主に量り売りショップ等で入手した香水の超主観的テスト結果。偏りがある。
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evening @TES_evening

イトスギと、ラストに近くなってから出てくるコブルストーン(石畳)のアコードは墓場を連想するものでしょうね。魂を奪わかかった人間が、闇の落ちた通りを虚ろな表情で歩いている…と。この香水に付けられた一連の詩がありまして、正に香りのとおりの物語になっているんですよ…

2019-06-16 21:31:23
evening @TES_evening

陽の光の下から闇の中へと引き込まれるような、そして酒やタバコや無数の享楽によって堕落させられていき、最後には破滅が待ち受けるというような、情景のほんとによく解るダークな香りでした。好き。大好き。でもやっぱり人前に付けて出る香りではないと思う。

2019-06-16 21:32:56

以上は初めて店頭で肌に乗せた際のテスト、以下は2020年5月にサンプルを入手しての「ボーテ ドゥ ディアーブル」再訪です。

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リキッド イマジネ「ボーテ ドゥ ディアーブル」 吹き付けた瞬間こちらの心を鷲掴みにするのは…ジンだ! あれ、前回は完全にアブサンでジンっぽさが一切感じられなかったのに! あのツンとした強い蒸留酒、ジュニパーを始めとするボタニカルの瑞々しい風味が沸き立ちます。

2020-05-13 21:04:33
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もちろんアブサンもまたニガヨモギを使った薬草酒なのですが、あの甘渋い香りではなくジンですね今は…いや、その下から徐々に緑色が滲み出しているのも感じます。ともあれ非常にアロマティックでグリーン。バーで飲むジントニックです。良いジンと良いトニックを使ってるやつ。

2020-05-13 21:06:48
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ちなみにトップノートにはジンとアブサンの他、コリアンダー・レモン・ビターオレンジの記載があります(現在仏公式には詳細が書かれていませんが、手元の資料では全て載ってます)。ほろ苦くシャープな柑橘が、お酒の風味を引き締めて、黒い正装に身を包んだ凛々しい人物の姿が浮かび上がるよう。

2020-05-13 21:10:14
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とはいえこれは高潔な紳士ではなく、人々を魅了し堕落させる悪魔の香りであります。ここからどのように展開していくか、改めて一部始終を嗅ぎ通したい所存です。それにしてもかっこいいオープニングだなあ…甘えが一切ないもんなあ…

2020-05-13 21:15:24
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一時間経過。トップノートは凛と冷たく、そこから一気に熱がかっと込み上げてくる、正にきんと冷やした蒸留酒を煽るかのような展開を見せました。今は葉から花への変化中。青さとスパイシーさを十分に持ったカーネーションの匂いは、悪魔が纏う正装の襟に飾られたものでしょうか。

2020-05-13 22:00:37
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また、ちょっと乾いた木の香りと、薬っぽさ・甘さを兼ね揃えたスパイスの香りもしています。これは前者がイトスギ、後者がクローブですね。いま悪魔は品の良いバーのカウンターに腰掛け、アブサングラスを傾けながら、隣に座る誰かを誑し込むような、洒脱なお喋りに興じているのでしょうか。

2020-05-13 22:03:27
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三時間経過。イトスギを主としたウッディノートを中心に、カーネーションやゼラニウムの「青さとスパイシーさのある花」、さらにクローブのお香っぽさが加わって、非常に暗い、でも明かりもついている夜の街並みを思い起こさせるような香りが続いています。そこまで大々的な変化はないですね。

2020-05-14 00:00:12
evening @TES_evening

そういやベースノートに「コブルストーン(道路舗装用の丸石)アコード」とあるんですけど、冷静に考えてどんな香りなんでしょうね。いや、解るんですよ。暗く薄ら寒い夜道のイメージはありありと思い浮かぶ、硬く冷たく滑らかな香りではあるんですけれども。

2020-05-14 00:01:23
evening @TES_evening

これを嗅いでいると思い出します。成人して日も浅い頃でした。初めてアブサンを飲んだ晩、自分の限界を超えて酔っ払った私は、既に馴染みになりかけていたバーの閉店時間ぎりぎりまで居座っていました。私の酩酊ぶりを心配したマスターが、お近くなら送っていきますと申し出て下さったのです。

2020-05-14 00:02:50
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幸いお近くだった私は、マスターのご厚意で家(旧居ですね)がある通りまで無事に帰り着くことができ、まあその後はトイレでさんざん吐いて風呂場であの纏わりつくような緑の香りに悩まされたわけですが、でも、もしこの相手が純粋な良心の人でなく、それこそ悪魔であったら?

