その寝顔を見ながら、【女】は無様が🍙に会ったことを悟る。そして、この関係のピリオドを打つときが来たことも、同時に悟ってしまう。正真正銘の最後の夜を、【女】は彼の腕の中で過ごす。胸に去来するさみしさに、気付かないふりをして── それから、数日後。 【女】は紅梅の彼を振り切った。
2020-05-06 20:12:13その寝顔を見ながら、【女】は無様が🍙に会ったことを悟る。そして、この関係のピリオドを打つときが来たことも、同時に悟ってしまう。正真正銘の最後の夜を、【女】は彼の腕の中で過ごす。胸に去来するさみしさに、気付かないふりをして── それから、数日後。 【女】は紅梅の彼を振り切った。
2020-05-06 20:12:13「──待ってくれ!!!!」 後ろでする紅梅の彼の声に振り向きたくなる気持ちをぐっと堪える。 「(わたしだって、ほんとうはいやよ)」 「(けど、さよならをしなくちゃいけないの)」 頭に浮かんだのは、友達の横顔だった。 溢れる涙をそのままに、わたしの足は友達の家へむかっていた。
2020-05-06 20:16:49「──待ってくれ!!!!」 後ろでする紅梅の彼の声に振り向きたくなる気持ちをぐっと堪える。 「(わたしだって、ほんとうはいやよ)」 「(けど、さよならをしなくちゃいけないの)」 頭に浮かんだのは、友達の横顔だった。 溢れる涙をそのままに、わたしの足は友達の家へむかっていた。
2020-05-06 20:16:49🎀無様の結末(真相)🎀 無様に別れを告げたのは、【女】の☀️です。 【男】のフリをして、無様に別れを告げることによって、【男】は最後まで自分を見向きもしなかった奴と思わせる意図がありました。 結局、無様が愛したのは【女】でしたが、【男】にも執着したが故、無様の地獄度は増しましたね
2020-05-06 20:21:13🎀無様の結末(真相)🎀 無様に別れを告げたのは、【女】の☀️です。 【男】のフリをして、無様に別れを告げることによって、【男】は最後まで自分を見向きもしなかった奴と思わせる意図がありました。 結局、無様が愛したのは【女】でしたが、【男】にも執着したが故、無様の地獄度は増しましたね
2020-05-06 20:21:13🍙の家に着いた【女】は扉を叩く。中から現れた久しぶりの🍙を見て、今まで耐えていたものが一気に溢れ出した【女】は泣き崩れた。そんな女を抱きとめて、🍙は心配そうに【女】の瞳を見てくれた。 「"よりいち"さん」 「すみよし、すみよし……っ」 十数年ぶりの、【男の子】との再会だった。
2020-05-06 22:18:34🍙の家に着いた【女】は扉を叩く。中から現れた久しぶりの🍙を見て、今まで耐えていたものが一気に溢れ出した【女】は泣き崩れた。そんな女を抱きとめて、🍙は心配そうに【女】の瞳を見てくれた。 「"よりいち"さん」 「すみよし、すみよし……っ」 十数年ぶりの、【男の子】との再会だった。
2020-05-06 22:18:34【女】は🍙の腕の中で泣きじゃくる。「わたし、自分の恋を捨てたのよ……愛している人とお別れしてきたの……っ……消えてしまった、こわしてしまった、ぜんぶ、わたしの手で……っ!」 そんな【女】の言葉に相槌を打ちながら真摯に耳を傾けてくれる🍙。 「おねがい……たすけて、たすけて、すみよし」
2020-05-06 22:22:42【女】は🍙の腕の中で泣きじゃくる。「わたし、自分の恋を捨てたのよ……愛している人とお別れしてきたの……っ……消えてしまった、こわしてしまった、ぜんぶ、わたしの手で……っ!」 そんな【女】の言葉に相槌を打ちながら真摯に耳を傾けてくれる🍙。 「おねがい……たすけて、たすけて、すみよし」
