ラナのほうを凝視して、「しかし、なにも知らぬ者からみれば──われわれがつかう魔剣術も、同じようなものかもしれません」とつぶやいた。 いわれて、ようやくメイは気がついた。 さきほど、ラナがとなえた言葉。 あれは、サラン家のものが魔剣術において使う古代言語と同じではないのか。 と
2020-08-14 08:00:06#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月15日】 いって、メイの知識では、その意味まではわからない。 雑念をふりはらうように頭をふって、ぎゅっと眉をしかめるしかなかった。 * ふたりの男は退場し、血の流れた広場は白砂で掃き清められた。 ラナは血にまみれた手を濡れた
2020-08-15 08:00:02布で拭き、ふたたび広場の中央に立った。 彼女が審判をつとめるらしい。 勝敗は、どちらかが死ぬか、本人もしくは付添の者が負けを認めるまで。 武器は何を使ってもかまわないが、自分自身の力で広場まで持ち込まなくてはならない。 付添の者は、試合中は手をだしてはならず、助言することも
2020-08-15 08:00:03#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月17日】 許されない。できるのは、本人の代わりに降参を宣言することと、戦士が広場に入る前に、準備を手伝うことだけだ。 ルールは、それだけである。 試合の組合せは、ラナがその都度きめる。基本的には、負けたものが抜けてゆく、勝ち残り
2020-08-17 08:00:07方式である。 8人の戦士がいるから、順当にいけば、3回勝利すればよいことになる。 もっとも、ラナはそこまで明言しなかった。 最初の試合は、エマ=ナンラとケイ=バムン。 螺旋闘術の達人、といわれた若い女と、顔を隠した奇術師の男である。 エマは、メイと同じくらいの年ごろである。
2020-08-17 08:00:08#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月18日】 雰囲気もどこか似ていて、するどい目に、大人びた顔立ち。ただし、髪は短く刈り上げて、長身で筋肉質な体つきは男のよう。昼間よりもずっと軽装で、半袖に半ズボン。メイの目からみると、まるで下着姿のように心もとない。 裸足である。
2020-08-18 08:00:11ぐっ、と脚を高くあげて、地面に振り下ろす。 震! 空気が、ふるえた。 試合場の外にいるメイたちのところまで、震動が伝わって来る。 そのまま、半身で右手を小さくあげた構えをとる。 エマの付添である、パナンという老人が、くつくつと笑うのが聞こえた。 さて、試合はまだ始まっ
2020-08-18 08:00:12#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月19日】 てはいない。 むかいに立つケイは、身じろぎもしない。布で全身を覆っているので、表情も読めない。 ただ、枯れ木のようにしずかに立っているばかりである。 「それでは──」 ラナが手をあげて、大きな声で、 「はじ、め……」
2020-08-19 08:00:04叫ぶ、が、さいごの一音は、なぜか小さくなって消えた。 「……いま、なにか。」 モリスがつぶやくのが耳にはいった。「なにか、聞こえませんでしたか。」 「なにか、とは?」 聞き返す。が、いらえはない。 試合場では、ラナがきょとんとした顔で、あたりを見回している。 エマも、動かない
2020-08-19 08:00:06#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月20日】 。それどころか、構えをといて無防備に突っ立っている。なんとなく不機嫌そうな顔で、腕組みをしながら。 ケイだけが、動いていた。 奇術師の男は、すたすたと無造作にエマの近くに寄り、すっと首に手をやった。 エマは抵抗しない。
2020-08-20 08:00:24まるで、触れられていることに気づいていないようだ。 そのまま、数秒。 エマの膝が、がくんと折れて、前のめりに地面に倒れた。 動かない。気絶しているようだ。 ケイが、くるんとラナのほうに向きなおって、「おれの勝ちだ。」と言った。 ラナは、しばらくきょとんとした後、ちいさく首を
2020-08-20 08:00:24#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月21日】 かたむけて、言った。 「ケイ様、……早速、つかわれましたね。」 「なんのことだ?」 ケイは低い声で、 「それよりも、……これは、おれの勝ちでよいのだろうな。」 「いいえ。」 ラナは小さく笑って首を振った。 「なに!?」 「…
2020-08-21 08:00:10…相手が死ぬか、降参するまでと申し上げましたでしょう」 「いや、それは……ならば」 ケイは、エマの付添であるパナンにむけて、大声をあげた。 「聞いたろう! こいつは失神している。負けを認めよ!」 「ほォ」パナンは、人のよさそうな顔でにやにや笑いながら、はげ頭をかるく叩いた。 「わし
