毎日正午すぎくらいに勝手に呟いています。
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楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 ここは女神ルフィシアの司る国。古くからの言い伝えにより、魔界に封印されし魔王が蘇る日が近づいていた。私たちは女神の前に集まり、決戦に備えた。予言の時。女神は光に包まれて、空へと消えていった。『封印は、解かれた。さようなら』あんた魔王だったのか。ていうか、ここ魔界か。 pic.twitter.com/uUGNAt31uE

2020-05-24 12:10:02
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楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 厳密には、ずれが始まったのは先月の1日、らしい。僕らの目に見えるほど違ってきたのは、つい先週。鏡の中の話だ。今では鏡を見ても、自分の顔が映ることはほとんどない。向こうの世界でも、動揺しているようだ。見えるだけでけして行き来できない、隣の世界。これからどう育っていくのか。 pic.twitter.com/z0iHGZBYDf

2020-05-23 12:10:25
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楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 命日に墓参りにいくと、姉がいた。「遅かったね」「ちょっと、用事があって」いいわけをして、線香をそなえる。薬缶の水、米を少し、花をとりかえて、拝む。「一緒に帰らない?」そう、姉にいうと、笑って、「まだ、だめ。後で行くから」と。そりゃ、そうか。さよなら姉さん。またお盆に。 pic.twitter.com/jVLMvQBTF1

2020-05-22 12:15:02
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楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「あの雲」「え?」「こんなに風があるのに、動かない」「本当だ」そんな会話をしてから、一ヶ月。街を包むほどの大きな渦が、未だに留まっている。少しずつ形をかえて。近頃ではだれも話題にしない。「あれ、口じゃない?」誰かがそっとつぶやく。大きな口、牙。いつ飲み込まれるのか。 pic.twitter.com/GV4dm9RK5u

2020-05-21 12:10:02
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#140字小説 俺はマッパー。迷宮の地図を作って道を探すのさ。戦士や魔術師みたいに派手じゃないが、必要な仕事だ。ヤン?あいつか。地図が完成した途端、奪って俺を置き去りにしやがった。…解るだろ?地図は俺にしか読めない。あちこち、わざと書換えて…まあ、マッパーを馬鹿にするなってことだ。 pic.twitter.com/stSMkqtPj5

2020-05-20 12:10:01
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#140字小説 満月の晩、明け方前に墓場の南の十字路にいる女についてゆくと、この世ならぬ場所に着くという。「…いつも、ここで休んでるの」ジョギング中らしい女。「その噂、私のことでしょ。ばっかみたい」ちょっと休憩して飲み物でも、と誘うとついてきた。さァて、獲物だ。一ヶ月ぶりの。 pic.twitter.com/Yc7t4vdIwT

2020-05-19 12:10:02
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#140字小説 いらっしゃい。え?雑種。写メ見せた事なかったか?ずっと前からいるよ。…何言ってんだ。猫だよ。ほらこの写メ。見せたろ。同じ猫だよ!どういう目してんだ。…え、いや猫だよ。入れ替わってなんかいないよ。猫以外の何に見えるっての。ちょっと、帰らないで!俺を置いていかないでくれ! pic.twitter.com/WydQaldx5C

2020-05-18 12:10:02
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#140字小説 剣ひとつで身をたてて、いつかは英雄と呼ばれてみせる。誓ってから10年。ごろつきのような生活が嫌になって故郷に戻った。一人で畑を耕して老いるのだ。そう決めた矢先、村に野盗が。野盗のかしらと戦い、相討ちに倒れる。後ろには、とうに結婚した君の家。おれは英雄になれただろうか。 pic.twitter.com/Z5IXbNJBNk

2020-05-17 12:10:02
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#140字小説 不思議なもんだ。お前がパワーを身に着けてから、ヴィランが次々に出てきた。ヒーローは悪を呼ぶのかもな。「…って、アランが言うんだ。おかしいだろ?」「ええ」私は頷く。絶対に知られてはいけない。彼の今の生活が、私のおかげだってこと。私のヴィランネームも。レイス。幻影の女。 pic.twitter.com/QxvnlO40wE

2020-05-16 12:10:02
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#140字小説 墓場に夜いくときは、気をつけるがいい。宴があるかもしれないから。女の声で歌が聞こえたら、宴の合図だ。うかつに近づくと、引きずりこまれるぞ。夜が明けたって終わるもんか。地面の下で二次会さ。ま、この墓場に身内がいるなら、うまく抜け出させてくれるかもな。気をつけるんだぞ… pic.twitter.com/OMHHCXRGJU

2020-05-15 12:10:01
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#140字小説 超能力を授かった。時間を止める能力。止まった時間のなかで動けるのは、俺だけだそうだ。授業中に時間を止めてみる。先生を叩いたり、女子のスカートをめくったり、やりたい放題。さて、解除するか。え、何でみんな怒るんだ。動けないだけで、みんな見えてはいたって。そんなのアリかよ… pic.twitter.com/ySelmKRcgt

