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梨壱🍎 @ri_no_ichi

8. 「逆だと思うけれどね。先に死ぬのは、私だ」 背を向けてしまった彼女の顔は、もう見えない。俺はざばりと湯を被り、全ての汚れを洗い流した。 「まあどちらでもいいさ。どのみち、地獄でも離れる気は無い」 彼女の背に、手を伸ばす。 これが俺の初恋だ。それまで恋うたものとは、何もかもが違う。

2018-07-05 08:28:30
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おやすみ、明日もいちゃいちゃしてくれー pic.twitter.com/g9VNqhFDz3

2018-07-11 04:00:51
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書いてきました。文字数制限がきつい……っ! pic.twitter.com/33zkvr28BH

2018-07-15 04:23:39
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「探し物はここだぞ」と、彼が自分の胸を指している。自信満々な顔で。 「おまえを探しているわけではないよ」 「俺以外に、お前が探し回るようなものがあるものか」 「もう、変なことを言うから、何を探していたのか忘れた」 手招きされるままに、私の足は彼の元へ。 あ、帰り道も、忘れてしまった。

2018-07-16 14:37:34
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できました。975文字。ちょっと見辛いかもしれません。 pic.twitter.com/gU1q7WoELh

2018-08-13 02:24:57
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① 「私は、そういうことを言うおまえは、見たくない。嫌なんだ」 彼女は不満げに視線を逸らした。俺は首を傾げる。嫌がられるようなことをした覚えはないが。 「さっきからほいほいと、私の言うことに従っているだろう。食べたいものを聞いても、したいことを聞いても、『お前の好きでいい』って」

2018-08-16 01:24:27
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② 「それの何が嫌なんだ」 「おまえには自分の意思があるだろう。モノのように私に従うな。忠実であって貰わなければ困る局面もあるけれど、少なくとも今は、その時ではないよ」 なあんだ、と、俺は肩の力を抜いた。こいつは勘違いをしている。俺は道具だから、彼女に従っているわけではない。

2018-08-16 01:24:28
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「俺はお前に従いたいという意思故にそうしている」 「変な言い訳をするな。おまえは、いつでも自分の意見を言え。約束だ」 彼女が小指を差し出す。馬鹿め。そんな誓いに何の意味があるものか。針千本飲まされようが、俺の体はどうせすぐにお前が治す。だから、いくらでも。 「いいぞ。指切りしよう」

2018-08-16 01:24:28
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ほらよー、いちゃいちゃしろーい。 pic.twitter.com/ZxMU8rXUnh

2018-08-25 02:09:51
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ほいよっ、おおさにちゃん一丁🍜 pic.twitter.com/ximRqfNo1E

2018-09-01 00:45:17
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「プレゼントを頂戴」で、即興 pic.twitter.com/ko6dke4W28

2018-10-24 01:01:02
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優しい嘘ならば、許されるのだろうか。 久々に戦に出た主は、ひどく沈み込んだ様子で帰ってきた。無理もない。今日の彼女は精彩を欠いていて、明らかに判断を誤った。幸いにして大きな損傷は負わなかったものの、部隊に損害も与えた。 悪かったのはお前だ。お前の判断だ。そう、思うが。

2018-11-27 01:24:50
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「お前は悪くはない。運がなかったのだ」 苦渋を浮かべた彼女を見ていられなくて、俺は優しい嘘をつく。……だが。 「嘘をつくな。白々しい」 彼女の唇からは、より苦い言葉。「私はわかっている。本当のことを言え」 睨み上げてくる瞳。そう、うちの主は誇り高い。ぬるい優しさなど、彼女には侮辱。

2018-11-27 01:24:50
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俺は息を吐き、告げる。 「今日はお前が悪かった」 うん、と呟き、彼女は俺の胸に凭れてきた。 「いつもそう言ってくれ。甘やかさないおまえでないと、私は安心して、ここに帰ってこられない」 そうか、と、俺はほころぶ口元を隠す。俺は、厳しくあらねば。 お前の帰る場所が、ここだというのならば。