2020-08-21 08:00:11#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月22日】 が、かね。まだ弟子がそこにいるというのに!」 「まだ戦えるとでも?」 「知らんよ。わしゃあ、ただの野次馬よ。そこに立った以上は、最後まで闘うのが武術家のさだめよ」 「たわけたことを、」 ケイは、ラナのほうに顔を向けた。ラナ
2020-08-22 08:00:04は、ケイのことばの先を読むように、 「ケイ様、とどめを刺されませ」 「なに!?」 「殺してしまえば、文句なくあなたさまの勝利。……ご心配なさいますな。決着がつきましてから、わたくしが生き返らせてさしあげます」 ケイは黙ってしまった。布で顔を隠してはいたが、歯噛みする音が聞こえるよう
2020-08-22 08:00:06#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月24日】 だった。 やがて、ケイは身をひるがえして、 「……おれの負けでよい。」 ぼそりと、そう云うと、すたすたと歩いて広場を出てしまった。 * 二試合目── メイは、試合場に立っていた。 対戦相手は、マテル。色白の、線の細
2020-08-24 08:00:05い長身の男である。 自信にあふれた顔つき。モリスとは正反対だな、とメイはおもう。だからどう、ということでもないが。武器は持っていないようだが、さきほどの試合の例もある。油断はできない。 「ちょっと待ってくれ」 マテルは、にやつきながら、手をあげてラナにそう言った。 「準備をする」
2020-08-24 08:00:06#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月25日】 「どうぞ」ラナは、メイがうなずいたのを確認してから、そう答えた。 マテルは、「すまんな」と言って、おもむろに帯をといて、ズボンをおろした。 (何を!?) メイは思わず叫びごえをあげかけて、こらえた。 ラナは平然と横目で
2020-08-25 08:00:10見ながら、だまっている。 マテルは、そのまま上着を脱ぎ、下履きもおろして、全裸になってしまった。 さいごに靴を脱ぎ、脱いだものをかるく蹴飛ばして、 「またせたな。」 均整のとれた肉体を見せつけるように手をひろげて。 メイは、かっと頭に血がのぼるのを感じた。 「はじめ!」 ラナ
2020-08-25 08:00:12#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月26日】 のかけ声。 メイは、『弓の構え』をとった。大きく、頭上に剣をふり上げる構えだ。 そのまま、すっと右足を出して、距離をつめる。 独特の歩法である。ほとんど、すり足に近いくらいに足を浮かせて、音もなく。 滑るように、淀み
2020-08-26 08:00:13なく。 尋常の剣術しか知らぬ相手には、まるで、歩かずして動いているように見える。 マテルは、メイが間合いを詰める数秒のあいだ、ただ突っ立っていた。 ひゅっ──、 メイが、剣をふりおろす。 無造作に、とみえるが、まっすぐにマテルの脳天、かわしようもない精確さで。 「おっと、
2020-08-26 08:00:15#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月27日】 がきぃんと、ふりおろした剣が、なにか硬いものに当たって止まる。 マテルが、右腕をあげて受け止めたのである。 (小手……?) そんなはずはない。防具どころか、素っ裸だったはずだ。 といって、真剣を素手で受け止められるは
2020-08-27 08:00:20ずもない。 よく見ると、マテルの腕に、緑色の鱗のようなものができている。 「竜鱗さ」 いいながら、マテルは空いた左手をむぞうさにふりおろした。 金属音! メイはとっさに後ろに翔んだ。鎧に衝撃。体に痛みはない。斬りつけられたようだ。しかし、どうやって? 「大熊猿の爪だよ。」
2020-08-27 08:00:21#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月28日】 マテルが、笑いながらつぶやく。 左手から、二の腕ほどもある巨大な鉤爪が生えていた。腕そのものも、いつのまにか丸太のように太くなり、灰色の剛毛が生えている。 メイは、ぎりりと歯噛みしてマテルをにらみながら、ふわりと着地
2020-08-28 08:00:23する。 「おまえも、妙な動きをするようだ。だが……、」 低く腰を落として、両手を地面につける。 「俺の獣化術に、捕らえられないものは、」 脚の形が変わっていく。四足の獣のように。全身に明るい色の毛が生え、力強く、しなやかな体にかわっていく。頭が少し小さくなり、長いひげが生え──
