【魔法少女（笑）】八尋伊万里関連

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL ああ、ダメだ。今時亭主関白だなんて。 嫁をサポートしてやれる旦那が今の時代理想的ではなかろうか。 って誰が旦那だよ。 「やっくん……………」 心の中で一人漫才をしていると、元カノさんが見開いた目で俺を見ていた。 なんだその、いま真相に行きついたという顔は。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「やっくんの…バカッ…！」 口元をおさえて、ようやく元カノさんは席を立った。 ふざけんな、誰がバカだよ。 バカにバカとか言われたくねーよ。 というか男に走ったと思われてるのがすげぇ癪だ。 それもこれも全部あの兄弟のせいだ。

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@sousakuTL 「いいんですか、元カノさん」 「いいんだよ、元カノだから」 「まだ諦めていらっしゃらなかったんですね。あの様子だとまたやって来そうですが」 勘弁してくれ… 「…先輩はああいった人がタイプなんですね…」 「おいおい…何だよ、その言い方…俺にも事情がだな…」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL もう終わったつきあいなのだから、今更あれこれ言うつもりはないが。 「とにかく！俺はよりを戻すつもりはない！」 「そうですか」 どこまでも冷めてるやつだ。 もうちょっと興味持って。 「ポッキーゲームしてあいつが勝ったらよりを戻してって言われたんだよね」

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@sousakuTL 「それはまた…すごいことを言い出しましたね」 ちょっと引き気味の後輩である。 「それで、やってあげたんですか？」 「やるわけないだろう。お前は俺をなんだと思ってるんだ」 「やって先輩が勝ったから、元カノさんが駄々をこねてるのかと」 「ちげーよ」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL どうせやつのことだ。勝負なんて建前でポッキーゲームをしたかっただけに違いない。 どっちが勝っても負けても絶対に復縁を迫ってくるはずだ。 そうに違いない。 「ポッキーゲームといえば一日さんたちがやってたのを見て引きました」 「お前も見てしまったか…」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL よくやるよ。 男同士とか以前に兄弟で。 なんなの、あの過剰なスキンシップは。 双子だからか？双子だからなのか？ 「スーパーもきっと、ポッキーの安売りしてそうだなー」 「チラシを見たらポッキー、プリッツはいつもより少し安かったです」 やっぱり。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「俺もポッキー買おうかな。食べたくなってきた」 俺のぼやきに特に返事はなかった。 「…俺らもポッキーゲームする？」 ふざけたつもりだったが、無表情でジッと見つめられた。 やめて、無表情はやめて。 顔しかめるなり何なりして。 俺が悪かったから。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「迂闊なことを言えば本当に一日さんたちにやらされ兼ねないですよ」 俺は慌てて口を抑えた。 そうだ。どこで奴らが聞いているかわからない。 神出鬼没だからな… 「別に先輩が相手なら構わないですけど」 「ん？何か言ったか？」 「いえ、何も。それより予鈴鳴りますよ」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 本当だ。そろそろいい時間だ。 「それではまた、放課後」 「おー下駄箱んとこなー」 「はい」 後輩はペコリと頭を下げて先に戻って行った。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL さて。俺も戻るかね。 ゆっくりと俺は立ち上がった。 「本当、あいつは俺達に辛辣だよね」 「まんまと騙されたよ」 「ぎゃああぁぁぁっ！？」 茂みの中から同じ顔が二つ出てきて叫んでしまった。 「な、なんだ！お前ら！まだいたのか！」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL いつでも逃げられるように、後退りする。 「ていうか何なの。お前らできてんの」 「双子の俺達以上の阿吽の呼吸だよな。もはや夫婦だよ」 何を言い出すかと思えば… 「できてるとかやめろよ。俺達は男だ…」 「はっ男も女も関係ないね」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「元カノちゃんをふる口実ができてよかったな」 なんかすげー嫌味を言われてる気分… 「弁当まで作ってもらってさ。晩飯まで一緒に食べてるって？」 「買い物まで一緒に行くとは…奥様に優しい旦那様ですねー」 「素直にお前が心配だからって言えばいいのになー」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「卵が〜とか言っちゃってさー」 機関銃のように兄弟の言葉が俺の体に打ち込まれる。 というか…どこから話を聞いてやがった… 「あ、あいつだって大変なんだよ。先輩として助けてやって何が悪い！」 頑張って俺も反撃する。 「なぁに今更先輩面してんだか」 鼻で笑われた

