eveningの香水お試し記

evening @TES_evening

ペンハリガン「ロタール（Lothair）」 ベルガモットにグレープフルーツ、二種の柑橘があっさり散った後に、フィグリーフ（いちじくの葉）やジュニパー、カルダモン、赤いベリー等の瑞々しいアロマがふわり立ち上るトップノート。良いジンと良いトニックウォーターで作ったジントニックだこれは！

evening @TES_evening

香水の名前「ロタール」は、かつてイギリスへと紅茶の葉を運んだ快速帆船、ティークリッパーの船名に由来しています。ちなみにこのロタール号、なんと進水がペンハリガンの創立と同じ1870年！（だから数あるクリッパーの中でもこれが選ばれたのかも？）ちなみに横浜にも寄港したことがあるんだそうで。

evening @TES_evening

そんなティークリッパーをイメージしたものだからこそ…一時間経過、塩っぽい風味が過ぎ去ったころに漂ってくるこれは紅茶の匂いですね… それもミルクティなんですよ多分。といっても牛乳とかクリームは香調にありません。きっとイチジクのもたらすミルキーさが影響しているのでしょう。

evening @TES_evening

こう、ちょっとスモーキーなフレーバーのついた、いかにもイギリス好み！　という感じの紅茶（キームンとかラプサンスーチョンとか…）を濃く淹れて、そこにミルクを加えたミルクティーの匂い。あとラベンダーも感じるなあ。とても心地よい香りです。安らぎ…

evening @TES_evening

二時間経過。紅茶…素晴らしく紅茶…「ミルクあり、砂糖なし」で飲んでた一杯目からやや時間を置いて、今度は「ミルクで煮出して砂糖とスパイス多め」なチャイ的ミルクティーに移行したかんじ。ゆるぎない茶葉のほか、甘めなこれはマグノリアなのかそれともベースノートのバニラが出始めているのか。

evening @TES_evening

私の肌ではざっと9時間香りが持続したので、オードパルファムとしてはかなりの持続力と言っていいのではないでしょうか。紅茶の香りはやがてしっとり静かな木の匂いや、ムスク等の穏やかな甘さに落ち着いてゆきます。

evening @TES_evening

イメージとしては「洋上を航行する帆船の甲板と、その上で空けられる交渉成立祝いのお酒」→「ティークリッパーの積荷である茶葉そのもの、および誰かが試飲する紅茶（イギリス風・インド風共）」→「茶葉の詰まった木箱とそれらが収められている船室、ないしイギリスの港の倉庫」という感じですかね！

evening @TES_evening

ペンハリガン「エンディミオン コンサントレ」 先発のトワレ「エンディミオン」を再解釈したオードパルファム。トップノートは立ち上るベルガモットとラベンダーの中、見え隠れする乾いたハーブの匂い（解説文によればセージ）。心安らぐというよりは、長くちょっと危険な夜の始まりという雰囲気。

evening @TES_evening

ベルガモットはすぐに飛んじゃうし、ラベンダーはきっぱりはっきり判るんだけど、その合間に感じるこれは何なんだろう。乾いたハーブ。ノートには「セージ」って書いてあるんだけどセージってこんな匂いだったっけ…？　あと、多分もうミドルノートのゼラニウムも出てきてる。

evening @TES_evening

一時間経過。ラベンダーを微かに残しつつ、ゼラニウムのバラに似た、けれど少しばかり青っぽい香りに。スエードレザーの匂いも出始めました。がっつりマスキュリンなレザーというよりは、「男性的ではあるんだけど、しなやかで柔らかみのある革」ですねえ。肌馴染みの良いかんじ。

evening @TES_evening

二時間経過。乾いて燻るようなこれは、ベースノートのインセンスが覗いているのかな…？　少しお香っぽい甘さが出てきています。ゼラニウムの青さも残っていますね。夜の匂いだな、というダークさは相変わらず。ただ、さっきまでは比較的ひんやりしていたのが、だんだん体感温度が上がってきた気が。

