不定期更新。全部幻覚ですので閲覧は自己責任でお願いします。多分話はつながってません。
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ののい🦎 @nonoisanityzero

「イーサン、とでも覚えておいてくれよ」 「わかった。改めてありがとう、イーサン。またどこかで」 「今度はもう少しまともな会い方をしたいもんだな。ま、明日も互いに生きてるって保証すらねぇけどよ――」 そう言い残して、青年はまた姿を消した。それを見届けた桑太は、帰り道を急いだ。

2020-07-26 19:13:02
ののい🦎 @nonoisanityzero

――気が付くと、いつも通りの道に戻っていた。振り返ってみたが、花火のような匂いもしない、何の変哲もない平和な路地だ。 「何だったんだろう」 脳裏には、鮮やかな青だけが焼き付いていた。

2020-07-26 19:13:02

7: ぼくは ████。

ののい🦎 @nonoisanityzero

伊くん(幼体)、手足の先がちょっと青かったりしない?昨日言われてた擬態の制御がきかないやつも親が手を焼きそうでたのしい 出身地非公開だし本人が話さないから子どもの頃の話なんて知り得ないけどさ

2020-08-02 12:59:03

████は あおくてちいさな

やんちゃぼうずの まぼろしを みた。

ののい🦎 @nonoisanityzero

ちょっとあなた!(イーサンくんの本名)がいないわ! なに、いつものことじゃないか。(イーサンくんの本名)は擬態が上手だなあ。いやあ、トンビが鷹を生むこともあるもんだな。 そうじゃなかったらどうするのよ! わっ! ははは。びっくりするじゃないか。

2020-08-02 13:05:34
ののい🦎 @nonoisanityzero

まったく見えなくなるのは確かにすごいけど、制御はできるようになるのかしら…… 将来困らないか不安だわ まだ2歳じゃないか。他のサヴラもそんなものだよ

2020-08-02 13:08:04
ののい🦎 @nonoisanityzero

いないいないばあしたらしてる間にされた側(あかちゃん伊)がいなくなる回

2020-08-02 13:14:16
ののい🦎 @nonoisanityzero

ああ、なるほど。もし幼少期は制御ができずずっと擬態状態なら写真に写らないからあかちゃんの頃の記録はほとんど無いな。

2020-08-02 13:16:05

集団幻覚(具現化したのは2名)

雪下竹彦 @yukimoto810

とんでもなく雑多な爆竹アカウントです。無断転載厳禁。マシュマロ→ marshmallow-qa.com/yukimoto810

profcard.info/u/GykmzQlW8sdX…

帰る場所

ののい🦎 @nonoisanityzero

いつかまでは幸せな家庭で普通に暮らしてて、ある日ふと鏡を見たら腹のあたりに黒い鉱石がポツポツあるのに気づく。家族に迷惑をかけまいと、ある日ふらりと行方をくらます。姿を消すのは昔から得意だ。

2020-08-06 00:19:18
ののい🦎 @nonoisanityzero

両親はあまり心配しすぎないスタンスになってたりしないだろうか。 「もうお年頃だし一人になりたい時もあるだろう。そのうち帰ってくるよ」と楽観的にずっと待ってる。病にかかったことは知らない。

2020-08-06 00:22:34
ののい🦎 @nonoisanityzero

それでもきっと、手塩をかけて育てた息子が不治の病に冒されたという事実に気がついたら2人はめちゃくちゃ心配してくるだろう。噂が広がって、平和な家庭が中傷によってバラバラになるのは勘弁だ。

2020-08-06 00:24:50
ののい🦎 @nonoisanityzero

財布の中に、ぼろぼろのポラロイド写真が入っている。満面の笑みで写る両親の写真だ。母親は、何かを抱きしめるような手つきをしているが、その腕の中には何も見えない。

2020-08-06 00:27:28

ののい🦎 @nonoisanityzero

おれはイーサンだ。おれはここまできた。おれはもうすぐ…おれはもうすぐ…おれはもうすぐ?どうなるのだろう?

