【戦略1】「自分に厳し過ぎないで」 スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル, 神崎 朗子 本 youtu.be/WcPlyvfT2uQ @YouTubeさんから
2015-08-21 15:26:55↓ 夏休み終盤につき、『#スタンフォードの自分を変える教室』(大和書房2012.10)と『図解 〃 』(大和書房2014.5)から、第8章「意志力は感染する」第9章「欲求の波を乗り越える」を抜粋したく。前フリは下の動画をご覧下さい。 pic.twitter.com/l9qH7tLSIG
2015-08-21 15:47:01私たちの脳は、驚くほど他の人たちの目標や、信念や、行動を、自分自身の決定に取り込んでいます。他の人たちと行動を共にしたり、あるいはその人たちのことを考えたりしただけで、その人たちは私たちの心の中で「もう一人の自分」と化し、自己コントロールに影響を及ぼします。
2015-08-21 19:14:38その逆もしかりで、私たち自身の行動も、無数の人々の行動に影響を及ぼします。自分の行なった選択が、他の人たちにとってよい刺激となったり、あるいは誘惑になったりするのです。 Id, at 301
2015-08-21 19:21:44第9章「欲求の波を乗り越える」 ある日、幼いトルストイは、シロクマのことを考えなくなるまで部屋の隅に座っていろ、と兄に命じられました。しばらくして兄が戻ってみると、なんとトルストイはまだ部屋の隅にじっとしていました。シロクマのことがどうしても頭から離れなくて呆然としていたのです。
2015-08-22 05:33:48ダニエル・ウェグナーは幼いトルストイが経験したのと同じような精神コントロールの実験を、1985年、トリニティ大学の心理学実験室で行いました。参加者には、何を考えてもいいけれどシロクマのことだけは考えないように、と指示を出しました。
2015-08-22 05:39:45どんなことであれ、考えてはいけないと思うほどかえって頭から離れなくなります。参加者がストレスで弱っていたり、疲れていたり、気が散っていた場合は、なおさらその傾向が強くなりました。ある考えを頭から追い払おうとすると、ブーメランのように戻って来る。「皮肉なリバウンド効果」と呼ばれます
2015-08-22 05:46:23不眠症の人が眠らなければとあせるほど、ますます目が冴えわたってしまったり、炭水化物抜きのダイエットをしている人が、ふわふわの白いパンやウーピーパイのことで頭がいっぱいになってしまったり。心配性の人が悩み事を考えないようにしようとすればするほど、最悪のシナリオが浮かんできたりします
2015-08-22 05:50:54考えや感情を頭から消し去ろうとすると、なぜリバウンドが起きるのか。ウェグナーは、「何かを考えてはいけない」という指令を脳が処理するプロセスに関係があるのではと考えました。そのプロセスはふたつに分かれており、それぞれ別々の脳のシステムが担当しています。
2015-08-22 05:55:14頭の一部では、考えてはいけないこと以外のことに意識を向けさせようとします。「とにかくシロクマ以外のことを考えなきゃ。この茶色い壁でも見ていようかな。」 このプロセスをウェグナーは「オペレーター」と呼んでいます。
2015-08-22 06:00:05オペレーターは脳の自己コントロールのシステムに依存しており、多大な心的資源とエネルギーを必要とします。 一方、頭の他の部分では、自分は考えたくないことを考えているという事実を淡々と認識します。ウェグナーはこのプロセスを「モニター」と呼んでいます。
2015-08-22 06:03:22オペレーターとは違って、モニターは自動的に作動し、精神的な努力はそれほど要しません。モニターは、脳が自動的に脅威を探知するシステムに深く関係しています。けれども、何らかの理由でオペレーターが作動しなくなると、モニターは自己コントロールにとんでもない障害をもたらします。
2015-08-22 06:07:58通常、オペレーターとモニターは並行して作動しています。たとえば、あなたはスーパーへ買い物に行くところで、スナック菓子売り場には近寄るまいと決心しているとします。オペレーターがあなたの意識を集中させて予定通りの行動を取らせようとする一方、モニターはあなたの頭の中や環境をスキャンし、
2015-08-22 08:25:57警報を発令します。「危険です! 3番通路にクッキー発見! もう腹が鳴っている! 警戒せよ! 警戒せよ! クッキーに注意! クッキー、クッキー、クッキー!」気力がみなぎっている状態ならば、オペレーターはモニターの警報を役立てます。
2015-08-22 08:38:52モニターが誘惑の源や厄介な考えを探知すると、オペレーターが前面に出てきてあなたを目標へと導き、困ったことにならないようにします。けれども、気が散っていたり、疲れていたり、ストレスやお酒、病気、その他精神的な疲労のせいで気力が衰えていると、オペレーターはまともに作動しません。
