とりあえず誤ってたどり着いてしまった人のためにダイマしておくスタイル(?)
【オペレーター紹介】 イーサン(CV: #吉野裕行) 元レユニオンメンバーだが、「食事がひどい」を理由にレユニオンを離脱しロドスに加入した。 擬態能力が驚異的で、目の前にいるにもかかわらず気づかれないこともしばしば。 「俺が見えないって?目の前にいるじゃねぇか。」 #アークナイツ pic.twitter.com/5hI1HJufXt
2020-05-16 13:00:02これはサムネ用の幻覚(画像)
以下本編
1: 存在証明
pixivにリメイク版があります。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13277502
敵の攻撃はいつも、姿を消している自分に向かっては飛んでこないし、飛んできたとしても避けられていた。しかし今日は悉く当たりどころが悪かった。 短い人生だったなァ、ここで誰にも見つけられずに野垂れ死ぬのだろうなァ、と思いながら意識を手放していた。そのあとのことは覚えていない。
2020-06-10 23:43:23植物系のふんわりとした香りで目が覚めた。ここが死後の世界か…… 「あら、起こしてしまったわね」 「あ――?」 もう死んだものと思っていたので一瞬混乱した。そうだ、こいつはロドスの医療オペレータ、パフューマーだ。ということは……助けが来たということか。
2020-06-10 23:43:23遠くでは複数の医療オペレータが慌ただしくしている声が聞こえてくる。ほとんど怪我してこなかったのでそれほどなじみはないが、どれもそれなりに聞き慣れた声たちだ。 「死んだかと思ったぜ」 「確かに今日は撤退したオペレータが多かったけど、皆命に別状はなかったわ」
2020-06-10 23:43:27確認してみると、全身に細かい怪我はあるものの、目立った負傷は左手のギプスだけだった。 「利き手は無事だったぜ。ヘヘ、良かった」 「本当、それが不幸中の幸いね」 パフューマーはほほ笑んだ。
2020-06-10 23:43:27その時突然、医務室のドアが勢いよく開かれた。ものすごい勢いで駆け込んできたドクターが、突然何も言わずにガシっと抱き着いた。 「チョッ!俺、怪我人!」 「よかった……一番心配だったんだ……」 「え?大げさだな、利き手は無事だしすぐにでも戻れるぜ?」
2020-06-10 23:43:28いつものようにおどけて言いながら、右手でヨーヨーを動かすそぶりをとってみせたが、ドクターはかぶりをふった。 「ちゃんと見つけられたよ……ここにいる……」 「ハハ、『ここにいる』、か」 ドクターの背中にはそっと右手を添え、手首にはしっぽを絡みつけた。
2020-06-10 23:43:29思い返せば、「自分」の存在を主張したことはなかった。擬態が上手くいきすぎて、自分が存在するという実感さえどこかに消えてしまいそうになることもあった。同胞の多くが生死不明で消えていき、次の日には誰も彼らに言及せず、何もなかったかのように動き出す――そんな生活に慣れ過ぎていた。
2020-06-10 23:43:30ドクターがようやく抱き着く手を緩めた。続いてしっぽもほどいた。 「それじゃあまた後で……ところで、もしかして甘えん坊?」 「どうだかな」
2020-06-10 23:43:312: 上の空、懐古
――今日は珍しく、天災の気配もないいい天気だ。 外は静かで、不穏な音も全くない。ただ、雲が風に乗って真っ青な空をゆっくりと流れて行くのが見える。 そうだ、久々に何か描きたいな。ペンキで真っ青に塗りつぶしたコンクリートの壁に、白いスプレーで何かを描いたりしたら楽しいだろうか。
2020-06-25 19:15:06「――えーっと、次は特殊オペレータの配置。演習で確認した通り、おそらく12時方向からの侵入が予想されるから……イーサンくん!今回もよろしくね」 「……」 「あれ……」 「……ハッ!……おう、ごめんな ぼーっとしてた」 「……もっかい言った方がいい?」
2020-06-25 19:15:07しまった。全く話を聞いていなかった。 結局、その後他のオペレータが会議室を去った後、居残りで再確認を行った。 「……えっと、こんな感じで大丈夫?」 「今回もドクターらしい配置じゃねえか!ヘヘ、任せときな」 「よろしく!頼りにしてる」
