「摂食障害における強迫性と衝動性」吉村知穂・山田恒・松永寿人、「摂食障害における嗜癖性の臨床的意義」野間俊一、
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花びんに水をدعونا نملأ المزهرية بالماء☘️ @chokusenhikaeme

(「摂食障害における強迫性と衝動性」吉村知穂・山田恒・松永寿人、 精神科治療学 33(11) ; 1313-1319, 2018) 抄録 : 強迫性の中でも、完璧性は摂食障害と強迫性パーソナリティー障害に共通した背景因子の一つではないかと言われている。一方で、「融通のきかなさ」に関連した認知的特性を反映する

2019-02-12 04:56:05
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セットシフティングは、摂食障害のエンドフェノタイプである可能性がある。自傷行為、万引き、薬物の乱用や依存など種々の衝動性が移り変わり出現する一群は多衝動性過食症とされ、衝動性は摂食障害発症のリスクファクターである可能性が示されている。

2019-02-12 05:01:54
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摂食障害の患者を経時的に追跡すると、AN制限型がAN過食排出型に、さらにBNに移行することがあり、BNからAN過食排出型に移行することもある。よって、摂食障害における強迫性、衝動性を考える時、単にANに強迫性が高く、AN過食排出型、BNでは衝動性が高いという理解では不十分であり、病前性格や

2019-02-12 05:12:23
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パーソナリティの問題などを考慮することが必要である。 AN患者の強迫性のうち、厳密なルールを課し、融通がきかないといった傾向は、認知機能の領域から考えるとセットシフティング(set shifting)の問題とも言える。Set shiftingとは、あるルールで作業をし、他のルールに変更する必要性が生じた時に

2019-02-12 05:23:36
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新しいルールに順応する能力である。 強迫性を特徴とするパーソナリティ傾向としてあげられるのは、強迫性パーソナリティ障害(obsessive-compulsive personality disorder : OCPD)である。OCPDの診断基準には、完璧主義、融通がきかない、秩序を求める、生活の中で人や状況を厳密に制御する、といった

2019-02-12 05:31:39
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特性があるが、これらはAN患者によく観察される。食事と体重、体型に関するとらわれ、こだわりは、完璧主義と秩序の希求と理解できる。それから少しでも逸脱することを激しくおそれるあまり、「自分ルール」を他者に押しつけ、環境を整えることに心を砕くことになる(人や状況を制御)。

2019-02-12 05:36:57
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その中でも、OCPDの1つの要素である完璧主義(perfectionism)は特に摂食障害との関連が強いと言われている。  摂食障害と強迫症(obsessive-compulsive disorder : OCD)は、両者の併存が高率であるという報告が多い。OCDの症状のうち、強迫行動は、反復的で目的志向性の行動と考えられ、

2019-02-12 06:36:38
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通常は持続的で侵入的な思考(強迫観念)によって引き起こされる不安を軽減するために行われる。摂食障害患者は体重を過剰にコントロールしようと強迫的な行動パターンをとり、食べ方や順番に固執するといった儀式的な行動を繰り返し行う。これは、反復的で目的のある強迫行動という見方ができる。

2019-02-12 06:45:19
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その背景にあるのは、思考のほとんどが食事や体重へのとらわれ、他のことを考えようとしてもうまくいかない、という症状である。摂食障害患者の食事や体型、体重に関する思考は確かに侵入的ではあるが、📌自我親和的である。一方で、強迫症の強迫観念は、📌自我違和的であることが多く、

2019-02-12 06:52:30
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強迫行為に関しても「したくないのにしてしまう」という葛藤のあることが多い。よって、摂食障害と強迫症の症状は似てはいるが、その背景は同一ではないのではないか、という意見がある。また、強迫症における摂食障害の併存率は約4.7~9.6%であり、他の不安障害の併存(1~12%)に比べ、

2019-02-12 06:58:06
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高い傾向にあるが突出しているというほどではない。これらのことから、摂食障害と強迫症は類似の症状を持つが、単一の疾患概念とは言えないと考えられる。 SteinglassとWalshは摂食障害を強迫性という観点から考えたとき、大きく3つパターンが存在することを指摘した。

