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【公式】Dimearn Hall @Dimearn_Hall

青年は、爽やかな笑顔とともに綺麗な装飾の短剣を取り出して、彼女に躙り寄る。貴方の様な人の為に死ぬことなどないと強く言い放つ少女に、笑顔を絶やさないまま。

2021-09-10 22:13:32
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「別に、きみの意思なんて関係ないよ。どちらにせよきみはぼくのために死ぬんだから。 ねぇ………ぼくのために死んでよ?」

2021-09-10 22:14:19
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鋭利な切っ先が、彼女目掛けて振り下ろされようとしたその時。 「!!、妃蘭おねーさん! っ駄目………!!!妃蘭おねーさんに何しようとしてるノ!?!許さないんだからネ…!」

2021-09-10 22:14:50
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今回の被害者の一人である少年が、青年の腰にしがみつき刃を一時的に止めた。少女の制止も耳に入ることなく、必死に止めようとする小さな勇者。それを青年は無表情で見下ろし、テーブルに置かれた灰皿に左手を伸ばせばそれを頭に容赦なく叩き込んだ。

2021-09-10 22:15:23
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衝撃と痛みに苦しみながらも、少年は彼女に逃げてほしいと懸命に足掻く。そんな少年の意図を汲み、尚且つ少年を助けるべく、彼女は『テラス』を駆け出ていく。

2021-09-10 22:15:56
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ガキが邪魔をするなと複数回容赦なく殴りつけ、動かなくなった少年を他所に、青年は彼女をゆっくりと追いかけ始めた。

2021-09-10 22:16:21
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「(いたい、いた、イ。 でも、これで妃蘭おねーさんが逃げてくれたなら、ボクはまァいいかな。 あァ、妃蘭おねーさん、大丈夫かナ…ようやく、ボクは役に立てタ。…もう嫌だもん、あんなモノを見るのは。でも、お母さんとお父さんに、会いたかったなァ…)」

2021-09-10 22:17:01
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ふと、息絶えだえの少年が、犯人の落としていった煙草を見つける。それを掴むのを最後に、__少年は事切れた。

2021-09-10 22:17:50
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『テラス』を駆け出てた少女は、無我夢中に階段を駆け下りるが拍子に転倒してしまい、足を強く捻ってしまった。強く思えど足は動かない。そんな彼女に、コツリ、コツリと青年が階段を降りる音が恐怖と共に迫ってくる。

2021-09-10 22:18:08
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「ッ駄目、、早く、はやく助けを.......ッッ!!」 「……逃げちゃダメだよ。ぼくのために死んでもらわなくちゃいけないんだから……」

2021-09-10 22:18:30
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笑みを浮かべる青年の顔に付いた艶やかな鮮血。 自分よりも幼いあの少年を護れなかったのかと、胸が張り裂ける思いだったろう。 彼が....彼が、最後に自らを犠牲にしたというのに、私は、私は...__________

2021-09-10 22:19:09
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そんな彼女へ無情に振り下ろされた短剣は、今度こそ彼女の腹部へと刺さった。護るものが居なくなってしまった少女は、傷の痛み、苦しみに考えが支配されながら、動けなくなってしまう。

2021-09-10 22:19:58
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「……………はぁ (まさか、2人殺す事になるなんてなぁ……これからどうしよう。)」 自分が生き残る為に、これからの事を思考する。 そこで彼は、2人の死因を誤魔化し、猟奇的殺人犯か複数犯の仕業に仕立て上げようと考えた。

2021-09-10 22:20:23
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まず初めに少女への犯行工作を始めた。『教会』のパイプオルガンの上へ、ワイヤーを駆使し彼女を磔になるよう縛り付ける。その後、両手に抱えた複数の刃物が無くなるまで、彼女の激痛など露知らずに突き刺していった。

2021-09-10 22:20:59
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一方彼女は無抵抗のまま、耐え続けた痛みさえも麻痺していった。か細い灯火が消えかかりそうな、薄らと霞んでも尚美しい瞳を開けて何処か一点を見つめ。

2021-09-10 22:21:32
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「ごめ…………なさ、…おに…………さ、」 ___大好きな兄への謝罪の言葉とともに、静かに事切れた。

2021-09-10 22:22:42
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「………なんだ、まだ生きてたんだ。でも……もう眠っちゃったみたいだね。 おやすみ、あとはぼくがうまくやるから……」

