James Blair, Derek Mitchell, Karina Blair 著、福井裕輝訳 星和書店 2009.7.11
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花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

つまり、前頭葉損傷患者は、反応的攻撃は示すが、道具的攻撃は示さない。第二に、背外側の遂行機能障害は反応的な反社会的行動と関係しているだろうが、それは単に相関的なものであり、因果的なものではない。背外側の遂行機能障害と反応的な反社会的行動との関連はおそらく、

2017-02-03 18:19:15
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背外側の機能障害を持つ者は、腹内側および眼窩前頭前皮質の機能障害も合併していることを反映している。腹内側・眼窩前頭前皮質の機能的障害は、反応的攻撃のリスクの増大の原因である。第三に、サイコパスに関しても、この障害が眼窩および内側前頭前皮質の機能的障害と関連している根拠がある。

2017-02-03 18:24:09
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サイコパスは、眼窩前頭前皮質が重要な役割を果たすことが知られている応答逆転において成績が悪い。さらに、情動課題を遂行中に眼窩および内側前頭前皮質の活動が低下していることが指摘されている。  結論としては、前頭葉機能不全がなぜ反応的攻撃/サイコパシーを高めるのかについての答えを

2017-02-03 18:27:25
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見つけ出すためには、今後かなりの研究を行う必要がある。しばしば、前頭葉機能不全によって"抑制"の低下あるいは抑制メカニズムの機能不全が引き起こされるといった言い方がなされる。しかしながら、そのような主張では、前頭前皮質からより後頭のシステムへの抑制性回路が存在しないものについては

2017-02-03 18:33:00
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解釈ができない。機能理論を具体的に記述し、そのメカニズムの障害によって反社会的行動が生じることを説明しようとするひとつの考え方が、ソマティックマーカー仮説であり、これを次に論じる。

2017-02-03 18:38:07
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ソマティックマーカー仮説 Damasioらによると、腹内側前頭前皮質(眼窩・内側前頭前皮質)は集積所としての役割を果たし、事実に基づく知識と生体調節の状態との間の連関形成に関与している。情動的に重要な意思決定がなされようとしているとき(報酬および/あるいは損失に関する決定など)、

2017-02-03 21:59:34
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生体調節(身体)の状態は、有効な選択肢に対して、自動的に近づいたり遠ざかったりするバイアスとして機能するように情動反応を引き起こす。要するに、身体的フィードバックあるいは、ソマティックマーカーは、ある選択が良いのか悪いのかについての分類を自動的に行い、それによってある特定の反応が

2017-02-03 22:04:55
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生じる可能性に影響を与える。こうした素早い分類は、"ソマティックマーカー"が体性感覚皮質に伝達される流れ、すなわち"体性ループ"を経由して発生するが、身体が迂回され、再活性化シグナルが体性感覚野に伝達される流れ、すなわち、"あたかも体性ループ"を経由しても生じる。

2017-02-03 22:09:35
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どちらのループによっても、体性感覚野は、選択・結果についての推論を抑制するような適切なパターンを採用する。簡単に言えば、体性感覚のパターンが一連の流れが良いのか悪いのかの判断を行い、特定の選択・結果の対に素早く拒否/承認ができるようになる。

2017-02-03 22:13:58
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ソマティックマーカー仮説に関連して二つの重要な発見がなされた。まず、腹内側前頭前皮質の損傷患者は、視覚的に提示された社会的な意味を持つ刺激(災難、身体の切断、裸体像など)を受動的に見せられた時、自律神経反応を示さない。受動的に見る条件では、ただ単に写真を眺めることを要求される。

2017-02-03 22:20:20
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される。その中で、二つの山は報酬は高いが罰金も高く、選び続けると損をするようになっている。残りの二つの山は報酬は低いが罰金も低く、選んでいくと最終的には得をする。被験者は、報酬は高くても全体としては損な山を避け、報酬は低くても全体的には得をする山を選ぶように学習する必要がある。

2017-02-03 22:29:05
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健常被験者の場合、不利な山を選択する前に皮膚電気反応を示し(ソマティックマーカーが警告を発する)、報酬の低いほうのトランプの山を引くようになる。一方、腹内側前頭前皮質の損傷患者では、不利な山を選択する前に皮膚電気反応が示されず、不利な山を引き続ける結果になる。

