刀小話まとめ

たいの@２次と１次をやるよ @taino56no1

『盾持ち乙女』というのを政府が出してきた。 「また新顔の兵器が出たねえ」 審神者は呆れて口の端からぶぶぶっと汚く音を出す。 「ははあ、狐めもまったくそう思いまする」 とこんのすけはしっぽを振り、その場しのぎのおべっかを使う。 「で？それはどういうものなの？」 「人間の娘を依り代に、

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男の審神者は刀と同じ寿命になれないが女はなれるーーというのは故意に歪められた情報で、要するに本丸という閉鎖空間で四六時中一緒にいて外は戦争で、主従とはいえ男女ともなれば愛情が芽生える。まぐあいもする。すると肉体を通じて刀の精気が女にうつり、刀と似通った性質を得るという理屈である。

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G大学は歴史の浅い大学ですが、国際交流は盛んでしたね。私は民俗学サークルに所属していました。二年生の長期休暇、六人ほどで山奥の廃神社に行ってみようという話が持ち上がりました。計画を立てたAは、いわば我々の学年の音頭取りといったところでしょうか。先輩たちを交えず、個人的に行く旅行は

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演練では刀たちはシミュレーションで戦うから、傷は傷ではない。本来なら折れているような状況をあえて経験するのも大切だ、という話である。審神者であればそこのところはわかっているから、権限してすぐの刀は演練中心に育てる場合が多い。また、あえて第一部隊を差し向けて自分より下の練度の本丸に

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私たちは確か、中学生だったと思う。待ち合わせ場所に彼女h1時間遅れてやってきて、 「お昼から集合だったから、その間にお部屋の掃除をしたの。そうしたら、気づいたら時間過ぎてたの」 と泣く。 「◇ちゃんはいいよね、こんな思いをしたことないもんね。なんでも生まれつき完璧なんだ」 と指の間から

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本丸は城である。見た目は日本の城もあり西洋の城もあり、そこは審神者の好みによる。その足元に広がる街のことを、ところにより万屋街と呼び、ところにより本丸城下町と呼ぶ。歴史修正によって居所をなくした人間たちが制度的には政府に保護され、戦略的には本丸に庇護されて暮らす街である。

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「はい？」 と審神者は硬直する。初期刀の山姥切が付き添いで着いていたのだが、悲しいかなまだ極めてもいない個体、というかそもそもこの本丸自体が発足から三年足らず、 「ですから、お刀様方にお嫁さんをね、とっていただくことになったんですよ。決定事項ですから。刀剣男士は謎が多いですからね。

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少女は異国の姫だったのだという。今はもうない世界線、封建制度が存続した国の。 「じいやが命懸けでわたくしを逃してくれました。それで、わたくしは今ここにいるのです。わたくしがこの高貴なる血を継いでいくことこそが、国の存在意義なのです」 「左様で」 審神者は深く頷きながら珈琲を啜った。

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昔からよく言う、のろのろ歩いていると自分の悪口を聞くはめになる。ううん、弁解のしようもない。ただ言い訳させてもらえるなら、そこは私の本丸で縁側に差す日差しは暖かく、仕事はすっかり終えており、要するにたるみきっていたのだった。 「そもそもあんだけイケメン侍らせといて、性欲なんてない

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戦争は永遠。審神者の寿命は刀と同じ。この不格好な楽園は不滅。 確かにそれが事実であり暗黙の了解ではあるものの、だからといって人間として生まれたものの精神が不変に耐えきれるわけではない。よって審神者は結婚する。審神者同士。一般人と。刀と。子孫を残す。審神者になれる子を。そして生き物

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本丸の担当役人はコロコロ変わる。政府が人手不足だからで、刀を不興を買った部外者はすぐにコロコロされてしまうという理由もある。コロコロコロ。どうしたっていつだって、下っ端というのは使い捨てられてしまうのだ。 だから新しく就任挨拶にやってきた彼女は、審神者からすればとても新鮮だった。

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まあ当然のことであるが、付喪神には付喪神の世界があり、コミュニティがあり、当然雌雄？男女？もあるわけで、刀剣男士が審神者に与えられた肉の身で歩き始めるより前、歴史の流れの中で、どこぞの壺だの花瓶だの掛け軸だのと恋仲になっていただとか、魂でセックスしていたとか、そのとき生まれた波動