2021-09-10 22:23:37
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罪悪感の欠片もないような声色。 光を無くした彼女の瞳に手を当てれば、それをそっと閉じさせた。 そして次の犯行工作に向かうべく、『武器庫』へと向かうその途中。 ___水色髪の青年に殺され損ねた老人と、ばったり出くわしてしまった。

2021-09-10 22:23:57
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彼の姿を見て、老人は僅かに察する。 「(こいつはまさか………) ……主人カードを……?」

2021-09-10 22:24:33
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目の前の人物も、あの青年の様に『主人のカード』を持ち。 「っ!! おいっ……!待てっ!」 ___既に、犯行を行った人物であると。 加えて、こちらを睨み、何も言い訳せずに駆け出し逃げ出したその行動は、自分の意図を汲んだ青年とは違うだろうことも。

2021-09-10 22:24:50
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『武器庫』に体を滑り込ませると青年は、ここに来るであろう老人に対しての対抗手段を漁る。見覚えのだけある銃を手に取れば、青年は老人を扉を開けて待った。 かたや老人は、傷の痛みで思う様に動かない身体を引き摺り辿り着いた『武器庫』に、ツイてないなと零して入ったが最後。

2021-09-10 22:25:19
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腹部と、両腕両足に銃弾が撃ち込まれた。 何とか弾が当たり、痛みに蹲る老人に、今がチャンスであると胴を蹴り上げ、手当り次第で手に収めた武器を老人へと何度も向けた。

2021-09-10 22:25:52
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「っげほ………貴様っ……ぁ、町夢……かっ……?」 「……そうだけど。何、美しすぎて言葉も出なかった?!」

2021-09-10 22:26:11
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猛攻の前には、問答程しか為す術が無かった。問答の間にも、老人には絶え間無く痛みが降り注ぐ。…それでも、暴力の主に問いかけ、言葉を投げ続けた。

2021-09-10 22:26:45
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「…貴様っ……その様子だと、1人どころか……複数人を殺ったのか……?」 「っだったら何?」

2021-09-10 22:27:02
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「貴様がそれだけっ……慈悲もクソもない事がよく分かる………貴様……そんな奴だったのか……?」 「慈悲…?そんなのぼくが生き残るためには必要ないものだね。そんな奴…なんて、勝手に人柄を決めつけてたのはそっちでしょ?人間には表裏くらいあるんだからっ!」

2021-09-10 22:27:22
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「ごっ.....ォあ.....っお前の様な奴は....今まで腐るほど見てきた......自分が、自分だけが有利な立場になるために他人をっ...あらゆる手を使ってっ....ごほっ.....突き飛ばす.....貴様は....自分こそが人類の頂点に立っていると思っているだろう....?」

2021-09-10 22:28:08
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「……ぼくみたいな神から万物を貰った人間は他よりも生きる価値がある、それの何がおかしいの??」

2021-09-10 22:28:28
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「....いや違う、それは『人』としての特権だろう?生物学的に見れば、お前は誰でもない、ただ孤独に生きる『愚か者』だ......自分が一番だと信じこみ、結局は誰にも見向きされずに散る.....誰よりも生きる価値がある?自分を主張することでしか生きる価値を見出だせないの間違いじゃないのか....?」

2021-09-10 22:29:11
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「っ……うるさい」 「そして死ぬ直前に気が付くんだ....『あぁ、自分は結局こんなに愚かだったのか』とな.....だが貴様は違う。.....何故かって...?それくらい世界がちっぽけに見えているからだ.....」

2021-09-10 22:29:48
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「うるさい………」 「....貴様はこれで終わりだと思うだろう....だが違う....終わりは新しい『始まり』を呼び起こす....残りの生存者が必ず、貴様をあぶり出し、そして......貴様は処刑される...貴様はその時...まで足掻くだろうな、たとえ....仲の親しい菓子をけなしてまでもな...」

2021-09-10 22:30:30
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「…うるさいうるさいうるさい!!!老害のじいさんが好き勝手言っちゃって、遺言か何かなの?!お生憎様、それはみんなには届かないねぇ!!?だってあんたはぼくに殺されるんだからっっ!!!」

2021-09-10 22:30:40
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更に強まった攻撃に、遂に耐えきれなくなったのか、暴力の対象の彼は血反吐を吐いてしまう。しかし、それでも言葉を絞り出し。 「………きさ……ま…貴様っ…… 貴様本当は……周りに認められたかったのだろう……?」