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL いや…俺ずっと先輩だよ… あいつがそう呼んだ時点で俺は先輩だよ… 「俺の心はひどく傷つけられたのであった…」 「何言ってんだか」 「とうとうおかしくなった？」 マジでひどい。こいつら。 「何なんだよ…俺をいじめて何がしたいんだ…」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「人聞きの悪い。大体なんであいつは俺たちにはあんな態度なわけ？」 「俺達だって先輩だぜ？」 お前らは日頃の行いを見つめなおすべきだと思うよ… 「冷徹だし」 「俺達を騙すし」 「ニコリともしないし」 「バカにしたような目で見てくるし」 おいおい…

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「やめろ。お前ら。伊万里はいいやつだぞ」 「お前限定でな」 「…気遣いもできるし」 「お前限定でな」 「……優しいし」 「お前限定でな」 …うん。ごめん。伊万里。 ダメな先輩でごめんなさい。 「あいつはお前にだけデレてんだよ」 「その他にはツンだよ」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL どんなツンデレだ。 「お前は嫁とポッキーゲームの刑な」 「ポッキーは用意してやるよ」 何で俺が罰を受けなきゃならん！？ 「何でだよ！ポッキーゲームはポッキーの日にやってこそだろ！？」 「いつでもいいんだよ、んなもん」 はぁ！？

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「お前がいまりんにポッキーゲームしようって言ったんだろ」 げぇっ！聞かれてたのかよ！！ 「あれは冗談に決まってるだろ…」 「だから、ポッキーゲームの刑な」 声を揃えて奴らは死刑宣告してきた。 何だってこんなことになったんだ。 はぁ…

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 彼女ができたのは中学三年のことだった。 好きとかそういう感情があったのかは、今となってはよくわからない。 ただ、浮かれていたことだけは確かだ。 思春期の男子が浮かれて、ついついOKしてしまったのだ。 この後のことも考えずに。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL しかしでも、別れたいと高校生になったとたん言われても、俺は悲しいとか辛いとかそんなことは一切思わなかった。 「あぁ………うん……まぁいいけど……」 とか曖昧な返事をしたら、彼女はすぐさま立ち去った。 実にあっけない恋愛だった。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL クラスも同じじゃないし、元カノの存在は綺麗サッパリ忘れていた。それどころか学校が一緒ということも忘れていたほどだ。 なので、突然俺がいつも憩いの場としている誰も近寄らない中庭にやって来たときは少し驚いた。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 正直言うと、顔を見ても誰だかしばらく思い出せなかった。 「…やっくん、久しぶりだね」 「お…おぉ…久しぶりだな…」 ちなみに名前は思い出せていない。 「いやほんと、久しぶりだな。クラス違うとビックリするくらい接点ねぇよなぁ」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 無理やり明るく話をふったが、元カノの表情は依然として暗い。 何なんだ、何しにきたんだこいつ。 「…あのね、やっくん」 しばらくの間の後、元カノは真剣な表情で言った。 「私、やっぱりやっくんのこと好き。また私とつきあってください」 「…………はい？」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL …こいつは何を言っているんだ？？？？ 「ワガママなのはわかってる。でも、やっくんがいいの。ふったのは私だけど、後になってすごく後悔した。ごめんなさい、でもっ……」 「待て待て待て。勝手に話を進めるな。俺の理解が追い付かない」 冷静になって考えよう。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL あの日、あのとき。 物足りないだとか、つまらないだとか、愛情を感じられないだとか一方的に言われて自ら別れを告げてきた女が、今。 再び俺のことを好きだと言ってきた。 これはよりを戻したいということなのか？ そういうことでいいのか？

