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ルーフェ @rufe_mitras

魔王は漸く事の重大さに気が付いた。 この海の化け物は、モータルコーストの戦力では勝てないと。 そうなれば…死にゆくのを待つだけだと。 いや、まだ手はあるといわんばかりにどこかへと駆け出していく魔王。 それを尻目にどんどんと気温は下がり、大きな目玉はモータルコーストの首都へ近づく。

2022-02-11 23:19:17
ルーフェ @rufe_mitras

モータルコーストの全てを凍らさんと、目玉は寒気を吹き下ろす。 モータルコーストの人々を象る物言わぬ氷像の中を、魔王はひたすらに人魚族の元へ急いだ。 もしアーリアと出くわしたときに人質にし、生き延びるために。 そして、やっとのことで魔王は人魚族の元へたどり着いた。

2022-02-11 23:50:46
ルーフェ @rufe_mitras

そこにいた人魚族は、いや腐りかけの遺体は全て凍っていた。 かつて寝込んでいた人魚族を見殺しにしたがために。 魔王は遂に膝をついた、その時にふと女神アーリアの盟約の内容を思い出す。 人魚に対する殺生は禁じられていて、殺生の証拠がここにある…つまり、アーリアがここへ来たら…

2022-02-11 23:50:46
ルーフェ @rufe_mitras

魔王が後ろから迸る殺気に、振り向くとアーリアが立っていた。 その射殺さんがばかりの殺気に、魔王は後退りしている。 言語というよりも呻き声、叫びそのものが口からこぼれ続け、それが呪詛となり全ての熱を奪う。 煮え上がるほどの憤怒、激情の熱すらも通り抜けて、冷たい呪いが体を蝕む。

2022-02-11 23:50:47
ルーフェ @rufe_mitras

魔王は次第に動かなくなっていく自分の体が床に倒れたあと、アーリアに頭を踏み抜かれた。 音もなく、懺悔の念すら生まれない程に魔王はあっけなく死んだ。 そして、アーリアは無念の中死んでいった人魚族の体に手を当てたり、祈ったり、手を握ったりして惜しんだ後、遺体の元を去った。

2022-02-11 23:50:47
ルーフェ @rufe_mitras

アーリアが大きな目玉を海へと沈め、的確に他の場所へ影響が出ないような範囲で大津波を発生させ、大陸からモータルコーストを削り飛ばした。 モータルコーストの遺産は殆ど何も残らず、暮らしていた海に近い魔族たちも根絶やしにされたが、事件を見ていた他の七大神によって永く語られる事となる。

2022-02-11 23:50:48
ルーフェ @rufe_mitras

アーリアはリムリアと同様、七大神の中で絶対に怒らせてはいけない1柱として数えられる事になった。 怒り狂った時の話は少々茶化して伝えられることもあるが、それでも戒めとして伝えられるには十分だったようだ。 フォアデムではそれだけ、七大神との約束は大きな力を持つのだ。

2022-02-11 23:50:48
ルーフェ @rufe_mitras

【夢観のサークレット】 着けて眠ると、対となる板に着けた者の夢を映し出す。 夢を見ている者の視線ではなく、俯瞰的に見ることになる。 【夢観の水晶板】 【夢観のサークレット】と併用。 夢からの映像と音をサークレットを通し届ける。 逆に現実からの映像や音も届けられる。 注意点あり。

2022-11-13 23:30:22
ルーフェ @rufe_mitras

厳守事項: 夢の中で眠る者を起こしてはならない。 死者の頭にサークレットを用いてはならない。 これを用いて夢と現実が繋がっている事を、明晰夢の状態以外で示してはならない。 他人の夢と他の夢同士を結んではならない。 使用中にサークレットを取り外さない。 使用終了時の手順を厳守すること。

2022-11-13 23:30:22
ルーフェ @rufe_mitras

注意事項: 夢の内容をできうる限り口外しない事。 実験の内容についてできうる限り明確に記述し、契約書に署名してもらう事。 (死亡しても責任は取らない旨を確実に明記、ただし罪人、死刑囚や奴隷はこの限りではない) 細心の注意を払い、不測の事態に備える事。 最悪は被検体を切り捨てる事。

2022-11-13 23:30:23
ルーフェ @rufe_mitras

使用終了時の手順: 水晶版のサークレットへの接続を解除。 この時点での脈拍、異常行動を確認。 異常があれば鎮静剤を投与し、様子を見る。 正常であれば、拘束を解除。 睡眠状態であるか確認する。 睡眠状態であればすぐにサークレットを取り外す。 睡眠状態でなければ睡眠薬を投与し、取り外す。