2020-05-14 00:04:09
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…ということを思い起こすに、これはやはり親切心と好意を装って人間を誘惑し、籠絡し、魂を奪う悪魔の香りなのだなあと。ガス燈だけが灯る暗い夜道、安全な家路ではなく墓場への石畳を導く悪魔の姿が、私には見えるようなのです。

2020-05-14 00:05:37
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もう、「いい感じにくらくら酔っ払って、何もかも輝いて見えるいい気分になったとき、頬をぺたんとくっつけた冷たいバーカウンターの木香と空いたグラスから漂うお酒の残り香」みたいな匂いなんですよ今。大好き。この匂いを嗅ぎながら、自室で安全に眠りにつけるのは幸せなことですね…

2020-05-14 00:07:51
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四時間経過。香り立ちが少しソフトになってきまして、ベースノートのやや薬っぽいガイアックウッドや、乾いたベチバーが感じられるようになりました。このままゆっくりと減退していくかんじかな。すっかり心奪われた魂が、成すがまま地の底へと堕ちてゆくような薄暗さ。うん、好きです。

2020-05-14 01:07:03
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翌朝でございます。実に12時間が経過しましたが、まだ香りが残っています。それもちょっと嗅いだだけではとろっと甘い匂いなんです。香調にあるのだとイランイランだなこれは。で、「おや甘い匂い?」と軽く温めるや否や、煙るようなイトスギやガイアックウッドの悪魔が顔を出してくる、と。

2020-05-14 09:00:22
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そういえばこの甘い匂いの部分、どっかで最近嗅いだなあと思ったら、うちで使ってるパルフェタムール(Bolsのやつ)に似てる気がします。あれはスミレとバラほかアーモンドやバニラで香り付けしたリキュールなんですけどね。花+香草+蜜っぽさがそう感じさせるのでしょうか。

2020-05-14 09:02:05
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パルファン ドゥ ロジーヌ「バレリーナ No.3」 多種多様なバラの香りを専門に作り出すメゾンの、バレエをイメージしたシリーズ第三弾。「白鳥の湖」に登場する黒鳥オディールがモチーフってことで、ボトルも黒いチュチュ風にチュールで飾られていたりします。

2019-06-16 21:35:37
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吹き付けた瞬間、思わず「うわぁ良い香り!」と口に出してしまったぐらい、トップから全力で魅力的な甘い匂いです。フクシアの花とバラのつぼみの、いかにも王子様に愛されるお姫様…という印象の中に、よく嗅ぐと混ざっているブラックペッパーとピンクペッパーの刺激。

2019-06-16 21:38:29
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そのバラも、最初は愛らしいつぼみだったのがどんどんダークめの、深紅からほとんど黒に近いような花をイメージする香りになってゆき、ヴァイオレットリーフが混ざって少しずつ妖艶さが姿を現すかんじ。最後はウードにパチョリにシダーウッド、と力強いウッディノートに変化するんですよ。

2019-06-16 21:39:53
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これはもう、伴奏は絶対にプティパ版なんですよ(?)あの優しげでゆったりと清楚なオディールのバリエーションがあって、私こそがあなたの愛するオデットですよ! と見せかけて、思わせぶりな態度で誘惑して、王子が完全に陥落したところで劇的な裏切りのシーン。そういうやつです。

2019-06-16 21:43:56

以上は初めて店頭で肌に乗せた際のテスト、以下は2020年5月にサンプルを入手しての「バレリーナ No.3」再訪です。

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パルファン ドゥ ロジーヌ「バレリーナ No.3」 もうね、オープニングからしてこれでもかと愛らしいんですよ。高らかなファンファーレと共に、舞踏会のホールへ入場してきた可憐な姫君。清楚で無垢なオデットを装うのは、甘酸っぱさを感じるバラのつぼみ。

2020-05-19 21:12:51
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だけどよくよく嗅いでみますと、可愛らしさ一辺倒でないのが解ります。ほんの少しつんと、ぴりっと効いているのがブラックペッパーとピンクペッパー。黒いチュチュの布地めいて、少しざらっとした手触りを感じます。これ、実際のボトルにはキャップのところに黒いチュール飾りがあるんですよね…

2020-05-19 21:16:44
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バレエの筋書きを知っている身としては、この時点で「あっ、これは正に裏の顔…グラン・パ・ド・ドゥの伴奏に混じってる不穏さ…」とか思ってしまうわけですが、いや、知らなければ正に華やかなプリンセス、堂々たるヒロインの香りだと思うのですよ。でもこれはあくまでトップノートなんですよねえ。