2017-02-03 22:34:30
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ソマティックマーカー仮説は、かなり注目を浴びている。しかし、この仮説も、反社会的行動を一元的に説明しようとするその他の仮説と同様の問題に突き当たる。それは、道具的攻撃と反応的攻撃の違いをどう説明するのかという点において明確でないことである。

2017-02-03 22:39:23
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腹内側前頭前皮質損傷と反社会的行動の関連を論じる際には、これら損傷患者には、道具的攻撃ではなく反応的攻撃が高率にみられるという事実をよく考える必要がある。ソマティックマーカー仮説を基にすると、このシステムに障害を持った患者が、どのようにして2種類の攻撃性のうちひとつを示すのかが

2017-02-03 22:44:41
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はっきりしない。ソマティックマーカー仮説からは、サイコパスは、4組トランプ遊び課題で成績が悪いとともに、社会的刺激の視覚提示に対して自律神経反応の減弱がみられることが推測される。だが、サイコパスの子供や成人は4組トランプ遊び課題では成績が悪いが、社会的刺激の視覚提示に対して

2017-02-03 22:49:11
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自律神経反応は減弱していない。要するにサイコパスは、4組トランプ遊び課題では成績が悪いが、ソマティックマーカーは発生しているようである。このモデルにおける反応的攻撃について言えば、「誰かを叩いたりすると、そのため後で罰を受ける」といったような形で、選択・結果という対が活性化される

2017-02-03 23:04:05
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と考えられる。健常者では、人を叩くと罰せられるという知識と、罰に対して感じる情動的不快感との間に連関が形成される。そして、それに基づいて生じるソマティックマーカーによって、他人を叩いたりしないように導かれる。しかし、もしソマティックマーカーに障害があるのならば、適切に行動を

2017-02-03 23:07:49
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誘導することができなくなる。道具的攻撃についても同様の選択・結果という対が想定されるが、この脳部位の損傷患者において道具的攻撃が高まるという知見は得られていない。

2017-02-03 23:10:42
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(まとめ) ソマティックマーカー仮説は腹内側前頭前皮質の機能に関する興味深いモデルである。しかし、この仮説によって攻撃性や反社会的行動を解釈するまでには至っていない。サイコパスの示す行動について、この仮説による予測は、部分的にしか当たらない。

2017-02-03 23:13:53
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より理論的な議論では、ソマティックマーカー仮説は多々批判されている。特に著者らの立場からすると、この仮説が反応的/道具的攻撃をどの程度説明できるのかという点において疑問が残る。

2017-02-03 23:16:18
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第6章の総括 まず、サイコパスでは「言語における脳の左右の機能分化が不十分ないし異常である」と考えられるが、このことがサイコパスの発症の原因ではなさそうである。

2017-02-03 23:19:06
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前頭葉仮説については、前頭葉機能不全が攻撃性を高めうるということは明らかである。しかし、先行文献を基に考えると、これら仮説についてはより詳細に検討を行う必要がある。第一に、前頭葉による説明は、反応的攻撃についてはうまく説明できるが、道具的攻撃についてはそうではない。

2017-02-03 23:24:19
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第二に、背外側の遂行機能障害は反応的な反社会的行動と関係しているだろうが、それは単に相関的なものであり因果的なものではない。一方、腹内側・眼窩前頭前皮質の機能的障害は、反応的攻撃のリスクの増大の原因である。

2017-02-03 23:28:11
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第三に、サイコパスに関しても、この障害が眼窩および内側前頭前皮質の機能的障害と関連していると考える根拠がある。(→8章) 第四に、前頭葉損傷が、なぜ反応的攻撃/サイコパシーを高めるのかについての答えを見つけ出すためには、今後かなりの研究を行う必要がある。

2017-02-03 23:32:16
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ソマティックマーカー仮説はその答えのひとつになりうるが、しかし今度は、この仮説は道具的攻撃を説明するのにほとんど役に立たない。 (7・8章では、反応的および道具的攻撃に関するモデルを論じていく。)

2017-02-03 23:35:23