2020-08-08 19:05:53

8: 祈りは空っぽ

ののい🦎 @nonoisanityzero

弊社のドクターはね、鉱石病末期でもう応答もしなくなった伊桑を車いすに乗せて、市街を歩き回って過去の落書きを見て回りながら思い出話を笑顔でする。当然あのひょうきんな声も笑顔も返ってこない、相手の頭にも入っていかない。ただ人形に語り掛けてるだけ。所詮自己満足にすぎない、そんな終わり。

2020-08-18 22:15:07
ののい🦎 @nonoisanityzero

カラカラと車いすの音が市街に響く。世界中の移動都市の新聞のアーカイブを探り、落書き被害にまつわる事件が多く確認されていた地域を見つけ出し、「二人」で足を運んだ。 しばらくスラム街の中を押し進めていると、壁いっぱいの巨大なグラフィティが目に入った。

2020-08-18 22:18:48
ののい🦎 @nonoisanityzero

見慣れた筆跡で描かれた文字を見上げる。そして、車いすに乗せられた青年の小さな手を見やる。そして、青年に語り掛ける。 「これが君の作品か。是非実際に見てみたかったんだ!熱がこもっていて、素敵な作品だ。キャンバスに描かれる絵画とはまた違った趣があるね」

2020-08-18 22:22:53
ののい🦎 @nonoisanityzero

「……」 青年の眼の焦点は合っていない。応答を見せない。そもそも、音も聞こえているのかも怪しい。 青年の首は、黒い鉱石で覆われていた。衣服の下にも、痛ましいほどの面積を覆う鉱石が見える。いわゆる鉱石病の末期患者であろう。

2020-08-18 22:27:21
ののい🦎 @nonoisanityzero

「いやあ、僕もダメ元で見に来たんだけどさ、消されてなかったね!あの新聞の文面を見る限り、自警団が消して回ってたみたいだからさ。無駄足にならなくてよかったよ。なにより――君のような才能のある人の作品がちゃんと世に残されていて僕は嬉しい」 返事はないが、車いすを押す男は話を続ける。

2020-08-18 22:30:20
ののい🦎 @nonoisanityzero

「僕は、君の存在、生きている証拠までもが見えなくなってしまうのは嫌なんだ。これからもこの作品を大切にしてもらえたらいいね」 そう言うと、男はすがすがしい笑顔で壁に描かれた作品を見上げた。

2020-08-18 22:35:01
ののい🦎 @nonoisanityzero

「君の生まれ故郷がどこかは教えてもらえてないけど、僕たちのところに来るまでに君がいた場所が全て、君にとって生まれ故郷と同じぐらい大切な場所なんだってことはよくわかるよ。レユニオンと闘う僕たちが言うべきではないかもしれないけどね」 「二人」は、車いすを押しながら次の目的地へ向かう。

2020-08-18 22:38:44
ののい🦎 @nonoisanityzero

「――ちょっと」 道端を通りかかった女性が男に声をかける。 「何でしょうか」 「あんたが連れてるそいつ、具合悪そうだよ」 車いすに乗せられた青年は俯いている。男が顔を近づけると、微かながら息をしていることは確認できた。

2020-08-18 22:44:39
ののい🦎 @nonoisanityzero

「大丈夫。ちょっと眠くなっただけだ。僕は主治医(ドクター)だからね、彼のことはよくわかるんだ」 「ふうん、ならいいけど。最近この辺で鉱石病で死ぬヤツ多いからさ、踏み入るんなら気をつけなよ?」 男はニッコリと笑いながら手を振った。

2020-08-18 22:46:10

9: 溺れる

琶枷 @W_wakase

問 伊桑を過呼吸にするにはどうしたら良いか答えよ。

2020-09-21 09:01:14
ののい🦎 @nonoisanityzero

イーサンがロドスに入ったばかりのころ。 非戦闘員たちが陰口を叩いている。 「ねえ聞きました?ドクターが元レユニオンを雇ったんですって!」 「しかも事務員どころか秘書にまで置いてるとか……スパイだったらどうするんだろうな」 「出身地まで頑なに明かさないらしいじゃないか。ひゃー怖い怖い」

2020-09-21 10:08:27
ののい🦎 @nonoisanityzero

「しっ!元ゴースト兵らしいからどこで聞かれてるか分からないわよ」 イーサンは分厚いファイルを数冊抱えていた。書類を整頓するのもれっきとした事務員の仕事だ。なに食わぬ表情で、その傍らを擬態したまま通り過ぎる。

2020-09-21 10:08:27
ののい🦎 @nonoisanityzero

レユニオンの一員として偵察・諜報活動は幾度となく繰り返していた。直接的な破壊行為はなかったものの、憎まれ口を叩かれるのは慣れっこだ。姿を消せたから、直接なにかを言われることがないのが不幸中の幸いだろう。