2015-08-22 08:47:03ところがモニターのほうは元気いっぱいで、とにかくひたすら動き続けます。オペレーターが疲弊しているのにモニターが活発になると、頭の中のバランスが崩れ始めます。モニターが禁止事項を探知するたびに、頭の中には禁止事項が入ってきます。
2015-08-22 08:52:38神経科学によれば、脳はそうした情報を無意識に処理しています。その結果、自分がまさに避けようとしていることを考えたり、感じたり、やったりしてしまうかもしれないのです。モニターはクッキーを買ってはいけないことを思い出し、「クッキー、クッキー!」という声をあなたの頭に響き渡らせます。
2015-08-22 08:59:08ところが、モニターとのバランスをとるだけの十分な力がオペレーターにないと、身の破滅を防ぐはずのモニターが、あなたをいっきに破滅へと導いてしまうのです。Id, at 311
2015-08-22 09:04:05ある考えを頭から追い払おうとして、かえってそれが頭から離れなくなると、「きっと本当のことだからに違いない」と思い込む可能性が高くなります。私たちは、自分の考えることには重要な意味があると信じています。
2015-08-22 09:18:42ある考えが頭から離れなくなると、それは注意を払うべき緊急のメッセージに違いないと思うようになります。ある考えがどれだけすんなり頭に浮かんでくるかによって、私たちは物事が起こる可能性や信憑性を判断しているのです。
2015-08-22 09:24:26そのため、心配事や欲求を頭から追い払おうとすると、困ったことになります。飛行機事故のニュースなどは、一度聞いたら忘れられないので、確率が高いように感じます。実際は、飛行機事故の確率は1400万分の1に過ぎませんが、ほとんどの人は「腎炎」や「敗血症」で死ぬ確率よりも高く感じます。
2015-08-22 09:32:35この二つはアメリカ人における死亡原因のトップ10に入っているのに、すぐに思い浮かぶ病名ではないからでしょう。
2015-08-22 09:35:02この「皮肉なリバウンド効果」に対し、ウェグナーは“皮肉な”解毒剤を提案しています。それは、あきらめること。好ましくない考えや感情をコントロールしようとするのをやめれば、そういった考えや感情に振り回されなくなります。
2015-08-22 09:42:07脳の活性化に関する実験において、参加者が頭の中で考えないようにしていることについて話してもよいと許可されたとたん、それまで頭にしつこくこびりついていた考えが、あまり意識に登らなくなることが確認されました。考えてもよいと思ったことは、あまり考えなくなるわけです。
2015-08-22 09:46:12この方法は、さまざまな望ましくない内的体験に向き合う場合にも役に立つことがわかりました。頭に浮かんでくる考えをムリに抑えつけたりせず、感じるがままに感じようと腹をくくることは(ただし、頭に浮かぶことが真実とは限らず、感じた通りに行動する必要はないと理解したうえで)不安や憂うつ、
2015-08-22 09:59:52異常な食欲、依存症などに対処するのにも効果的な方法です。内的体験をコントロールするのをあきらめることによって、自分の行動を以前よりもコントロールできるようになるのがわかるでしょう。
2015-08-22 10:04:43では、悲しいことを考えないようにしていると、かえって憂うつになってしまうのでしょうか? それが、あり得ない話ではないのです。ネガティブな考えを抑えつけようとすればするほど憂うつになることが、数々の研究でわかっています。
2015-08-22 10:11:29「自分の身に起きた最も悲しい出来事を思い出すか、あるいは逆にそのことについて考えないようにして下さい」という指示では、被験者がストレスで疲れていたり、ぼんやりしていた場合、あえて悲しいことを考えようとした時よりも、悲しいことを考えないようにした時のほうが、余計に悲しくなるのです。
2015-08-22 10:18:57他の実験では、自己批判的な考えを頭から追い払おうとしたところ、あえてそのような考えに冷静に向き合った時よりも、自尊心が傷つき、気分が落ち込んでしまうことがわかりました。たとえネガティブな考えを頭からうまく追い払えたかのように思えても、皮肉なリバウンド効果は必ず襲ってくるのです。
2015-08-22 10:24:31私たちがいくら考え事や不安を頭から追い払おうとしても、体はメッセージを受け取っています。悲しみや自己批判を抑えつけようとすればかえって憂うつになるのと同じように、思考を抑圧すると、PTSDや強迫性障害(OCD)などの深刻な不安障害の症状を悪化させてしまいます。
2015-08-22 10:30:15精神的な苦しみから自分を救いたければ、そうした苦しみを頭から追い払おうとするのではなく、どうにか折り合いをつけていく必要があります。
2015-08-22 10:33:51アースキンは、ダイエットを破るとか、タバコや酒、ギャンブル、セックスに溺れるなど、あらゆる自己破壊的な行動の裏には「皮肉なリバウンド効果」のプロセスが潜んでいるのではないかと考えました。
2015-08-22 10:38:48何かを考えないようにすると、余計にそのことを考えてしまうだけでなく、考えてはいけないと思っている、まさにそのことを「やってしまう」のだと。