2020-08-28 08:00:25#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月29日】 「どこにも、ない!」 豹だ! 大きな豹と化したマテルは、ごうと鳴いて、ひととびにメイにとびかかった。 するどい爪をそなえた前足を、思いきり叩きつけると同時に、大きく口をあける。 が──メイの姿は、もう、そこにはなか
2020-08-29 08:00:04った。 空! 四つ足のまま、相手をみうしなって目をさまよわせるマテルを、メイは空中から見下ろしていた。ふわりと、宙に浮いたまま姿勢をととのえ、そのまま体ごと剣を叩きつける! ずぶりと、肉に刃がめりこむ音がした。 その感触の異様さに、メイは顔をゆがませて剣をひいた。人を斬った
2020-08-29 08:00:05#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年8月31日】 ことは一度しかない。が、老いた牛や犬で試し切りは何度もやった。肉とは、……こんなふうに、剣をとらえて絡みついてくるようなものだったろうか? 手元にもどしたメイの剣から、竜鱗がぱらぱらと落ちた。 マテルは、また姿をかえよ
2020-08-31 08:00:13うとしていた。傷ついた肩口が大きくふくれあがり、全身に黒い毛皮。猫のような顔つきもかわって、目は少し小さく、鼻はつきだすように。体は倍ほどに太くなり── 羆! 姿をかえても、傷がすぐに治るわけではないらしい。左腕はあがらないようだ。けれども、メイの倍はありそうな背丈と、10倍は
2020-08-31 08:00:13#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月1日】 ありそうな重さ。これだけの体格差があれば、怪我も、武器も、技術も、剛力で吹っ飛ばしてしまうだろう。 まして、メイの体は今、普段よりずっと軽くなっている。動きが速くても、力の差が大きすぎる。 ごお、と羆が鳴いた。メイはため
2020-09-01 08:00:08らわず、剣をふりかぶった。姿勢を低くして突っ込んでこようとするマテルの前頭部に、剣先を思い切り叩きつける。 硬い。そして重い! 巨大な頭蓋に剣がはじかれ、そのまま押し返されそうになる。そのとき── 「……ラテ、ラテ、ミリ、スーサリ、カーラ!」 すばやく、一息に、メイは呪文をつぶ
2020-09-01 08:00:08#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月2日】 やいた。とたんに、メイの剣の刃から、炎の渦が勢いよく巻きおこる! ──がああっ! 羆は大きなうめき声をあげた。すでにその全身は炎に包まれている。メイは反射的に飛びすさって、距離をとった。マテルはもう一度、大きく叫んで、
2020-09-02 08:00:06転げ落ちるようにして広場をかこむ小川にとびこんだ。 「あら、」 のんびりとした声で、ラナがつぶやく。 「そういえば、……場外については、定めていませんでしたね。 ……今すぐ上がってくれば、そのまま続行としますが、どういたします?」 人間の姿にもどったマテルは、真っ赤に腫れ上がっ
2020-09-02 08:00:07#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月3日】 た背中をかばうようにして水からはいあがって、低い声でこたえた。 「……やめとく。火はきらいだ」 * 「……痛ぇよお、」 マテルは素裸のまま、篝火のそばに横たわって、女のひざに頭を乗せていた。 マテルの付添の女は、たしかメ
2020-09-03 08:00:04ナンという名だ。パミリス人にしては色黒で、かなり背が高い。肩までの黒髪をまっすぐに垂らして、いくつもの指輪と首飾りをつけた、おとなしい顔だちの女。 マテルより、少し、年上だろうか。姉というわけでもないようだ。 「あの、……」 モリスは、そっと二人のそばに近づいて、声をかけた。 「
2020-09-03 08:00:05#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月4日】 ナンという名だ。パミリス人にしては色黒で、かなり背が高い。肩までの黒髪をまっすぐに垂らして、いくつもの指輪と首飾りをつけた、おとなしい顔だちの女。 マテルより、少し、年上だろうか。姉というわけでもないようだ。 「あの、……
2020-09-04 08:00:25」 モリスは、そっと二人のそばに近づいて、声をかけた。 「よければ、……治療しましょうか。」 「お医者様なのですか?」 メナンは、泣きぼくろのある目をぱちぱちとしばたかせて、 「助かります。……血は止めたのですが、やけどの薬は、持ってきていなかったので。」 マテルの肩には、布が巻
2020-09-04 08:00:26#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月5日】 かれている。たしかに血は止まっているが、傷は深そうだ。 「医者ではありませんが……、」 モリスは、腰の矢立から筆をとりだし、墨をふくませて、マテルの肩にあてた。 つなぎ文字で、10文字ほどの単語を記す。 獣。そういう意
