抜粋)⑦『自己愛家族～アダルトチャイルドを生むシステム～』岡堂哲雄 監訳 竹前ルリ 山口美恵子 真板彰子 訳 金剛出版 1997

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✄------------ p【第９章　親密、セックス、そして友情】q´∀｀*)

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ジェニイは自分の子ども時代の経験が、大人になってからのセックスにどうして影響を及ぼすことになったのか、殊に多数の男性と何年間もの「正常な」性交渉をもった後で影響があったかが理解できなかった。

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また気晴らし、あるいは生殖のためのセックスと、深い感情と関わりの表現としてのセックスの間には、大きな違った世界があるということが、理解できなかった。

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"Such Devoted Sisters"のヒロインが、「ある意味で愛するって簡単なこと。でも難しいのは、信頼することなのよ」と言っている通りである。セックスはやさしいが、親密は困難である。　Sex may be easy, but intimacy is hard.

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自己愛家族で育った多くの大人たちのように、ジェニイは恋愛時代と結婚後の数年間は、夫と満足な性的関係を持つことができた。それは非常に熱烈な時期で、二人の関係の情熱的でジェットコースターのような激しさが、セックスを刺激的なものにした。

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二人の関係の中に、仕事や、自立した子どもが入り込み、夫が落ち着いてもっと深い関わりを求めるようになってきた時に、ジェニイはパニックに陥った。オーガズムに達する彼女の能力は消え失せ、続いてある期間性欲の喪失が起こった。ジェニイは性的には能力があっても、親密になる能力がなかったのだ。

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男性／女性のサバイバーの関係において、最初の段階ではセックスは親密にならないことの方に重きが置かれている。相手が親密を求めて迫ると、二人の関係はしばしば終わりを告げる。

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自己愛家族出身者は、セックスの類いは上手にできることが多い。と言うのは、望ましい性的パートナーになることの大部分は、相手の望みを【反映し】、適切に【反応する】こと、すなわち反応的／反映的人間であることだからである。

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しかし関係が成熟した時(「激情」期と呼ばれるものから一歩足を踏み出した時)、健全な関係は親密さを求める方向へと動き出すのである。

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自己愛家族出身者のセックスカウンセリングを頼まれた治療者にとって、初期のアセスメントはよく注意する必要がある。と言うのは、性的問題がその性質上、友情の質ほどには重要でないからである。

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もしカップルがオープンで信頼性のあるコミュニケーションをする友人のような関係になれないなら、セックスカウンセリングはほとんど確実に失敗するだろう。 Id. at 147

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セラピストが個人的な性的障害を持たないことは必ずしもその話題を喜んで深く話し合えるということを意味しない。もしセラピストの気分が良ければ、患者もそう感じるだろうし、不快ならば、患者もそれを感じ、深い所まで話をすすめる気にはならないだろう。

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さらに悪くすると患者はセラピストの不快感を自分たちが性的に何か間違った所――病気や、倒錯や、欠陥など――がある証拠なのだと解釈してしまうかもしれない。

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おそらくカップルにとって、セックスくらい話し合うのが難しい領域はないだろう。私たちの社会では、セックスは道徳、業績、そしてアイデンティティーなどといったたくさんの情緒的価値を負わされている。

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そのためカップルはしばしば、カウンセラーの前で情緒的に全裸にされるように思ったり、あるいは、彼らがしていること(彼らの見方からすれば、自分の持っているものから自分の存在そのものまで)が不適切だと言われそうな気がして、ほとんど精神的に病気になってセックスカウンセリングを受けに来る。

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性的失敗を認めることは、個人的失敗を認めることになる。それは人が性的行為をいかに重大なものと感じているかということである。カップルがセックスカウンセリングを受け始める時には、ひどく緊張して最初のセッションにやって来るので、見るのも気の毒なほどである。

