抜粋)①『もう独りにしないで～解離を背景にもつ精神科医の摂食障害からの回復』まさきまほこ著 星和書店 2013.11.22

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まさきまほこ『もう独りにしないで : 解離を背景にもつ精神科医の摂食障害からの回復』(星和書店2013.11)の自分のレビューを一年ぶりに読み直してみて、これはひどいなとw　評価してくれた方々には申し訳ないけれども、書き直したいです。他のレビュアーも、解説の章には触れてないので、

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解説の章から、抜粋がてら頭を整理してみます。

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#摂食障害　解説はまず、解離と心的外傷(単純性PTSDと複雑性PTSDの違い)について述べられた後、複雑性PTSDにおけるスティグマについて語られます。 　複雑性PTSDの患者さんは、物心のつく年齢になった時には、ありのまま生きることへのあきらめが、すでに心の中心を占め、

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いくつかのスティグマ(ネガティブさの刻印のようなもの)が生来の自分の持ち物として無意識に内在化され、そのスティグマという土壌に心の根を張っている。その土壌の要素としては、「自分が自分であることへの罪悪感」が最も大きい。治療に際しては、まずは安全な土壌を作り直さなくてはならない。

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具体例としていくつか。⑦私は常に完全でいい人でなければ存在が許されない。⑧私の身に起きていることはすべて秘密であり、外部に持ち出してはならない。⑩人はどんなにひどい環境にあっても、私を絶対に助けてはくれない。これらを両親にすり込まれ、内在化されても「生まれつきの自分の性格」と思い

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#摂食障害　家庭という密室で起こる嫌なことは、全部自分のせいだと思い込んでいることすらある。自分の両親が愛するに値しない人間だと気づくよりは、すべてを自分のせいにして自分を責めるほうが、子どもとしてはずっと楽だ。(p.160)

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#摂食障害　このようなスティグマを幼い頃に植え付けられ、普通のように生きていくには、解離を用いざるを得ないとも言えるのではなかろうか。

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まほこは一度も病院に行っていない。血だまりの中に倒れていた時もそうだ。もはやそれは流産だったか確かめようもない。血だまりをなかったことのようにぬぐい去って、現実をねじ曲げてから記憶することが習慣になっていた。まほこにとっては「事実を確かめるために病院に行く」という実に現実的な

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行動をとるよりは、自分の中で記憶や事実、痛みを否認し、自らを変容させる方がずっと楽でずっと慣れ親しんできたことだった。「自分が我慢すればそれで丸く収まるのだったらその方がいい」という考えである。「主体性」と「意思の力」は、回復の過程で必要になってくるキーワードである。(p.161

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外傷関連疾患の患者さんに「主体性」と伝えた場合に言葉の上ではなんとなく理解していても、現実での主体的経験があまりにも乏しく、その言葉そのものによって本人の言動を変えることは、困難なことがほとんどであるということも認識いただければと思う。#摂食障害

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スティグマを土壌としているかぎり、主体性の獲得は不可能に近い。実際、まほこには主体性のかけらもなかった。なかったことも知らなかった。複雑性PTSDの症状は、一貫性のある自分としての主体性の獲得の失敗であり、その最大の悲惨さは「現実に依存する自分をどこまでも自分として感じられない

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こと」にある。複雑性PTSDの患者さんが一番恐れるものは、何の変哲もない日常生活であり、そこに見え隠れするこれらのスティグマなのである。外傷関連疾患の人々の多くは『逆境に強く、順境に弱い』。幸せに過ごすということ自体がスティグマという掟に反することである。心落ち着いて過ごそうと

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すると、「主体性を持って生きる」という掟破りは許されるのか？ と心がざわめき始めるのだ。これは過去の心的外傷の再来を告げるものであり、本人にとっては、非常にこわい状態である。幸せに過ごそうとしている時に解離性の幻聴がひどくなるのはそのためである。(p.162)　#摂食障害

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著者は、次に、構造的解離(柴山雅俊)の概念と実際のまほこの感情や症状を説明していく。(第２章)

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解離に健忘が伴う限り、自分の過去について患者さんが語ることはどうしても「後づけ」になる。しかし、治療上、重要なことは実際に生じた外傷について正確に知ることではなく、その患者さんの症状が外傷的であることを表していることを見極め、ともに治癒に向けた具体的方向性を創っていくことである。

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ANP(Aparrently Normal Personality)あたかも正常に見える人格部分 と、 EP(Emortional Personality)情緒的人格部分 との共存および交代現象が、構造的解離の基本的な形態である。

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ANPとしてのサバイバーは、正常な生活を続けようと努力することに固着している。EPとしてのサバイバーは、外傷を受けた時に活性化された活動システム(防衛・性的活動)あるいはサブシステム(過覚醒・逃走・闘争・凍りつき)に固着している。ANPとEPは極度に硬直し、互いに閉じられている。

