建て替えのため2020(令和2)年に閉店した福岡市の商業ビル、天神コアと天神ビブレ(東京浦辺建築事務所、1976・昭和51年)について。その2。
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タケ@ALL-A @take_all_a

福岡市の商業施設、天神コア(2020年3月閉店)と天神ビブレ(同2月閉店)の続き。前回、設計したのは東京浦辺建築事務所で、これは岡山県倉敷市を拠点に活動した浦辺鎮太郎氏が設立した倉敷建築研究所(倉敷建築事務所 → 浦辺建築事務所)から分離独立した設計事務所であると述べた。 pic.twitter.com/kqmnhLKN4s

2020-04-02 20:23:19
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下記リンク先によると、東京浦辺建築事務所は浦辺建築事務所から1972・S47に分離独立。1978・S53に加藤義宏建築事務所へと改称した。加藤氏は浦辺氏の倉敷レイヨン営繕部時代の部下で、倉敷建築研究所の創設メンバーの一人とのこと。 Fukupedia > 天神コア ほか fukupedia18.blog.fc2.com/blog-entry-365…

2020-04-02 20:25:03
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天神コア・天神ビブレは加藤義宏氏の東京事務所が受注した仕事なので、浦辺鎮太郎氏の関与は無いか低いと思われる。とはいえ「浦辺」の名を冠した事務所として彼の作風がどこかに表れていないだろうか。私は「白と赤」がそれだと見る。 pic.twitter.com/hkI5ng0NN5

2020-04-02 20:27:32
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浦辺鎮太郎氏は、岡山県倉敷市で創業した倉敷レイヨン(現 クラレ)の営繕部に所属する技師から建築家としてのキャリアをスタートし、同社の施設だけでなく多数の公共施設や文化施設などを手掛けた。写真は代表作のひとつで倉敷国際ホテル(1963・S38)。 pic.twitter.com/Iig9CRmgi7

2020-04-02 20:33:19
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レンガ造の倉敷紡績工場を倉敷アイビースクエア(1974・S49、岡山県倉敷市)というホテルやレストラン等の観光施設にリノベーションした仕事を転機に、浦辺氏の建築は「黒と白」から「白と赤」の時代へと変化する。 pic.twitter.com/n2TscY0cJ7

2020-04-02 20:34:47
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「黒と白」は倉敷美観地区の伝統的建築の瓦と白壁を意識したデザイン、「白と赤」はレンガタイルと白い吹き付け塗装を意味する。詳しくは『建築家 浦辺鎮太郎の仕事』(学芸出版社)掲載のコラム[「黒と白」から「白と赤」への作風の転機](西村清是)を参照。

2020-04-02 20:35:32
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浦辺氏の「白と赤」時代の商業建築としては、くらしきシティプラザ東ビル / 倉敷駅前再開発東ビル(1980・S55、岡山県倉敷市)が挙げられる。 pic.twitter.com/RENDBkyrz5

2020-04-02 20:37:23
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改めて天神コア・天神ビブレを見てみよう。外壁の大部分はプレキャストコンクリートの吹き付け塗装で、色はコア側が白、ビブレ側はアイボリーだ。改装時に塗り替えも実施しただろうが、過去の写真を見ると開業当時から白だった。 pic.twitter.com/xVSxSU4XpX

2020-04-02 20:39:51
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プレキャストコンクリートのパネルを三角状に若干盛り上げることで陰影が生じ、単調さが避けられている。 pic.twitter.com/kfwrPjFRCe

2020-04-02 20:42:45
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では「白と赤」の赤に相当する部分はどこにあるのか。実はコア1階外壁の石貼りは改装後の仕上げで、本来はレンガタイル貼りだったようだ。 pic.twitter.com/hFuz9yWXC3

2020-04-02 20:44:55
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この辺は私もよく覚えていないものの、過去の写真には確かにレンガらしき赤色が写っている。天神コア閉店セレモニーの動画から引用。 youtu.be/t6n7s_hmUQI pic.twitter.com/Fq81brbMzu

2020-04-02 20:46:25
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また、ビブレ側にある搬入口の一部にレンガタイルが残っている。ここの写真を撮り忘れたのでGoogleマップのストリートビューから。 pic.twitter.com/AxcNuxJlJ1

2020-04-02 20:47:45
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さらにコア屋上の塔屋にもレンガタイルが使われている。 pic.twitter.com/gloOxo0ziw

2020-04-02 20:48:45
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このように1階外壁部分のレンガタイルはほとんど見えなくなってしまったものの、地上と地階を結ぶ階段室にも使われていて、そこは改装工事でも手が付けられずに竣工当時のまま残っている。右手前の開口部が階段室の出入り口。 pic.twitter.com/sipips793G

2020-04-02 20:50:29
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これがコアの地階に通じる階段室だ。床・壁はレンガタイル貼り。ビブレの階段室も同様だったと記憶しているが、閉店までに写真が撮れなかった。 pic.twitter.com/HlmOBafRv5

2020-04-02 20:51:32
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天神コアの階段の続き。地階に行くにはエスカレーターを利用するか天神地下街からのアクセスが一般的で、この階段を利用する人はほとんどいなかった(避難階段として必要)。正直言うと私も閉店の見納めで初めて足を踏み入れた。 pic.twitter.com/I94oUQ4GRc

2020-04-03 20:21:47
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コーナーに鏡を張ることで閉鎖的な階段室に奥行きを生み出している。 pic.twitter.com/LoWP1lI6i2

2020-04-03 20:23:04
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合わせ鏡の効果が面白い。階段がいくつも連なって迷宮のようだ。 pic.twitter.com/eeJ3RSg8fB

2020-04-03 20:24:58
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建築の仕上げにレンガタイルを採用すること自体は一般的に珍しくないので、天神コアが浦辺建築における「白と赤」を踏襲しているかどうか判断できなかった。判断の決め手となったのは覆輪目地である。 pic.twitter.com/L1TolvtOKZ

2020-04-03 20:29:22
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浦辺氏は福岡銀行の支店をいくつか設計した。そのひとつ宗像支店(1981・S56、福岡県宗像市)に覆輪目地が見られる。ただ、倉敷市の浦辺建築については私が見た範囲では確認できなかった。 pic.twitter.com/xoEiS9utNj

2020-04-03 20:30:44
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覆輪目地の元ネタは倉敷美観地区のなまこ壁かな。伝統建築のなまこ壁と倉敷紡績のレンガ壁という倉敷の建築的特徴を、レンガタイルの覆輪目地という形で浦辺氏は自作に取り込んだのではないか。 pic.twitter.com/G3mJidwwSL

2020-04-03 20:34:37
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そのデザインが、浦辺氏の弟子が設計した天神コアでもさりげなく使われていたわけだ。ああ、もっと早くこのことに気付いていればなあ。閉店間際の見納めで発見して閉店後に指摘するなんて遅すぎる。 pic.twitter.com/iWhef0mMns

2020-04-03 20:37:00
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まとめたひと
タケ @take_all_a

福岡県を中心に、建築・団地・土木・産業遺産などについて、ツイッターにつぶやいたことをまとめています。個人サイトの方は放置中。