2020-05-19 21:18:24
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一時間経過。トップの甘酸っぱくもツンとした香りが続くなら、流石の王子も「あれ? オデットってこんな感じの子だったっけ…?」と思ったかもしれません。が、30分ほど経過したあたりから、奔放な刺激は鳴りを潜め、バラ(ご丁寧に「ブラックローズ」表記)は嫋やかな甘さへと変貌しております。

2020-05-19 22:09:35
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それはバラの種類が変わったということもあり、またヴァイオレットリーフの奥深いグリーンさが加わったこともあり。ベースのサンダルウッドとかも出てきている気がするんですよね。落ち着き払って優美で優しげな、正にプティパ版オディールのバリエーションのような心地よさ。 youtu.be/bHjnZOuj3t4?t=…

2020-05-19 22:13:25
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ゆったりと甘やかで、妖しい素振りなんてまるでない。見てお分かりでしょう、私こそがあなたの愛するオデットですよ? とばかりの完璧な舞です。そう、あくまでプティパ版なんですよ。ブルメイステル版のバリエーションは伴奏も振り付けも怪しさ全開なので…

2020-05-19 22:15:51
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ふんふん嗅いでみたけどそうかカシュメランも出てきてる可能性あるかな、このウッディさと柔らかさ、アニマリックすぎないムスクっぽさが重なる感じ。チュチュから覗く白い手足のしなやかな動き、包み込むような微笑、ああ正にあのバリエーションだな…って惚れ惚れしてます。

2020-05-19 22:29:08
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二時間経過。さて、今まではローズを中心にグリーンさ、ウッディさが香る穏やかで清楚な香りでした。ところが今になって出てくるのはバニラとアンバーグリス。甘さの方向が変わります。あくまでも独り静かに匂っていたものが、明らかに暗く妖しく、他者を誘惑し巻き込むような香りへと。

2020-05-19 23:11:18
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ただそこに咲いていて、訪れる人誰もが優しい香りに立ち止まり癒やされるようなバラではなく、完全に特定の誰か、このバレエではジークフリート王子に狙いを定め、弱さ脆さを絡め取ってゆくバラ。「この人はこの顔に、この素振りに、この匂いに弱い」と解ってるタイプ。

2020-05-19 23:15:08
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なのでやっぱり万人向けのバラではないんですよ。オディールを見て「自分のタイプじゃない」と思う人は沢山いる。でも王子にとっては「この人こそ自分の運命の女性!」だったわけで、この香りが正に狙い撃ち、自分の理想そのものと思える人もきっといる。その人が嗅げばもう最後ですよ。私みたいに。

2020-05-19 23:16:54
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そんなわけで、私は京都香り旅にて無事この香りにノックアウトされ、「これだ! これだよ私の思うオディールは! パチョリローズウードは!」と完全にやられてしまい、最後の理性を振り絞ってその場で買わずに帰ってきたわけですが…再訪してみるとやっぱりくらくら来ますね。脆弱性を突かれている。

2020-05-19 23:19:54
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三時間経過。エトワールの周囲に漂うバニラとアンバーグリスの仄暗い甘さ、ほとんど黒に近い深紅のバラと、それを飾る黒いチュチュのように現れるのはウードとパチョリ。ここまで来ればもう破滅です。あの劇的な裏切りの場面と、オディールの高笑いが見えるようではありませんか。

2020-05-20 00:11:06
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今まで香っていたバニラの甘さが、あのすっかり騙され浮かれた王子の連続ターン(オディールが32回転に入る直前のやつね)や、フェッテの後の和やかで祝福ムード溢れる伴奏だったとしたら、このアンバーグリスに続くパチョリとウードは、その明るさが一気に崩れ落ちた後の悲壮なムード。

2020-05-20 00:13:29
evening @TES_evening

窓の外で必死に踊るオデットの姿を見て、自分の過ちに気付いても後の祭り。オディールは自らの勝利と二人の破滅を確信し、誇らかな嘲笑と共に去ってゆくのです。肌に残るのは暗く重たく渦を巻くような、真実を知ってもなお惹かれてしまう香りなのです。

2020-05-20 00:16:14
evening @TES_evening

最後まで誘惑的なのが良いですよね。ここからは絶望の時間だ! とばかり薬っぽさや煙っぽさに変わるんじゃなくて、あくまでも薄暗い欲望を掻き立てるような匂い。このウードは私の好きなウードだなあ。

2020-05-20 00:17:38
evening @TES_evening

四時間経過。もうだいぶ香りは収まってきていて、後はベース中のベースが残るだけかな? と思うのですが…なんか、ここに来て甘さがまたちょっと増してきてます。バニラとアンバーグリスと、その裏に精油感あるローズ。これは何だろう、どういうイメージなんだろうな…と思って考えたんですが。