2020-09-21 10:08:27
ののい🦎 @nonoisanityzero

昔は他の感染者たちに手を差し伸べ、皆助けようなどと考えていたが、「助けなんか要らねえんだよ!」とその手を突っぱねる者もいたし、挙げ句の果てにはイーサンを踏み台にして逃げる悪辣な感染者もいた。 味方に心ない言葉を浴びせかけられるのは、そう慣れたものじゃない。

2020-09-21 10:08:28
ののい🦎 @nonoisanityzero

一時は人間不信に陥り、メンタルを病んでいた時期もあった。だから、そんなこともキッパリやめてしまった……のだが。 事務室に入り、ファイルの山をデスクに置いた途端、ふいに首を絞められるような感覚に襲われた。

2020-09-21 10:08:28
ののい🦎 @nonoisanityzero

「……ッ!ヒュウッ……」 とっさにデスクに手をつこうとしたが、そのまま崩れるように床に倒れ込んだ。 感染者も多く勤務するロドスでは、職員それぞれが持つ内線端末から緊急コールを鳴らせるようになっていた。半ばパニックになりながら、ツールバッグから端末を取り出す。

2020-09-21 10:23:13
ののい🦎 @nonoisanityzero

コールボタンを押したはいいものの、指先が強張り、手から端末が落ち、手が届かないところに滑っていった。 「ヒュ……カヒュッ……ヒュゥ……」 声も出ない。「もしもし!どうしたんですか!返事をしてください!ああ、どうしましょうドクター!返事がありません!!」 医療オペレーターの声が、

2020-09-21 10:23:13
ののい🦎 @nonoisanityzero

端末から聞こえてくる。しかし、身体は動かないし、息をするので精一杯。焦燥に駆られ、ますます呼吸が速くなっていく。

2020-09-21 10:23:13
ののい🦎 @nonoisanityzero

(ま、まず、い、死ぬ……!) 「スッ……ヒュッ……!」 慌ただしい声が聞こえる端末を前に何もできず、必死で肩で息をしながらうずくまることしかできなかった。

2020-09-21 10:29:02
ののい🦎 @nonoisanityzero

「イーサンッ!」 「……!」 ふいに背後から名前を呼ばれた。声の主は歩み寄ると地面に座り込んだ。フードを目深にかぶった長身の男性――ドクターだ。事務室に入り少しして、ドクターは状況を把握したようだ。

2020-09-21 10:33:41
ののい🦎 @nonoisanityzero

そっとイーサンの肩に手を添え、目を合わせようと試みる。不安からか反射からか、大きく開かれた目からは大粒の涙がこぼれそうになっている。

2020-09-21 10:36:25
ののい🦎 @nonoisanityzero

少し考えてからドクターは、 「――いつもお疲れ様。あっちでちょっと休もうか」と落ち着いた口調で語りかける。その落ち着いた雰囲気につられてか、息苦しさは幾分かマシになったように感じた。

2020-09-21 10:39:49
ののい🦎 @nonoisanityzero

ドクターはイーサンを執務室へ連れてきた。ここなら立ち入れるのはドクターと秘書と、ごく一部の上層のオペレーターぐらい。整然とした静かな部屋だ。 「ごめん、大したものはないんだ。」 ドクターは冷蔵庫から冷えた紅茶のボトルを取り出して、コップに注いだ。

2020-09-21 10:43:19
ののい🦎 @nonoisanityzero

続いてドクターは戸棚からクッキーを取り出した。大判でしっとりしたタイプ。ドクターがたまに食べているのを見たことがある。 「ゆっくりしてって構わないよ」ドクターはほほ笑みながらイーサンにクッキーを差し出す。執務室に置かれたソファはふかふかだ。

2020-09-21 10:46:36
ののい🦎 @nonoisanityzero

紅茶とクッキーを口にするとさらに幾分か落ち着いた。イーサンはふう、と大きく息をつく。そこでドクターが口を開く。 「戦場では偵察も奇襲もできて、事務仕事までそつなくこなす。きみの才能はとてもよくわかっている……つもりだけど、きみのことについてはまだ知らないことがいっぱいあるんだ」

2020-09-21 11:01:17
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まとめたひと
ののい🦎 @nonoisanityzero

イーサンに詳しい人です