掃除屋川内とベラ湾

イーグル @eaglesousaku

「ダメですって！」倒れようとする川内の身体を引っ張りあげようとする。「今日は仕事ないもん……だから寝る」「ならせめて説明ぐらいしてください！なんで嵐がいるんですか！？」「そいつに聞いてよぉ」「お腹空いたんですってば！」「……」「……」川内、嵐、沈黙。萩風、顔真っ赤

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「は、萩？」真っ赤な顔を隠してしゃがみ込む萩風。そして遠慮なく鳴る空腹の音。「ご飯……食べよっか」眠そうな目を擦りながらも川内が立ち上がる。嵐はオロオロしながら萩風に近付いて「た、食べに行こうぜ？俺も腹減ったし」「うぅ……もう恥ずかしくて死にたい」

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「んで、納得した？」食事を摂りながら川内がかなり雑に説明するせいで萩風が補足しながら嵐に事情を話す。話している間、嵐はずっと川内を警戒していたが、話を聞き終わってからは少し肩の力が抜けていた。「ややこしい事しないでくれよ……」「いや、そっちが勝手に勘違いしただけじゃん」

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ただいまーと気の抜けた声と供に家に帰ってきた川内の顔についてる返り血で汚れている。けれど時雨を除く全員は平然と顔の血を拭きに行く。（また、血の匂い……）って時雨は離れてその様子を見てる

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仕事終わった後の川内さんは絶対に先にシャワー浴びてからリビングに行く。ケガしてても治療は絶対に一人でするから、誰も川内さんの素肌を見たことがない。背中にある無数の斬りつけられた傷跡や縫い傷があるし、腕は仕方なく晒してるけど、出掛ける際は絶対に隠れるような服を着る

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（返り血がついたまま笑ってるなんて。僕には理解出来ない）と時雨は思ってるのに、家から出ていこうとはしない拾われ時雨。掃除屋の仕事を淡々とこなす川内の顔は見たことがない

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仕事モードの時の冷たい目を知ってるのは萩風だけ。それ以降は少しは柔らかい表情、というか飄々としてる

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でも“掃除”する瞬間、相手の目に映る川内さんの姿はどこまでも冷たい

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相手を追い詰めて「ひ、あ……た、頼む、見逃してくれ！」「それは無理なんだよねぇ」――じゃあね。って軽い声から感情を感じられない声になってお掃除だよ

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大抵は一人で仕事してるけど、たまに江風も同行させる。「お、おまえなんかに殺されてたまるかよ！こっちには手練の連中が……」「手練ってのはこれかい？」とターゲットの目の前に転がってくる生首。「なーンか、拍子抜けだったぜ」「江風……また散らかしたね？」「きひひ、いーじゃンか」

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川内さんはサクッと一撃で終わるようにするけど、江風は派手に始末するのが好きらしい

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「あーあ。まーた派手にやったねぇ」「別に片付ける訳じゃないンだからいいじゃンか」「ほら、顔に血ついてるからジッとして」「川内さんだって全身浴びてンじゃン」「あんなに噴き出すと思わなかったよ……」「こりゃ帰ったら風呂だね」「先に入るから」「ハイハイ」

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前も言ったかもだけど、“掃除”してるのは川内と江風。家事や買い出しは萩風と嵐。天霧は情報屋で家を空けてることが多いし、時雨はまだ宙ぶらりん状態な掃除屋川内さん+ベラ湾勢

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「帰りましたよっと」「おっ、天霧おかえり」「近く通ったもんで」「今日くらいこっちで寝ていけば？皆喜ぶよ」「そーッスね。なら、お言葉に甘えて」「久々に組手やる？」「いいねぇ。負けないッスよ」「上等」ってなる川内さんと天霧

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降れども降れども、降り注ぐ雨が身体を濡らしても、全身にこびりついた血の匂いが取れない気がして、どんより濁った空をただただ見ていた。足元に転がる人“だった”もの。それから流れ出す血と水が混ざり合って下水へ流れていく。「汚い」もう一度、それを足蹴にする。

