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イーグル @eaglesousaku

「なにしてるの?」雨にうたれるしかなかった僕に声を掛けてきた誰か。傘の下からゆらゆらと見える煙は、その誰かがくわえているたばこからで嫌な臭いが鼻につく。「雨の中で一人でボーッとしてさ。風邪引くよ」「……ないんだ」「ん?」「僕には……帰る場所がないんだ」だから放っておいてほしい

2017-08-22 19:29:34
イーグル @eaglesousaku

「そのまま野垂れ死ぬつもり?」「だったらなんなんだい。君には関係ないでしょ」「ははっ。それもそうだね」なにが可笑しいのか笑うその人。笑った拍子にくわえていた煙草が地面に落ち、ジュッと小さく音を立てて消える。その人が新しい煙草に火をつけながら僕に近付く。「なら、うちに来なよ」

2017-08-22 19:33:15
イーグル @eaglesousaku

「おかえりー……って誰だソイツ?」「ん?拾った」「川内さンも物好きだよなぁ。これで何人目さ?」「江風だって拾ってもらったんだから文句言わないの」「あ、萩風。お風呂終わった?」「はい。おかえりなさい川内さん」って前に呟いた雨の中で川内に拾われた時雨の話はどうしようかって悩んでる

2017-08-30 00:42:40
イーグル @eaglesousaku

大丈夫、健全だから。川内は裏世界の人だけど、独りでいる子供見つけたら保護という名の拉致するから

2017-08-30 00:43:50
イーグル @eaglesousaku

「萩風はお風呂の使い方教えてあげて。江風は着替えは貸してあげるのと、嵐はご飯余ってるのをチン出来るようにしといて」ってテキパキと指示出して、時雨は萩風に手を引かれてお風呂へGO

2017-08-30 00:45:41
イーグル @eaglesousaku

「ンで、あの新入り虐待かなンか?」「さぁ。まだ聞いてないよ」「虐待ならどうする?」「いつも通り」「やっぱ消すンだねぇ」「そういう事する奴は生きてなくていいでしょ」「俺も手伝ったほうがいい?」「嵐達はいいの。家を綺麗にしておいてくれた方が嬉しい」「了解だ」

2017-08-30 00:56:19
イーグル @eaglesousaku

萩風がお風呂についていったのは身体の怪我チェックでもあるよ。虐待なら、見えない所に痣とかあること多いから

2017-08-30 00:57:20
イーグル @eaglesousaku

一番最初に拾われたのが萩風(虐待)だから、そういう子の変化に気付きやすいし、相手を刺激にしくい。そして家事全般をこなせる出来る子

2017-08-30 00:58:52
イーグル @eaglesousaku

だから萩風基本的にお掃除はしてくれるし、嵐も不器用ながら修繕くらいは出来るんじゃないかと。江風はどっちかと言えば川内不在の間の守り

2017-08-30 01:00:25
イーグル @eaglesousaku

川内と江風は散らかすから、萩風によく叱られる

2017-08-30 01:02:03
イーグル @eaglesousaku

「もう!食べ終わったら自分でキッチンまで食器を持ってきてくださいって言ったじゃないですか」「お腹いっぱいで動きたくないー」「だよなぁ」「……そうですか(スッ」「萩ストップ!おたまは痛いからやめようぜ!?」

2017-08-30 01:04:17
イーグル @eaglesousaku

「大丈夫ですよ。川内さん、悪い事はしますけど優しい人ですから」「……優しい人が悪い事するのかい?」「優しさだけじゃ生きていけませんから」「……」風呂場の説明をしながら時雨と話す萩風。時雨はなにも言えないまま湯に浸かる

2017-08-30 20:11:32
イーグル @eaglesousaku

「とりあえず湯船には入ってくれました」「なにか話せた?」「特には……怪我等は大丈夫でした」「江風が聞いてみるか?」「もう少ししたらね。今は萩風に任せるよ」「飯も準備出来たぞ。川内さんのも」と嵐がいそいそとご飯並べてくれるのを川内は見てる

2017-08-30 20:33:56
イーグル @eaglesousaku

「んー」「川内さン、仕事?」「違うよ。あの子の家庭環境調べてた」「へぇー、どうなのさ?」「よくはないね。というより、血繋がってないくさい」「フーン……」と部屋に散乱してる紙を適当に読んでいく江風。「……あ」江風の顔が引き攣る。「川内さン、コイツどうすんの」「いつも通り探すけど」