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「…えーっと…あれこれ言っても仕方がないので、結論を言おう。断る」 「何で！！私まだ話してる途中！！」 「お前の心情とか知らねぇよ。俺達終わったんだろ。復活するのは無理。以上」 「勝手に決めないでよ！」 「勝手なのはどっち！？」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 相変わらず頭が弱いというかなんというか。 何でこんなのとつきあっていたんだろう？ 「どうせやっくん彼女いないんでしょ！？だったらいいじゃん！」 「急にワガママを押し出してきたな！余計に嫌になった！早くこの場から失せろ！」 「ひどい！そんなこと言うの！？」

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@sousakuTL なぜひどいとか言われなければならん。 不愉快だ… 「人をふっておきながらよく言うよな。こっちはもうとっくに冷めてんだ…よ…」 ある視線に気がついて首を動かすと、いつも通りにやって来た後輩が立っていた。 「…誰？」 元カノは首をかしげる。

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@sousakuTL 俺は冷や汗が止まらない。 「…お邪魔なら帰りますけど」 「全然！そんなことないよ！！」 二人きりにされるよりましだ！ 「さすがに俺ここにいちゃいけないことくらい、俺にだってわかりますよ」 「俺がいいって言ったらいいの！」 「やっくん！」

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@sousakuTL 元カノはだまらっしゃい！！ 「…俺、本当に戻りますね。弁当箱はまた後で取りに行くんで」 ちょっ…ダメだって！これはダメだ！ 追い込まれた俺は、伊万里の手をつかんだ。 「───行くな。」 このときの俺はさながら少女漫画のヒーローのようだったといえよう。

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@sousakuTL ここまではよかったのだが。 「お前、俺の言うことが聞けないのか？」 先輩という立場を乱用してしまった。 最低か。 「いや…でも…」 珍しく伊万里の目が泳ぐ。 「はいはい。わかってるなら座った座った」 とりあえず無理やり俺の隣に座らせることに成功した。

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@sousakuTL 「ちょっとやっくん、どういうつもり？」 「うるさい。押し掛けてきたのはそっちだろう。こいつは俺の大事な大事な後輩だ。俺に話があるというならまずこいつを通してからにしてもらおう」 「先輩。俺は事務所か何かですか」

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@sousakuTL 「なんだお前。ツッコミとかできたのか！成長したな！はっはっはっ」 あれ。俺なに言ってるんだろう？ 「やっくん…ふざけてるの…？」 「……やっくん………」 ちょっと待て。何でそんな目で見るんだ、後輩よ。やめろ。

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@sousakuTL 「お前！もうやっくんって呼ぶの禁止な！ちゃんと苗字で呼んでください！」 「何でそんなこと言うの！？」 だって今後輩にすげぇ目で見られたもん。 「そもそもつきあってるわけじゃないし、いいじゃん。そんな親しげな呼び方しなくても」

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@sousakuTL 「私さっきからよりを戻したいって言ってるんだけど」 「俺はさっきから断るって言ってるんだけど」 後輩が顔をしかめた。 俺に彼女がいたことすら知らないだろうから、混乱しているはずだ。 「お前好きなやつできたって言ってたじゃん」