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「なにか用？」川内が背後に感じた視線に問いかければ、なにも言葉は発さずとも気配が動く。「時雨でしょ。なにしてんの」名前を呼ばれた事で観念したのか、物陰から時雨が姿を現す。「こんな雨の中で散歩は関心出来ないなぁ」「……」時雨はなにも答えず、足元の死体を見つめる。「死んでるよ」

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「……殺したんだね」「うん」「僕の身内なのに？」「親、とは言わないんだね」「……」黙ったままの時雨に近付き、帰りを促す言葉を投げ、帰路につく。時雨はついてこなかった。「おっかえりー。……あれ、時雨の姉貴は？」「現場。教えたの江風だなー？」「げっ、マジで行ったの？」

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「もー、言うなっての」「多分だけど、本人も気付いてたっぽいしな」「後で誰か迎えに行ってあげて」と川内が言えば、萩風が名乗りを上げ、そそくさと出ていってしまう。今回は依頼でもなんでもない。時雨の義理の父親、弱いものにしか手を出さないクズだ。ボロなんて幾らでも出てきた

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「川内さーン。そろそろ新しいやつ欲しいー」「またぁ？この前買い替えたばっかじゃん」「ンなこと言っても折れたんだから仕方ないじゃンか。なっ？買いに行こうぜ！」「自腹で買いなよ？」「ちぇ」って江風の仕事用大型ナイフを買いに行く川内と江風。市場？うん、闇市だな

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「あいっかわらず、ここって怪しいよなぁ」「表にこんな店出せないでしょ」「そうだけどさー」とブラブラして、いつもの店に行けば、明るい店内に所狭しと並べられた刃物に銃、爆薬。「いらっしゃいクマー……って、なんだまた川内達クマか」「またかってひどくない？」球磨の店にようこそ

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「お客じゃん」「お前らナイフしか買わないから商売にならんクマ」「ちゃんと弾も買ってるのに」「たまにはショットガンくらい買えクマ」「やだよ、うるさいじゃん」「川内さンこれどうだ！？」「……それ、ナタだよ？」「え、マジ？」「持ってたら即“狗”が寄ってくるクマね？安くしとくクマ」

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「江風ー、タバコ買って来てー」「えぇ、またぁ？この間買ったばっかじゃンか」「吸い過ぎちゃった。それか時雨でもいいよー」「……僕？」「なら二人で行こうぜ！ほーら、時雨の姉貴もおやつ買えるし行こうぜ」「えっ、あっ」「よろしくー」と昼間は家から出ない掃除屋川内さん

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「川内さん、退いてくれないなら轢きますよー」「んー」「もう！嵐、川内さん転がして」「ハイハイっと」「……うりゃ！」「ちょ、踏ん張らないでくれよ！？」萩風が掃除機掛けてんのに退かない川内さん。嵐も退かそうとするけど意地悪されるけど、最終兵器、雑巾が川内さんに迫る（萩風両手持ち）

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夜の依頼が多いから昼間はダラダラしたり寝てる事が多いから、その間はベラ湾勢が忙しく走り回ってる。天霧は別に住んでるけど、たまに帰ってきて「お土産ッスよー」とケーキや和菓子買ってくる

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「あのオッサンが死んでて、萩がいなくなってて……心臓が止まるかと思った。窓の外を見たら誰かが走ってくのが見えたから無我夢中で追っかけて」「よく私に追いついたね」「嵐は私と違って運動が得意なんです」「へぇ」と川内が頷く。「萩風が大事？」「あ、当たり前だろ！？」

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「そっか。ちなみにわざと聞くけど、あそこに帰りたい？」川内が表情も変えずに萩風と嵐に問う。「嫌……です」「萩がいないならあんなトコお断りだ」泣きそうな声の萩風と、萩風を見ながら答える嵐。「んじゃ、しばらく付き合ってもらおうかな」冷めたコーヒーを一気に飲み干した川内が二人に言う