2017-09-09 13:54:41
イーグル @eaglesousaku

「これ、江風にやらせてくンない?」「どうして?」「……」「まあいいけど。その代わりにトドメ以外は私がやるから」「ン」と書類を睨んだままでそれを落とすようにして部屋から出て行く江風。川内がそれを拾い、再度目を通す。「あぁ……そういうこと」江風を拾った近くだと思い出した。

2017-09-09 14:09:59
イーグル @eaglesousaku

書類に貼りつけておいた写真を見る。じっくり、目に焼き付ける。「川内さん、萩かご飯出来たってさ……あっ、仕事中?」「平気平気。今日なんだろね」と書類を投げて部屋を出る。さて、いつ殺ろうかと考えながら嵐と共にリビングへ向かう川内。その表情は終始変わらず笑ったままだ

2017-09-09 14:18:03
イーグル @eaglesousaku

「また事件、ねぇ。そこにある金庫や貴金物から指紋は?」「仏の指紋以外全くないですね。強盗でもなく、怨恨によるものでもなさそうですし」「もう少し派手に殺ってくれれば分かりやすいのに」「今の発言、刑事としてどうなんですか」「じゃあ取り消しで。大淀は怖いなー」

2017-09-11 20:10:06
イーグル @eaglesousaku

大淀は警察側。明石は科学捜査班。刑事は実は凄腕準鷹さんとか

2017-09-11 20:12:15
イーグル @eaglesousaku

「ただいま」「……おかえりなさい、川内さん」と時雨は静かに川内に挨拶し、川内もシャツと仕事に使った革手袋を洗濯機へ投げ込む。物音で気がついたのか、部屋の奥からぞろぞろと皆が出てくる。「おっ、帰ってきた!」「結構早かったな」「お疲れ様です、川内さん」「はいはい、お土産あるからねー」

2017-09-11 20:20:02
イーグル @eaglesousaku

「…」皆と話している川内の後ろ姿を少し離れた場所から眺める時雨。微かに香った血の匂い。他の人が感じる事が出来ない程微量な匂い。また人を処分してきたんだと分かる。汚い仕事もやってるとは萩風から聞いていたが、にわかに信じられなかった

2017-09-11 20:24:23
イーグル @eaglesousaku

「なーにしてんだ?」「わっ」江風に話しかけられ、驚いた拍子に飛び跳ねるとゲラゲラと笑われてしまう。「なンだよ。まだ川内さンの事信用出来ねぇの?」そう問われ、黙り込む。信用以前にどういった人なのか分からないというのが現状だ。向こうでは嵐と萩風が楽しげに川内と話しているのが見える

2017-09-11 20:32:19
イーグル @eaglesousaku

「そういや、金庫の持ち主は掃除出来たのか?」「ちゃんとしたよ。本人の生きてる眼球がじゃないと開けれないから、もう中身は出せないよ」「金庫は壊せないんですか…?」「無理無理。あんなの爆破させても傷一つつかない素材だもん。ということで、中のよろしくないお金は無価値ってこと」

2017-09-11 20:35:49
イーグル @eaglesousaku

「…人を殺す人って怖いと思わないのかい」「べっつにー。その辺の奴よりいいじゃン。見てるだけでなにもしない腐ってる連中よりはさー」そう言って江風はポケットからコインを取り出し、指で弾いて遊ぶ。「よし、賭けすっか!」「か、賭け?」「食事当番の」「それ今は関係な」「イクぞー!」

2017-09-11 20:50:06
イーグル @eaglesousaku

「こら、江風。当番くらいちゃんとやりなよ」「えー、メンドクサイじゃん」小さく江風を小突き、笑っている。先程まで匂っていた血の匂いはもうしない。ただ、人懐っこそうな笑顔浮かべた川内。いい人、なのだろうか。どうして僕を匿ってくれるのだろうか。時雨にはそれが分からないままだ

2017-09-11 20:57:56
イーグル @eaglesousaku

いつからこんな風に依頼を受けるようになったのかは覚えていない。ただ、誰かに必要とされたくて、ただ、褒めて欲しいなと思っていたのは確かだ。けれど、誰も褒めてくれたわけもなく、お前が必要だなんて言われたことは一度もなかった。ただ仕事をこなす機械と同じだと気付いた

2017-09-17 02:53:42
イーグル @eaglesousaku

依頼主を裏切ったのは、この時が初めてだった。自分の目の前で少女を殺さずに解体しろと。「ひっ……!」視線を向ければ、少女からか細い悲鳴が上がる。年の割に成熟した身体つき。衣服の隙間から見える痣や傷が、この子の生き様を表しているようだ。子供を手に掛けた事なんていくらでもあったのに