2020-05-20 01:14:23
evening @TES_evening

「白鳥の湖」の王子はオディールに裏切られた後、後悔と共に本物の愛する人を探しに出かけ、悪魔との戦いの末に死をもってオデットと結ばれるわけですが(版によってはラストちょっと違うけど)、そういう悲しくはあるけど真実の愛に至るエンディングじゃなくて、完全なバッドエンド、

2020-05-20 01:16:33
evening @TES_evening

最後まで騙されたままか、あるいは騙されたことに気付きはするけれど、目の前にいるオディールの色香から逃れることができず、偽りの甘い愛に溺れたまま地獄に堕ちる的なラストなのかなあ…という想像が膨らみました。

2020-05-20 01:19:14
evening @TES_evening

もしかするとバレエ同様、オディールとの愛を誓った瞬間に浮かび上がる本物のオデットの姿…がこれなのかもしれないけど、でもオデットはこんな甘くて官能的なかんじじゃなく、もっと切々として静かな香りの気がするんだよなあ。同メゾンのバレリーナ No.4を嗅いだことがないので比較ができない…

2020-05-20 01:21:11
evening @TES_evening

バイ キリアン「ダーク ロード」 ああこれはレザーだ、紛うことなきレザーだ、という強めのオープニング。それもスエードみたいな滑らかで柔らかな革じゃなく、完全に黒革です。といってワイルドな革ジャンでもない、ぴったりした艶のある手袋とか、顔が映りそうな乗馬用の革長靴とかそんな感じ。

2019-06-22 23:13:54
evening @TES_evening

あとペッパーも感じますね。ノートにはブルボンペッパー、シーチュアンペッパー(四川山椒)とあるので恐らくそれ。しかしベルガモットが解らない。一瞬で吹き飛んだのかもしれない。レザーがあまりにもレザーすぎて…

2019-06-22 23:18:44
evening @TES_evening

でも、ムエットで嗅いだときの「うわっ革が強すぎやしないかこれ、いわゆる『別の香水で匂いをマスキングしなきゃいけないタイプの革製品』じゃないのか」という強烈さは和らいでいる気がします。やっぱり人の肌に載せると印象が違うものだなあ。

2019-06-22 23:19:32
evening @TES_evening

一時間経過。レザー。本当にレザー。新品袋から出したてのなめし革小物の匂い。革の匂いが好きな人には本当にもうたまらない香りだと思います。私も大分たまらないです。が、「人を選ぶ度」としては結構なものです。リアルな革すぎて…

2019-06-23 00:16:42
evening @TES_evening

今のところ、他に挙げられているラムやらダヴァナやらジャスミンやらの香りがぜんぜん解らないんですよ。もちろんここから出てくるってこともあるでしょうけれど(まだ一時間だし)、今のところはほんとに真正レザー。ここまで潔いとなんか微笑ましくなってきます。ストロングスタイルだ。

2019-06-23 00:18:20
evening @TES_evening

二時間経過。あ、ジャスミン出てきた…かな!? 相変わらずレザーが前面に出ていますが、ほんのり白い花の面影が浮かんできているような。ちょっと丸みを帯びてきたかんじですね。新品のなめし革からそれなりに使い込んだ革のイメージへ。

2019-06-23 01:17:52
evening @TES_evening

三時間経過。レザー、薄れてきた! …というか恐らく香り自体が薄れてきた。海外レビューによればだいぶ長続きする香りだという票が多かったけれど、これは自室がクーラー効いてて体温も低くなってるせいなのか。ともあれ、「革です!」の主張が和らぐと、そこにあるのは確かにジャスミンとベチバー。

2019-06-23 02:15:10
evening @TES_evening

試しにちょっと布で包んだりして肌表面の温度を上げてみると、またレザーの生々しさが戻ってきますね。とはいえ思った以上に早いドライダウン。前に「バック トゥ ブラック」を吹いてもらったときにはそれはもう長続きしたんだけどな…いや香調によって持続時間って違うものですけど。

2019-06-23 02:18:16
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まとめたひと
evening @TES_evening

ニコニコ動画で「ドヴァキンと行くスカイリム祠巡りの旅」及び続編「サルモールの下っ端はドラゴンボーンの夢を見るか?」を投稿中のただのアクション下手。TESシリーズはPCタイトルなら一応全て触ったことがあります(しっかりプレイしているのはMorrowind以降のみ)。ロールプレイ好きです。飯テロをします。腕は伴いません。