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ことの経緯はつまりこうだった。 本丸襲撃。手入れ部屋の破壊。および審神者の負傷。政府は刀剣を集め、大規模手入れを行う。もちろん、その間も本丸は防衛拠点としての役目を果たす。審神者と政府に預けられた刀たちが戻り次第、これまでと同じように努めを果たすことになるはずだった。もちろん、皆

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父審神者に借金していた男がその娘をカタに行方をくらまし、娘は本丸に迎え入れられることになった。ほとんど慈善事業みたいなものだ。彼女はちょうど審神者の娘と同い年で、その侍女になった。 「いいお友達になってくれるといいね」 父審神者と妻は笑い合い、刀たちも微笑ましく二人の少女を見守る。

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いっぺん審神者をしていたけれど、引退して、それからもう一回審神者になる。そんなことができるわけあるかよ、と思うじゃない？それができるのよね。特別な力を持っている人であれば可能なんだってさ。へえ、すごいね。 特別な力とはつまり癒しの力。彼女は彼女であるだけで刀の負傷を癒やし、資材を

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審神者ですから、刀は完璧に管理しなくてはなりません。けれど刀にも心がありますから、まるきり持ち物として支配するのは良くないそうです。政府のいうことは矛盾ばかり。その結果生まれる軋轢は、すべて私たち審神者に押し付ければいいわけですから、楽なものです。 何が言いたいのかというと、ある

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「まあ、別にいいでしょう。売り払えないようになっているし、あんたたちはこの子を選ばないでしょう？」 と、また気狂いの長女が一人言を呟きはじめた。 「いいじゃないの、どうせあと四、五十年よ」 親戚たちはざわめき未満に囁き合う、 「ああまた、ホラ…」 「かわいそうに」 「病院に入れとけ」

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『可哀想な』母が審神者の務めから戻ってきて、私が代わりに本丸に行くことになった。父は顰めっ面、祖父母は涙を流して私だけをこれみよがしに可哀想がる。 「それじゃ、今までお世話になりました」 と、別れはそっけないものだった。涙はこれまでにさんざん流し尽くしたものだから。政府に言われた

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ヒキコモリ、というそうだ。主がそれになってしまった。刀たちは額を寄せ合いうんうん唸り、部屋から出てきてくれるよう何度も呼び掛けたが、音沙汰ない。とうとう管狐が進み出て、 「このままですと放置本丸として本丸自治権の取り上げもありえまするぞ」 などと脅す。 それは困ると立ち上がったのが

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正直、キモハラさんのことをそこまで嫌だと思ったことはなかった。そもそも彼女と接したのはもう何十年前のことだろう。本名が君原さんだったか、清原さんだったかも忘れてしまった。 審神者学校の寮。彼女は一人きりの管理人さんだった。私たちは十人ばかり、入れ替わりはあっても常にそのくらいの数

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本丸には畑もありますけれど、お米ばっかりはお米屋さんに頼んでいました。ご家族でやられている小さなお店なのですが、故郷の農家さんと繋がりが濃いらしくて、とんでもない量の注文にも素早く対応してくださるのでとても助かっています。ここのところお父さんが腰を痛めたとかで、息子さんが配達に

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刀剣男士は人の形をした刀である、という前提はどうやら審神者以外にはあんまり共有されていない。今日も審神者会議の会場周辺にプラカードを掲げた集団が張り付いている。書かれているのは大体『刀に人権を！』という感じである。 「やんなっちゃうなあ。あの人らをかきわけていかなくちゃだもの」

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こんな昔ばなしがあるの。二親に死に別れ、姉は必死に弟を守っていかがわしい商売をした。たったひとりのきょうだいだもの、守ってやりたかったから。その甲斐あって弟は上の学校へ進み、官吏さまになった。姉は商売で身を壊し、寝付いたけれど幸福だった。弟が両家のご令嬢を連れて来た。上役に

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霊力枯渇。審神者なら誰もが恐れる病気のような、老衰のようなそれ。逃れる方法はひとつだった。刀剣男士との結婚。婚姻の儀と盟約、肉体の交合により枯渇を食い止め、総量を増大させる。ずるい手だ。でもそれしか、本当にそれしかなかった。現世に戻っても居場所なんてない。恐れがすまなさを上回る。

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私は寛大な主であると自負していました。他の本丸さんに比べてうちの刀は給金も多いし、スマホだって支給してるし、一振り一部屋にエアコンだってついてます。というのも私、天涯孤独の身でして。現世への仕送りとか、気にしなくていいものですから。 子育てや部下の指導で、優しくしすぎるとよくない