2017-09-17 02:57:51
イーグル @eaglesousaku

依頼主の顔を見る。ニタニタと気持ち悪い顔で見てくる。必要がなくなったら捨てる。この子はいらないと判断されたのだろう。手に持っていたナイフをくるりと回すだけで少女は怯える。もう一度ナイフを空中で回転させるように投げ、手に戻った瞬間に標的へ投擲する。――依頼主の眉間へナイフは向かう

2017-09-17 03:01:11
イーグル @eaglesousaku

声を上げる間もなく、男は床へと沈む。ナイフを抜けば、吹き出した血が顔や身体に掛かるが、気にせず怯えている少女へと近付き、目線を合わせるように膝をつく。「名前は?」「は、はぎ…萩風…です」「君は必要ないって言われた?」「…きっとそう…なんで、しょうね」「そっか」

2017-09-17 03:04:22
イーグル @eaglesousaku

「逃げよっか」「えっ…」「ここにいても臭うし、どっか行こ?」血に濡れたままの手で萩風の手を掴み、身体を抱きかかえると窓から飛び降りる。着地なんてお手の物だ。ギュッと萩風が胸元を掴んでくる。逃げ出す様子はない。「さあ、どこ行こっかな」

2017-09-17 03:08:12
イーグル @eaglesousaku

元々住んでいた部屋は引き払い、必要最低限の荷持だけを持って、少し大きめの家を買ってみた。元々お金なんか使い道がなかったから、簡単に購入出来た。「また買い物行かないとね」「……」呆気にとられる萩風。なにかおかしなことをしてしまっただろうか

2017-09-17 03:12:25
イーグル @eaglesousaku

「あ、あの…」「んー?」「貴方の名前…は?」「あ、言ってなかったね。川内だよ」「川内さんは…私を必要として…くれるんですか」「どうだろう。必要とかそんなのは考えてないよ。ただ、」「ただ?」必要としてほしかったのはこっち「…なんでもないや。家事とか出来る?」

2017-09-17 03:14:47
イーグル @eaglesousaku

「か、家事ですか?一通りは出来ると思いますけど…」「んじゃさ、明日は買い物行くから一緒に来て必要なもの教えてくれない?一人じゃ分かんないからさ」「へ?」「行くとこ、ないでしょ?」と言えば、萩風は俯いてしまう。「だから、アテが出来るまでいていいよ」「…変な人ですね」

2017-09-21 20:28:28
イーグル @eaglesousaku

クスリと笑う萩風にこんな風に笑う子なんだと、内心で安心する。先程から怯えた表情や不安げなものしか見ていなかったから、連れてきてしまってよかったのかと少し悩んでしまったのだが、心配はなさそうだ。「とりあえず、床で寝てね」「ありがとう、ございます」「私はなにもしてないよ」

2017-09-21 20:33:24
イーグル @eaglesousaku

眠ってしまった萩風の顔を眺めていると、外から誰かの気配を感じる。追手かと思ったが、それにしては気配の消し方は雑だし、人数は一人というふざけた人数。「…」萩風を起こさぬよう、静かに外へ出て、わざと足音を立てるように走れば、下手に尾行してくる誰か。

2017-09-21 20:36:54
イーグル @eaglesousaku

路地裏へと入り、身を隠す。そこへ息を荒くして入ってくる誰かをようやく視認する。赤い髪に少しつり上がった目。その手には似つかわしくない銃が握られており、明らかにこちらを探している。「くそっ…!どこ行ったッ」焦りの滲む声。一体誰だろうか。見た感じ子供に見える

2017-09-21 20:43:28
イーグル @eaglesousaku

路地の奥まで来たのを確認し、そいつの背後へ近付き首元へナイフを押し当てつつ、口を塞ぐ「!?」「動くな。動けば殺す。騒いでも抵抗しても殺す」なるべく声を低くし、口早に言う。背丈も自分より小さく、押さえ込んでいる身体は小さく震えていた「なんで私を付けたの」

2017-09-21 20:52:03
イーグル @eaglesousaku

塞いでいた手を少しだけ緩めて問う。噛みつかれるかと警戒したが、素直に口を開く。「お、お前が萩を連れ去ったんだろ!?」「はぎ?」「紫の髪の女の子!」「あ、萩風のことか」暗かった路地裏へ月明かりが差し込み、赤髪の子の顔がしっかり見える。見れば萩風とそう歳も変わらなさそうな少女だった

2017-09-21 20:56:13
イーグル @eaglesousaku

「で、萩風とどういう関係」「お、お前には関係なっ…ぐっ…」「答えて」「っ…同じ屋敷にいたんだよ…こき使われてたから」「…で、なんで萩風を追いかけてきたの」「……大事な奴だから」そう言って口を噤んでしまう。嘘はついてなさそうだ