2020-05-14 12:10:02
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#140字小説 街が朱に染まる。逢魔が刻とかいったか、こんなときには怪異が出ると言う。気をつけなければ。……あれ、もう随分経つのに、あたりは赤いまま。人の気配もない。「……違うよ。」背中から、ぶきみな声。「こんなときには、人間がこちらにやってくる。おれたちは、そう言うのさ。」 pic.twitter.com/n0URcDNKVW

2020-05-13 12:00:01
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楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 幼いころに死んだ母さんにどうしても会いたくて、おれは飛び降りた。地上につくまで数秒。大学時代、高校時代、中学時代……、おれはどんどん時間を遡っていった。走馬灯というやつか。そうして、おれの髪の先が地面についた頃、「……おかえり。」やさしかった母が、そこに。

2020-05-12 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「見えたか?」「いいえ、今日も。」いつものやりとり。見張りはずっと私。かれが狩りに出ている間、船を待っている。もう、一年も。今日は、とおくにタンカーが見えた。昨日は、ヨットが。「……まだ、船は通らないか。」「ええ、今日も。」こうして、私が見張りにたっているかぎりは。

2020-05-11 12:10:00
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#140字小説 空間に穴があいて、親父に似た男が現れた。「未来のおまえだ、かくまってくれ!」そう叫んで押入れにもぐりこむ。つづいて、短銃をもった女。「あいつはどこに…あれ?」やばい。まさかおれを殺そうと。「…おまえを連れていってしまえば、大人のあいつはここに存在しなくなるな」…え?

2020-05-10 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 その魔神がさ、ひとつ願いを叶えてくれるっていうから。可愛い嫁さん下さい!って。なんか渋ってたけど、頼みこんでさ。すげー好みの、気立てのいい女性が来て喜んでたんだよ。……でも昨日見ちゃったんだ。夜中、嫁がポンっと魔神の姿に戻るのを…どうしよう、おっさんと結婚しちゃった。

2020-05-09 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「惑星シャルードの知性体は、精神だけで成長し、交流、繁殖する術を身につけた。溶けあい、わかれてゆく、ある物質に身をゆだね、憑依した」「なに、SF?」「去年、ヘラ探査機が送ってきた成果。知らない?」「…ある物質って?」「水さ。もしかしたら、探査機に乗って、この雨にも。」

2020-05-08 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 嗚呼、こんども駄目だった。もう一度やり直すしかない。あなたはそう言って、過去へ跳んだ。わたしはぽつんと取り残されて、一人で戦うしかなかった。あなたが跳んだ過去は、知らないわたしのいる世界。いったい何人のわたしが、こうして置き去りにされたのだろう。さよなら、永遠に。

2020-05-07 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 十年にいちどの満月。こんな夜は、どこまで行っても月に追われるばかり。いっそ、月にむかって歩いてみよう。ほうら、ずんずん月が近づいてくる。大きくなって、まるで、僕らをのみこむように。あとどれくらい歩けば、月面にたどり着くだろう。

2020-05-06 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 惑星ツクビエの文明はとっくに滅びたと思われていた。しかし、広大な地下空間に、睡眠ポッドが大量に並んでいるのが発見された。太陽光で半永久的に動く仮想空間ジェネレイターの内部で生きるツクビエ星人たち。対話を試みた精神感応者たちは一人も戻らなかった。ツクビエの夢は何色か。

2020-05-05 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 このあたりには、昔、ドジョウの養殖場があったんだとサ。いつのまにか、経営者がいなくなって、水槽の泥のなかで飼われていたドジョウが逃げだした。それが、どういうわけか乾いた土のなかに、未だに棲んでるとか。硝子に穴を開け、土を食い破るようになったドジョウが、ほら、足元に。

2020-05-04 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 私は都会のライオン。ひそやかに獲物を狩るの。夜の街を、王様のように歩いて。群れからはぐれたシマウマを、がぶりと、ひと噛み。 ほうら、とっても美味しい。

2020-05-03 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 そのポラロイドカメラで写すと、魂が写真に吸い取られるだって?明治時代じゃあるまいし。君を撮ってやる。…ほら、何も変わらないじゃないか。僕を撮ってみろよ。あれ、僕が見える。なんで勝手に喋ってるんだ。僕はここにいるのに。動けないぞ。『破っちゃえ』だって?おい……

2020-05-02 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 え? 右腕がないって? 違うよ。伸びてるのさ。先週から、伸びるようになったんだ。スゥっと力を抜くと、ゴムみたいにどんどん伸びる。そうすると薄くなるから、見えにくくなるんだ。ホラ、指先は今、どこにあるかな。お前の……