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だからもしセラピストまで神経質になったり、不快だったりすれば、失敗のお膳立てができているようなものである。患者はセラピストを慰める(別の言い方をすれば喜ばせる)やり方で反応し始めるだろう。

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正直に反応する(すなわち自分自身の主張をし、要求を満たす)代わりに、反応的／反映的になり、そしておそらく最初の数セッションで脱落してしまうだろう。

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しかし、もしこの仕事を楽しみ、それを刺激的で、むしろ面白いと思うなら、セラピストが患者を楽にすることができ、ノーマライジングによって不安な感情を正当なものとし、最初のセッションを本当に興味深く、楽しいものにできる。

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患者は「へぇー、そんなに悪くなかったなあ」と考えながら帰り、次の週もまた現れるだろう。彼らは堕落とか異常とか失敗とかの感じを持たず、希望を抱くであろう。

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著者たちの見方からすると、セックスカウンセリングは多くのセラピィと同様に、30%がスキルであり、30%がトレーニングであり、そして40%が錬金術である。

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友情 自己愛家族出身の大人はしばしば孤独な人たちである。たとえ彼らがグループの中で熱狂的に忙しく「働いて」いても、しばしば親しい友人を持たず、同性の友情を持つことに特別に困難を感じている可能性がある。

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自分が、映画に描かれていたような友情を持っていなかったということで、いまだに嘆き、２０年たってもまだ欠陥があると感じているバーバラの例を思い出してほしい。

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彼女の嘆きの一部は、【他の人は誰でも皆】自分の心の奥底の感情をすべて分かち合える何人かの親友を持っているのだと空想していることから来ている。

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多くの人々も彼女と同じように感じていて、非常に親しい友人が一人でもいてその上に、もっと「暗い」あるいは傷つきやすいセルフについてまでは分かち合ったりすることはなくとも時間と活動を共有する、それほど親密でない友達の小さなサークルを持つことができれば、

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普通はもうそれで十分幸運なのだということを、彼女は天啓のように初めて知ったのであった。

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【註 : 以下の記述に関しては、原著が1994年刊であることを、LBGT各位ご理解願います】 女性が大抵お互いに一緒にいて、男性は孤立しているということは、私たちの社会生活のさみしく、おろかで、不必要な事実である。私たちの文化では、男性神話は男性を孤立へと鍛えあげる。p.150

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女性が信頼することを学び、関係を分かち合うために手を差し伸べることを学ぼうとすれば、女性は健康で分かち合いのできる他の女性と手を組むことができるであろう。しかし、もし男性が同じことを試みたら、親密を怖れた男性からの拒絶を経験することになるだろう。

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この同性愛恐怖症社会では、自分たちの感情を話し合う自由を持ち、他の男性と親密な友情を持とうとする男性は、しばしば親密が性的関係に発展するのではないかという恐れから、疑いの目で見られるであろう。

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たぶんこれが男性が女性の友達を探す理由であるが、もちろんこのような関係は、さきほどと同じ問題をはらむのである。私たちの社会では親密と性とは密接につながっている。

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すべての人間関係に性的要素があるが、女性同士の友情は、この領域では男性同士の友情よりは問題が少ないように思われる。女性の友人同士が出会ったり別れを告げる時に抱き合うのを見ることは普通であるが、男性同士で同じことをするのはそんなに見られない。

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女性同士の友情に性的葛藤はないとしても、そこにはしばしば競争的葛藤はある。社会は女性への門戸を狭くすることで、女性同士の葛藤を強めている。女性がキャリアやリーダーシップを手にする機会が少なければ、与えられた機会に対する競争はより多くなる。

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しかしながら自己愛家族のアダルトチルドレンにとっては、さらに付け加えられる面がある。 　受容と無条件の愛の雰囲気の中で育てられなかった場合、人は、友人の要求通りにした時にのみ、友人から好かれるのだと信じ込みやすい。

