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前掲書第５章 逆境をバネに成長する…未来の自分が私をつかんでくれる(p.106- ) 冬のさなかにようやく気がついた。 私のなかにゆるぎない夏があるのだと。 —--—--アルベール・カミュ
2017-11-03 10:31:12
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ヴィクトール・フランクルはこう書いている。「もはや自分の力で状況を変えることができないとき、私たちは自分自身が変わることを求められるのだ」。 トラウマ体験者の半数以上が、なんらかのポジティブな変化がひとつ以上あったと答え、PTSDを発症する人は15%に満たない。
2017-11-03 10:36:19
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アダムはしゃくに障ることを言った。「成長できると思わなければ、成長できるはずがない」。それに正直なところ、「トラウマ後の成長」は、「悲しみと怒りに満ちた人生」よりずっと好ましい響きがした。
2017-11-03 10:39:33
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トラウマ後の成長は、５つの形態をとり得るという。「人間としての強さを自覚する」「感謝を深める」「他者との関係を深める」「人生により多くの意味を見出す」「新たな可能性を見出す」である。 ニーチェは、「自分を殺し損なったものが、自分を強くしてくれる」と言った。
2017-11-03 10:43:30
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テデスキとカルフーンは、同じことをやや穏やかに表現する。「私は自分で思っていたより傷つきやすいが、想像をはるかに超えるほど強い」。強い心をもって、苦境を抜け出すことはできるのだ。ただ生き延びるだけのうちにも、力を蓄えていた。
2017-11-03 10:48:25
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古いことわざのいうとおりである。「落ちなければならないのなら、落としてくれ。未来の自分が私をつかんでくれる」。 ケビン・クリムはこう言ってくれた。「生きる理由のある人は、ほとんどどんな方法ででも、生き抜くことができる」、
2017-11-03 10:52:27
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私もデーブを失って以来、涸れることのない悲しみの泉がいつもすぐそばにあり、日常生活の一部になってしまっている。でもその悲しみと並行して、これまであたりまえと思っていた物事に対して、前よりずっと深い感謝を覚えるようになった。ただ生きていられることに対しても。
2017-11-03 10:57:18
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悲劇をきっかけにして、新しい関係を結んだり、前からの関係を深めることもある。これがトラウマ後の成長の３つめ、「他者との関係を深める」である。「順風満帆のとき、自分の真の姿がさらけ出される。逆境のとき、友の真の姿がさらけ出される」。
2017-11-03 11:01:56
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トラウマ後の成長の４つめの形態は、「人生により大きな意味を見出す」である。自分の存在には意味があるという信念に根ざした、強い目的意識をもつようになる。フランクルも、「苦しみのなかに意味を見出した瞬間、それは苦しみでなくなる」といっている。
2017-11-03 11:05:41
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元NFLのアメフト選手バーノン・ターナーは11歳のとき、母が浴室でヘロインを打っているのを見てしまった。お母さんは彼を追い払う代わりにこう言った。「あたしがこうするのをしっかりその目で見ていなさいよ、お前には絶対やってほしくないから。・・・こんなことをしていると死ぬのよ」。
2017-11-03 11:10:33
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４年後、この言葉は痛ましくも現実のものになった。お母さんはバーノンと４人の弟妹を残して他界した。バーノンが大学１年生のときに継父も亡くなった。まだ20歳にもならないうちに、バーノンの肩には家族を養う責任がのしかかったのである。
2017-11-03 11:15:15
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「プロになるしか道はなかった。ならなければ、弟妹たちは養護施設に入れられる。 📌DNAに運命を牛耳られてたまるかと思った。自分をつくるのは、自分の行動なのだ」と彼は書いている。
2017-11-03 11:19:31
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バーノンを突き動かしていたのは、明確な目的意識だった。目覚まし時計を午前2時にセットして早朝からワークアウトを始め、体力づくりのためにタイヤをロープで腰にくくりつけて坂をのぼった。「プロのスカウトたちは身長が足りないと体格を計測しましたが、僕のハートの強さを見落としていたんです」
2017-11-03 11:25:43
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友人のジェフは奥さんを結腸がんで亡くした後、さっさと仕事を辞めて、がんの早期検出を目指す新会社のCEOに就任した。「門をくぐってしまったような感じだよ」とジェフは語ってくれた。「もう後戻りはできない、自分は変わるしかない。唯一考えなくてはならないのは、『どうやって』変わるかだ」。
2017-11-03 11:56:09
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竜巻や銃乱射事件、飛行機墜落事故などの生存者で、死を覚悟した人ほど、事件後に人生の意味を見出したと答えることが多かった。死すべき運命を自覚した人は人生の優先順位を見直し、それが成長につながることがある。死との遭遇が、新しい人生を導くのである。
2017-11-03 12:00:24
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悲劇は現在を奪い去るだけではない。未来への希望さえ奪うことがある。離婚すれば将来の記念日が消える。こうした自己認識の転換も二次的喪失のひとつであり、またうつを引き起こす危険因子でもある。私たちの「可能自己」…こうなりたいという自己イメージ…が巻き添え被害に遭うのだ。
2017-11-03 12:05:05