2020-09-05 08:00:13味の言葉である。 それから、小さな声で呪文をとなえる。同じ内容を、二度、三度とくりかえして。 訳すと、おおむねこのような意味になる。 獣よ、獣よ、 もとの姿に還りたまえ。 獣よ、傷つく前のからだに、皮膚に、骨に、肉にもどり、血を肉にとどめよ。 焼けただれた皮膚は、生まれた
2020-09-05 08:00:14#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月7日】 味の言葉である。 それから、小さな声で呪文をとなえる。同じ内容を、二度、三度とくりかえして。 訳すと、おおむねこのような意味になる。 獣よ、獣よ、 もとの姿に還りたまえ。 獣よ、傷つく前のからだに、皮膚に、骨に、肉
2020-09-07 08:00:08にもどり、血を肉にとどめよ。 焼けただれた皮膚は、生まれたままの毛皮にもどれ。 尾をたてて忍びあるく豹の子のように。木の上でねむる子猿のように。 決まりきった呪文ではない。即興歌のようなものだ。マテルの能力から獣を連想し、呪詩に仕立てたのである。 といって、べつに、効果はか
2020-09-07 08:00:08#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月8日】 わらない。ただの遊び心だ。 ともあれ、マテルはすぐに生気をとりもどし、ぼろぼろと、固まった血と古い皮膚のかけらをまき散らして、立ち上がった。 「すげえ。……俺、こんな感覚は初めてだ。」 「そうですか。」 モリスは、ちょっと
2020-09-08 08:00:10首をかしげて、 「……変身術とは、やはり違うものですか。」 「俺のは、獣化術さ。」 いいながら、素裸で胸をはるマテルの体を、メナンが濡らした布で拭き清めてゆく。 「獣化術というのはな、俺のような勇者だけが手にできる、秘術のなかの秘術さ。どうだ、知るまい?」 「存じません。」 「そうだ
2020-09-08 08:00:11#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月9日】 ろう。……きさまらが、いくら奇妙な術を使おうとも、もう二度と負けはせんぞ。二度とは、な。」 さきほど、涙をにじませて呻いていたのを忘れたように、はつらつとマテルはさけんだ。それから、メナンから新しい下履きを受け取り、身に
2020-09-09 08:00:13着けて、とんと跳ねる。 「しかし、……きさまの女、美人だがおそろしいな。気をつけろよ。寝首をかかれるぞ」 わざとらしくモリスの耳元に唇をよせて、そうささやく。 ……ぼくの女ではありません、と小さな声でいって、モリスはメイのほうをみた。 試合場をかこむ小川から、三歩ほど離れて、
2020-09-09 08:00:15#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月10日】 じっと立っている。 黒髪が、月に照らされてあざやかに輝いている。白い肌が、…… モリスはすぐに目をそらした。 * さて、さきほども述べたが、中庭のすみには、白布がかけられた大きな箱のようなものが置いてあった。 大き
2020-09-10 08:00:09い、という言葉では足りないかもしれぬ。白布のてっぺんの高さは、館の二階の窓とちょうど同じくらい。周囲をぐるりと囲むには、5人で手をつないで少し足りぬほど。 持ち主は、ラモン=シリウスという男であった。 短い銀髪、浅黒い肌。痩せた肉体。ラナ=デミギアと同じ、シーラーナ人であろう。
2020-09-10 08:00:11#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月11日】 それにしては、いささか顔のつくりが濃いようだが。 一般に、シーラーナ人は童顔である。この男も、見たところは二十代のようだが、実際はいくつなのかわかったものではない。 チュニック、レギンス、革の短靴。それから、白い手袋。
2020-09-11 08:00:04背中には、いくつもポケットのついた革の背負い鞄。 もうひとり、連れがいる。 ギメイ=マドマという少女である。シーラーナ人ではなく、帝国の主要人種であるダージ人のようだ。金髪、緑の目、そして筋肉質がダージの特質だが、ギメイはずいぶんと痩せている。 かっこうは、ラモンと同じ、シー
2020-09-11 08:00:05#朝の連続ツイート小説 #帝都御前試合秘聞 【2020年9月12日】 ラーナふうの男装である。肩にかかるくらいの金髪は、布でぎゅっとまとめて縛る。目の下には、小さな泣きぼくろ。紅い頬、ぱっちりした目。顔だちは幼く見えるが、十三、四というところか。楽しげにぎゅっと唇をまげて、わらっている。
2020-09-12 08:00:10