話は続く。 「時々やってる身元調査としてじゃなくて、個人的に……今すぐじゃなくても良いから、また色々教えてほしいな」 「……まあおいおい話してやるよ」
2020-09-21 11:01:17「あとここにはいつでも来てくれて構わないからね。きみは僕の秘書なんだから」 「へへっ、世話になったな」 イーサンが立ち上がると、こわばり気味だったしっぽもいつも通り柔らかく巻いている。 「え、もう戻るのかい?事務室の仕事ならさっき代わりを頼んだばかりなんだけど……」
2020-09-21 11:01:18「おう、そうか。それじゃあもう少し邪魔させてもらうことにするぜ」 そう言いながらイーサンは再びソファに戻ってきた。手には皿に乗った手作りと思しきプリン。 「お、これ美味そうだな~。」 「あっ!それは!!僕の秘蔵のプリン!!待って!!あーッ!!!」 (完)
2020-09-21 11:03:3710 静かな部屋
早朝。ドクターが執務室で書類に目を通していたら、突然目の前に置いていたクッキーの缶がズズッと動いた。 「うわ!?」 その声にびっくりしたイーサンは擬態を解除してしまい、後ろにひっくり返った。 「わあ、居たのか……。こんな朝から珍しいね……。一言ぐらい声かけてくれたらいいのに……」
2020-11-20 22:23:23「――、――。――……?――!!――!!」 ヘラヘラした顔で立ち上がったが、不意に何かに気づいたような顔をしてから、焦った表情で身振り手振りをしながらこちらを見た。 「えっどうしたの?」 喉を指さす。それから腕をバッテン。 「なるほど。声が、出ない。うん。……いやいやいや、声が出ないッ!?」
2020-11-20 22:23:23おそらくジェスチャーだけではらちが明かないのでドクターはペンとメモ帳を持ってきた。 「えーっと……。昨日どっかでめちゃくちゃ叫んだりした?」 独特の筆跡で文字が書き込まれていく。 『してない。昨日はずっとドクターのそばにいただろ』
2020-11-20 22:23:26「あるいは風邪かな?」 ドクターは机の引き出しから体温計を取り出してイーサンに渡してみた。測ってみたが平熱。口の中も簡単に覗いてみたが特に何も起こっていない。 「うーん、なんでだろうねえ……」 『おいおい!なんでだろうねえ、じゃねえよ!』
2020-11-20 22:23:27「執務室が静かになっちゃって寂しいねえ……」 『いや、俺が喋れねえと真面目に困るだろ!?』 「さて、ここはケルシー先生に聞きに行ってみるかな」 携帯端末を取り出し電話をかける。 「もしもし。――はい。わかった。はーい。」 「今すぐでもいけるってさ」 イーサンは頷くとついてきた。
2020-11-20 22:23:27~~~ 「ひとまず鉱石病の症状じゃなくてよかった。ストレスが起因かもしれないらしいね。……なんか心当たりある?」 そう聞かれたイーサンは、まるで心当たりがないと言わんばかりの困惑した顔で首を振る。 「ないのかあ……。まあとりあえず、今日は休みにしておくからゆっくり休んでよ」
2020-11-20 22:23:28「さて、朝ごは……」 ドクターがポケットをまさぐると、朝にサッとかじろうとしていたカロリーバーが無くなっていた。傍を見るとニコニコ笑いながらイーサンがたったいまドクターの懐からくすねたであろうカロリーバーをくわえていた。
2020-11-20 22:23:31「あ~!それ僕の~!」 『人のこと言う前に自分の体調も気遣えよ~』 イーサンはページをめくって、また書き込んで見せてきた。 『今日ぐらいはちゃんとしたもの食おうぜ』 続いてまた何か書き込んで……『いつものテンポで話そうとしたらめんどくせーなコレ!』彼は困り笑いして見せた。
2020-11-20 22:23:31その後はというと、二人で黙々と朝食をとり、いつもの時間に執務室に戻ってきた。 ただ一つ違うのは、いつもの快活で陽気なな声が聞こえないことだ。 急に休みだと言われてもすることが思いつかず、イーサンはしばらく部屋の中をウロウロしていた。
2020-11-21 09:55:33それからイーサンは柔らかいソファに座ると、ドクターが何かパソコンで打ったり書類に書き込んだりしているのを側から見ていた。 それも飽きたのか、戦闘用ではない軽いヨーヨーを持ってきて、簡単なトリックを決めたりし始めた。静かな部屋に、回転音とタイプ音だけが響く。
2020-11-21 09:55:33今朝のように、擬態したまま突然何かをして驚かさないための配慮だろうか。イーサンはずっと擬態はせず、ドクターの目の届く範囲にいた。 それから昼食をともにとって、何も会話せず部屋に戻ってきた。
2020-11-21 09:55:34それからもイーサンはしばらくの間メモ帳にらくがきをしたりなんだりしていたが、とうとう何もすることが思いつかなくなり、ソファにふて寝するように寝転がってしまった。
2020-11-21 09:55:34「さて、一休みするかな……」 ドクターは一つ伸びをすると立ち上がり、戸棚を開いた。中には小さなマフィンの入った箱。いつもこの手のおやつを戸棚に置いておくといくつか(時には全部)先に無くなっているのだが、今日は誰にも手が付けられずそのままになっていた。