2020-05-01 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 下水配管図の閲覧ですね? はい、こちらです。え? 載ってないって。ああ、時々あるんですよ。古いマンホールや管はなかなか把握しきれなくて……。ああ、ご忠告しますが、載ってない管は絶対に触らないでくださいね。なにが出てくるかわからないから。先月も、それで二人…いや、失礼。

2020-04-30 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 最近、変なことが多くてさ。レンタルビデオ店でカードを出せば、他の会員と間違えられるし。かかってくる電話の2回に1回は間違い電話だ。しかも、……さっき、おれの車とまったく同じナンバーの車があったんだ。ぜんぜん知らないやつが乗ってた。なあ、おれって本当に存在してるのかな…

2020-04-29 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「これが時空の穴さ」底の見えない大穴。いくつもの石片が浮いている。「落ちるにつれ、時間の流れがどんどん遅くなる。主観的には一瞬のはずだが」「主観的には?」答えはなく、私は突き落とされた。星が動き、すぐに昼夜の区別がつかなくなり、太陽が膨張し、私は宇宙の終わりを見た。

2020-04-28 12:10:39
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 邪悪な魔女に呪いをかけられてカエルにされてしまった。仕方がないので、適当な池でのんびり暮らしていたら、女に捕まって水槽に入れられてしまった。気がついたら水槽が割れて、俺は元の姿に。真実の愛が呪いを解いたのだ。当然、その後叩き出された。さて、どうしよう。

2020-04-27 12:10:53
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「デスゲームごっこしよう」ハルノが言い出した。みんなでゲームをして、負けた奴は死んだふりをして倒れるのだ。ゲームは進み、おれとハルノの一騎打ち。ふと違和感。『死んだ』奴らがぴくりとも動かない。ハルノがにやにや笑っている。まさか。くそ、もう逃げられない。

2020-04-26 12:10:48
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 友人の部屋に入ると、部屋じゅうに同じ時計があった。かちこちかちこちかちこちかちこち、秒針の音で気が狂いそうだ。「やっと繁殖に成功したの」と、うれしそうに彼女はいった。「で、品種改良してさあ。この子、あげる。針がゆーっくり進むの。長生きしたいって言ってたでしょう?」

2020-04-25 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 繁華街で、死んだじいさんにそっくりな姿を見た。まさか。そう思いつつも、初命日に墓まいり。線香を供えて立ち上がり、ふと気づく。敷き詰められた石の下に、小さな蓋のようなもの。中にはスイッチ。押してみると、大きな音がいして墓石がひらいた。階段。やられた。いくら道楽者だって。

2020-04-24 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 買ってもらった鍵つきチョーカー。鍵を渡した数日後に連絡がつかなくなった。一ヶ月ほどして、知らない名前の封筒。なかには便箋と、きれいに包まれた鍵。便箋は読まずに捨てた。鍵といっしょに。さよならは、まだ言えない。

2020-04-23 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 花雪というんです、と彼女は言ったのだ。嘘だと思っていた。こうして、彼女の故郷を訪れてみるまでは。冬と春のあいまの限られた日にだけ降る、花びらの形をした雪。地面に落ちると、じんわり溶けて消える。ああ、なぜもっと早く来なかったろう。

2020-04-22 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 籠城戦。1ヶ月近く膠着状態が続いている。敵も味方ももう限界だ。おれは、こっそり城の外に出ることにした。どうせ、城が占領されれば、おれたちは生きておれない。手引きしてくれた男に、手紙を託された。包囲を抜けたはずが、すぐ敵に捕まる。預かった手紙は、城の見取り図。やられた。

2020-04-21 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 夜。こっそり窓から抜け出して、外へ。開発中止になった団地の空き地。仲間たちがもう集まっている。夜の集会に出るのは初めてだ。「さて、いくか」リーダーの低い声とともに、皆の背中から、大きな翼が。ばさり、ばさりと群れて飛び立っていく。ぽつんと地上にひとり。さて、どうしよう。

2020-04-20 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 毎年のように現れる謎の怪獣たち。今のところなんとか撃退できているが、いったいどこから来るのか。宇宙人の手先か、海底の新生物か。……実は、おれは見たんだ。前回の襲撃のとき。やつの口の中に向けてレーザーをロックオンしたら、……顔が。あれは人間の顔だった。ちくしょう。

2020-04-19 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 ひどい霧だ。ちょっとコンビニに出ただけなのに、もう足元が見えない。こんな天気でも、外出してる人は結構いるみたいだ。さっきすれ違った人は、むかし死んだ同級生によく似ていた。空は晴れているようで、太陽がぼんやり見える。一瞬だけ霧が晴れて、竜が。あれ、ここはどこだ。今のは。

