『人生脚本のすべて』④ エリック・バーン著 江花昭一監訳 丸茂ひろみ・三浦理恵訳 星和書店 2018.9.25

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F. ポジション・・・述語 最も単純なポジションで、かつ最も対応が難しく、社会にとって最も危険なものはOK－OKではない、というひとつの形容詞に基づくものだ。それは、黒い－白い、金持ち－貧乏、クリスチャン－異教徒、賢い－バカ、ユダヤ人－アーリア人、正直な－ひねくれた、などだ。

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これらのペアは４種類に分けることができるが、それらはそれぞれ、その家族で強化されたもので、早期の訓練によって一生が規定される。 　このようにして、金持ち－貧乏の極性は、親の態度によって4つの異なる形に分類することができる。

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①私 金持ち＝OK、あなた 貧乏＝OKではない (気取り屋な、傲慢な) ②私 金持ち＝OKではない、あなた 貧乏＝OK (反抗的な、ロマンチックな) ③私 貧乏＝OK、あなた 金持ち＝OKではない (憤慨した、革命的な) ④私 貧乏＝OKではない、あなた 金持ち＝OK (気取り屋な、卑屈な)

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お金が決定的な基準でない家族では、金持ち－貧乏は極性ではないため、上記の表は適用されない。 　それぞれの＋や－に形容詞が多く含まれていればいるほど、ポジションはより複雑で変動し、安全に対処するためにはより多くの知性と識別力が必要となる。

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＋と－のためにどのような形容詞や述語を使うかに関係なく、脚本の結末を含む個人の最終的な運命は、その人特有の代名詞の選択、つまりI、You、Theyが＋か－か？か、で決定されるように思われる。 それで、(2b)I ＋ You － They －の人は、宗教、金、人種、セックスその他でどんなに人を見下していても

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ほとんどいつも、隠遁の庵、刑務所、州立病院、死体安置所のような場所で、ひとりで最期を迎える。一方、(3a) I－ You ＋ They ＋の人は、どのような特性について自分に価値がないと感じるかはわからないが、ほとんどいつもみじめで、おそらく自殺という最後を迎えるだろう。

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そのようなわけで、代名詞が勝者、敗者の脚本の結末を決めるのだ。述語は、脚本がどのようなものか、すなわちライフスタイルを決める。宗教、金、人種、セックスなどだ。しかし、それは結末とは何の関係もない。ここまでのところはすべて６歳の子どもに理解できないものはない、とわかるだろう。

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「僕のお母さんは、君と遊んじゃいけないって言うんだ。だって君は(汚い、平凡だ、悪い、カトリックだ、ユダヤ人だ、アイルランド人だ、など)から」は、単なる I ＋ You －だ。 　代名詞とサイン(＋、－)だけが重要なのだ。述語や形容詞は、時間を構造化するのに便利なので、そこに置かれるだけだ。

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述語は、単に人が「こんにちは」と言った後に放す話材を提供するだけで、その後に何が起こるのか、人の人生がどのように上手に、または下手に営まれるか、あるいはその人の最終結末は何か、には全く関わらない。

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例えば、多くの人は、東ドイツの熱心なナチの警官がどのようにして同じく熱心な共産主義者の警官になれたのかを理解できない。それは、2つの団体が直接敵対するように思えるからだ。だが、敵対するのはすべて形容詞だ。ナチのポジションは、I ＋(ナチ)、He －(裏切り者)で、だからアイツを殺せ、であり

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共産主義者のポジションは、I ＋(共産主義者)、He －(裏切り者)、だからアイツを殺せ、なのだ。両方のケースで、その述語は正反対だが、ポジションは同じだ。つまり、I ＋ He －、だからアイツを殺せ、だ。 ルールは、術後の変化がどんなに抜本的なものであっても、それはポジションや脚本を変えない。

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✅両方のケースで、その人は最後には殺人者となったが、彼にとってはそれが重要なことで、殺すのがどんな人かは重要ではない。上手に手引きされると狂信者がいとも簡単に立つ側を変える理由がこれだ。

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この例は、日常の社交的な出会いではポジションが非常に重要だ、という事実を示す。人がお互いに一番先に気づくのは相手のポジションで、ほとんどの場合、似た者は似た者を引きつける。自分自身と世の中を良いと思う人(＋＋)は普通、文句を言う人より自分と同じ種類の人を好む。

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環境が変わる時に人は自分のポジションに執拗にしがみつく。金持ちの女性が金を失っても、単に財政的に困るかもう少しひどくなるかで、金持ちのままであり、貧乏にはならない。貧乏な少女がたくさんの金を得ても、それで金持ちになるわけではない。

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このポジションの不変性は、日常生活の中で、腹立たしいもの、混乱させるものとして現れてくる。例えば「私は(悪いことをしているという事実はあるが)良い人間だ」だ。このポジションを取る人は、いつも良い人のように扱われることを期待し、それ以外の扱いを受けると侮辱されたように感じる。

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結婚は、食い違いに目をつぶるという双方の契約に基づいているので、過ちが引き合いに足せされるとそれぞれが腹を立てるし、OKのポジションへの脅威があまりに大きくなると離婚という結果になる。離婚が起こるのは、①夫婦の一方が過ちの発覚に我慢できない、または