2020-05-06 22:22:42「助けます。俺が貴女を助けます。だから、何があったか話してください」と、🍙は宥める。【女】は🍙にすべてのことをはなした。紅梅の彼のこと、兄のこと、【男】こと、そして今の自分の状況を。拙い説明を最後まで聞いてくれた🍙は、「大丈夫。俺がなんとしてみせる」と言ってくれた。
2020-05-06 22:25:46「助けます。俺が貴女を助けます。だから、何があったか話してください」と、🍙は宥める。【女】は🍙にすべてのことをはなした。紅梅の彼のこと、兄のこと、【男】こと、そして今の自分の状況を。拙い説明を最後まで聞いてくれた🍙は、「大丈夫。俺がなんとしてみせる」と言ってくれた。
2020-05-06 22:25:46そんな彼を見上げながら、【女】は稚く微笑んだ 「……すみよし、わたし、あなたが初恋だったのよ。よく家に出入りする【男の子】とずっとお話しがしたかった。やっと、あなたとお話できたわ。わたし、とても嬉しいのよ」 「……よりいちさん……?」 首を傾ける彼の頬に手を伸ばして、【女】は語る。
2020-05-06 22:29:22そんな彼を見上げながら、【女】は稚く微笑んだ 「……すみよし、わたし、あなたが初恋だったのよ。よく家に出入りする【男の子】とずっとお話しがしたかった。やっと、あなたとお話できたわ。わたし、とても嬉しいのよ」 「……よりいちさん……?」 首を傾ける彼の頬に手を伸ばして、【女】は語る。
2020-05-06 22:29:22「わたしね、恋をしたの。この身を狂わんばかりの、命懸けの恋。その人のことを今でも愛してるわ」 「よりいちさん、まさか」 「さようなら、わたしの初恋の人。わたしは、この恋とともに逝くわ。さようなら、どうか、"私"と幸せになって」 幸せそうに微笑んだ【女】は花が散るように消えて逝った。
2020-05-06 22:34:21「わたしね、恋をしたの。この身を狂わんばかりの、命懸けの恋。その人のことを今でも愛してるわ」 「よりいちさん、まさか」 「さようなら、わたしの初恋の人。わたしは、この恋とともに逝くわ。さようなら、どうか、"私"と幸せになって」 幸せそうに微笑んだ【女】は花が散るように消えて逝った。
2020-05-06 22:34:21(※ここで、【女】は完全に消えます。 彼女は、初恋の🍙とまた会えたこと。そして何より、無様との恋の終焉と共に、その身も心も散らしたのです)
2020-05-06 22:36:15(※ここで、【女】は完全に消えます。 彼女は、初恋の🍙とまた会えたこと。そして何より、無様との恋の終焉と共に、その身も心も散らしたのです)
2020-05-06 22:36:15ふつりと倒れる☀️を抱きとめ、🍙は自分の出来ることを考えます。 ここは、🍙編の🍙と☀️母の会話シーンにつながります。そこでも、🍙は☀️の気持ちを知りますが、それを含めて🍙は☀️のことを受け入れてくれんだろうなと。
2020-05-06 22:42:24ふつりと倒れる☀️を抱きとめ、🍙は自分の出来ることを考えます。 ここは、🍙編の🍙と☀️母の会話シーンにつながります。そこでも、🍙は☀️の気持ちを知りますが、それを含めて🍙は☀️のことを受け入れてくれんだろうなと。
2020-05-06 22:42:24☀️が目を覚ました瞬間、自分の中に【女】がいないことに気づきます。「(ああ、逝ったのか)」と理解した瞬間、喪失感に襲われます。今までいた自分がいなくなってしまったこと。"1人"になるということは、☀️にとっては想像以上の痛みでした。【女】としての自分の気持ちを全て☀️として理解できる。
2020-05-06 22:47:27☀️が目を覚ました瞬間、自分の中に【女】がいないことに気づきます。「(ああ、逝ったのか)」と理解した瞬間、喪失感に襲われます。今までいた自分がいなくなってしまったこと。"1人"になるということは、☀️にとっては想像以上の痛みでした。【女】としての自分の気持ちを全て☀️として理解できる。