2019-02-12 07:04:52
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最初は典型的な摂食障害の症状が主たる一群であり、食物や体重、体型に関連したこだわりが特に強い。次に食物や体重、体型以外にも強迫的な観念や行動がある群である。この群はOCDが本態と考えられ、OCDへの治療を必要とする場合もある。📌3つめが、ASD(autism spetrum disorder)の潜在である。

2019-02-12 07:22:16
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ASDの症状は強迫症との重複も多く、強迫症の患者でのASDの有病率は3~7%(一般人口中の出現率の6~14倍)と言われており、強迫症患者の約20%に臨床的に有意なASD傾向が認められるという報告もある。ASDの症状である強迫性が食物や体重、体型に向けられた時、摂食障害に類似した行動をとることは

2019-02-12 07:30:35
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少なくはなく、摂食障害患者のうち、10~20%にASDが存在すると言われている。 過食排出行動を有する摂食障害患者が健常群と比較してより衝動性が高いことが報告されている。また、多彩な衝動行為を有する患者は再発リスクが高い可能性があり、衝動性は摂食障害発症のリスクファクターである可能性が

2019-02-12 07:35:47
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示されている。過食の症状を有する患者の中に、反復的な自傷、自殺未遂、万引き、薬物の乱用や依存、性的乱脈などの衝動性を示す一群があり、それらは多衝動性過食症(multi-impulsive bulimia : MIB)と定義されている。MIBの臨床的な特徴をLaceyは「衝動行為はコントロール不可能という感覚と関係する

2019-02-12 07:42:16
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それぞれの行為の頻度は流動的であり、他の衝動行為との間に互換性がある。患者にとってそれらの行為は衝動的に起こる、とみなされる」とした。さらにMIBは、摂食障害そのものはさほど重症ではないにも関わらず、精神病理がより重症であり、治療抵抗性であると言われている。

2019-02-12 07:47:29
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しかし、この多衝動性が摂食障害に特異的なものであるかについては否定的な意見が多い。Nagataらは多衝動性を有する過食症についての研究において、摂食障害の発症以前から自傷行為、自殺企図を有することが多いという報告をしている。同様の報告は他にもあり、MIBの症例は摂食障害の発症以前から

2019-02-12 07:52:02
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衝動的であり、衝動行為が摂食障害の結果とは言えないと考えられる。 MIBの衝動性が摂食障害発症以前から存在すると考えれば、パーソナリティ障害の可能性も示唆される。衝動性の高さを有するのは境界性パーソナリティー障害(BPD)である。LaceyはMIBがBPDの1表現型である可能性を考慮すべきとしている

2019-02-12 07:58:18
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飛谷は、MIB症例5件のうち4例がBPDの診断基準を満たしたが、①見捨てられを避けようとする努力、②不安定で激しい対人関係様式、という2項目は該当しなかったと報告している。BPD患者は、他者を操作し、巻き込む、といった行動をとり、その結果、他者や自分を傷つけることが多い。しかし1や2の

2019-02-12 08:04:57
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診断基準を満たさないということは対人関係上の問題が生じる可能性が低いとも言える。そのように考えれば、MIBはBPDの中でも異質と言える可能性も示唆される。 BED(binge eating disorder)は「コントロールできない」異常な食行動を診断基準とする疾患である。その背景には衝動性の問題があるのでは、

2019-02-12 08:10:54
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と示唆されている。衝動性を📌性急自動衝動性(状況判断なしにすぐに行動してしまう)と📌報酬感受性(早く報酬を得られるならば少なくてもかまわない)に分ける考え方がある。肥満とBEDに関連するメタ解析では、BED患者は性急自動衝動性と報酬感受性の両方が亢進しているのに対して、BEDのない肥満患者は

2019-02-12 08:16:13
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BEDよりも弱い報酬感受性の亢進を認めたが、性急自動衝動性の亢進は認められなかった。 一方、BN患者の過食に関しては自己調節能力を司る背側前頭前部回路および報酬系に関わる回路の機能不全の関与が言われており、情報の食い違いへの柔軟な対応を要する課題において前頭葉・線条体回路の活動の低下が