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②もう一方が過ちの発覚を防ぐために必要な真っ赤な嘘をつくことに我慢できない、という時だ。 G. 脚本の選択 脚本の展開の次のステップは適切な結末を伴う筋書きを探すことで、これは次の問いへの答えだ。「私のような者に、次に何が起こるのだろう？」子どもは、自分が勝者になるか敗者になるか、

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他者に対してどう感じるべきか、そして他者は自分をどう扱うかを教わっているので、その答えを知っている。それが「私のような者」の意味だ。子どもは、遅かれ早かれ「私のような誰か」の話を聞き、その話から、自分が何に向かっているのかを教わる。それは、母親が読んでくれたお伽話かもしれないし、

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おばあさんが話してくれたアフリカ人のナンシーの物語かもしれないし、街角で聞くギャングの伝説かもしれない。その子がどこで聞くにしろ、その話を聞くとそれとわかり、こう言う。「それは僕だ！」。そしてその物語がその子の脚本となり、その物語に沿って物事が起こるように残りの人生を送るだろう。

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こうして子どもは、乳房や哺乳瓶、トイレや屋外トイレ、寝室と台所と居間での早期の経験に基づいて自分の信念を取得し、決断を行い、自分のポジションを選ぶ。そして、聞いたり読んだりしたものから予測とプランを選択する。

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すなわち、どのようにして勝者になったり敗者になったりするか、どのような理由でそうなるのか、結末はどのようなものになるか。これがこの子の人生脚本の、はっきりとした第一稿だ。 　さて脚本を完成するためにこの子は、それに連動する脚本装置を身に付けなければならない。

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第６章　可塑的な年代　The Plastic Years A. 「親によるプログラミング」 人は通常６歳までに幼稚園を卒業し(少なくともアメリカでは)、小学１年生というさらに競争が激しい世界に押し込まれる。そこでは、先生や他の少年少女たちに一人で対処しなければならない。幸いなことに、彼はこの頃には

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もう赤ちゃんではないので、助けなしに、体験したことのない世界に突き進んでいく。彼の心は自分なりのやり方で他の子とうまくやっていくこと、少なくとも生き残ることでいっぱいになるし、その頃にはもうすでに人生のプランは出来上がっている。

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果てしない未来について彼が作るプランは、家族の仕様書に引き寄せられる。鍵となるいくつかの仕様は、最初の面接で以下のような質問をすることで、すぐに明らかになる。「とても小さい時、両親はあなたにどんなことを言いましたか？」「小さい時、両親は人生についてどんなことを言いましたか？」

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「怒っている時、両親はあなたにどんなことを言いましたか？」だ。これらに対する回答はほとんど指示のようには聞こえないが、火星人の思考を少し使うと指示の形で述べることができる。 「人前でのパフォーマンス」は、事実上自己顕示の命令だ。自分ができると母親が喜び、失敗するとがっかりするのを

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見ることで、子どもはそのことをすぐに学ぶ。同様に、「どんなにかわいいか、来て見て」は「良い演技をするのよ！」という意味だ。「急いで」と「やるまでそこに座っていなさい」は「私を待たせないで！」と「口答えしないの！」を意味するネガティブな命令や強制命令だ。

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✅しかし、「ゆっくりやらせましょう」は許可証だ。子どもはこの違いを、最初は親の反応で、後に言葉を獲得してからは親の実際の言葉で理解する。 　子どもは、生まれた時は自由だが、すぐにそうでないことを学ぶ。生まれてからの２年間、子どもは主に母親によってプログラムされる。　p.111

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このプログラムは、脚本の最初の骨格、素質を形作るが、これは「原初のプロトコール」と呼ばれ、最初は飲み込むことや飲み込まれることに関係し、その後幼児に歯が生えると、引き裂くことと引き裂かれることに関係する。これは勝者になるか敗者になるかの最も原始的な型だ。

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すでに保育所においてでさえ、母親と乳児のどちらが主導権を握っているかが明らかになっているのはよくあることだ。これは遅かれ早かれ逆転されるかもしれないが、もともとの事態の残響は、ストレスがかかったり怒ったりしている時に聞こえて来る。

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しかしほとんどの人は、いろいろな意味で最も重要なこの時期について何も記憶にとどめておくことができない。そのため、親、親戚、子守り、小児科医の援助、夢からの推測と、おそらく家族アルバムなどの助けを借りて再構成しなければならない。

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2歳から6歳では、下地がよりしっかりしている。というのも、ほとんどの人が、この脚本の発展時期より、やり取り、出来事、印象をいくらか覚えているからだ。脚本の発展はエディプス・コンプレックスと並行していて、その進行と深く関連している。

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実際には、離乳とトイレ・トレーニングの後でも世界共通でいつまでも効果が続く指示は、性と攻撃性に関するものだ。子どもを養育すること、セックスをすること、闘うことは、他者の存在を必要とするもので、「社会的」な活動だ。これらの衝動が個々人に性格や個性をもたらす。