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@sousakuTL 「言ったけど、すぐ別れたし」 つきあったのかよ。 「その後も…その次もダメで…」 待て。俺とさよならしてからどんだけの男と関係を持っているんだ。 一年以上たったとはいえ、尻軽すぎやしないか。 いや、こいつはそういう女だったか。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「…幻滅した。マジでないわ。お前とつきあってた頃の俺を殴りたい」 「何で？」 「お前自分のやってること自覚したら！？」 こいつと話してたら疲れるわ！ 「あーもーやだやだ。伊万里、腹減った」 そう言うと、後輩は黙って弁当を広げた。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「…あなた、どこかで見たことあると思ったら…椿伊万里君だよね？」 「…そうですが」 なぜだか名を知っている元カノに後輩は警戒の目を向ける。 「何でお前伊万里のこと知ってんの」 「カッコいい一年生がいるってみんな噂してた」 イケメンはチェック済みってか…

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「何でやっくんみたいなのが椿君と知り合いなの？」 「お前俺に失礼すぎだろ。絶対より戻さねー」 ここでいつもなら伊万里が「先輩を“みたいなの”と侮辱するな！」とか何とか言って相手が女子だろうと構わず突っかかるはずなのだが。 あれ？何で静かなの？伊万里君？

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@sousakuTL 「やっくんって一日君たちとも仲いいよね？今度紹介してよ！」 「よくそんなんでより戻してとか言えたな！？」 これだけは言いたくなかったけど言わせせてくれ。 この、くそビッチめ！！！ 「お前俺をバカにしにきたのか？いい加減にしてくれ」 そろそろ限界だ。

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@sousakuTL なので声のトーンを少し下げた。 これがわからないようでは、いよいよこの女の愚かさも世の末だ。 「う…わ、わかったわよ…今日はこの辺までにしといてあげる。でも、諦めないからね！」 さすがにこの空気は読めたようで、捨て台詞を吐いてやつは去っていった。

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「はー…」 いなくなったと思ったら、肩の力が一気に抜けた。 全く、とんでもないのがやって来たな。 「…よりがどうとかって」 後輩の方が先に口を開いた。 「んあー……あれ、元カノ。中三のときから一年ほどつきあってた。ふられたんだけど、何か、急に」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「…そうですか」 それ以上のことは聞いてこなかった。 なので俺も何も言わなかった。 …ていうか、何か気まずい感じ？ 何でこんな雰囲気になっちゃった？ おわり

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「やっほー元気？朝乃だよ」 「あけおめー夕乃だぜ」 「俺たち双子なんだ」 「二人合わせて一日兄弟！なんつって」 「さてさてーこれまでのあらすじを紹介しにきたよ」 「俺達は魔法少女(笑)ランキングの上位に入るため伊予谷八尋と後輩の椿伊万里のサポートをしてんの」

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@sousakuTL 「ハチはこれまで一人でいいと言い張ってきたんだけど、ランキング上位のために俺達がいまりんという優秀な後輩をスカウトしたんだ」 「そしたらいまりんが俺達が思った以上にハチになついて」 「あれだけ一人でいいと言っていたハチもまんざらじゃなさそうだし」

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@sousakuTL 「まったくどうなってんだか」 「そんなハチのところへある女の子が近づいてきたんだ 」 「それはなんと。ハチの元カノ」 「ハチが中学のときにできた彼女で」 「高校に入ってすぐに別れたんだ」 「それも彼女の方がふったって」 「そんな元カノがハチに何の用なのか」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「聞いてビックリ！元カノちゃんはハチとよりを戻したいんだって！」 「ハチにはそんな気さらさらないようで、断ったんだけどこれまた元カノちゃんがしつこいんだよね」 「そこで俺達の出番！ハチには嫁がいるから身を引いた方がいいって警告してあげたんだ」

ナナシ @darkmoon_souji

@sousakuTL 「嫁っていうのはもちろんいまりんのこと」 「元カノちゃんはなかなか気づかなかったけどな」 「そりゃそうだよ。男だし」 「それでも諦めない元カノちゃんはどう出るのか！」 「ハチは折れてしまうのか！？」 「そして彼女の出現以来素っ気ないいまりんはどうするのか！」

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@sousakuTL 「「はじまりはじまり～」」