2020-05-06 22:47:27☀️はもう自分が【男】や【女】として演じる必要がないことに、ようやく気づけたのです。そんなとき、🍙の電話の会話を聞いてしまいます。 「──必ず幸せにしてみせます」 その言葉に息を呑んで、止まったはずの涙がほろりと流れた
2020-05-06 22:49:58☀️はもう自分が【男】や【女】として演じる必要がないことに、ようやく気づけたのです。そんなとき、🍙の電話の会話を聞いてしまいます。 「──必ず幸せにしてみせます」 その言葉に息を呑んで、止まったはずの涙がほろりと流れた
2020-05-06 22:49:58「(幸せになってね)」と【女】の最期の言葉を思い出す。ああ、そうだな。幸せになろう。その頃の気持ちを抱えて、新しい人生を、彼と、歩んでいきたい。 「……私も、ずっと愛していた……っ」 やっと、私は彼に思いを告げることができた。
2020-05-06 22:56:23「(幸せになってね)」と【女】の最期の言葉を思い出す。ああ、そうだな。幸せになろう。その頃の気持ちを抱えて、新しい人生を、彼と、歩んでいきたい。 「……私も、ずっと愛していた……っ」 やっと、私は彼に思いを告げることができた。
2020-05-06 22:56:23「俺と一緒に生きてくれませんか?」とという問に、潔く私は「お前と生きたい」と答えれば、「口付けをしてもいいですか?」と問われる。恥ずかしくて、おかしくて、私はコクリと頷いた。唇に重なった彼の唇は少しかさついているけど、温かいものだった。そしてその夜、2人で情を交わした。
2020-05-06 22:59:49「俺と一緒に生きてくれませんか?」とという問に、潔く私は「お前と生きたい」と答えれば、「口付けをしてもいいですか?」と問われる。恥ずかしくて、おかしくて、私はコクリと頷いた。唇に重なった彼の唇は少しかさついているけど、温かいものだった。そしてその夜、2人で情を交わした。
2020-05-06 22:59:49☀️は🍙にこれからのことについて話し合いをした。🍙の弟が地方にいて、そこでパン屋をやっているのだとか。自分が先にそこで下宿をさせてもらい、向こうで手伝いや仕事をしながら、仕事の目処をつけた🍙が来るのを待つ。そして、彼が来たら2人で小さなアパートでも借りて暮らそうということ。
2020-05-06 23:13:05☀️は🍙にこれからのことについて話し合いをした。🍙の弟が地方にいて、そこでパン屋をやっているのだとか。自分が先にそこで下宿をさせてもらい、向こうで手伝いや仕事をしながら、仕事の目処をつけた🍙が来るのを待つ。そして、彼が来たら2人で小さなアパートでも借りて暮らそうということ。
2020-05-06 23:13:05「仕事の目処が着いたら迎えに行きます。だから、待っていてくれますか?」と指を絡めてくる彼に、「いつまでも待ってる」と答える。 そして、自分の仕事を辞めることを、叔父やキャバレーのマスターにも話をした。叔父もマスターも私のことを心配して、快く見送ってくれた。
2020-05-06 23:16:34「仕事の目処が着いたら迎えに行きます。だから、待っていてくれますか?」と指を絡めてくる彼に、「いつまでも待ってる」と答える。 そして、自分の仕事を辞めることを、叔父やキャバレーのマスターにも話をした。叔父もマスターも私のことを心配して、快く見送ってくれた。
2020-05-06 23:16:34そして、母や家族とも別れをすませた。そのとき、メイドのいとに父への手紙を渡した。謝罪とお礼の文をしたためた。今になって思う。父もまた、私を愛そうとしてくれたのだと。 🍙から弟さんから了承の連絡を貰ったことをきく。新たな生活に緊張や不安はあれど、彼となら乗り越えていける、そう思った
