【特別寄稿】検察は「間違い」への姿勢を間違えた 袴田さん再審公判を傍聴して デイビッド・T・ジョンソン
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(西愛礼) #虎に翼 刑事事件一般に共通しうる冤罪の原因とメカニズム ① 捜査機関が誤った見立てを定立する  その場に存在した証拠は集めやすい一方で、あるべき痕跡がなかったという不存在の証拠は目に見えず見落とされやすい。 x.com/YoshiyukiNishi…

2024-04-27 20:09:28
弁護士西愛礼@元裁判官 @YoshiyukiNishi_

冤罪の原因とメカニズムとしての「冤罪の構図」について解説しました。私の主な研究対象です。過去の冤罪事件における各原因を学び、この冤罪の構図に対する再発防止策を定立することによって、将来の冤罪事件を防ぎたいと考えています。 冤罪の構図ー冤罪事件のメカニズム newspicks.com/topics/crimina…

2024-04-27 16:47:11
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事後的に再構成しきれない不確定な事実は多分に残る。(事件の不確定性)  特定の人物が犯人ではないという消極的事実の証明は困難で、悪魔の証明でもある。  証拠に含まれる人証(目撃証言や共犯者証言)は見間違えや記憶違いの怖れがあり、常に正確であるとは限らない。

2024-04-27 20:14:12
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ヒューマンエラーが入り込む危険性がある証拠の採取・精製過程の限られた情報をもとに犯人を特定するにあたっては、その時点で存在する証拠から犯人について見立てを立てなければならず、情報量の限界や誤った証拠によってその見立てを間違えてしまうこともあり得る。

2024-04-27 20:17:44
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捜査官がそれまで経験した事件に基づくヒューリスティックスや、偏見等に基づいて印象的な判断に陥る危険もある。これらの結果、誤った見立てが定立される。 ② 捜査機関が誤った見立てに沿って証拠を評価することで誤った見立てが増強されていく。

2024-04-27 20:20:52
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人は確証バイアスによって、自身の仮説に合致する情報を積極的に認知してしまう。  捜査官は確証バイアスの影響で、得られた証拠や情報の中でも自らの誤った見立てを裏付けるものばかりを重視する。捜査機関の見立てに沿った情報の妥当性については検証が甘く、その価値を重視する一方で、

2024-04-27 20:23:19
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見立てに沿わない情報については厳しく検証し、その価値を過小評価してしまう。  認知や考えを一貫させようとする認知的一貫性のせいで、見立てが有力な仮説として存在する場合、証拠や情報がそれに沿う形で評価されてしまう。  捜査の誤りを認めて引き返すことが難しい状況等においては、

2024-04-27 20:25:24
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既存の見立てに拘泥して、それと矛盾する証拠や情報について都合よく解釈したり、完全に無視してしまう認知的不協和の結果、捜査官は誤った見立てに固執してしまい、過度に視野が競作し、情報や証拠を不当にゆがめてしまうトンネル・ビジョン状態に陥る。

2024-04-27 20:27:22
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これらの結果、誤った見立てに基づいて誤った証拠評価が行われ、その見立てが増強されてしまう。 ③捜査機関が誤った見立てに基づいてさらに誤った証拠を収集したり、不正行為が行われる一方、消極証拠の収集がおろそかになったり歪められたりする結果、誤導証拠関係が形成される。

2024-04-27 20:29:34
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確証バイアスに囚われた捜査のパターンでは、捜査機関の見立てに沿った証拠や情報を集める黒の捜査のみが行われ、見立てと矛盾する証拠や情報を集める白の捜査が行われなくなってしまう。  捜査機関の見立てに沿う証拠を一定程度収集した時点で検証を中止してしまう(選択的中止)。

2024-04-27 20:32:02
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警察官の犯人の見立てが鑑定人に伝わってしまうと、鑑定人はそのようなバイアスのかかった状態で鑑定を行う(バイアスのカスケード効果)。  警察の見立てを聞いてバイアスのかかった状態で行われた鑑定を誤ると、その鑑定結果を聞いた別の鑑定人も同様に間違う(バイアスの雪だるま効果)。

2024-04-27 20:35:56
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捜査官による自白強要や証拠の捏造、隠滅、改ざんは、見立てと矛盾する無罪の証拠が出てきた場合に、認知的不協和や正義感、功名心、プレッシャー等によってその矛盾をなんとか解消してしまおうとする動機が生まれ、捜査官にとっては証拠にアクセスできるという機会があり、真犯人という悪を罰するため