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「ベッロ ラベロ」 冒頭からふわりと香るこれは正しく赤ワイン！　…と言い切るのはちょっと難しいかな。少なくとも素のワインじゃないですね。ドライフルーツっぽい甘渋い匂いが強くて、ワインに喩えるならいわゆるスパイス入りホットワインの香りと言うべきでしょうか。

evening @TES_evening

正確に言えば、ラベロ＝かつてポートワインを運んでいたポルトガルの帆船ということでポートワインの香りなんですが、なにしろポートワインを飲んだことがほとんど無くて…！　ドライフルーツノートについては完璧。干しナツメヤシとか干しイチジクとかアプリコットとかの匂いするもの…

evening @TES_evening

良いなあ…これ良いなああ…晩秋から真冬にかけての香りですね…ねっとり甘い匂いだけど、渋みが効いてて甘ったるくならない。洋酒とスパイスの効いた大人味のお菓子、それこそワインやブランデーに合わせられるようなケーキのイメージがある。

evening @TES_evening

二時間経過。ドライフルーツの香りは変わらず続き、それに加えていわゆる樹脂香、シスタス（ラブダナム）等の甘く濃い匂いが。…しかし、もう大分と肌に馴染んで一体化しつつあるんですけどあなたオードパルファムですよね…？　いくらなんでもドライダウンが早すぎるのでは…

evening @TES_evening

ちょっとハチミツ…というより、メープルシロップみたいな匂いがするなと気が付きました。冒頭の濃いルビー色が、だんだんと琥珀色に変わってきているかんじ。やっぱり全体的に粘度があるなあ。

evening @TES_evening

三時間経過。ほぼほぼ残り香です。ベースのバニリンとウッディノートが僅かに。うーん、とても良い香りなだけに、この持続性がただただ残念だなあ…三時間ってそんなトワレじゃないんだから…

evening @TES_evening

お風呂上がりだから（多少は冷ました後とはいえ）体温が高くなっていて、より揮発しやすくなったというのはあるかもしれない。あと勿論、付ける人の肌質なんかにもよりますしね。香りそのものは濃密で大変好みでした。

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「ブラッディ ウッド」 おお…スミレだ…トップを飾るのはわかりやすいスミレの香りとローズオキシド。とてもクラシカルな化粧品ないし石鹸の匂いと言いましょうか。それがふわりと香り立ったかと思えば、冷たい金属のような匂いがひりりと来ます。これが要するに血なんでしょうね。

evening @TES_evening

そして、ベッロ ラベロよりはこちらのほうが「赤ワイン」感は強いかもしれません。あちらは熟成されたポートワインでしたが、こちらはまだ若くて果実味のある（でも渋さもちゃんとある）タイプの赤ワイン。しかし好みは分かれるだろうなあ。「血と金属」みがけっこう全面に出てるぞこれ。

evening @TES_evening

どうしようこれ。大分ぞわぞわ来て「あっこれはやばいですね耽美でゴシックですね美形の吸血鬼が付けてそうですね」感がたまらなく私好みなんですが、これを付けて人前に出たいかと言われると絶対に出たくないです　他人に嗅がせる匂いじゃない気がする

evening @TES_evening

少なくとも私は、自分の友人や職場の人からこの匂いがしたら「あの…何かあったんですか…？」的な不安を感じる

evening @TES_evening

トップが通り過ぎたせいか、香りが一気にワインっぽくなってきた　かなり赤ワインだよこれ！　より正確に言えば赤ワインが染み付いて赤紫色になったコルク！

evening @TES_evening

一時間経過。化粧品っぽい花の香り抜けて、一気に渋めの赤ワイン感が出てきました。というより、ワインの香りが染み付いたコルクの匂い。そして、トップにあったのとは違い、より生花に近くなったバラの香りも。「血！」って感じはなくなりましたが、依然として赤黒い色をイメージします。

evening @TES_evening

二時間経過。渋さがちょっと落ち着いて、次第にチェリーやラズベリー等の「濃い赤色のベリー」感が出てきました。そして、全体が大分肌に馴染んできています。ベッロ ラベロに引き続き、オードパルファムにしてはドライダウンが早い。もうちょっと長持ちしてくれればなあ…