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著者の場合、「まほこ」がANPに、「まさき」がEPに相当する。お互いに声は聞こえて話すことはできるものの、決して触れることはできない。(p.163) #摂食障害

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「底知れない空虚さと孤独感、汚く、どす黒いものに自分が侵略されてなくなっていく恐怖と不安の感覚」が今の日常生活に侵入し、不適応な言動とわかりつつ、その恐怖から逃れようと低次の代用活動に頼ってしまう。解離が持続している場合、順境でざわざわと騒ぎ出すEPが過覚醒に近いような感じがある

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のに対して、逆境や過剰なストレスの下、頑張りすぎる、または没頭しすぎるANPをEPたちは「現実を遠くしてはやかすこと」でその場を乗り切ることを助けてくれている。しかし、没頭から出てきてからは、疲れ切ったEPから、ますます過剰な「嫌なことはこっちに丸投げしやがって！ 何をサボって

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蓄えることと、映画、DVD、本、音楽といったエンタティンメントを用いていた。しかし、EPがANPに侵入してくることに対する防衛策は、対象が何であったとしても、没入傾向をもち、いったん開始してしまうと自分の意思では途中で止められないという一種の依存的要素を含んでいた。かといって、

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強迫的にその没入を中心とした一連の作業を、１日１回はしないと自分を全く感じられなくなってしまうのだ。「まほこ」が一番恐れていたことは、「自分が消えてなくなっていくあの恐ろしい感覚」である。自分自身をなんとか感じるための手段としても、やはり過食嘔吐、アームカットを用いていたが、

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もちろん効果は一時的なものでしかなかった。摂食障害を発症してからは、以前にも増して適応的行動がとれなくなった。あらゆる注意や意識の方向が食べ物のことばかりに向いているため、今ここにおける外的環境に対しては、ほぼ無関心もしくは焦点がぼやけている状態で、注意集中に欠き、自分の意思で

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適応的な言動をとることができなかった。ここが、健常人とANPの、つまり「主体性を持った集中」と「没入」の大きな違いである。没入の場合、手綱を握っているものが、基本的にはANPが中心ではあるものの、時折、でたらめにEPが中心になることもある。特にANPが消耗しているときには、

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ANPの知らぬ間にEPが勝手に手綱を握って暴走し、多くの嫌なことを他者に投影している。「まほこ」は現実に即して行動しなければならないことに対して、開始と完結に大きな困難を抱えていた。開始に関しては「うまくできなかったらどうしよう」という焦燥感と不安から開始予定より早めに準備し過ぎ

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る傾向があり、完結に関しては、「本当にこれでいいのか」という不信感と猜疑心から何をもとにして完結とすればよいのか確信がもてなかった。実行に際しては、前述のように、一種異様な没入傾向を認めた。(p.166) #摂食障害

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治ると言われても「生きて来た意味」「自分の居場所が、席が用意されている」ことを信じることができ、自ら他人に働きかけて、自分の希望や計画を伝えたり、そのために援助を求めたりすることができるようになるまでは解離は必要だった。(p.166) #摂食障害

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サバイバーの人格を構成しているシステム間の凝集性・協調性が損なわれると、自分が断片化されて、バラバラに散らばって存在し、「自分が自分である」という自己同一性の感覚を持ちにくい。これ以上自己がバラバラにならないように必死で自らの決まり事にこだわるため、現実の変化に臨機応変に対応

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することができず、言動は硬直したものになっていく。「まほこ」は幼い頃から変化を嫌う傾向があった。摂食障害になる以前から自分なりのこだわりが強かった。外出する時に踏み出す最初の足は必ず右であった。急な予定変更があるとパニックになったが、動悸や呼吸困難、手足の震えなどの症状はひたすら

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隠した。外傷関連に基づくあらゆる外的症状は恐怖症として、ある特定の対象に投影され、「他人に知られても恥ずかしくない、怖いもの、嫌悪するもの」として、決して自己に侵入されないよう防衛の枠が強く硬く組まれた。枠組みからはみ出した極度の恐怖や怒り、不安な感情や感覚は断片化して遠くに

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とばした。拒食症になった時には、恐怖の対象が肥満と食べ物に集中することになったが、このときには解離という防衛膜にも柔軟性がなくなり、言動は強迫的なものになった。思考の面では、今現在の状況に見合った量の適切な情報の収集が全くできなくなった。食べ物に関しては、膨大な量の知識を持ったが

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知識をもとに現実に料理を作ることはあっても、他人に食べさせるばかりで、自分が食べることは絶対になかった。ある具体的な目的に対して、全体性は失われ、もともと少ないエネルギーの方向性は強調することなくバラバラになり、制御不能となって、現実的な意味合いを消失していた。(p.168)

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まず「私的」という感覚がわからない。質問を投げかけられても「どれが私なのか？私の中の誰に聞いているのか？」さっぱりわからなかった。現実に対して、おおむね否認・拒否・投影・スプリッティングという方法で対応していた。外傷体験の慢性化により、それ以外のやり方を学べないままであった。