2018-11-27 01:24:50
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【指】 指先が触れた拍子に、「それ」がきらりと輝いた。「とてもよくお似合いですよ」と、目の前の女が笑うのに、俺の隣に座った彼女は不満げな顔だ。 「こんなもの、私はなくても構わないのに……」 ぼやく彼女に、俺は大袈裟にため息をついて見せた。

2018-11-28 05:08:34
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「お前は何故そうやって、素直に喜ばないのだ。この俺が、わざわざ用意したというのに」 「だから最初から、私はいらないと言ったじゃないか。こんなもののために、妙な仕事までして」 「うむ。確かに、妙な仕事だったが」 俺は思い出す。本業では給金が出ないので、金を稼ぐためにした仕事

2018-11-28 05:08:34
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なにやら様々な服を着せられて、写真を撮られた。それが方々に披露されて、少しばかり問題になった。俺は人ではなく、本来このような姿でこの世に在ることはないはずのものだから。だが、仕方があるまい。人ではないゆえに社会の枠組みの中に入れない俺には、他に金を稼ぐ手段がなかったのだ。

2018-11-28 05:08:34
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「あれで、管理不十分だと私も怒られたのだぞ」 「もうぼやくな。人はこのようにするものなのだろう? だから、そうするのは当然だ」 「おまえは、人と同じようにしなくてもよいのだよ」 「お前は、人と同じにしてもよいのだ。俺はお前に、人であることをやめさせたいわけではない」

2018-11-28 05:08:35
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言葉に詰まった彼女の「それ」を、俺は指先でなぞる。 「もう出来上がってしまったのだ。諦めろ。どうせなら笑ってみせろ」 顔を覗き込むと、彼女はぎこちない笑みを作った。それでいい。こいつが綺麗に笑う時は大抵嘘だ。時折、心を表すのが苦手になる彼女は、こういう笑顔が本物である時があるのだ。

2018-11-28 05:08:35
梨壱🍎 @ri_no_ichi

俺は自分の指を見た。己以外の金属がこの身についているのは妙な気分だが、悪くはない。何よりもこれは、俺が自分で稼いだ金で、彼女のために誂えたもの。満足だ。 左手に輝く揃いの指輪は、彼女の好みに合わせて、石のないシンプルなもの。目の前の、店員の女が微笑む。 「どうか、お幸せに」

2018-11-28 05:08:35
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書きました。おおさにちゃんというか、さにわんの話になったので、カネヒラが薄いです。 pic.twitter.com/o6RyGCbM2h

2018-12-03 05:22:38
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久々に、大さにちゃんSS。圧倒的陽でありながら、それ故に粘着性も高い男。 sscard.monokakitools.net/bunko.html pic.twitter.com/Yhssj9kRR7

2019-03-18 04:27:05
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【大さに】① 「そんな怖い顔をするな」 大きな身体を縮こめて、彼は主を見上げて言った。 「おまえが大人しく『それ』を渡せばよいのだ。ほら」 女主人は厳しい顔で、右手をこちらに差し出してくる。 彼は無言のまま俯いた。正座した膝の上、掌ほどの大きさの板型の端末。それをぎゅうと握りしめる。

2020-05-29 01:21:35
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②ここのところ、用事で外へ出されることが多いから。その際に連絡を取れるようにと、渡された端末。音声と文字とで連絡を取る方法以外、主は何も教えてはくれなかった。これに写し絵も残せるのだと教えてくれたのは、仲間の1人。絵にしたいものに小さな硝子の目を向けて、画面をつつけばそれだけで。

2020-05-29 01:21:35
梨壱🍎 @ri_no_ichi

③昨夜の主は酒に酔い、彼の膝に甘えて寝ていた。普段は見せないその顔を残しておきたくて、彼は端末を向けた。今日になってそれを知った主は激怒し、この有様だ。 「寄越せ。消す」 いくら拒絶しても、その繰り返し。 彼は嘆息し画面を見る。愛しい寝顔を目に焼き付けて。 そしてそっと思い出を捨てた

2020-05-29 01:21:36
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