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「スキュース」 植物の生態系、とりわけ木の成長点をテーマにしたという香り。スキュース（Succus）は「（特に薬にするための）抽出された植物液」の意。 トップからしゅわっと香るのはマンダリン。レモンやベルガモットより酸っぱすぎず、ジューシーな甘みを感じます。

evening @TES_evening

で、フレッシュな果汁感はすぐに飛び、ハーブ（ローズマリー、ローレル、ジュニパー等）やジンジャーの効いたコーディアル風に。なるほど、確かにちょっと薬っぽさというか、アロマオイルやハーブティーを売ってる自然派ショップの香りというか…

evening @TES_evening

一時間経過。そこまで香調の変化するタイプではないようで、少々ハーブ感が増してきたかな？　という程度。ちょっと乾いてきた気がするんですよね。ドライハーブの柔らかで心地よい匂い。

evening @TES_evening

5時間経過。前に試した2本はやたらドライダウンが早くて持ちが悪かったものですが、今回はちゃんと香りが残っています。ハーブっぽさも和らいで、しっとり穏やかなウッディノートに。シダーウッドにベチバー、ここまで来ると春が終わって初夏に入ったかんじですかね。

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「フラーヴ タンドル」 冒頭からふわっとした酸味と甘みが効いてるこれは、ノートによればマンダリンにカルダモンにサフラン、ナツメグあたりでしょうか。そこまで「スパイシー！」って感じじゃなく、穏やかな刺激を感じますね、という程度。この始まりかた好きだな。好き。

evening @TES_evening

ブラックペッパーやクミンはそこまで感じないかな？　そして後を追うように、もうゼラニウムやローズウォーターのフローラルな香りが顔を出しています。生花じゃなくもっと優しい「花のイメージ」的な匂いだな…そしてAldronとやらは一体どれなんだ。アニマリックな香料なんですよね…？

evening @TES_evening

一時間経過。三十分ぐらいで「ああーこれだアニマリックだ！　刺激的なやつだ！　人によっては嫌いなやつだ！」という、人肌＋αみたいな香りが出てきました。…かと思えば、さらに三十分経った今、それらはムスクとかベチバーの匂いに落ち着いているんですよ。とっても心地よい温かみのある香り。

evening @TES_evening

人肌のイメージなんだろうなあ。夏、自然豊かな離れ小島で海辺のバカンス、重なり合う二人の汗をかいた肌…みたいな感じか。こう、アニマリックと聞いて思い浮かぶ野性味とかじゃなくて、あくまで親密で優しい体温なんですよね…説明文にも秘密の恋愛という言葉があったしなあ。

evening @TES_evening

二時間経過。もうそろそろベースノートまで行ったかな？　スエードらしいレザーの香り。パチョリやインセンスのような粉っぽいくすんだ甘さも感じます。嫌味のない官能、というイメージで纏まっているなあ。誰彼構わずガツガツ行くんじゃなくて、特定の相手と密接に関わり合うタイプの…

evening @TES_evening

これまで四本試してきましたけど、一番お気に入りの香りかもしれない（スキュースもかなり良かった、というかアニマリックさを除けばわりと同系統の香りです）…熱く湿った空気漂う夏の水辺で付けたい香りですが、そういう場所には香水自体あまり向かないのだよなあ！

evening @TES_evening

この、「湯気というか蒸気というか、熱されているけれど不快感は感じない湿った空気」をどう喩えればいいのか苦悩した後、「…美容院でシャンプーしてもらってる時ってこういう香りするよね…」というあまりにも卑近な発想に着地してしまった己を恨みます。秘密めいた官能の欠片もねえ！

evening @TES_evening

この香りをもっとうまく表現したいが深夜のせいで語彙が死んでいる。あの…センシュアルではあるけどセクシャルではないというか、いや官能的なんだけど、妖艶ではないんですよ　振りまかれるんじゃなくてきっちり的を絞ったフェロモンなんですよ　ピンク色は感じても紫色は感じないんです（？）

evening @TES_evening

そういえば今日試したスキュースとフラーヴ タンドル、どっちも前の二本と比べてきちんと香りが広がってくれたんですよね　付けた場所は毎度のごとく肘の内側なんですけど、ちゃんと手を持ち上げなくてもふわっと匂いがして

evening @TES_evening

ベッロ ラベッロとブラッディ ウッドは、それこそ付けたところに顔を近付けないと匂いが解らないぐらいだったからなあ（クセの強い香りだからそれぐらいでちょうどいいのだと思うけれど）

evening @TES_evening

そういえば昨晩のフラーヴ タンドル、まだ香りが残ってます。もう完全にベースノートのレザーとインセンスぐらいですが、肌に馴染んでいいテクスチャに。凄いぞちゃんとオードパルファムしてるぞ…ますます好印象になってゆく…