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しかし、なかなか理解しがたいことだが、ひとつの可能自己が消滅すれば、新しい可能自己を自由に思い描けるようになる。悲劇のあと、以前の生活を焦がれることに感情のエネルギーのありったけを費やしていると、そうした新しい機会を逃しかねない。
2017-11-03 12:09:01
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ヘレン・ケラーもいっている。「しあわせのとびらがひとつ閉まると、別のとびらが開く。でも、閉じたとびらをいつまでも未練がましく見ていると、自分に開かれた別のとびらに気がつかないことも多いのだ」と。
2017-11-03 12:11:48
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ジョー・キャスパーは、自分の行動を通じて息子がこの世に生きた証を残すことができる、と悟った瞬間、目から鱗が落ちたという。子どもと死別した親たちに、子どもの人生を死によって終わらせないよう、より大きな枠組みでとらえることを促すことを考案した。
2017-11-03 12:15:44
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「息子が誇りに思ってくれる人生を歩むことが、自分の道だと気づいたんです。息子の名のもとに善い行いをすれば、息子の人生がより善いものになる。いまに至るまで、この気づきに私は駆り立てられています」。
2017-11-03 12:18:28
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苦難を味わった人は、同じような経験をしている人の役に立つ知識をもっている。この知識は、またとない意味の源泉である。人生に目的を与えるだけでなく、苦しみにも意味を与えてくれるのだから。自分が傷ついたことが無駄にならないよう、同じ苦しみを味わっている人を助けるのだ。
2017-11-03 12:23:12
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古代ローマの哲学者セネカ(とセミソニックのヒット曲『クロージング・タイム』)によれば、「新しい始まりは、すべてほかの始まりの終わりから生まれる」のである。 デーブの存在は、私を根底から変えた。そして彼の不在が、私を根底から変えたのだ。
2017-11-03 12:28:35
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第6章 喜びをとり戻す 生き残ったことへの罪悪感「サバイバーズ・ギルト」は、喜び泥棒であり、死という喪失から生まれるもうひとつの喪失である。大切な人を亡くすと、悲嘆だけでなく悔恨の念にも押しつぶされる。これも自責化のひとつだ。 p.134
2017-11-03 12:33:12
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「なぜ自分が生き残ってしまったのか？」鋭い悲嘆がおさまった後も、罪悪感は居座り続ける。たとえば同僚が解雇された時、この思考プロセスは、「自分が解雇されるべきだった」という思いから始まる。続いて「自分じゃなくてよかった」という安堵がやってくるが、すぐに「友人が仕事を失ったのに
2017-11-03 12:38:24
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喜んでいる自分は悪い人間だ」という恥の意識にのみ込まれる。目的意識もなく、喜びだけを追い求める人生は空しい。かといって、どんなに有意義な人生も、喜びがなければやりきれない。 そんな思いでいたある日、デーブの弟のロブが、電話ですばらしい贈り物をくれた。
2017-11-03 12:42:28
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「君に会ったその日から、デーブは君をしあわせにすることだけを考えていた」と、彼は声を詰まらせて言った。「いまだって、君がしあわせになることを願っているはずだ。その夢を奪わないでやってくれ」。
2017-11-03 12:45:22
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私たちは人のしあわせを願う、そして自分のしあわせを願うことは、…罪悪感を押しのけて喜びを求めてもいいのだと心得ることは、…永続化を克服することにほかならない。楽しむことは、自己への思いやりになる。
2017-11-03 12:52:05
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あやまちを犯したときに自分にやさしくする必要があるように、楽しめるうちに楽しんで、自分にやさしくすることも必要だ。逆境を経験した人が喜びを求めるのは、奪われたものをとり戻そうとする行為である。U２のリードボーカル、ボノの言うとおり、「喜ぶことは、現状に対する究極の抵抗である」。
2017-11-03 12:55:23
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喜びを見つけようとするとき、私たちはとかく卒業や出産、就職、親戚の集まりなど、大きなできごとに目を向けがちだ。でもしあわせにおいては、大きさよりも頻度のほうが大切なのである。アニー・ディラードは、「日々の活動の積み重ねが人生をつくる」と書いている。
2017-11-03 13:00:08
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ちょっとしたことを楽しめるまで元気になるのをただ待つ代わりに、元気になれるちょっとしたことを、どんどんやってみよう。ティム・アーバンが言うように、「しあわせとはなんでもないただの水曜日に感じる喜び」なのだ。
2017-11-03 13:03:59
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私たちは、車のワイパーが壊れたり、服にコーヒーのシミがついたりするだけで落ち込んでしまう。 生活を脅かすおそれのあるものごとに集中するあまり、📌ほほえむチャンスを逃しているのだ。 p.141
2017-11-03 13:07:34
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悲嘆は波のように押し寄せる一方で、潮のように引いていく。そして潮が引いてみると、ただ生き延びただけでなく、ある面では前より強くなっていることに気がつく。たとえオプションBであっても、私たちには選択肢がある。いまも人を愛し、喜びを見つけることができるのだ。Ibid., p.247. pic.twitter.com/Qdy3kBluQR
2018-01-12 04:13:42
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