2019-07-31 12:31:46
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

そうして猿が娘を貰いにやってきました。百姓が嫁入り道具に何が欲しいか末娘に聞くと、娘は「臼」と「杵」が欲しいと言いました。猿が臼を背負い、娘が杵を担いで猿の住む山へと向かう道中、深い谷側にかかっている一本の丸木橋にさしかかりました。

2019-07-31 12:31:46
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

猿がその丸木橋を渡ろうとした時、丸太が揺れ、猿は谷川へ落ちてしまいました。重い臼を背負っていた猿は水に浮くことができません。川に流されていく猿に向かって娘は泣き叫びますがどうにもならず、猿は「ひめ、ひめ、なくな」と言いながら谷川に押し流されていきました…。

2019-07-31 12:31:46
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

…うん、マイルド(苦笑) 一般的に知られている民話では『末娘はその策略でもってわざと猿を川に落とし殺してしまう』というものです。娘がサイコパスすぎてコワイです。猿は何一つ悪くないのに殺され、約束を破った人間には何のお咎めもないという、昔の百姓のしたたかさが窺い知れる話ですね。

2019-07-31 12:31:47
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

猿が川に流される時に歌を詠むパターンもあります。その歌は七巻をお読み頂ければ分かるかと思いますが、歌自体も何パターンかあって作中では一番オーソドックスなものを使用しました。ちなみに六巻では猩々と杵がちゃんと臼と杵の嫁入り道具を担いでいるので暇な人は確認してみてください。

2019-07-31 12:31:47
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

この話が辰野ではちょっと優しくなっているのは何故なのか?近年になって改定されたのか?そこまでは調べていないのでよく分かりませんが、娘に殺意がなかっただけでも猿はだいぶ救われますね。余談ですが壱村先生の描く猩々がイケメンすぎて思いの外キャラ人気が出てしまった…ような気がします(笑)

2019-07-31 12:31:47
風越洞【ふることふひと⑥5/15】 @fuetsudo

八巻は特に語る事がないので解説はこれにて終了です。ラストエピソードに関してはこちらの夜泣き石の解説を見ると時代設定が分かるかと〜 twitter.com/fuetsudo/statu…

2019-07-31 15:03:52
風越洞【ふることふひと⑤2/15】 @fuetsudo

時は明治元年。それまで東海道に置かれていた夜泣き石は明治天皇の上洛の邪魔になるという理由で撤去され久延寺に引き取られました。その後明治14年の勧業博覧会に石を出す事になったのですが、なんと夜泣き石が会場に到着する前に、既に東京の興行師が張子の夜泣き石を作って見世物にしていたのです。

2019-05-01 13:33:05