2024-04-27 20:37:39
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には多少の不正もやむを得ないと正当化してしまい、動機・機会・正当化の不正のトライアングルが揃ってしまうことで不正行為が生じる。  本来は事実認定が証拠によって行われるべきだが、事実認定に基づいて証拠が収集されてしまう(証拠裁判主義の逆転現象)。

2024-04-27 20:39:26
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1つの誤った証拠や情報、見立てが捜査のダイナミズムによって増加され、更なる誤った証拠や情報、見立てを生んでしまう(エラーのエスカレーション)。  その結果、捜査段階で形成された誤った見立てと証拠は、人を誤らせるたくさんの情報を含む一連の証拠関係を形成する(誤導証拠関係)。

2024-04-27 20:41:34
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誤った目撃証言に基づいて自白強要が行われ虚偽自白が生まれていた場合、自白と目撃証言という有罪を裏付ける強力な証拠が存在する。  自白や目撃証言は取調べの問答の中で形成されるから、既に収集されている客観的証拠についても見立てと整合する形で言及される結果、自白や目撃証言を補強する傷や pic.twitter.com/9XlKWPZrbd

2024-04-27 20:48:08
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指紋といった別の証拠もまた存在することになる。 ④ 捜査機関内部において組織的・心理的要因が相まって誤りが検証・指摘・訂正されない。   そもそも、捜査において見立ての定立は必要不可欠であり、これがきちんと検証され、誤っていることが検出・指摘・訂正されていれば冤罪は防げるはずだ。

2024-04-27 20:51:20
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しかし捜査官個人のトンネル・ビジョンによる誤った見立てへの固執や捜査機関という組織の特性がこれを阻んでしまう。  固有の組織風土下の集団規範に内部の構成員が順応してしまうと、極端な組織目的の追求や組織防衛が行われてしまう。分業化や階層化で組織内のコミュニケーションに齟齬が生じる。

2024-04-27 21:03:38
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集団意思決定のリスクとして、同調が生じたり、反対意見が妨げられてしまう。  これらの結果、誤りが増強され、誤りの検出・指摘・訂正に失敗する。 ⑤ 公判においても誤導証拠関係が継承され、刑事裁判に顕出される。  捜査機関を一度誤らせた事件記録は、起訴によって刑事裁判に引き継がれる。 pic.twitter.com/QzI3TvUKVt

2024-04-27 21:10:17
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無罪方向の証拠は十分に収集されず、弁護人から提出されなければ証拠関係の大半が有罪を示す情報になる。  その結果、公判において有罪方向の証拠が多量かつ表面で幅を利かせて存在する有罪証拠の誇張化現象と、無罪方向の証拠は少量で隠れてしまう無罪証拠の縮小化現象が生じてしまう。 pic.twitter.com/IZkPqwYQJm

2024-04-27 21:15:33
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⑥ 冤罪立証が困難であるうえ、弁護活動の限界や各種心理作用によって防御が不十分になり、奏功しない。  弁護人が冤罪を証明できれば誤判には至らないが、冤罪弁護は簡単ではない。  弁護士もトンネル・ビジョンや確証バイアスに囚われてしまうし、捜査機関を一度誤らせた大量の有罪証拠を目にして pic.twitter.com/koZjTOiZIJ

2024-04-27 21:20:08
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弁護士も被疑者・被告人が真犯人だと誤解していまい、十分な弁護活動が行われないかもしれない。  弁護人が無罪の主張・立証を尽くしたとしても無罪判決に至らない場合もある。そもそも弁護士は裁判所・検察官と違い民間人であり、強制捜査は行えず証拠収集能力等において限界がある。

2024-04-27 21:23:58
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弁護士は裁判官・検察官と視点や情報が異なるため、裁判官の心証を把握することが難しい。これは知識を得ることによって知識がない時の状態が分からなくなるという知識の呪縛や、他人もみんな自分と同じように考えるであろうと信じてしまう合意性バイアスによっても説明できる。#虎に翼

2024-04-27 21:26:14
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かくて弁護活動が奏功せず、雪冤できなくなってしまう。 ⑦ 裁判の死角が存在する中、心理的要因や審理不十分等によって裁判所が誤判に陥る。  当事者主義では、検察官と弁護人の当事者双方の視点から主張・立証を尽くさせることによって真実を明らかにし、裁判所は自ら真実を明らかにするのではなく