2019-02-12 08:22:14
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報告されている。性急自動衝動性は反応抑制系に含まれる前頭葉・線条体機能と関連し、報酬感受性は報酬系に含まれる線条体機能と関連していることが推測されている。故に、これらの結果から、過食衝動そのものには自己制御障害としての性急自動衝動性の亢進が関係し、過食の反復については報酬感受性の

2019-02-12 08:28:00
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亢進が関与していることが推測されるが、不明な点も多く、さらなる研究が期待される。 Thompson-Brennerは、摂食障害にはその診断を横断する3つの性格プロトタイプがあるとした。情動調節不全および衝動性によって特徴づけられる感情制御不全型、対人的回避や感情の過剰な抑制を特徴とする感情抑制型

2019-02-12 08:34:45
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完璧主義傾向が強く、頑固であるが、社会的な機能が高いとされる高機能・完璧主義傾向型である。各々が摂食障害患者に占める割合は、高機能・完璧主義型が42%、感情抑制型が31%、感情制御不全型が27%であった。強迫性は高機能・完全主義型タイプに属すると考えられている。このように考えると、

2019-02-12 09:49:10
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強迫性も衝動性もともに、摂食障害の単なる表現型を越えた、基盤的な問題である可能性が示唆されている。 Ⅴ. まとめ 摂食障害、特にANと強迫性の間には密接な関係性があり、その中でも完璧性は摂食障害とOCPDに共通する重要な因子である可能性が示唆されている。

2019-02-12 09:54:50
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一方で強迫性の疾患であるOCDと摂食障害は相違点も多い。そのため、強迫性を有する摂食障害を診るときに、摂食障害とOCDのどちらが優勢か、ASDの可能性はないのかを考えることは、治療上も意義がある。 衝動性はANの過食排出型、BN、BEDと関連し、その背景因子とも考えられる。

2019-02-12 09:59:09
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BPDと摂食障害はともに関連が深いが、特にMIBは摂食障害の中でも治療抵抗性を示すことが多い。そのため、衝動性の病態を把握することは重要である。

2019-02-12 10:03:34
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(「摂食障害における嗜癖性の臨床的意義」野間俊一、精神科治療学 33(11) ; 1321-1325, 2018) 離脱症状の存在や耐性の獲得といった固有の特徴を持った「依存(dependence)」(あるいは「依存症候群」)という科学的概念に対して、「嗜癖(addiction)」は「報酬刺激に対する強迫的関与」を意味する幅の広い

2019-02-12 10:13:29
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概念である。ここでは、「報酬刺激を求める強迫性」を「嗜癖性」と呼ぶことにする。・・・肥満臨床から心因性の強い「過食性障害(binge eating disorder)」という病態が抽出され、「むちゃ食い(binge eating)」の心理生物学的メカニズムが研究される中で、特定の食物が嗜癖性をもっていて、

2019-02-18 14:48:57
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あるタイプの過食は嗜癖行動と見なしうるという「食物嗜癖(food addiction)」という概念があらためて提唱されるようになった。2009年には「エール食物嗜癖スケール(Yale Food Addiction Scale : YFAS)」が開発され、さらに2016年、DSM-5の「物質使用障害」の概念を反映させた第2版「YFA2.0」が発表

2019-02-18 14:55:30
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された。神経性過食症のほとんどがYFA2.0で食物嗜癖の条件を満たしていることが確認され、従来の摂食障害に対する認知行動療法が食物嗜癖を加えたかたちで修正されるなど、提唱された当初は批判も多かった嗜癖という理解は、近年になって広く専門家に受け入れられてきている。

2019-02-18 15:01:57
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その背景には、最近の10年間で脳画像研究の知見が積み重ねられたことがある。神経性過食症患者や過食性障害患者では、行動の制御を司る前頭葉ー線条体回路の活動低下が認められ、報酬感受性の亢進が示唆されている。これは、なんらかの刺激を渇望した際に(例えば、過食衝動が生じた際に)、その悪い結果

2019-02-18 15:07:27
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(食べた後の後悔)を想像して制御することができず、すぐに現在の欲求を優先してしまう(過食してしまう)ことを意味する。また、過食性障害患者において、薬物嗜癖者と同様に、嗜癖行動の習慣性、固執性、自動性に関連した内側眼窩前頭皮質や背側線条体の賦活が指摘されている。

2019-02-18 15:12:20