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お掃除後の川内さん……かな。返り血とか描けんよ pic.twitter.com/LSJnGNCYrk

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時雨が洗濯物を川内の部屋に持っていって、ノックして返事も待たずに扉を開けたものだから、着替え中の川内の上半身が目に飛び込んで来て、「ご、ゴメ……！？」古傷や真新しい傷が目に止まって言葉が止まる時雨。「あっちゃー、見られちゃったか」と服を着る川内

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「見て気持ちいいもんじゃないでしょ」と長袖のシャツを着ながら言う川内。「さすがに他の子達は知ってるけど、時雨に見せるつもりはなかったんだけどね」「……どうして？」「だって、まだこっちの世界に踏み込んでないでしょ？」と机に置いてあるナイフを指差す川内

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「洗濯物、ありがと」そう言うと、川内は時雨の背中を押して半ば部屋から追い出すように部屋の外へ出す。時雨は抵抗もせず、そのまま閉め出され、呆然とその場に立ち尽くす。銃痕、縫い傷、裂傷痕。血の滲んだ包帯。その視覚の情報が一気に時雨の脳裏に焼き付く。なのに「どうして、君は笑えるんだ？」

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時雨を部屋から追い出し、川内はもう一度シャツを脱いで鏡で身体を見る。「怖がらせちゃったかな……」肌を見た時の時雨の顔。明らかに畏怖や嫌悪らしき感情が出ていた。口頭で言ってようが、殺しの現場を見ていようが、見る状況によっては感じ方も違うだろう。「あー、もう」

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「どうして……」「依頼だから」「だからって、あの人はなにも悪い事してないじゃないか！」「時雨、前も言ったよね。私は正義の味方じゃないんだよ。仕事だから処分する。相手が善人だろうが悪人だろうが関係ないんだよ」 twitter.com/eaglesousaku/s…

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11RTされてもされなくても、「あの人は何も悪くないのに」という台詞を使って掃除屋川内の漫画か何かを描いてみましょう。 #シリアスっぽいセリフ shindanmaker.com/796384

2018-05-20 23:21:07

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掃除屋川内の考え方が理解できなくて、戸惑う時雨。（なんで、僕を拾ったの？）

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ある種、掃除屋川内さんと暮らしてる面々は壊れてる面があるから川内を批難したりしないんだよ。じゃなきゃ、普通ヒトゴロシの側にいないだろ？

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「なんだこりゃ」川内が依頼された路地裏に行けば赤、赤、赤。その中心にいる少女。そして握られている大型のナイフ。「誰かいンのか？」振り返った少女の顔。恐れも後悔の色もない。「聞きたいんだけど、コレやったのってお嬢さんだったり？」「そーだけど？」

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「同業者……ではなさそうだね」「仕事なンかしてないぞ？」「じゃあなんでソイツ死んでんの？」「ずっとついてきてウザかったから」（この子……）「なに、アンタも江風の邪魔すンの？」「まさか。ただ、お腹空かない？」「……減った」「じゃあ顔拭いて、ハンバーガー屋行こうよ」「マジで！？」

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ハンバーガーをがっついてる江風を観察しながら（この子どうしようか。仕事の邪魔はされたけど、故意じゃなさそうだし。でもなぁ）「なぁ」「うん？」「アンタっていっつもこんな時間歩き回ってンの？」「いつもでもないけど」「ウソ言うなって。何回も見かけてンだよ」やられた。カマを掛けられた

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「足掻いてもダメだよ」「くそ……がッ。離せえこのアマ……ガッ！？」「そのアマに殺されるんだから、アンタはそれ以下だね」と同業者に邪魔だと思われてる掃除屋川内。「へっ、お前ガキを集めてるらしいじゃねぇかよ。アレか？売り飛ばす仕事についた方が楽なんじゃな」言葉はそこで途切れる。