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また、そのような衝動を抑える回路も組み込まれている。排泄と自制・節度・抑制などの社会化のシステムは、明確ではない何らかの形で混同され、排せつのコントロールのために組み込まれた回路が秩序ある行動の資質を向上させる。

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親によるプログラミングは、いつどのように衝動を表現し、いつどのように自制を課すかを決定する。親によるプログラミングにはすでに組み込まれている回路が用いられ、人が特定の結果や結末を得るための特定の経路をお膳立てする。このプログラミングの結果生じる新しい資質は、衝動と自制との妥協だ。

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✅親によるプログラミングは、現実の体験としては、すでに録音されているサウンドトラックの親の指示で反応が決定されることを意味する。その声は、自分の頭の中で起こっている事態に注意深く耳を傾ければ聞こえてくる。　P.113

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B. 火星人のように考える 親が自分の子どもたちの自由な表現を遮ったり影響を与えたりしようとする時、親の指示はその親、傍観者、子ども自身によって異なった解釈がされる。 実際には5つの異なった視点がある。 ①親が自分の意味したものはこれだ、ということ ②素朴な傍観者が、親が言ったと思うこと

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③親の言ったことの文字通りのこと ④親が「本当に」言いたかったこと ⑤子どもがそれから得ること 先の2つは「型通り」ないし「地球人」のもので、後の3つは「本物」ないし「火星人」のものだ。

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ここで、大酒飲みのハイスクールの少年の例を考えてみよう。母親は、その子が6歳の時にウイスキーの匂いを嗅いでいるのを見つけて言った。「ウイスキーを飲むには早すぎるわ」 ①母親が言うには、自分が意味したのは「私は息子にウイスキーを飲んで欲しくないわ」だった。

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②素朴な傍観者の、彼の叔父さんは同意した。「もちろん彼女は、子どもにウイスキーを飲んで欲しくないよ。賢明な母親は皆そうだよ」 ③母親が実際に言ったのは「ウイスキーを飲むのには『早すぎるわ』」だった

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④「ウイスキーを飲むのは男の仕事よ。あなたはまだ少年でしょ」これが、母親が本当に言いたかったことだ ⑤少年がここから得たことは「男であることを証明する時が来たら、ウイスキーを飲まなければならない」だ このように、母親の叱責は、地球人には「常識」であるように聞こえた。

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しかし子どもは、親にそうすることを止められるまで火星人のように考える。これが、子どもの堕落していない思考はとても新鮮で新しい、と思われる理由だ。 　子どもの仕事は、自分の親が本当は何を言いたかったのかを探し出すことだ。

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✅指示の効果は永続するので、プログラミングと呼ばれる。子どもにとって両親の望みは命令であり、よほどの激変が起こらない限りそれは残りの人生の間ずっと残存する。試練(戦争や刑務所)や超越体験(改宗や愛)だけが素早く彼を解放するが、人生の体験や心理療法では、解放はもっとゆっくり起こる。

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📌両親の死が常に魔法を解くとは限らない。ほとんどの場合、その拘束力を強めるだけだ。その子の「子ども」が自由なものでなく順応するものである限り、「親」がどんなに悲惨な課題を求めて来ても、「脚本に突き動かされた」人はその要求を実践するし、

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どのような犠牲が必要でも「脚本に支配された人」はその要求を実行する。p.115 　火星人は、結果に基づいて言葉をその本来の意味に訳し、見かけの意図からではなく、人を「最終的に示されたもの」から判断する。そうすると、親の保護のように見える多くのものは、本当は不適切な課題だ。

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親の「気をつけて」は、とても多くの場合、次のことを意味する。「ミスを犯しなさい。そうすれば、気をつけてってあなたに言ったじゃない、と私が言えるから」だ。そしてそれが最終表示だ。「気をつけなさい、アハハッ」は、いっそう挑発的なものだ。

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「成人」の率直な教示の「気をつけなさい！」は少し価値があるが、「親」の過剰な心配や「子ども」の「アハハッ」は違う結果になる。ブッチのケースでは、酩酊した母親の「お前が酒を飲むのは早すぎる」が意味したものは「急いでお酒を飲み始めなさい。そうしたら私が反対できるから」だ。

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そしてそれが、その策略の最終表示だった。ブッチは、母親の愛情の哀れな代用品である気のない関心であっても、それが欲しいなら遅かれ早かれ何をしなければいけないかを知っていた。ブッチはそれを母親の望みだと解釈し、それが目標となった。一生懸命働く父親が良いサンプルで、父親は週末には大酒を

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飲んだ。ブッチは、16歳になる頃には定期的に酔っ払うようになった。ブッチの父親は、人を馬鹿にしたような笑いを浮かべて言ったものだ。「お前は本当に間抜けだ」と。父親が彼に話しかけたのはこの時だけだったので、ブッチは早い時期に、やるべきことはまぬけなふるまいだ、と決断した。

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これは火星人の思考の価値を示すもうひとつの例で、ブッチの父親は、家には「賢いヤツ」はいらない、ということをはっきり示した。父親が本当に言っていたのは「俺が家にいる時はまぬけにふるまえよ」で、ブッチにはそれがわかっていた。