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種々の健忘により「まほこ」は一貫した自分自身に関する歴史を認識できなかった。恋愛期間以外は恐怖と不安でただ真っ黒に染まっていたし、摂食障害になってから回復するまでの過程で、記憶は断片化され、ひどい時には現実は解体した。未来は危険なものでしかなく、昨日と今日はつながらなかった。

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日常生活でぽっかりと空いた時間ほど怖いものはなかった。健常な人々にとっては嬉しいはずの自由時間が「まほこ」には脅威だった。どんどん自分が誰だかわからなくなった。(p.172)　#摂食障害

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「まほこ」にとっての脅威は現在の外的刺激に対してよりは過去の内的生活にあった。しかし「まほこ」が拒食症になった時には、恐怖の対象が「肥満恐怖」と「食べ物恐怖」のみになり、すっきりもした。稚拙な代用活動であるが、拒食症を発症することで、ほかの恐怖症は一見消失したかのようであった。

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摂食障害になってからは、悲しみなどのネガティブな感情を引き受けていたその他のEPも、退行して弱体化した「まほこ」(ANP)に容易に侵入するようになってしまった。過食嘔吐が始まってからは、あらゆる情緒的な変化が食べ物と関連付けられてしまうようになった。日常生活の全てが恐怖と化した。

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サバイバーとしてのANPは、反射的、衝動的に行動を起こすことが多い。義務的に何かをした経験はあっても、主体性を持って現実に働きかけ、人間関係を広げていくといった経験が少なすぎるため、主体的な言動を求められた場合には、恐怖と疲労のためにうつ状態になってしまう。(p.173)

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#摂食障害　だから、彼らはずっと待っている。こうして、いい子で待っていたらきっと「自分から声を上げなくても」誰かが見つけてくれる。私をそっと抱き上げて、包み込んでくれる。空想癖がここでは良くも悪くも頼りとなる。そして、現実でも驚くほどに彼らはいつまでも待つことしか知らない。

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そうすることで生きながらえて、また逆にこのことで統合も現実化も妨げられ、解離は持続するのである。(p.173)　#摂食障害　 youtube.com/watch?v=6Dcn1K…

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「まほこ」の場合、思考を要する仕事や勉学の面では比較的心的水準は高かったが、感情のコントロールは非常に困難だった。実際には「相手の心の動きに非常に敏感であり、自分の考えを話すのではなく、相手の期待を察知してそれに合わせた言動をしてしまう過剰同調性」と「空想癖」を駆使していた。

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治療段階1,　日常生活において、より効果的に活動できるようになることを目的とする。内省の質を高め、量を増やす。何が自分のエネルギーを高めたり減らしたりするのかを知り、無駄なエネルギーの浪費を防ぐ。ANPの日常生活機能を促進することで、自己破壊行為や抑うつ不安などの症状を軽減できる

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その際には外傷記憶を包み込むことが最も重要になる。患者は自分の心的水準を引き上げるために、感情のスキルと関係性のスキルの多くを学んで、それを繰り返し、練習する必要がある。心的外傷に由来する恐怖症は、治療者とともに徹底的に取り扱われなければならない。(P.174) #摂食障害

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「まほこ」は「日常生活への恐怖症」と「自分が治っていく過程の変化をまた自分一人きりで見続けなければならないという恐怖症」「治癒していく中での些細な変化に対して、自分が解体していくような強烈な恐怖症」から摂食障害をすぐに手放す事など出来なかった。(PP.174-5) #摂食障害

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治療段階2,　外傷記憶に対する恐怖症を解消することで構造的解離を不必要なものとする。サバイバーは究極的には理想の家族の喪失をつつしみ、互いに依存し合うひとりの大人として機能することの意義を学ばなくてはならない。(P.175) #摂食障害

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治療段階3,　現実化を深めるために必要なつらい悲哀の作業である。強く保持されてきた代用的信念を放棄し、高度に保たれた心的エネルギーや心的効率を必要とする新しい方法によって世界と関わり合おうと努力することである。(P.175) #摂食障害　#解離

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最終的に親密さや愛着に対する恐怖症の克服こそが、おそらく治療成功の山場であり、患者が生活の質を高く保ち続けるために不可欠なものである。これが一番「まほこ」にはきつかった。(P.175) #摂食障害　#解離

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専門家を受診していなかったため、独りで取り組んでしまい、統合までにかなりの疲労とうつ状態が持続した。なによりあまりにも「まほこ」が惨めで仕方なかった。悲哀の作業そのものが、これまで生きてきたことを全部、否定してしまうように感じられてつらかった。　#摂食障害　#解離

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今まで解離を駆使して必死で生き延びてきたのだ。今を生きるためには解離を手放さなくてはならないことはわかっていたが、はじめは全然納得がいかなかった。「身体なんていらない。恐怖症なんて続いたっていい。今更他人の助けなんていらない。統合なんて一生出来なくていい。治りたくない」という