2020-06-25 19:15:08任地は龍門。レユニオンの小規模な暴動が複数個所で発生したらしく、ロドスのオペレータがその一部の鎮圧にあたることになった……というのが事のあらましだ。そして、さっきはブリーフィングを行っていたというわけだ。 急に不安になった。任地に向かいながら、地図などを再度確認した。
2020-06-25 19:15:09任地に到着。装備を準備したオペレータたちが、指示通り配置につき、自分もそれに続く。 バリケードを張った領域に流れ込んだ暴徒を、いつも通りからめとっていく。そしてそこに狙撃オペレータが加勢する。 何てことないいつも通りの作戦だ。不安がることなんてなかった。
2020-06-25 19:15:10任務は無事終わった。擬態を解く。 「今日も最高だったよ!」 ペンギン急便のサンクタの……そう、エクシアだ。いつも通りハイタッチをする。 その後ろでは、ドクターたちが撤収の準備を始めている。
2020-06-25 19:15:11――ふと、路地の奥を見やると、懐かしい背中が見えた。あれは…… 「みんなお疲れ様!ロドスに戻ろうか」 「ちょっと待ってくれ」 ドクターはきょとんとした。 「何か落とし物?」 「すぐ追いつくから先に行ってていいぜ」 「……う、うん……?」
2020-06-25 19:15:12談笑している集団の背中を追う。鼻の奥に塗料と溶剤のにおいを感じた。間違いない。あれはあの時連行されたはずの…… 「よう!久しぶ……」 呼びかけた相手はすぐさま振りむいた……がその顔は戸惑いの顔であった。そもそも、違う人だ。
2020-06-25 19:15:13顔どころじゃない。何も共通点など無かった。気が付いたら、そこは自分とは久しく縁のなかった表通りだし、壁もらくがきをするには向いていない材質だ。 「おっと、人違いだったみてえだな。気にしなくていいぜ」 手をひらひら振りながら、擬態して人混みの中に姿を消した。
2020-06-25 19:15:13イーサンから精密検査を受けたいという申し出があったのは、あの日ロドスに戻ってきてすぐのことだった。 検査の結果、脳への軽度の侵食がみられたため、しばらく静養することになった。 もう少し発見が遅れていたら、大変なことになっていたかもしれない、とケルシーが言っていた。
2020-06-25 19:15:14「へっへ。不幸中の幸いってやつだな!他のやつらに被害が無くて良かった。」 「ごめん……全く気づかなかった」 「心配いらねえさ……」 そう言いながら額を小突く彼はまだ、いつも通りだった。
2020-06-25 19:15:153: 平和的解決
これはちょっと前の話だ。 ある戦闘から帰投した後、ポプカルが泣きついてきた。 「ドクターっ!大変だよぉ!」 呼ばれて来てみると、困り顔のオーキッドと、したり顔のカタパルトとロープ、そしてぐるぐる巻きにされたレユニオンの兵士がいた。
2020-07-07 15:41:19「まったくもう……」 「どうしたのコレ?何があったの……」 「まあ見てのとおりよ……」 オーキッドは肩をすくめる。まあいつも通りのA6といえばいつも通りのA6かもしれない。唯一変な点といえば…… レユニオンの兵士を見やる。抵抗するそぶりはない。
2020-07-07 15:41:19「ドクター!見てよコレ。ロープに頼んでグルグル巻きにしてもらったんだ。なんか情報吐いたりするかな?」 「いい考えだよね。頑張ったでしょぼくたち」 カタパルトとロープはニコニコしている。 「私もドクターも、そこまでしろとは言ってないのだけど……ねえ?」 「うん。言ってないね。」
2020-07-07 15:41:20もう一度兵士を見てみる。かなり軽装だ。見た感じゴースト兵のようだ。だとしたら、武器も特に持っていないことになる。 「うーん……放してもいいんじゃないかな……。情報を聞き出すのは今回の目的には入ってない」 カタパルトが何かを言いづらそうな顔をしている。
2020-07-07 15:41:23「ねえドクター?突然だけどそろそろお昼じゃない?」 「何をいきなり」 懐からプラスチック製の使い捨て弁当箱を取り出した。まだ温かそうだ。 「取り調べといえばカツ丼でしょ?実はもうグムちゃんに頼んで用意してもらっちゃったんだよねえ、これ。」 「何やってるの!食品ロス!!」