2024-04-27 21:29:22
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当事者の主張立証に基づいて審理することによって判決を下す。当事者が主張しない事実は裁判に顕出されず、裁判に死角が生まれてしまう。  裁判官も予断・偏見やバイアス等の心理作用によってトンネル・ビジョンに陥ってしまう。  たくさんの間接的な事実を並べて特段の説明なくそれらを総合すると

2024-04-27 21:32:44
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被告人が犯人だと認められるという直感的・印象的判断に基づく認定手法や、証拠が薄い部分について推論や事件のストーリーだけで補ってしまう認定手法、無罪の疑いを抽象的可能性と捉えて切り捨てる一方で有罪を基礎づける事実を「否定できない」「可能性がないとはいえない」などと捉えて排斥しない

2024-04-27 21:33:50
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認定手法が問題視されてきた。  1つの有力証拠がある場合、他の争点についてもその有力証拠と同じ方向の心証を形成してしまう心象の雪崩現象は認知的一貫性によって説明することができる。  刑事裁判には「疑わしきは被告人の利益に」という鉄則がある。

2024-04-27 21:37:15
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そのため、検察官が立証責任を負い、裁判官が証拠調べを尽くしても事実の存否が不明の場合には被告人の利益になるように扱わなければならず、被告人が犯人であることについて合理的な疑いを入れない程度の確信を得ることができない場合には無罪判決を宣告しなければない。#虎に翼 pic.twitter.com/t5CMrkdNRO

2024-04-27 21:46:36
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この鉄則が正しく適用されないと誤判冤罪が生まれてしまう。  裁判官が「証拠は薄いがこの被告人が犯人の可能性が高く、有罪にしなければ犯罪者を野放しにしてしまうかもしれない」などと治安維持を図る思考に陥ってしまうと、この鉄則が適用されず誤判冤罪が生まれる。#虎に翼 pic.twitter.com/aPpK7BnbNW

2024-04-27 22:11:42
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冤罪は人間の認知的限界や心理作用、構造的な問題によって、一つの誤りが別の誤りを引き起こし、複数の誤りが連続的・複合的に連鎖し、誤りが強化されることによって生ずる。  複雑で大きく膨れ上がった誤りだからこそ、雪冤のためには多くの人たちの努力が必要になる。(了) #虎に翼 pic.twitter.com/KPx0b2MzNa

2024-04-27 22:17:16
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1/7🧵#虎に翼 RBGは黒人書記官を殆ど採用せず、キャパニックらを批難(後に謝罪)し、9つの先住民訴訟のうち8件で「消えゆく人種の主権の残り火」と陰湿な抹殺論を展開した。後年、シェリル事件以外に権威主義的白人民族ナショナリズムを悔い改めた形跡はない。  しかし婦選権では「よいこともした」 pic.twitter.com/KgIJOWs5Zx

2024-04-28 08:33:13
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2/ #虎に翼 ( Johnson, D.T. ) 検察が正義を損なう利己的な行為に対し何の罰則も受けないのであれば、検察は何度でも間違ったことをするようになる。この点で、袴田事件は一過性のものではない。 at-s.com/news/article/s… pic.twitter.com/g8LxDtwbNj

2024-04-28 08:33:14
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3/ #虎に翼 同様の不祥事はこれまでにも何度も起きており(足利事件、布川事件、東住吉事件、湖東事件など)、裁判所やメディアがそれを許す限り、今後も起こり続けるだろう。 pic.twitter.com/UkisDWnkV3

2024-04-28 08:33:15
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4/ #虎に翼 第二に、検察は間違えることはできない―間違ってはならない、間違えることは許されない―という日本の検察文化の核となる信念である。 pic.twitter.com/9mzR2pGFm7

2024-04-28 08:33:15
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5/ #虎に翼 この信念は、有罪率が99%を超えるという結果をもたらしている一般的に慎重な起訴方針の理由の一つである。 pic.twitter.com/y91BuhZu2I

2024-04-28 08:33:16
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6/ #虎に翼 しかし、この信念は、その捜査方針が誤りであるという明確で豊富な証拠があるにもかかわらず、検察官が方針の追求に固執する原因でもある。 pic.twitter.com/Of8mWNqGRx

2024-04-28 08:33:17
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7/7 #虎に翼 検察の「間違う」ということについての考えは間違っている。間違いを犯すことは普通であり、避けられないことであり、間違いを犯すことは学び、変わるための貴重な機会なのだ。(了) pic.twitter.com/8P2QG5ddhx

2024-04-28 08:33:18
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