2015-08-22 10:39:46アースキンは、女性たちを招き、チョコレートの試食テストを行いました。チョコレートが運ばれてくる前に、一部の女性たちには「チョコレートについて思っていることを何でも自由に口に出してください」と指示し、別の女性たちには「チョコレートのことは一切考えないでください」と指示しました。
2015-08-22 11:01:51その後、各参加者の前にチョコレートを20個ずつ配布したところ、チョコレートのことを考えるのを禁止された女性たちは、思考の抑圧がもたらす反動によって、他の女性たちの2倍近くもチョコレートを食べてしまいました。
2015-08-22 11:06:27なかでもダイエット中の人のリバウンド効果は最も激しく、誘惑をはねのけようとして思考を抑圧しがちな人々は、思考の抑圧がもたらす反動に対して最も弱いことがわかりました。
2015-08-22 11:12:45ダイエット中の人が食べ物のことを考えないようにしていると、食べ物に対する自制心が最も弱くなってしまいます。食べ物に対する欲求があまりにも強くなり、思考を抑圧していない人に比べてはるかに大食いしてしまうのです。
2015-08-22 11:18:43体重を減らす方法としては、ダイエットはまったく役に立ちません。2007年の食事制限およびカロリー制限に関する研究結果のまとめでは、ダイエットによる減量効果や健康上のメリットはほとんど認められず、むしろ害になっていると発表されました。
2015-08-22 11:23:57ダイエットをした人のほとんどは、やがて痩せた分の体重が戻ってしまうばかりか、むしろ逆に増えています。実際、ダイエットは体重を落とすよりも「増やす」効果のほうが大きいほどです。ダイエットをした人は、同じ体重でもダイエットをしなかった人に比べ、体重が増える傾向が見られます。
2015-08-22 11:28:56体重の増減を繰り返すようなダイエットは、血圧やコレステロール値の上昇や、免疫システムの低下をもたらすとともに、心臓発作、脳卒中、糖尿病などの原因による死亡のリスクが高まることがわかりました。
2015-08-22 11:32:52アースキンを始めとする多くの研究者は、ダイエットに効果がないのは、あることが原因であると突き止めました。それは、みんなが効果的だと信じて行っていること、つまり「太りそうな食べ物を禁じること」です。ある食べ物を制限されると、それがますます食べたくなってしまうことが明らかになりました
2015-08-22 11:42:44チョコレートを食べないよう指示された女性は、1週間後の試食テストで、そのような指示を受けなかった女性に比べて、チョコレートやクッキーを2倍も食べてしまいました。脳や体がチョコチップクッキー入りアイスクリームに含まれるアミノ酸や微量栄養素の必要性に突然目覚めたせいではありません。
2015-08-22 11:48:41リバウンドは、そのような生理的な反応ではなく、むしろ心理的な反応です。ある食べ物を避けようとすればするほど、逆にその食べ物のことで頭がいっぱいになってしまうわけです。 #摂食障害
2015-08-22 11:52:23ダイエットをする多くの人が、思考の抑圧は効果的だと勘違いしてしまうのは、食べ物のことを考えないようにすることで、少なくとも最初のうちは、ダイエットがうまくいっているように感じるからだとアースキンは指摘しています。
2015-08-22 11:55:02ダイエットに限らず、私たちは誰でもこの幻想にだまされてしまいます。ある考えを頭から一時的に追い払うことは可能なので、そうした戦略は基本的に正しいのだと思ってしまうのです。
2015-08-22 11:58:59それでも結局、思考や行動をうまくコントロールできないとわかると、私たちはそれを抑圧が足りなかったせいだと勘違いし、抑圧には効果がないのだとは考えません。そのせいで、ますます激しく思考を抑圧し、さらにひどいリバウンドを経験することになります。 Id, at 319
2015-08-22 12:04:12ある実験で、ハーシーズのキスチョコが入った透明な箱を100名の学生に配布し、48時間持ち歩くように指示しました。そのうえ、箱の中のキスチョコはもちろん、他のチョコレートもいっさい食べてはならないという決まりです。
2015-08-22 12:10:25一部の学生たちには、キスチョコが食べたくなったら、気をまぎらわしなさい、そして、食べたいと思ったことをみずからいましめなさいと指示しました。いわば、多くの人が食べたいものを我慢する時にやっているのと同じことを行うように指示したことになります。
2015-08-22 12:15:14他方の学生たちには、シロクマ実験の話を聞かせ、アドバイスをしました。「皮肉なリバウンド効果」について説明し、チョコレートを食べたい気持ちをムリに打ち消そうとしないようにと言いました。むしろ、チョコが食べたくなったことを率直に認め、チョコについて思ったことや感じたことをすべて
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