2020-07-07 15:41:23「心配しないで。ドクターの分もあるよ~」 弁当箱をもう一つ取り出した。 「そういう事じゃなくて!」 「ねえねえポプカルの分はー?」 「あっ……」 そうこうしている間に、何も知らずに計画に加担させられていたグムが騒ぎに気付いた。 「レユニオンの人にあげるなんてグム聞いてないよー!」
2020-07-07 15:41:24「グムがめちゃくちゃビックリしてるじゃないか……誰が何て言ったんだ……」 ロープが流し目をした。 ……まあいい。本題はそこじゃない。 「とりあえず、これは自分の分らしいし貰っておくとして……」 「それは貰うのね……」
2020-07-07 15:41:24「これどうするの?カタパルトかロープがお昼に食べる?」 もう一つの弁当箱を見ながら言う。 「実はですねえ、ドクター……」 「ぼく達どっちも、もう先にお昼済ませちゃってて……」 「えーっ!じゃあどうするんだよコレ~!」
2020-07-07 15:41:25ふと視線を感じた。見やると、先ほどからずっとうつむいていたレユニオンのゴースト兵が、チラチラこちらの手元を見ている。 「取り調べはしないけど……せっかく作ってもらったし……いいかな……?」 「あら、まさか敵に塩を送る気なの?」 オーキッドは呆れ気味だ。
2020-07-07 15:41:27「どうかな、グム?」 「わたしは別にいいと思うよ!」グムはニッコリして頷いた。 「しょうがないわね」 「よし。じゃあ二人とも。コレ解いてあげてよ」 「なんでぼくたちには聞かないんだよ~!まあ賛成だけどさ」 「私も~」
2020-07-07 15:41:28縄を解かれるなり、ゴースト兵は弁当箱と割りばしをひったくるなりカツ丼に無言でがっついた。 「えへへ、お腹空いてたんだね!」 最初の泣きそうな顔とは一転、ポプカルはニコニコしている。 「自分の分、あげるよ」 「いいのー?わあい、ありがとうドクター!」
2020-07-07 15:41:29ふと目を離すと、忽然とそのゴースト兵はいなくなっていた。そこに居合わせた皆で、顔を真っ青にしながらそのゴースト兵を探し回ったのはまた別の話だ。
2020-07-07 15:41:29所変わって、ロドスの食堂。 ドクターとイーサンが、遅めの昼食にありついている。2人ともカツ丼を注文した。 「ってことがあったんだよねえ。カツ丼を食べてると思い出すんだ」 「まあこんな美味いもん食わされたらレユニオンも辞めちまうよなあ」 「え?」 「いや、ただの平和的な作戦の話だよ」
2020-07-07 15:41:304: 少なくとも2年以上前の話
1 どこかの新聞
███タイムズ ██年12月█日 【相次ぐ落書き 大規模捜査開始】 ███・██████セクションの建造物に相次いで落書きが残される事件に関して、███警察は一連の事件に関して、特殊捜査隊を投入した大規模な捜査を行う事を発表した。
2020-07-14 23:34:11落書きは全て一晩で行われているとみられ、以前から地元交番が捜査を行っていたが、防犯カメラに一切犯行の様子が映らないため捜査が難航していた。 地元住民は「良かった。昨日はウチのオフィスに落書きされて困っていた」と安堵の表情を見せていた。
2020-07-14 23:34:12███タイムズ ██年12月█日 【落書き 護る民衆】 ███・██████セクションの建造物に相次いで落書きが残される事件に際してパトロールを行っていた警官が、落書きの保護を主張する鉱石病感染者スラム住民との衝突。増援を要したが無事鎮圧されたとのこと。
2020-07-14 23:34:12███タイムズ ██年12月█日 【落書きグループ 3人を拘束】 ███・██████セクションの建造物に相次いで落書きが残される事件について、███警察は落書きを行っていた3人を現行犯で拘束したと発表した。
2020-07-14 23:34:123人はいずれも容疑を認めつつも、それ以外に関しては「俺たちのことを、見てみぬふりをするな」などと供述するばかりで、黙秘を貫いている。
2020-07-14 23:34:13███タイムズ ██年2月█日 【特集: 終わらぬ落書き 大規模捜査への疑問】 落書きグループのメンバー逮捕から2か月が経った。しばらくは目撃情報が絶えていたが、数日前から再び同様の落書きが各地で目撃されている。感染者スラムの集団による模倣犯ではないかとの説が有力だったが、
2020-07-14 23:34:13