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「……」踏みつけた男の口から血が流れる。「余計な情報だね。知らないならまだ痛めつける程度にしようかと思ったのに」川内は冷たい声で言い放ち、銃口を男の口にねじこむ。パンッとオモチャのような軽い音がして、すぐに静寂が戻る。「きったなぁ。海に捨てよ」銃を引き抜き、その場を去る

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『噓つきめ』──違う。『出来損ないが』違う。何度否定しようが誰も手を差し伸べてくれなかった。必要としてくれなかった。『お前なんかいらないんだよ』「やめ……ッ！！」叫びながら手を伸ばした途端、見慣れた天井が視界に広がる。「朝……か」「川内さん？」「萩風か。おはよ」いつも通り挨拶する

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「このまま静かにしてくれるなら優しく殺してあげるよ？」と地面に伏せてる襲撃者の頭に銃を突き付ける掃除屋川内。襲撃者にペッと靴に唾を吐きつけられて「そう」短く言ってから頭に当てていた銃を離して足に狙いをつけて引き金を引く。絶叫が夜の街に響く。だが、誰も来ない。「だから言ったのに」

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「川内さんは少しタバコを控えるべきです！」「そうかな」「なのでこれを代わりにしてください」「ココアシガレット……」「ココアシガレットです」掃除屋川内さん、萩風に叱られる。お財布をにぎってもらってるから仕方ないね pic.twitter.com/wyyas5dHnB

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「夏祭り？」「えぇ。近くであるみたいで皆で行きたいなって話してたんですよ。川内さんも」「お祭りかぁ……よし、なら浴衣買いに行こっか」「え！？いえそんないいですよ！」「いーじゃん。皆の浴衣見たいし」と掃除屋川内さんとベラ湾組でお祭り行っといで

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「川内さんは着ないの？」「動きにくいからね。ほら、時雨も来なよ」「ぼ、僕はいいよ」「江風ー、嵐ー、時雨を呉服屋まで連行してー」『あいあいさー！』「ちょ、二人共！？」「観念しなってキヒヒ」「いいじゃないか。時雨も浴衣見に行こうぜ？」

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ショットガンは個人的に天霧に使わせたいんよなぁ。掃除屋パロん中じゃ情報屋だけど

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「っと、危ないなぁ！アタシを殺す気ならまだまだ動きが遅いなッと！」みたいな感じでぶっ放してほしい

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掃除屋川内さんが傷だらけになって帰ってきたら、真っ先に萩風が飛んできて、普段は出さないような厳しい声で皆に指示して、他の子もすぐさま動くのに時雨は動けずに、血だらけの川内さんを見て「あ……、ぁッ」って目を見開いて声を漏らす時雨。「はぎ、かぜ……時雨を、別室に……つれてって」

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「時雨さん、ちょっと向こうへ」「ぼ、僕は」なにか言おうとする時雨の腕を萩風が掴み、部屋まで連れて行く。「慣れてないから仕方ないですよ。終わったらまた呼びに来ます」扉を閉められ、時雨はぺたんとその場にへたり込む。赤、白、赤、白、白。玄関の白が赤に侵されていたのが目に焼き付いたまま

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「止血します。タオル入れますね」と萩風が川内の口にタオル噛ませてから怪我の箇所を強く縛る。「ぐっ……！」手が血で汚れるのを気にも留めずに手当をしていく萩風。「萩！いつものセット持ってきた！あとお湯！」「嵐は傷周りの血をゆっくり拭いて。江風は周辺の見回りと血が落ちてないか見てきて」

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頭が痛い。雨が振り続けているせいか、頭痛が取れず、朝起きる事すら億劫に感じる。雨。煙草のニオイ。向けられる笑顔たち。雨。流れる赤。横たわる“　　”。「うっ……」ダメだ。思い出したくないことまで思い出してしまう。今何時なのかと時計を見れば、まだ日も登らない深夜だった