歴史の中の人々の織りなしてきた連続性に情動的な反応や憧れや憧憬を持ってはいけないのか?それは違うだろう。歴史に興味を持った人の多くは、何も知らない状態から知ろう、学ぼうと思ったきっかけはロマンチズムであったはずであり、研究者の中にロマンを燃料に研究を続けている人間も少なくない。
2017-07-22 22:06:02例えばイタリアのP・Grillo氏は「歴史というものは後世の人々からの、かつて存在していた人々への情動やロマンチズムから発展してきたものであり、ロマンチズムは敬意となって歴史への前向きな姿勢と研究姿勢を齎すときもある」と一定の理解を示している。
2017-07-22 22:08:38問題とすべきなのは「ロマン」だけで歴史を語ったり、判断してはいけないということだ。「ロマンを持ってはいいが、史実性を以て歴史の何かを語る際にそれと切り離すことが大切である」という話であるはずである。
2017-07-22 22:09:10ロマンが齎すアウトなものは、歴史において過剰な判断や理解を史実に持ち込むことだ。これは大抵は対象への過剰な好悪やファン魂によって理想化または逆の扱き下ろしをすることであり、確かに歴史趣味人にはこれをやってしまう人は多い。
2017-07-22 22:10:29だが、逆にそのロマンによる理想化や過剰な好意または悪意によって起きた間違いや誤解を否定しようとするあまり、冷静に修正を促すのではなく、これまた過剰に対象を否定したり、他の側面から強い否定材料を以て扱き下ろすということも目立ってきている。
2017-07-22 22:12:37これは物事の極端化(もしくは極端化と錯覚してしまう)現象がよく起こるネットではなおさらであり、天秤が暴走するが如く、過剰な言及を双方繰り返した結果、元々の対象への認識もぼやけてしまうことが起きてしまうことがしばしばある。
2017-07-22 22:14:59例えばローマは巷で言われているような偉大で優れた文明を持つ帝国というだけではなかったのは事実だ。奴隷や貧困層の悲惨さ、規律が良いはずのローマ軍団内に常に見られた汚職や市民との諍い、その他数々の問題。
2017-07-22 22:15:50これを私は認識している。けれど、同時にやはりローマは「優れた文明と技術を持っていたし、地中海世界では規律や練度の高い軍団を持っていたし、地中海を己が庭にした偉大な帝国であった」という思いも持っていますよ。これはロマンと言われたらロマンだろう。でも、これを構成する事実もある。
2017-07-22 22:16:21何事も真実の奴隷になってはいけないのだ。真実は事実を取捨選択して構成されるものであり、その取捨選択はロマンから来ることもあれば、そのロマンを否定する心からもある。バランスよく、沈着して物事を見つめること、見つめようとすることが大事なのだと思います。
2017-07-22 22:18:30この手の話で挙げられやすいのは井上先生の「歴史はロマンではない」という言葉ですが、この言葉は歴史界隈で都合の良い言葉の棍棒としてよく振り回されてると思う時はある。
2017-07-22 22:21:36私は「ロマンから来た過剰な理想化または否定化」からの判断や論説に疑問を呈したり、批判するといったことはよくしていますが「ロマン」自体を否定することは(あんまり)ないです。間違った善意の行動の内、「行動」を否定するけど「善意」は否定しないのと一緒。
2017-07-22 22:23:08どうしてなのかというのを具体的に述べず、ただ「ロマンや情動を否定すること」が「現実的」「現実主義」っていう風潮あるよねいんたーねっつ。
2017-07-22 22:24:05@VagrantsP ネットは成熟するにしたがって、対象や物事にちゃんとフォーカスするのではなくただ冷笑的姿勢や論説を見せ皮肉ったり揶揄したりすることが知的で現実的とする人々がのさばるようになってきたところは否めませんしね。
2017-07-22 22:33:36@VagrantsP 彼らの言い分もよくわかりはします。ロマンはナショナリズムや民族主義、イデオロギーと結んで研究と一般への認識を歪めてきたことは多く、ネットでも横行していることですからね。ただ、だからといってロマン自体を否定されるとちょっと違うんじゃないかなと思うのです。
2017-07-22 22:31:01@Ryu_Windy シュリーマンのトロイア遺跡発掘はまさにロマンチズムから始まり、ロマンチズムと研究を切り離すきっかけとなり、近代的考古学の発展を促したものの一つですね。
2017-07-22 22:28:13