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他の人の要求通りにすることがいかに難しいか、そしてそれに失敗したとき拒否されることがいかに辛いかを、育てられる間に知り尽くしているこのような人々が、しばしば友情を壊してしまうことは驚くに値しない。

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あまりに要求がましく、あまりに受け入れやすく、あまりに与えすぎ、あまりに控えめで、あまりに操作的で、あまりに気まぐれで、あまりに侵入的で、あまりにぼんやりしていて、あまりに責任感がありすぎ、あまりに無責任――これらがサバイバーたちがその友情に「破滅をもたらす」幾つかの方法である。

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それは本質的に自己愛家族の中で子どもがコントロールしようと試みるやり方に似かよった、まがい物の試みなのである。

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それは、「あなたはどうせ私を拒否するんだから、私は先に自分からそうするわ」といった、自分が本物のコントロールを持てないことを恐れて(あるいは知って)いる人々が学んできた破壊的な種類のコントロールなのである。

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関係 このような人々と関係を築こうとした人々は、しばしば情緒的に「入って行けない」感じを抱く。そこにあるメッセージは、大抵「入ってきて欲しいけれど、でもあまり深くは来ないで」とか、「時々ならいいけど、その時私がＯＫかそうでないかを、ちゃんとあなたが判断して」ということである。

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また逆に、これらの人々はあまりに急速に親密になり、結局親密を恐れて、突然身を引くことになる。

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彼らは親密を望んで――実際切望しているのであるが、①自分の欠陥のために関係を保ち続けられない、②自分がしたくない／できない要求を相手がするかもしれない、③自分に欠陥があることを相手が発見して拒否するだろう、ということが恐ろしくなってしまうのである。

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そこでコントロールできない親密の不快さを解決するため、親密の程度をコントロールしようと試みるのが普通だが、大抵その関係は失敗に終わることが運命づけられている。ほんの少し親密であることというのは、ほんの少し妊娠しているということに似ていて、現実の世界では起こり得ないことである。

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人間関係は結果を知った上での予言となる。すなわち人はそれがうまくいかないことを知っていて、それが確実に実現するようなやり方で行動するのである。

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相手が不平等な関係が嫌になって結局あきらめるか、あるいはサバイバーの方が恐れとコントロール不能の感情から、自ら関係を終わらせるか(「やられる前にやる」という対処の流儀)である。

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まがい物のコントロール機制の習慣は、自己愛家庭で教えられるレッスンの一つである。このような関係の「相手方」は、しばしば利用され、傷つけられた感じを持ち、自分たちには理解できない突然の拒否の犠牲者にされたように感じるのである。Id. at 152

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両極端 ある人格特性のスペクトラムの両端が、奇妙に並んで同時に存在することは、自己愛家庭で育った大人の一般的な要素である。

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自己愛家族のサバイバーのグループセラピィで起こる興味深い出来事の一つは、ふつう最初の回に、彼らが他のメンバーが話し合っているある特定の特徴を聞いた時、自分がその特徴の両極端を表していると気づくことである。

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ジーン「私は誰のことも信じないの。男の人に関する私の大きな問題は、私が手の届く所には彼を入れないことなんです。結局男の人は「畜生」って言って、もっと相手にしてくれる女の人のところへ行ってしまいます。」 サラ(力強く頷いて)「まあ、私とまるきり同じだわ。」

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リジイ「時々私もそんな風にすると思うけど、でもある時は私は誰にでも簡単に私の魂を明け渡しちゃうの。つまり、パーティで一人の男性と出会って、私の身の上話をして、そうしてベッドに入っちゃう。ひどいものよ！」 サラ(力強く頷いて)「それも私とそっくり！」

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プラスティックの壁 親密と、痛みを感じることに対する防衛として、心理的な障壁(または壁)を築くという考えは、文学作品の中でよく描かれている。もちろん、心理学的な障壁に固有の問題も本物の壁の問題と同じである。それらは締め出しもするが、また中に閉じ込めもするであろう。