2020-05-06 23:21:32そして、母や家族とも別れをすませた。そのとき、メイドのいとに父への手紙を渡した。謝罪とお礼の文をしたためた。今になって思う。父もまた、私を愛そうとしてくれたのだと。 🍙から弟さんから了承の連絡を貰ったことをきく。新たな生活に緊張や不安はあれど、彼となら乗り越えていける、そう思った
2020-05-06 23:21:32弟さんのもとへ行く日。🍙は駅までお見送りをしてくれると言ってくれた。兄に会うことはできなかったが、むしろ会わないほうがいいのかもしれない。 最後に私は【女】のときに紅梅の男とデートで着ていた服に袖を通した。これもこれで最後だろう。それを着て、キャバレーの皆に挨拶を済ませ、駅へ行く
2020-05-06 23:24:37弟さんのもとへ行く日。🍙は駅までお見送りをしてくれると言ってくれた。兄に会うことはできなかったが、むしろ会わないほうがいいのかもしれない。 最後に私は【女】のときに紅梅の男とデートで着ていた服に袖を通した。これもこれで最後だろう。それを着て、キャバレーの皆に挨拶を済ませ、駅へ行く
2020-05-06 23:24:37その日はあの時のデートのように、よく晴れた日だった。この格好も今日が着納めかと思うと、何だか寂しくも思える。そんなことを考えていたら、グイッと腕を引かれてたたらを踏む。 掴まれた先を見てみると、そこには鬼の形相をした兄が立っていた。
2020-05-06 23:27:42その日はあの時のデートのように、よく晴れた日だった。この格好も今日が着納めかと思うと、何だか寂しくも思える。そんなことを考えていたら、グイッと腕を引かれてたたらを踏む。 掴まれた先を見てみると、そこには鬼の形相をした兄が立っていた。
2020-05-06 23:27:42「女の身ひとつでどこへ往く?」「あの男と一緒になるのか?」と問い詰めてくる雰囲気に圧倒されながらも、【女】のフリをして兄の言葉を突っぱねる。「お前の為ならば妻子も捨てる」「お前を愛している」と口説く兄の手を外して、その場を後にした。こんな最後だけれど、兄に会えただけでもよかった。
2020-05-06 23:33:02「女の身ひとつでどこへ往く?」「あの男と一緒になるのか?」と問い詰めてくる雰囲気に圧倒されながらも、【女】のフリをして兄の言葉を突っぱねる。「お前の為ならば妻子も捨てる」「お前を愛している」と口説く兄の手を外して、その場を後にした。こんな最後だけれど、兄に会えただけでもよかった。
2020-05-06 23:33:02兄に背を向けて歩き出す。ふと前を見れば、心配して迎えに来てくれた🍙が視界に入る。待たせてすまないと彼に向かって手を振ろうとした時、それは小さくて聞き取れなかったけれど、ポツリと後ろから声が聞こえた。 次の瞬間、破裂音と共に胸が熱く痛くなった。
2020-05-06 23:36:32兄に背を向けて歩き出す。ふと前を見れば、心配して迎えに来てくれた🍙が視界に入る。待たせてすまないと彼に向かって手を振ろうとした時、それは小さくて聞き取れなかったけれど、ポツリと後ろから声が聞こえた。 次の瞬間、破裂音と共に胸が熱く痛くなった。
2020-05-06 23:36:32後ろを振り返って、つい口から兄を呼んでしまった。呼ばれた兄は目を見開き、まるで憑き物が落ちたような表情を浮かべて、私の名を呼んでくれた。 ドサリとその場に倒れ込んだ私は、掠れた視界の向こうに透き通る青空が広がっている。 「ーー☀️さんっ!!!!」
2020-05-06 23:40:29後ろを振り返って、つい口から兄を呼んでしまった。呼ばれた兄は目を見開き、まるで憑き物が落ちたような表情を浮かべて、私の名を呼んでくれた。 ドサリとその場に倒れ込んだ私は、掠れた視界の向こうに透き通る青空が広がっている。 「ーー☀️さんっ!!!!」
2020-05-06 23:40:29