2017-09-21 21:02:28
イーグル @eaglesousaku

「ふーん…どうしたいの?」「萩を取り返す」「それで私を殺そうとしたと。そんな物騒な物持って」「お前が言うな!お前だってナイフ持ってるだろ!」「仕事道具だし?」そう言いながらナイフを首元から離してやると、私から距離を離す。動きが完全に素人だ

2017-09-21 21:06:59
イーグル @eaglesousaku

「そんなのじゃ私は殺せないよ」「んなことやってみなきゃ分かんないだろ!」「じゃ、これなーんだ?」手に持っているマガジンを見せてやれば、慌てて自分の銃を確認する少女。やはり気付いてなかったのかとそれをポケットに仕舞う。「さて、どうしようか?」挑発するように言う

2017-09-21 21:17:11
イーグル @eaglesousaku

「こんの…っ」真っ直ぐ、丸腰で突っ込んでくる少女を躱して床へ叩き伏せる。それでも衰えない威勢。「萩風に会いたいなら今から言う事を守って」「誰が…!!」「家についたら静かにすること。これすらも守れないならここで終わらせるよ」それだけ言って、少女から離れる

2017-09-21 21:20:33
イーグル @eaglesousaku

「…本当だろうな」「嘘つくメリットないし?」「…」そう言って、少女は小さく分かったと返事をして、空っぽの銃をこちらへ差し出してくる。それを受け取って、遠くへ放り投げれば、どこかでカシャンと音が響いてくる。「なんで捨てた!?」「え、邪魔だったから」「なんなんだコイツ…」

2017-09-21 21:24:31
イーグル @eaglesousaku

起きたら枕元にすごい顔して嵐が正座してて、朝一番に悲鳴を上げた萩風(入り口を塞ぐようにして寝てる掃除屋川内の世界)

2017-09-28 10:10:05
イーグル @eaglesousaku

「なっ、あ、あ、嵐!?どうしてここに!?せ、川内さん起きてください!」と萩風パニックだし、嵐は目を開けて寝てるし、川内は起きない

2017-09-28 10:13:13
イーグル @eaglesousaku

「川内さーん……起きてくださいってば!状況を教えてくださいよぉ」と萩風が寝てる川内を揺さぶるが起きる気配がない。嵐は正座したまま眠ってるから起こしたくないと思う。その時、くぅと間抜けな音が自身の腹から鳴る。窓から外を見れば、もう陽は登りきり、ギラギラと陽射しを浴びせてきていた

2017-10-02 08:36:25
イーグル @eaglesousaku

「お腹すいちゃった」情けないとは思うが、昨晩からほとんどなにも口にしていないのだから仕方がない。二人を起こさぬようにキッチンを探し、川内に内心で謝りつつ、冷蔵庫を開ける。簡単な食材しかなかったが、三人分の食事ぐらいならなんとか作れそうだ。

2017-10-02 08:45:53
イーグル @eaglesousaku

食材、というよりコンビニで買ったらしきおにぎりや既製品ばかりで、そのまま食べるとしても少し味気ない気がして有り合わせでなにか出来ないかと考える。置き去りになっていた袋を覗けばインスタントラーメンが出て来る。が、食べた事はない。ずっとあの屋敷にいたせいでこういった物とは縁がなかった

2017-11-30 00:11:13
イーグル @eaglesousaku

「うどん、みたいね。出汁の粉末と、乾燥油揚げ……かしら」具材を分けて、マジマジと観察して、今ある食材と合わせられるか考えるも浮かばない。そのまま皆で分けて食べた方がよかったのかもしれないと思い、申し訳ないと思いながら川内と嵐を起こしに行く

2017-11-30 00:18:13
イーグル @eaglesousaku

「川内さん、起きてください。川内さんったら!」いくら揺さぶっても川内は起きない。嵐も揺さぶるが唸るだけで起きない。「もう!」起こしている間にも情けない音が自分から聞こえて悲しくなる。最終手段。フライパンとおたま「おーきーてーくーだーさーいー!!」甲高い金属音が部屋に響き渡る。

2017-11-30 00:24:54
イーグル @eaglesousaku

「うおっ!?」まず嵐が飛び起きる。川内はうるさいとは思っているのかうずくまって耳を塞いでいる。もう一息。「起きて!!」「……む、ぅ……?」ぼんやりした表情で身体を起こした川内。「……朝、か」「そうですよ。だから」「じゃあ、寝る……」「はい、起きてくださえぇ!?」

2017-11-30 00:29:44
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イーグル @eaglesousaku

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