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姉が刀剣男士と結婚した。審神者ではなく、政府の役人なのでさすがに心配した。親はその刀の主の審神者さんから援助をもらえると思い込んでいて、私のいうことなんて聞いてくれやしない。 「お姉ちゃんほんとに大丈夫？…ほら、審神者さんが嫉妬して刀のお嫁さんを殺したとかさ、よく聞くじゃない」

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その土地はひどく痩せていた。後ろには山、前には海。朝、海から吹く風は塩を含んで稲を弱らせ、夜、山から降りる風は夜露を含んで赤ん坊や年寄りを殺す。土の色は白く、田畑に回る滋養はない。こんな土地でも生きていかねばならなかった、ここに生まれたのだから。 海にそり立つ崖の根本に洞窟がある

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「ねーねー、やっぱり鶴センって黙ってればイケメンだよねー」 「だよねー！わかるー！ホント黙ってればいいのにねっ、なんであんな小学生みたいなのー？」 とキャッキャ盛り上がる同級生を、かわいいなあと横目で伺う。伊達眼鏡で耳が痛む。 私は審神者。鶴丸は刀。平成●●年。現世潜入任務の目的は

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縁もゆかりもない身寄りのない女の子たちを預かるのだと審神者が決めたとき、歌仙は声を枯らして反対した。 「本丸に人間は審神者ただ一人、主、その不文律があるからこそバランスが取れているんだよ。いったいどうして、わざわざ波風立てるようなマネをするんだい？」 審神者はにっこり小首を傾げ、

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「私、ほんとうによかったと思ってるんですのよ。そりゃ苦労したこともありましたけれど、でもこの顔だったからこんな幸運を掴み取ることができたんですもの」 刀の嫁と初対面の挨拶でこう言われて、固まらない審神者がいたらちょっとコツを教えてもらいたい。とうの夫刀はとろけそうな様子で嫁御に

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審神者も同行する合同任務。二十数個の本丸が協力して遡行軍の襲撃を防ぎ切る。切った。やった。ひとまず。守ったんだ。 その刹那、本陣から弾き出され、時空のはざまを浮遊し、それでも諦めず私は本丸に帰還した。もがこうにももがけない苦しい空間で、手も足も出ない無の世界から帰還したのだ。

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久しぶりの休暇だった。現世におでかけするなんて何年振りだろう。それも一人きりで。気になっていたカフェに開店と同時に入り、ワクワクと日当たりのいい席について注文が届くのを待っていると、 「……うわっ」 と聞こえよがしに吐き捨てる声がした。私はちらり、横目でそちらを見やる。女の子二人組

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一文字則宗がうちにきて早三年。すっかり一文字にも本丸にも馴染んでからから過ごしているのを、他のすべての刀に対するのと同じように微笑ましく思っていた。私は審神者だから、それ以上の感情を刀に抱くのは望ましくない。 政府の浄化部署から連絡が来たのはだから、青天の霹靂といえるものだった。

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審神者がそうであるように、政府の役人も子供に地位を相続させる事例がここ最近増えてきた。戦争の長期化の弊害である。もちろん現世ならそれを拒む法律の一つや二つあったのだろうが、ここは幽世、法も規律もあったものじゃない。頼れるのは自分と、刀だけである。 さて、そんなわけで定年退職した

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もちろん審神者の力の大小はその美醜と関係がないが、政府の一部でまことしやかに囁かれる噂は真逆のことを言っている――やっぱり美人の審神者さんとこは刀も目がきらきらしてるし、戦績もいいよね。 根も葉もない、やっかみ半分の風の噂である。それでも耳には入ればいい気はしないから、やはり審神者

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耐え兼ねたという風情で見習いの少女ががたんっと立ち上がった。 「審神者さまは……っ、審神者さまはぁ！力士なんですか!?」 「……はい？」 ぽかんとしたのは審神者、周りを囲んでそれぞれ食膳を前にしていた刀どももまた、突然のことにぽかんと顔を見合わせ主を伺う。 「ど、どうしたの？」

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政府が刀剣男士の婚姻の自由化を宣言したときは、確かに女審神者と刀との婚姻がメインに考えられていた。その時彼らはまさか刀たるものが人間の女(もちろん男も)と恋愛して、人間のように家庭を築くとは考えてもみなかったのだろう。古来より神とは人の女を食らうもの。まさか自分から人恋しやと本丸の

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その電話があったのは、ある日曜日の昼下がりのことでした。最近、家族仲に亀裂が入りかけていたところでしたので、突然の電話を取ったのはいつもの通り母ではなく、父でした。このところ彼女はあんまり色んな人から責められすぎて、自暴自棄になっていたのでした。 「はい、○○ーー」 から始まる父の