2021-09-10 22:31:22
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その言葉に、攻撃の手が止む。青年の頭の中に、自分を否定し続けた男達、否定し続けられたその行為、過去が駆け巡った。 ____そんな記憶と、老人の言葉を振り払うように。

2021-09-10 22:31:45
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「__そんなに喋りたいなら、あの世で死人にでも話しかけてなよっっ!!!!」 「っ____?!」

2021-09-10 22:32:01
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ペンチを相手の舌の間に入れれば、躊躇いなく彼の舌を噛み切ってしまった。 舌を噛みちぎられた老人は、想像を絶する痛み、苦しみに身悶え、それ以上何も言うことが出来ずに息を引き取ることになる。

2021-09-10 22:32:26
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「(こいつに言われた言葉は忘れよう。今のぼくには関係ない事なのだから …前にも、赤髪の彼女に似たような事を言われたのを思い出す。でも、彼女とこいつは違う。こいつにぼくの心の領域を踏み込まれる筋合いはない。 こいつの言葉なんか、聞かない)」

2021-09-10 22:32:48
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青年は、老人の言葉を頭から追い払う。 想定外で3人も殺した事を悔やむわけでもなく、手間が増えたと溜め息をつきながら、残りの犯行工作へと取り掛かった。

2021-09-10 22:33:27
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『演劇室』にて少年への犯行工作を行う。余計に殴り痕を付けつつも、死から時間が経ちすぎた遺体からは血が出ず、赤ワインによって誤魔化した。『教会』に吊るしあげたものと同じワイヤーを使い、遺体を固定して詳しく調べられないようにする。

2021-09-10 22:33:55
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より頭のおかしな殺人鬼の犯行を思わせるため、『遊戯室』から舞台を彩る道具を持ってくる。 テディベアの全身を裂き、"Look here,not the stage""↓"とワインの赤で指書きした紙を持たせ、舞台上へ座らせる。スポットライトのオマケ付きで。 その風貌は、君達が前に見た通りだろう。

2021-09-10 22:34:25
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最後に、観客席の少年へ何も入っていない額縁を与えると、老人への工作に向かった。 元々荒れていたこちらの現場は、加えて武器を落としていき、ワインをぶちまければそれなりになっていた。申し訳程度に、息絶えた老人を壁にもたれさせて。

2021-09-10 22:34:45
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その後は、乱闘で汚れてしまった床や服、本当の殺害現場の隠滅。食糧倉庫のワインが紛失している事を悟られないよう中を荒らせば、青年の犯行工作は完了だった。

2021-09-10 22:35:15
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「…… (ここまでやったんだ。絶対に生き残ってやる。絶対に だって、ぼくは……… 生きるべき存在なんだから)」

2021-09-10 22:35:32
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___議論は難航した。それぞれの遺体状況が全く異なることから、犯人である青年の戦略通りに犯人が複数人であると多数人に思われていたからだ。 それでも、一人の青年の告白により、その水色髪の青年が犯人であると断定された。

2021-09-10 22:36:48
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いつもと同じ様に、処刑が実行される ……誰もがそう思っていた。 しかし、訪れたのは暗闇。一時の停電のようなもので、直ぐにアカリが灯り始めた。 「…………ふむ、これも……神の導き手でしょうか。」

2021-09-10 22:37:27
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この停電は結局、神の導き手どころか悪魔の仕業だったのだけど。 何がともあれ、彼はここで処刑されることは無かった。 そして、真犯人の青年の友人である赤髪の少女が彼をカマかけたことがトドメとなり。

2021-09-10 22:38:50
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「………… アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!」

2021-09-10 22:39:10
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「はぁ…………もう言い逃れはできないかな。」 真犯人は、自分の本当の姿を『裁判』の間に晒した。その後、青年は自分が起こした事件の詳細と、自分の裁判中の心の内を明かした。

2021-09-10 22:39:43
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「"神のお導き"とやらで菓子くんが戻ってきた時………ぼくは………ぼくは…… ……………安心しちゃった。友達が生きてた事にさ」

2021-09-10 22:40:22
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「菓子くん以外に犯人の目が向いた時、そっちを犯人にしてやろうと思った。…………でも、その時点でぼくはダメだったんだろうね 友達を裏切りきれなかったぼくは…………ここで友達を作ってしまった時点でぼくは、友達を切り捨てる事ができなくなっちゃった」

2021-09-10 22:41:13
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