2020-11-21 19:20:39「退屈させてごめんよ。」 ドクターがイーサンに箱を差し出すと、少しムッとした顔で中のマフィンを受け取った。 「君が本調子に戻るまでどうしようか考えててさ……。君を今の状態で戦闘任務に出して何かあったら探しに行けないし、連携が取れずに誰かが怪我をするかもしれないでしょ?」
2020-11-21 19:20:41イーサンはマフィンをかじりながら頷く。残念ながらそれは認めざるを得ない。 「かといって事務とかの仕事を任せようにも電話応対とかがネックに……」 それも頷く。生憎それもどうにもならない。
2020-11-21 19:20:42「かといって退屈しちゃったら元も子もないでしょ?」 目を細める。 「思い出した!ここの近くにちょうど空き部屋になった物置があるんだ。小さい部屋だけど好きに使ってよ」 ――ん?ペンを走らせる。 『「好きに」?ほんとに何してもいいんだな?』 「いいよ!」
2020-11-21 19:20:42次の日から、イーサンは空き倉庫に向かっては何かをし、食事やおやつの時間に執務室にやってきてはドクターと一緒に何かを食べる。昨日のように退屈そうな様子はなく、むしろ楽しそうである。……空き倉庫で何をやっているのかは知らないが。 そうして、静かな日が数日続いた。
2020-11-22 21:20:33ドクターが執務室に入ると、目の前から何者かに声をかけられた。 「よーぅドクター。」 しかしドクターの目の前には……誰もいなかった。 「固まってんな?おーい。俺だぞー。ただのいつも通りの挨拶じゃねえか~。」
2020-11-22 21:20:34「あ~。久しぶりだったからいつも通りじゃなくなっちまったってことだな?」 声の主――イーサンは擬態を解除した。 「あ……ああ。おはようイーサン。そうかも、久しぶりだったからびっくりしちゃったな」 「今朝起きたらすっかりもとに戻っちまってよ」
2020-11-22 21:20:35「そういえば倉庫の空き部屋で何してたの?」 「へへ、俺の久々の傑作だぜ。見るか?あんなに広い壁は久しぶりだったな」 「どうしよう……アーミヤに怒られないかな……」 「おいおい……何してもいいっつったのはアンタじゃねえか……」
2020-11-22 21:20:36「らくがきをするとは思ってなくて……」 「いや、俺だぞ!?何も描かれてない壁があったららくがきぐらいするぞ!?……まあ、遠回しに言ったのも悪かったけどよ……」 「君は気にしなくていいよ。僕が言っておくから……」
2020-11-22 21:20:38「ありがとよ。んで、朝メシどうする?」 「どうしようかなあ……メニューを見て決めようかな」 「それじゃあさっそく行こうぜ!なんでも今日はとくべ……あっ」 「もしかして……厨房につまみ食いしに行ったりしたね……?」 「ハハ、んなわけねえだろ~!」
2020-11-22 21:20:39「君だからやりかねないでしょ……。やっぱり君に行かせようかな……」 「一応病み上がりだし大目に見てくれよぉ~」 「しょうがないなあ……」 二人はいつものように食堂へ向かう。こうして、久々に騒がしい朝が戻ってきたのだった。
2020-11-22 21:20:49番外編 殴り合い
(入れ忘れてました)
「ああ!?何言ってんのか分かってんのかアンタ!あいつらを見捨てろって言うのか!?」 「違う!ああしないと全滅するかもしれなかったから!」 「邪魔するんじゃねえよ!このッ!」
2020-06-29 17:27:33(博の腹にタックル) 「駄目だったら駄目!」 (フードを掴んで投げる) 「……」(消える伊)(突然足踏みする博)(しっぽの踏まれたところから姿を再び現す伊) 「残念だったな!もうこれだけ長いとどこにいるかぐらい分かるんだよね!」
2020-06-29 17:30:56「目の前に!助けられる人がいるのに!見捨てるのはもう嫌なんだよ!退けったら!どうせ俺たちのことただの駒だとしか思ってねえんだろ!?」 (胸ぐらをつかむ) 「そうじゃないからこその撤退じゃないか!!」
2020-06-29 17:34:58「生憎伊達にゴースト兵やってたワケじゃねえんだよな!」 (博の腹に蹴りを入れて、よろめいたところで降り、すぐさま擬態) 「だぁッこの!ちゃんと言うこと聞いてったら!」 (突然空中に力強く蹴りを入れたかと思うと伊が吹っ飛ぶ)
2020-06-29 17:42:56「足癖悪ィドクターだな!」 (ヨーヨーをスナップを付けて投げ、糸を脚に巻き付ける) 「そっちこそ手癖が悪いね!」 (糸を引っ張る)
2020-06-29 17:45:54「これじゃあいつまでたってもらちがあかねェな!」 (博の顔面に殴りかかる) 「ホントは手荒な真似はしたくないけど、っ!」 (頭を掴んで地面に叩きつける) 「さっきからずっと手荒じゃねえか……」
2020-06-29 17:55:47(立ち上がる。鼻血タラ~ッ) 「つうかよォ?俺はそこまででもねェけど俺も一応病人だぜ?他の奴にもそうやって殴りかかるのか?それとも力量の差を見せつけて押さえつけたいのか?卑怯だなァ!見損なったぜ!」 「きみだって搦め手ばっか使うくせによく言うよね!」
2020-06-29 17:59:47「まあ擬態してもすぐバレるしな……。でも全力で殴りかからないともう気がすまねえんだ。ヨーヨーぐらいは使っていいよな?」 「いいよ」 「どうなっても知らねえぞ?」 (炸裂するグラインドツイスター!)
2020-06-29 18:06:58