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さすがにびっくりしたというか、さすがだと思ったというか、なんというか。 「どうかお願いします！もうあなたしか頼れる人はいないんです」 とはらはら涙を流す顔は本当に美しい。皺なんてひとつもなく、ほうれい線もぜんぜん目立たず、たぶん生まれた時からそうだったのだろうという顔だ。

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「えっ？」 と彼女はきょとんとまんまるの目を見開き、 「えっ」 と審神者は停止する。とある春の日、執務室での一幕である。その脇に正座した加州清光が、ひたすら恐縮する風情だった。 ごく普通の揉め事から恋に落ちた一人と一振りが、やがて結ばれるのに審神者も異論などなかった。別に刀といえど男

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「ひょ、ひょええええええ」 とかなんとか泣きながら審神者が帰ってきた。この本丸で一番の古参刀は石切丸である。 「おうい、どうしたの。どうしたんだい」 出迎え抱きとめて、おろおろわけを聞く。久しぶりに父親に会ってくるのだと、おめかしして出かけていったはずの主だった。まだ幼さの残る娘が

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大般若長光は優しい刀だ。ちょっとばかし調子に乗りやすく、何も考えてないことがあるけれど。 というわけで彼はモテる。そして来るもの拒まないのでモテモテである。うちは仕事に支障さえなければ刀剣男士の恋愛沙汰は禁じてないので、今までにも二、三人は付き合った人がいたようだ。 そんなわけで。

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いざその襲撃が終わってみると、あっけないものだった。この本丸が。 多数の本丸を狙った敵の大規模襲撃。たった一度のその敵襲で、主力を含むこちらの刀剣男士は壊滅状態に陥った。彼らがいてくれたときは、これほど盤石な守りはないように思えた。けれどそれでも、敵は更に強かった。審神者は鬱状態

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何の変哲もないはずの朝だった。 「おはようございますー、政府ですぅ。ちょっと上がらせてもらいますんでー」 と特殊課の人員が集団で本丸に入り込んだため、審神者は顔を洗うのもそこそこにどたばた玄関まで駆けつける。着替えをすませていたのが不幸中のなんとやらだった。 当然、不寝番の刀が侵入

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審神者研修制度の最終局面、それが戦場に同行して直接指揮を執る戦闘指揮訓練試験だ。ここで優がつけば自分の本丸を持てる。という大事な大事な試験の最中。 「やっぱりこんなこと、いけないと思うの!!」 と叫んで見習いの少女が結界から飛び出した。審神者は叫んだ。 「ウワァアーー！評価点ーー!!」

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刀にだって好きな相手と添い遂げる権利はある。と思うから、その審神者は刀の交際にも婚姻にも口をはさんだことはなかった。 不思議なもので、刀と付き合いたい、結婚したいと思う女は(男も)案外多い。付喪神との性交はただびとに神気を行きわたらせ霊力を生む。生来の審神者には及ばないまでも、夫刀

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その子はもう、行くあてもないとのことでした。歴史改変に巻き込まれてしまったということです。 「あっ、あのっ。あのぉ！あたし、平成生まれですからぁっ」 と、挨拶もそこそこに言い始めたのには驚きました。この前畳を入れ替えたばかりの応接間、私と二人きりになった矢先のことでした。

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ここ数日、屋根裏から音がする。ずるりずると何かが引きずられる、いいや這う音だ。すっかり寝不足になった審神者を見かねて、初期刀の歌仙が屋根裏の大捜索を行うと宣言した。 鶴丸はいいや待て待てと手を挙げた。 「いきなり大勢でかかったら警戒して逃げちまうぜ。あれで案外小心者なんだ、きっと」

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父が三十年勤めた会社で肩を叩かれて廃人になり、母は生活のため審神者になった。数年、私と弟で暮らした。父の施設の高いお金も、生活費も、学校のお金も母が稼いでくれた。心底感謝していたのだ、最初のうちは。 弟が思春期に入ってしばらくした頃だったと思う。母からの月に何度もない電話にいやに

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刀たちに与える創作物は十分吟味して、あんまり刺激の強いものは除いてきました。というのもうちの母がそういうのに無頓着だった結果、弟が深夜に仲間とバイクを乗り回す奴になっちゃいましたので。 うちの山姥切長義はめずらしく鍛刀できた個体でして、他の鍛刀産の刀と同じようにぽややんとした