2022-11-13 23:30:23
ルーフェ @rufe_mitras

被検者Ⅰ 種族:ナイトエルフ 性別:女性 もう余命も近くなってきており、最後には被検体となる事を希望したとのこと。 サークレット、水晶版の試作型を使用。 実験は一部成功。 夢の内容を水晶版へと映し出し、音声の送受信が可能であることを確認。 その後被検体はせん妄状態に陥り、実験中止。

2022-11-14 00:08:22
ルーフェ @rufe_mitras

インシデント: 博士(著者)が、夢の内部と思われる場所(以後、夢と表記)で眠っている被験者に対して、声を掛け目覚めさせた直後、現実世界の被験者の肉体が目覚め、極度のせん妄状態となる。 これと同時に、夢にいる被験者もせん妄状態となり、支離滅裂な言動を繰り返し、自傷を試みた。

2022-11-14 00:08:22
ルーフェ @rufe_mitras

対処: 水晶版の接続の即時切断、被験者を取り押さえ睡眠薬を注射を行う。 再度睡眠状態になった後、サークレットを取り外す。 この処置の後、被験者は再び目を覚まし、被験者の母親に対して死の恐怖を訴えた。 検査を行っても、極度の恐怖での震え等以外の異常は見られず、後遺症も現れていない。

2022-11-14 00:08:23
ルーフェ @rufe_mitras

メモ: 寝ている奴を起こしてはならないという奴か。 しかし、ロザリー…君には申し訳ないことをした。 次はこう…死んでも罪悪感がない奴にしておこう。 よもやここまで危険とは思っていなかった。

2022-11-14 00:12:50
ルーフェ @rufe_mitras

被験者Ⅱ 種族:ニンゲン 性別:男性 奴隷である。奴隷商によると犯罪奴隷であり死んでも問題ないとのこと。 前回同様、サークレット、水晶板の試作型を使用。 恣意的に夢の中で眠る者を起こしどのような事が発生するかについて実験を行い、被験者は死亡した。

2022-11-14 22:30:34
ルーフェ @rufe_mitras

結果: 夢の中で眠っていた被験者が目を覚ましたとき、「紫の、紫の、紫の」と繰り返し発言した。 次に、夢の被験者は非常に大きな声で5時間程度雄叫びを上げ続けた。 その後、夢の被験者が目から血を流して眼球が破裂。 同様に現実の被験者も眼球が破裂した。

2022-11-14 22:30:35
ルーフェ @rufe_mitras

夢の被験者が痛みに苦しむ中、喉を夢の被験者自身の手で締め上げる。 現実の被験者も同様に、被験者自身の手で喉を締め上げる。 (以後、夢と現実の被験者の行動が同期する) 被験者は意識不明により弛緩し締め上げが緩慢になる。 被験者はうわごとのように「うららからからか」と繰り返し発言。

2022-11-14 22:30:35
ルーフェ @rufe_mitras

暫く状態は安定していたが、 被験者は突然せん妄に陥り、暴れたため台に拘束。 暴れた衝撃か、舌をかみ切り口腔を大量出血。 血が肺に到達したと思われ、むせて血を吐く。 激しく台に頭を打ち付け、後頭部を出血。 舌を失い生かす価値がないと判断。 筋弛緩剤を致死量の5倍投与の後、死亡確認。

2022-11-14 22:30:36
ルーフェ @rufe_mitras

メモ: やはり起こすのは危険。 危ない実験は犯罪奴隷に限る。 ただ、死んでもいいような奴は貴重故、意外と高い。 合法裏に入手するのも骨が折れる。 誰か夢を研究する同志はいないのか?

2022-11-14 22:30:36
ルーフェ @rufe_mitras

被験者Ⅲ 種族:エルフ 性別:女性 死刑囚である。アイオーニオンとの取引で手に入れた奴隷同然の囚人、処刑代わりだそうだ。対価として絶対的な死を望まれている。 前回同様、サークレット、水晶板の試作型を使用。 夢への接続後、サークレットを取り外す実験を行い、想定通りに被験者は死亡した。

2022-11-15 21:47:18
ルーフェ @rufe_mitras

推論: 肉体の脳髄が夢を見て、その夢こそが魂魄への接続も兼ねるとした場合、中継・干渉を行うサークレットの作動中に効果の及ばない場所に移動させた場合、肉体と魂の切断が行われてしまい即死すると思われる。 即死するなら、恐らく夢が魂魄への接続、もしくはそれに類する物である事が確実になる。

2022-11-15 21:47:19
ルーフェ @rufe_mitras

結果: サークレットを取り外し、頭部から50cm程度離された時、被験者の脈拍は即時に停止し、約5分後に死亡が確認された。 水晶板の映像は、引き続き被験者の夢が映し出され、こちらから停止しない限り流され続けた。 夢の内部の被験者は、肉体が死亡していることに気づいていない。