2020-04-18 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 …あ、見ちゃった? いやあ、実は変なものを集めるのが好きでさ。道路によく落ちてるだろ。手袋とか、靴とか。なんでそんなものを、って? そりゃ君、たまに中身が…いや待て、冗談だってば。おい。…まさか本当に見たのか。いちばん奥に隠したのに…

2020-04-17 12:10:07
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 いつも自分の席で本を読んでいた彼女。休み時間のたびに話しかけて、やっと笑ってくれるようになった。卒業式の日、彼女は、さよなら、といって消えてしまった。本当は、ぼくも知っていた。彼女がとっくに死んでいたこと。

2020-04-16 12:10:19
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 目が覚めると、妻が少し大きくなっていた。そう言うと、妻は馬鹿なことを、と笑っていた。次の日、さらに大きくなっていた。次の日も、また次の日も。妻はもう、僕よりずっと大きい。家に入るときも、かがんでやっとドアを通るのに、本人は気づいていない。おかしいのはどっちだろう。

2020-04-15 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 月のない夜は好きだ。闇は私の友達だから。ずるりと、とけこむように消えて、透明になれる。ふらふらと街灯のない道を歩いて、とん、と跳ぶ。別世界へ。闇の中には古馴染みの妖魅たち。……嗚呼、星が出て来た。今夜はここまで。さようなら。

2020-04-14 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 小さな卵をひろった。ずうっと置いておいたが、べつに腐っている様子もない。中はどうなっているのか、怖いもの見たさで、こつこつ叩いてみる。ひびが入った。ぱりん。割れると、そこには広い世界が。そうか、こっちが卵の中だったのか。

2020-04-13 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 あ、ごめん。この部屋さ、うるさくしちゃ駄目だから。悪いけどドライヤーはやめて。……いや、壁が薄いとかじゃないんだよ。うるさいとさ、聞こえないだろ。声が。そうすると、ヤバいんだよ。聞こえたらすぐ返事しないと。だからさ、夜もあんま眠れなくて……。

2020-04-12 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 炎のパンチ。なんとかいう名前がついていたはずだが、忘れた。特撮番組の必殺技だ。弟が得意げに拳をつきだしてポーズをとる。何度目か。相槌をうつのに疲れてスマートフォンをみていると、ふいに熱の気配。弟の手が燃えていた。つんざく悲鳴。肉が焦げるにおい。どうしたら。

2020-04-11 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 ナルーダル号がもどってきた。宇宙開拓時代に出立した冷凍睡眠型の植民船。乗員はすべて冷凍されていて、自動航行装置のログは壊れていた。グリーゼ581cへ向かったはずの宇宙船が、なぜ。移民船の成功例はいまだなく、開拓ブームはとうに終わった。人類はこのまま、地球と朽ちるのか。

2020-04-09 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 おい、上を見るなよ。このへんじゃ、電柱と電線の上は、やつらの領域なんだ。いや、見たからって別に呪いがどうとかじゃない。ただ、目が合っちゃいけねえんだ。あいつらに睨まれたら、足がすくんじまう。そしたら、もう命がねえ。いいか、何かあってもおれは助けないからな……。

2020-04-08 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 消防車の音。それも、あちこちから。「来いよ、」といわれて、屋上へあがる。街のあちこちで、煙が。「ここもだ、」あいつは鞄から枯れ草のようなものを取り出して、火をつけた。「狼煙だよ」といって。意味がわからない。だが、予感がした。何もかも変わってしまうのだと。

2020-04-07 12:10:01
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 妹が右目が痒いと言っている。二日ほど前からだ。なにか虫のようなものが見えるとも言っていた。飛蚊症?ただの花粉症?今日こそ病院に連れていかなければ。妹を起こすと、右目がかたい殻のようなもので覆われていた。なんだこれは。まさか、卵?うめき声をあげる妹。こつんと音。ひびが。

2020-04-06 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 「わたし、双子なんだ。」そういわれて、冗談だと思った。「1日ずつ、交代で学校にきてるの。だから、昨日の約束なんて覚えてない。ごめんね」しばらく後、彼女の家でそっくりな女を見た。「じつは従姉妹なの」彼女はわらった。本当だろうか?女の目元の黒子には見覚えがあった。まさか。

2020-04-05 12:10:00
楠羽毛 @kusunoki_umou

#140字小説 最近、夏休みの夢を見る。午前中は縁側ですいかを食べて宿題をして、午後に友達が遊びに来て一緒にプールに。自転車で公園へいって、虫取り。暗くなって帰ったら、カレーライスをお腹いっぱい食べる。ふしぎだ。私はずっと一人ぼっちで、そんな思い出なんかないのに。

2020-04-04 12:10:00
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まとめたひと
楠羽毛 @kusunoki_umou

SF、とか…?