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「ドム ローザ」 吹き掛けた瞬間、ふわあっと広がるのはシャンパンやグレープフルーツ、洋梨の香り。特にグレープフルーツが一番解りやすいかな。本当にきめ細かい泡が次から次へと立ち昇ってくるかんじ。金色やピンク色の透き通った華やかなカクテル、そんなイメージです。

evening @TES_evening

この香水、液の色はロゼワインのような色なのですが、正にその通りの少しくすんだピンク色が目に浮かびますね…まだバラの香りはしてきません（ミドルノートなので）。パーティーで人の本質が立ち現れてくるのは、最初の乾杯が済んでしばらくしてから、ということですかね。

evening @TES_evening

一時間経過。出てきましたよバラが。わざわざ「ダークローズ」と特筆してあるように、鮮やかな薔薇色というよりはやっぱり暗色の赤っぽいバラ。あと乳香の落ちついた匂いも。クローブと合わせてちょっと粉っぽくスパイシーな匂いになってます。でもぴりぴり来る感じではない。

evening @TES_evening

ペンハリガン「オーパス1870」 創立年である1870年を冠したオーデトワレ。吹き付けてすぐ弾けるのはスパイシーな黒胡椒とひんやりした柑橘の香り…これ、ベルガモットやライムやマンダリンではなく柚子なんですよ！　だからって特別和風なオープニングではないのですが、スパイシーさと相まって新鮮。

evening @TES_evening

フレッシュなんだけど若すぎない、洗練されていて知的なイメージ。ちょっとお酒っぽい香り（説明文によればバーボン）やシナモンがそうさせているんでしょうか。冷たさと暖かさが同居している（やや暖かさ寄り）かんじ。

evening @TES_evening

一時間経過。ミドルノートのバラやインセンス、クローブなどが暖かみをもって香ります。でも拡散しすぎず、程よく引き締まった状態で匂い立つのは紳士の慎みってものなんでしょうか。甘く暖かいけれども、ひんやりした緊張感も忘れていない、バランスの取れた香り。

evening @TES_evening

（約）二時間経過。トワレなのでもうそろそろベースノートも出てきますね。落ち着いたシダーウッドやサンダルウッド等、温もりがあって静かな余韻に入ってきます。これ、説明文によれば冬の香りなんだそうですが、冬の寒さではなく「冬だからこそ味わえる温かな安らぎ」を表現したものなんだろうなあ。

evening @TES_evening

外の凍てつく寒さから戻った温かな我が家で、木製の調度が並ぶ暖炉の前に腰掛け、スパイスの効いた熱いお茶を楽しむ、みたいな。オン・オフともに使える上品で主張しすぎない香り。甘ったるさや人を選ぶクセがない、けれどもただ「いい香り」ってだけじゃない、ちょっぴり風格のある程よい上質感。

evening @TES_evening

リキッド イマジネ「ボーテ ドゥ ディアーブル」 冒頭から香るのは見事なアブサンアコード。コリアンダーやビターオレンジと相俟って正に喉の焼け付くような薬草酒。ジンも香調にはあるけどジンって感じはしないな…（たぶんジュニパー香がないせい）もう最初からぐっと惹きつけられる匂い。

evening @TES_evening

で、だいたい一時間ぐらいで出てくるのがカーネーションやゼラニウム、イランイラン等の花の香りに、クローブのアクセント。あとサイプレス（イトスギ）。身なりの良い姿に化けた悪魔が、礼服の襟にカーネーションを挿して得意げに歩いている、と。そういうイメージのよう。