2022-11-15 21:47:19
ルーフェ @rufe_mitras

追加検証: 死亡した被験者に、サークレットを再度装着する。 結果: 夢の被験者は装着後即座に身体中が破裂し、死亡したと思われる。 その後約4分後、自動的に水晶板は機能停止した。 現実の被験者の肉体に変化はなかった。

2022-11-15 21:47:20
ルーフェ @rufe_mitras

メモ: 惨いものを見てしまった。 いくら死刑囚とはいえ、現実が無傷とはいえ。 ともかく、あの追加検証は禁止しよう。 ただ、あともう一度許されるなら… 無論、魂魄への推論も立て直さないといけない。 しかしあのサークレットは他の奴には渡せん。 危険が過ぎる。

2022-11-15 21:47:20
ルーフェ @rufe_mitras

被験者Ⅳ 種族:ニンゲン 性別:女性 実験前日に病気で亡くなった女性。生前に実験に用いる旨の契約を交わし、履行された形。 今回より、サークレット、水晶板の改良型を使用。 遺体にサークレットを装着し起動する実験を行う予定だったが、実験は中断。

2022-11-18 00:39:02
ルーフェ @rufe_mitras

インシデント: 被験者の遺体に装着後、サークレットの起動を行ったが直後に遺体の心拍が再開。 約5分後に自発呼吸の再開を確認。 心拍再開の約1時間後に被験者は意識回復。 初回の死亡確認前の病状は改善されておらず、約9時間後に容体は悪化し、被験者は再度死亡が確認された。

2022-11-18 00:39:03
ルーフェ @rufe_mitras

被験者は死亡確認後、約37時間経過後に心拍が再開しており、常人であれば既に死亡しているのが医学の常識で、理解しがたい状況が発生している。 生前と蘇生後の被験者の、人格等に異常はなく差異はないと認められるため、魂魄の再挿入による死霊術現象ではないことは明白。

2022-11-18 00:39:03
ルーフェ @rufe_mitras

対処: 予定していた実験は中断。 被験者の処理に重点を置く。

2022-11-18 00:39:04
ルーフェ @rufe_mitras

メモ: 意外とすぐに実現したが、 まさかこうなるとは思わなかった… まだ試してみたいことがあるが…とても悩ましい

2022-11-18 00:39:04
ルーフェ @rufe_mitras

(オーガ→西洋の鬼と同義、赤肌 オーク→オーガとエルフとの交配種、緑肌)

2022-12-15 01:51:46
ルーフェ @rufe_mitras

オーガとオークの夫婦関係は非常に特殊であり、オーガの男女とオークの男女、計4人で一組としている。 そして4人がかりでオーガとオークの子供を産んで育てるのが基本のスタイルとなる。 ちなみに、1家族辺りの人数はおおよそ十数人とされており、大家族となるのが普通である。

2022-12-15 12:28:20
ルーフェ @rufe_mitras

オーガは魂魄・人型魔族である。 赤色の肌を持ち、牙と角がある。 怪力の持ち主とされ、身体は筋肉質。 一番力が強い者が種族の長とされる事が多い。 種族的には活発で、小さな事にはこだわらない。 オークを従えている、とされているがどう見ても家族のそれである。

2022-12-15 12:28:20
ルーフェ @rufe_mitras

オークはオーガと同じく、魂魄・人型魔族である。 緑色肌を持ち、牙があるが角はない。 オーガの特徴を引継ぎ、筋肉質ではあるがオーガは筋肉隆々であるのに対して、オークは比較的細身である。 種族的には割と細かいところまで気が利き、誰かのために力を振るうことを好む。 騎士としては最良である。

2022-12-15 12:28:20
ルーフェ @rufe_mitras

オークはオーガの奉仕種族であり、古くはオーガの直系の子孫となる。 オークの歴史はオーガよりは浅いが、関係はとても深い。 オークは、オーガの知能が低かったころにエルフを攫って、何やかんやあったころにオーガの女性が産んだのがオークだとされている。

2022-12-15 12:28:21
ルーフェ @rufe_mitras

オーガはオークを毛嫌いしていたが、段々とオーガの自分たちに嫌われても健気に奉仕するのが気に入ったのか、一緒に住むようになったというのが一説にある。 オーガとオークが賢くなっても尚、オークの起源については良く分からない。 長い間に築き上げた関係は、そう簡単に崩せるわけではないだろう。

2022-12-15 12:28:21
ルーフェ @rufe_mitras

一般的に夫婦関係が種族比率1:1、男女比率1:1の4人であると決まっているが、性欲を分散させる狙いがあるとされる。 一例として、男性オークと女性オーガの関わりを上げると、女性オーガの性欲が強いために、性欲の完全解消の為には男性オーガに頼らざるを得ない状況となるなどがある。

2022-12-15 12:28:22
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